MISSION IMPOSSIBLE Part V〜ミッション・インポッシブル・パート3

 

 

 

 

Part Uのあらすじ〜

 

不可能と言われた任務を半ば成し遂げた男がいた。

男は任務を完全に遂行すべく、今日も困難な壁につき進んでいった―――

 

 

 

 

 

人気のない街道で指令から降り立ち、景麒は辺りを見回す。

指令にも辺りを探らせたが、どうやら浩瀚はいないようである。

余りにも挙動不審な景麒を陽子は不審そうに見ていた……

 

 

街に入っても景麒は時折あちこち見回して陽子の不審をかっていたが、

それにも気付かない程景麒は警戒していた。

いつまた浩瀚の邪魔が入らないとも限らない……

 

 

どう見ても怪しい景麒だが、気にせず入念に辺りを見回すと、人ごみの中に浩瀚を見つける。

(何故こんな所に……やはりまだ邪魔を…)

思わず景麒は建物の陰に身を隠す。

陽子も一緒に隠し、しばらく様子を伺っていたが、陽子の呻くような声に我にかえる。

 

「…どこに触ってるんだ……?」

慌てて見ると、咄嗟に触れた手が陽子の胸元にある事にようやく気付いた。

 

「申し訳ありません…気付きませんでした」

そう謝罪するが、火に油を注ぐ結果となった。

 

「それは……気付かない程…小さいっていいたいのか、もしかして……」

「ち…違います、気付かなかっただ…けで…」

怒気を孕んだ言葉に、景麒は自分がどんどん墓穴を掘っていった事に気付くが、もう遅い。

 

浩瀚の姿はもう見えないのが救いだが、景麒はその後大分苦労して誤解を解く羽目になる。

 

 

何とか機嫌を取り結び、日も大分高くなった頃ようやく景麒は次なる難関に挑む。

「主上、何か欲しいものはありませんか?折角下界におりたのですから」

「別にいいよ」

「そう言わずに何かありませんか?私が贈りますから」

景麒にしては精一杯勇気を出して言ってみたのだが、もちろん陽子には通じない。

「お前が何かくれるなんて何だか変だな」

今度は何の嫌味だ?とばかりに見る陽子に、景麒は眉間の皺を何とか堪える。

不思議そうにしつつも陽子はあちこち露店を見て回っている。

しばらくして陽子が指したものに景麒は目を疑う。

 

「あれがいい」

 

いかにも傭兵風の人間がたむろしているそこには、どうみても武具にしか

見えない物が並べられている。

 

……確かにあれでも何かを贈った事にはなるだろうが…それを浩瀚に報告した場合の反応が

容易に予想出来てしまった為、景麒は何とか言葉を選んで止める事にする。

 

「主上、折角ですから下界でしか買えないものの方がよろしいのでは?あのようなもの

でしたら王宮にいくらでもありますよ」

「そうかな……」

 

どうにか考え直したらしい陽子にほっとしたのも束の間、今度は又とんでもないものを指差す。

 

「あの猫が欲しい」

 

そこには愛玩用として売られている長く白い毛並みが美しい子猫がいた。

陽子の視線に気付き、可愛らしく鳴いてみせる。

 

「あの猫ですか……」

「今のペットは嫌味ばっかりだし滅多に見れないし、可愛くないし」

 

今のペット…それは私の事ですか…そう問いただしたいのは山々だが、景麒は何とか堪える。

 

……まあ、武具よりは遥かにマシだろう…今までの経験から何となく嫌な予感もするが……

そう思い陽子に気付かれぬよう一つ溜息をついた。

しかし浩瀚がどんな風にからかってくるかも簡単に想像出来た……

おそらく、『主上が猫に夢中で構ってもらえなくてお寂しいでしょう』と言うような事でも

暗にほのめかすのだろうが仕方なかった…

 

 

 

雑踏の中嬉しそうに猫を抱いて歩く陽子の隣で、景麒は最後の難関をどうやって

突破するか考えていた。

一番の難関かもしれない……いきなり綺麗だというのもきっと主上の事だから

大笑いするだけで終わるだろう。いやしかし例え笑われても言った事実には

変わりないのだからそれで全てクリアした事になる……いやしかし、いくら何でも

それは情けなさ過ぎる気もする……

 

