della Tempesta




「……くん…獄寺君…」

世界で一番好きな声で呼ばれて、目を開けるとそこには俺を見つめる10代目がいらっしゃった。
「10代目…」
「獄寺君っ!好き!」
白いブラウス1枚を直接素肌にまとっただけの姿で、10代目が抱きついてくる。
「じゅ、10代目!いけません、こんな…!俺は部下であなたは――」
「そんなの関係ないよ!俺は君を好きなんだ!お願い、獄寺君、抱いて……」
10代目の薄い可憐な唇が俺の唇に押し当てられる。それはかすかに震えていた。
俺はたまらなくなって、10代目の熱い体を抱きしめると、そのままベッドに押し倒した。
「ごくでらくん…」
琥珀色の大きな瞳が潤んで見上げてくる。
「ん、ふ…」
上気して薔薇色に染まった頬に手をかけて口付けると、鼻にかかった吐息が漏れた。
薄い衣を剥ぎ取って、どこを触っても、10代目は感じて可愛らしい甘い声をあげた。
とろとろにとろけた10代目の太腿に手をかけて、脚を大きく開かせ、
10代目の大切な場所に俺の―――




そこで目が覚めた。




「うああ…」
10代目が出演する淫夢を見るのは初めてでは無いが、毎回罪悪感で死にそうになる。
10代目すいません!すいません!俺は頭を抱えて寝床の中で身悶えた。
下着の中に感じる濡れた嫌な感触。
「うあ〜〜〜」
毎度お決まりのパターンではあるが。

死にてえ……。



洗濯機の置いてある洗面所で、下着を洗う。
心底情けない気分だ。
これが嫌だから、きっちり処理するようにしてるのだが、昨夜は抜かずに寝てしまった。
というのも、同じ屋根の下に居て、毎晩10代目をオカズにしてるのが申し訳なくて、
昨日は買出しの時に買った成人雑誌の使用を試みたのだが、つい、
「この女は口元が10代目にちょっと似てる」とか「このポーズを10代目がされたらどんな感じか」とか考えてしまって
結局10代目をネタにしてるというか、寧ろ、エロ本に載ってる女と10代目を比較するという全く持って不遜な事を
してるのに気付いて、なるべくグラビアそのものに集中しようと思ったら……全然勃たねえ。
もうすっかり気分が萎えて、そのまま寝ちまったんだが。嗚呼。

洗った下着をぎゅっと絞って、洗濯機の横の洗濯籠に入れる。
ここんとこ雨続きなんで、洗濯物がたまっちまってうんざりだ。
10代目も困ってらっしゃるだろう。
着替えが無くなってたりしないだろうか。
10代目の服は10代目のご自宅から、あらかた持ってきたんだが、新しい服だって欲しいだろうな。
よし今度買出しに行った時、買って来るか!そんで10代目にプレゼントするんだ!
10代目はお出かけになれなくて、俺が買出し係なんだから、この場合、何の問題もねーよな、うん。

俺は、俺の買ってきた新しい服を着て微笑む10代目を想像した。
「ありがとう獄寺君。似合う?」
そう言って10代目がくるりと回ると、薄手の生地を重ねたワンピースがふわりとひるがえる。
良い!すげー良い!10代目素敵です!
「こっちは?」
10代目がワンピースの裾を首元まで捲り上げると、こちらも俺の買ってきた新しい下着が、
10代目の白い肌によく似合ってて、俺は―


「うわああ!」
慌てて、ヤバイ方向に進んでしまった妄想を頭から振り払う。
しかしもう遅かった。
すっかり勃ち上がって自己主張する己のものに、俺はため息をつく。

まだ朝早い。さっさと抜いちまおう。
妄想の中の10代目が愛らしくウインクして、部屋に向かう俺の足は少し早くなった。





 
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