蜉蝣

それは淡く儚いモノ


白い壁
白い床
白いベット
白いシーツ

そして

「貴様は一体…」

赤い、滲み。

後ろから抱きしめた体はどこまでも細く…しなやかで。
車椅子に座った相棒は一人静かにどこかを見つめ。


何をしても。
何を話しかけても。
なんの反応もない。

心が壊れるということはこういうことなのか、と。
口元に苦い笑みが浮かぶ。
壊れた人間は何人も見てきた。
でも、まさか。

何の反応も示さない体を毎夜ベットに縛り付ける。
自分に縋り付いてこない腕に苛立ちがつのり、ベットヘッドにベルトで縛りつけ…赤い血がにじむまで白い細い体を貪る。
どんなにきつく肌に爪を食い込ませても、瞳を歪めるわけでもなく。
声を出すわけでもなく。
ただ…瞳はどこか遠くを見つめている。
まるで人形のようだと。
熱を注ぎ込みながら…思う。

貪れば貪るほどつのる空しさ。
どんなに舌を絡めても何の反応も示さない舌先。
きつく噛めば広がる血の味。
抱いた腕の中で聞こえる心音だけが生きていることを実感できるという現実。
首筋に顔を埋め何度もきつく赤い跡を残す。
毎日のようにつけられたそれは消えることなく、白い肌を彩る。
そうすれば…跡を残すなといつも怒っていた声が聞けるようで。
そんな小さな感傷に己もここまで堕ちていたのか…という想いと。


やはり…。

もう一度、声を聞きたかった。
その青い瞳に己を写し…そして。
自分の意志で動いて欲しかった。


シーツに広がる、赤。

あの…相棒の髪の色と同じ色。
そっとその赤に指先を伸ばす。
ぬるりとした感触。
白い肌を彩る、それ。






口元を滴る血に舌先を這わす。
青い瞳は見開かれたまま、乾いて濁った瞳でどこかを見つめている。
青白い指先は力なくベットに投げ出され。
その指先に指を絡ませ…同じ強さで弛緩した舌を強く噛む。


もう何をしても。
何を話しかけても。



「貴様は…」


私から“希望”という不確かなモノを引き出させたくせに。
それを…。

“捨てろ”

と。

そういうのか。


“ただ生きてさえいてくれればいい”
とは死んでも思えぬけど。



見開かれた瞳をゆっくりと閉じさせる。




どこまでも勝手な相棒で。
知らず笑いが毀れる。

「貴様ならお互い様だというであろうな…ガユスよ」


力が抜け切った体を抱き上げる。


「どこに逝く?ガユス」


お前は今



何を見つめている…?




それは淡く儚いモノ


白い壁
白い床
白いベット
白いシーツ

そして



赤い、滲み。



ガユガユ狂って死ぬネタ〜。
ガユガユ目線?のはまた後日(笑)あまりえろくならなかった…。
でも一応死にネタは裏々UPなので…ご了承くださいませ(苦笑)
ちなみにこれは、ディルの…「304号室〜」のプロモから妄想しました〜。あの曲好き。

本人しか分からない理由でちょろっと修正(笑)
2005.10/23

2005.10/22 如月修羅

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