景麒は今年度の補正予算案について説明して差し上げる事にした。 この上なく退屈極まりない所に、更に退屈な補正予算案なるものを説明し出した景麒に、陽子は苛立ちを隠しもしないで睨むように見る。 「……という訳ですので、今年度の予算は……」 「……」 険悪な雰囲気に気付いているのかいないのか、尚も景麒は続ける。 「……他に何かもっと面白い話はないのか?」 「これが今主上に最も必要である知識です。余った時間は有意義に使うべきですよ」 「もういいっ! 一人で壁にでも向かって喋ってろ!」 「何を仰るのです、こんな事も分からずに王として……」 「そんな話、休みの時まで聞いてられるか!」 「しゅ、主上……」 突然怒り出した主に、景麒は声を上げるが、主は急に立ち上がると物凄い勢いで扉を閉め走り去ってしまった。 一体自分の何がいけなかったというのだろう? 主上の為を思って教えて差し上げていたというのに…… 一人取り残された景麒は、そう思いながら主の出て行った扉をただじっと見つめていた…… 駄目ルートですが、景麒ならこれが自然かも…… |