一人遊戯 2

“〜〜〜♪♪”
咄嗟に伸ばした指先が携帯を掴む。
(何やってるんだ、僕は)
パタンと開けてみれば、この状況の元凶…
“折原臨也”の名前。
文句の一つでも言ってやりたい。

そんなことを考えた僕はきっと罠に掛かったんだ。



「…っ」
『で?』
なにこれなにこれなにこれ。
まるで媚薬を流し込まれてるみたいな、今まで聴いたこともないねっとりとした甘い声。
『どうしたの?帝人君』
耳を犯されるなんて言葉をきいたことがあるけれど、まさにこれがそうだ。
(さいってい!!)
「……最低、です」
『なぁにがぁ?やっだー太郎さん、初心なんだから!』
くすくすと笑う音が
まるで耳元をくすぐるようで。
『体が疼くの?しょうがないよ、生理現象だから。それともなに?俺の声に感じる?』
ふっと息が掛かった気がした。
ぞわぞわと背中を何かが這い登る。
…快感だ。
『手伝ってあげようか?いいよ、帝人君。可愛がってあげるから』
「なにいって…!」
『まずはどうしようか?そうだなぁ…自分で可愛がるのもいいよね。感じるところ触ってよ、声を聞かせて?
大丈夫、恥ずかしくなんてないから。だってこれは生理現象だもの、だから大丈夫』
優しい声音が頭を支配する。
可笑しい可笑しい可笑しい。
なんで指先が伸びるんだろう?まるで魔法に掛かったみたいだ。
「…っぁ」
『いい声、もっと聞かせてよ。ほら、せっかく聞いてるんだからもっと触って?感じた声を聞かせて?可愛いよ、帝人君』
ぐるぐるする。
最初から可笑しかった。
なにもかも臨也さんが悪い。
そうだ、彼がなにもかも悪いんだ。
「最低…っ」
『褒め言葉だね。ふふ…そうだなぁ…感じる所さすってよ。もっと大きな声聞きたい』
甘えるように。
そういって。
最低最低最低最低最低!!
なんで体は言うことを聞いてしまうんだろう?
「いざ…やさ…っ」
『いいなぁ…もっと名前呼んでよ、凄く可愛い』
下から湿った音が聞こえてきて。
ひょっとしたら臨也さんに聞かれてるんだろうか、なんて思ったら余計体が熱くなって。
「臨也さん…っ」
助けて。
ふいに思った。
こんなの自分の体じゃない。
助けて助けて助けて助けて。
「たすけ…」
『なぁに?』
助けて欲しいなんて、この人に言ってどうするんだろう。
ふと我に返った。
どうしよう、僕は一体何をやってるんだろう。
真っ青になって携帯から耳をはがした。
そこで、漸く携帯をきればいいことにきがつき、今更だとわかってはいてもそのまま切って。
電源まで落として、机に突っ伏した。
「……たすけて…っ!」

どうしたら、いい?


「いいよー助けてあげる」
「…?!」
「可愛がってあげるからね?」
にっこりと笑って玄関から入ってきたのは、折原臨也。
鍵はどうしたのだろうなんてこの人には愚問だ。
さっきまでの電話が一体どこから掛かってきたのかわかった僕は、盛大に悲鳴をあげようとして、近づいてきた臨也さんに唇をふさがれた。
勿論、相手の唇で。


きっと、最初から罠だったんだ。
押し倒されながら、そう思った。


続く…?

臨也さん目線か悩んで、すっごく変態になりそうだったので、帝人君目線で!
2010.4/3 如月修羅

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