そんな事を考えていたせいで、景麒は事態に気付くのが一瞬遅れた。

何故突然立ち止まったのだろうと主を見、ようやく主の行く手を阻む二人の男の存在に気付く。

きちんと女物の服……しかも景麒の贈ったものなので仕立てがいい。

それを着ていて猫まで抱いているせいで、綺麗で大人しそうな少女に見えたのだろう……

確かに何も知らなければ一見思わずそう思ってしまうだろう…

知らないという事は恐ろしいものだ……と陽子が聞いたらとても楽しい目に遭わされる事

確実の事を考える。

 

そこまで冷静に分析し、ようやく主の危機に気付いた景麒は慌てて陽子に駆け寄る。

 

「何です、貴方がたは。そこをお退きなさい」

服と猫のせいでいつものように動けない陽子は、心配そうに見ている。

 

「お前に何の関係があるんだ?何だ、お前は?」

いつの時代も世界も変わらぬお決まりの台詞を吐く男に、景麒は即答する。

 

「下僕です」

 

その言葉に男達だけでなく陽子も固まった。

一瞬呆けたように佇む男だったが、すぐに気を取り直したらしく陽子に一歩近づく。

 

主の危機に景麒は思わず指令を使うのも忘れて前に出る。

だが踏み出した足が男の進行方向にあった為、突っかかった男は盛大な音を立てて派手に地面に転がった。

 

「あっ…お怪我はありませんか?」

 

やはり麒麟の性なのか、反射的に男に手を伸ばそうとする。

しかし、それがもう一人の男が仲間を起こそうと屈んだ瞬間だった為、綺麗に男の喉下に

手刀が入る結果となった。

見るからに育ちの良さそうなお坊ちゃん風の景麒の思わぬ反撃に、男達は焦ったらしい。

男は苦しげな声で呻き、喉を押さえながら後も振り返らずに走り去って行った。

倒れていた男も慌ててその後を追う。

 

 

しばし呆然としていた景麒だったが、陽子の声で我に返る。

 

「景麒すごいな……見直したよ。麒麟でもあんな事出来るんだな」

 

たまたま偶然が重なってああなっただけだが、折角主が感心してくれているので、

あえて何も言わない事にする。

そして絶好のチャンスに気付く。

 

「ご無事で何よりでした。主上がお綺麗だったのでこの様な事態になってしまったのですね」

 

さすがの陽子もこの状況では大笑いするはずもなく、素直に喜んでいる。

嬉しそうに猫を抱き直すと景麒の隣に並ぶ。

 

ようやく今までの苦労が報われた景麒は、さっきの『下僕』発言でまだ遠巻きに見ている

周りの人間にも気づかなかった……

 

 

 

 

 

金波宮に戻った時にはすでに日は沈みきっていた。

恐れていた浩瀚の妨害もなく、結果的には大成功である。

さぞかし政務も溜まっている事だろうが、とりあえず全てクリアし、主上にも

見直していただいた……と景麒は満足していた。

 

しかも、

 

「今日は楽しかったよ。ありがとう」

 

という言葉まで主にかけてもらい、いつになく景麒は幸せであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――その夜金波宮のとある一室にて―――

 

 

「それにしても浩瀚凄いな――。一体どんな手を使ったんだ?」

「それは、企業秘密です」

「あの堅物景麒がそんな事する訳ないと思ってたんだけどな――」

「次はどんな賭けを致しますか、主上?」

「そうだな…次は景麒が――――」

 

景麒は知らなかった――陽子と浩瀚が、

 

『あの堅物な麒麟が一週間以内に陽子をデートに誘うかどうか』

 

という賭けをしていた事を………

 

 

その後陽子は浩瀚の部屋の前に立つ二人の兵を見て最近どこかで見た顔だと思ったが、

どこで見たのかどうしても思い出せなかった。

 

 

 

 

 

   ――――――――任務完了――――――――

 

 

03/02/22 

…………………………………………………………………………………………

 

景麒のアクションシーンに挑戦してみました……そして玉砕しました。

やっぱりMISSION IMPOSSIBLEにアクションは欠かせないので(笑)

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル