「もーつかれたー」 そう言って10代目はぱたりと執務机につっぷした。 「お休み欲しーい温泉行きたーい」 「いいッスね、行きましょーか」 「仕事は?」 「ほっぽときましょー」 10代目は顔を伏せたまま、くすくす笑った。 「ダメだよ、そんなの」 10代目は顔をあげると、書類を手に取った。 ずっと前から進めていた計画の最終案。 10代目は真剣な表情で書類を睨んでいる。 そこに書かれているのは、数値やデータだ。しかし10代目は、その先にある人間、ファミリーや市井の人々、 敵対ファミリーの姿を、命までを、見ているのだろう。 お優しい方だから、簡単に物事を決めたりはされない。 そして考えに考え抜いて、10代目が出された結論はいつだって正しい。 悩む10代目の顔を眺めながら、俺はそんな素晴らしい方にお仕えする喜びをかみしめた。 と同時に、仕事に打ち込む10代目の表情は渋くて色っぽいなあ、と悦に入っていた。 俺は10代目の笑ってる顔が一番好きだが、こういうのもいい。いやもう全部いい。好きです。大好きです。 嗚呼じゅーだいめかわいいなあ! 「…何ニヤニヤしてんの獄寺君…。ねえ、こっちの案件の資料もう一回見せて」 「あ、ハイ、これです」 眇た瞳に金色がさし、細く白い指先に朱色の炎が灯る。 そっと指が書状に押しあてられ、ボンゴレのドンの承諾の証の死炎印が押される。 「それではお預かりします」 10代目から書状を受け取り、しかるべき部所への通達のため、俺は部屋を出た。 部屋に戻ると、10代目は先程と同じように机につっぷしていた。 「10代目」 「んー」 伏せた顔の下から、くぐもった声が聞こえる。 「10代目、こんなところで寝たら風邪ひきますよ」 「うーん」 肩に手を置き揺する。少し固い。 俺はそのまま10代目の肩を揉んでさしあげる事にした。 「うー、ありがと、獄寺君」 「お疲れさまです、10代目」 マッサージは10代目がお疲れの時にたまにする。 以前は加減が分からなくて10代目を痛がらせてしまったこともあったが今は結構上達したと思う。 って、こう言うと何か別の事みてーだな…。 「ん…あ、気持ちい…」 「……」 「あっ、ああっ、あ〜」 「あの10代目…」 「ん?」 「えーと、そ、そんな声出されますと、その…ちよっと…」 まさしく今さっき連想してたから、余計、くる。 ここんとこ忙しかったから、してないし。でも忙しかったからこそ、10代目お疲れだろうし…。 自制しようと思うものの、そんな声出されたら、理性が揺さ振られてしまって。 「困るん、です、けど」 「…………。あーん」 棒読みのあえぎ声があがる。 「じゅ、10代目!?」 「困った?」 見上げる顔はいたずらっぽい表情で。でも頬や耳は赤く染まっていて。 俺のなけなしの理性は吹き飛んだ。 返事の代わりに、赤い耳に噛りつく。甘噛みしながらふちに舌を這わせると、作ったものでない声があがった。 「あ…」 10代目が座ったままの椅子をひき、向きを変えて正面に立つ。 かがんでキスし、スーツに手をかけた。 「え、え?ここですんの?」 「10代目が誘ったんですよ」 とまどった声があがったが、そのまま10代目のスーツとシャツのボタンを外す。 恥ずかしそうにしながらも10代目はされるがままになっていた。 ブラのフロントホックも外して、10代目の白い乳房をあらわにする。 そっと両手を左右の膨らみに乗せると、10代目の体がびくんと揺れた。 手の中にすっぽりと収まるそれを、そのままゆっくりと揉みしだきながら手の平の部分で乳首を捏ねるように 転がす。 「ん、あ…ふっ…」 先程より更に艶を含んだ声に気をよくして、俺は力を少し強めて今度は指の股に先端を挿んで刺激した。 「あっ!あっ!あんっ!」 自分で意識したことはなかったが、長年ダイナマイトを得物として使ったせいで俺の指のつけ根には タコが出来ている(ペンダコみたいなのを想像してくれ)。 そのあたりで触られると気持ちいい、と、以前酒に酔った10代目がおっしゃった。 後でその事を言ったら、めちゃくちゃ恥ずかしがっていたが、おっしゃってた通り、こうして責めると、 とても反応がいい。 「あっ、あん、あんっ!獄寺くっ…」 片手で胸をいじりながら、もう片方の手をゆっくりと脇腹を撫でながら降ろしていく、タイトスカートのホックを 外し、ファスナーを下げて中に手を差し入れる。指先に触れる感触がいつもと少し違う。 「あ…」 「今日はガーダーつけてるんですね」 「ん…だって上までパンスト履いてると獄寺君破っちゃうじゃん…」 う。確かについ焦ったあまり破ってしまった事が二回か三回か四回か……。で、でもそれは〜〜 …ん?待てよ、つー事は。 「俺に触って欲しくて、これつけたんですか?」 10代目の頬が更に赤く染まる。 「べ、別にそーゆー訳じゃ」 そう言ってそっぽを向く10代目の顔は凶悪なまでに可愛い。うわやばい、かなりくる。 スカートの裾の方から手を入れて、10代目の下着に指をかけてひっぱるとストッキングに邪魔される事無く するりと脱がせられた。 「や…」 10代目は恥ずかしそうに身をよじるが抵抗はしない。 俺は10代目のパンプスを脱がすと、両足を持ち上げて10代目の座っている椅子の両脇の肘掛に乗せた。 「えっ!やだ!ちょっ!」 いわゆるM字開脚とゆーすごい恥ずかしい格好をさせられて、さすがに10代目が慌てるが、 太ももを押さえて脚は閉じさせない。 「綺麗ですよ、10代目」 「んっ!あ…」 淡い茂みに唇を寄せて囁くと、かかる吐息に感じるのか甘い声があがる。 「10代目…」 一番敏感な場所に舌で触れた。そのままぴちゃぴちゃと犬のように舐める。 「ひあっ!あーっ!」 10代目の体がぶるぶると震える。 「ああっ!いや!やっ…だめぇ…そんな、しちゃ……あっ!ああんっ!やあっ!あああああ……!」 10代目の体がのけぞり、大げさなくらいびくびくと跳ねる。 白いのどをそらし、悲鳴に近い喘ぎ声がひっきりなしにあがる。 「ふあっあ!ひっ………うううんっ!やあああああああああっ!あああーっ!あっああああああーっ!」 舌を尖らせ、こりこりとした芯を捏ねまわし、舐めあげる。 「だめえええ!!もっ!だめっ!!だめ!!ああああああああああああーーーーーーーーーーーっ!!」 ビクンと大きく跳ねて、10代目の体からぐったりと力が抜ける。 ひくひくと断続的に跳ねる体から、顔を離す。 絶頂を迎えた10代目は壮絶な色香を放っていた。 汗に濡れて乱れた髪、とろんと焦点の合わない瞳、上気した頬、しどけなく開いた唇から垂れた唾液の筋。 荒い呼吸に上下する胸は桜色に染まり、煌々と灯りに照らされて艶かしい。 大きく開いた脚の間でびっしょりと濡れた入り口が、新たな快感を待ち受けるようにひくついている。 成人していても少女のようなあどけない顔立ちだから、そんな乱れた姿は余計に背徳的な興奮を誘う。 ちょっと待ってこのままするか、寝室に移動するか考えながら、立ち上がり、10代目を見下ろす。 ふと。 10代目の座る黒く豪華で大きな椅子。 大きな椅子の上、力なく座る小さな10代目。 とても馬鹿馬鹿しい連想が頭をかすめた。 まるで、椅子に、犯されてるよう。 なんて馬鹿馬鹿しい下らない妄想。椅子にまで嫉妬してしまうのか俺は。 そんなことありえない、だって━━━━10代目がその椅子に座るのを一番望んでいたのは俺なのだから。 「獄寺くん」 10代目の手が俺の頬を撫でて、俺は我にかえった。 「10代目…」 10代目は小さく笑いながら、何度も俺の頬を優しく撫でてくれた。 昔から俺によく投げかけてくれた、困ったような照れたような優しい微笑。 「10代目」 10代目の手に自分の手を重ね、頬を強く擦りよせる。10代目、じゅうだいめ。 「ねえ、抱いてよ、獄寺君」 「ん……」 熱く潤った10代目の中に自分を挿しいれる。 「ああ」 心地よい肉の抵抗を受けながら更にずぶずぶと押し込んで収めていくと、段々と引き込むように 10代目の中が動いて、強く包みこまれる。 何度繰り返しても、その度に嬉しくって頭がおかしくなりそうな歓喜。 10代目が俺を受け入れてくれてる。俺を愛してくださってる。嬉しい。 愛してます、10代目。嬉しい。気持ちいい。好きです。 「ふ…はあ…獄寺く、ん…」 感じ入ったような溜息をついて、10代目の腕が俺の背中に回る。 頬に口付けて、動きだす。 「んうっ」 最初はゆっくりと短く抜き差しし、徐々に速度を早め、強く奥まで突き入れ、抜けるギリギリまで引く。 「ああんっ!」 「10代目…」 感じるところを抉るように10代目の中をかき回し、更に激しく抽送を繰り返す。 「ああん!あんっ!ごくでらくんっ…!ごく…!あああん!」 「はあ、は…じゅ、だいめ…」 湿った水音と、肉の当たる乾いた音。俺を呼ぶ10代目の声と、獣じみた俺の荒い息。 どろどろに溶け合って、この世界に俺たち2人だけしか存在しない時間。 激しい動きに10代目の体が椅子から少しずつ摺り落ちてくる。 「ああっ!あんっ!ああっ!ごくでらく…おっこっちゃうよお…」 10代目の脚が俺の腰に絡みついた。 ぐいぐいと10代目の体を突き上げて、喘ぐ唇に噛み付くように口付けて頭を椅子に押し付ける。 「んんっ!む…ふああっ!あ…む…」 「ふ、はあっ」 「ごくでらく、ごくでらくっ…んううう!きて…きて…もっと……!!!!」 「じゅうだいめえっ……!」 「あああああああああああああ!」 きつい楔を打ち込むうように、あなたをここに縫いとめる。 四肢と中とに、強く抱きしめられて、熱い滾りをほとばらせた。 10代目を抱えあげて立ち上がる。 意識を飛ばしていた10代目がうっすらと目を開けた。 「風呂、入りましょーか?」 「うん、温泉のもと入れて、登別がいい」 尋ねると案外はっきりとした声で応えられた。 「はい」 俺はにっこり笑って頷いた。 「出たら、また、しましょーね」 10代目は赤くなって俺の肩に顔をうずめる。 それから、小さく「うん」と言われた。 明日になればまた仕事は山積みになるだろう。 長期休暇などとれはしない。 でも今日の仕事は終わったから。 明日の朝まで、この人は、俺の腕の中。 END |