料理番組

一緒に暮らし始めて三カ月。
見るともなしに、料理番組を見ていて。
「美味しそうですねぇ…」
「じゃぁつくろっか」
「・・・はい?」


て、感じで臨也さんは料理を作るのが上手だ。
もうプロ級だと思う。
ご飯の炊き方だって同じだと思ってたのに、お米立ってるし。
きらきら輝いてるし。
多分良いものを使ってるっていうのもあるだろうけど、それよりも臨也さんが料理上手すぎなんだと思う。
一応形ばかり手伝いながら、毎回思う。
そしてご相伴に預かれるんだから、文句なんて言っちゃいけないってことも分かってる。
分かってるけど。
「臨也さん、この間食べた梅のソース掛けの…」
「だぁめ。今日はキノコと鶏肉の蒸し煮だよ」
「でもこの間の凄く美味しくて」
「だぁめ」
こんな感じで、臨也さんは同じ物を作るという感覚がまったく素晴らしいほどに欠如している。
毎回違う料理が食べれて確かにいいだろう。
飽きもこない。
だが、あえていおう。
美味しかったものはもう一度食べたいじゃないか!
「臨也さんって…本当飽き性ですよね」
だからこそ、人間全てを愛する代わりに、一人の人間を愛し続けることができないわけだが。
「飽き性なのは認めるよ。新しい刺激がないと飽きちゃってね」
「じゃぁ僕のこともすぐに飽きますね。っていうか飽きてきてますか」
「残念ながら、帝人君は飽きないんだよね。毎回違う帝人君が見れて俺楽しいよ」
「………ちっ」
「舌打ちしたよね、なんで愛してると同義語言われてそういう態度かな」
「いえ、そこで飽きたと言われたらこの間と同じ物を作ってくれるかなと思いまして」
「なんで」
「飽きてる僕にずーっと構いつづけるってことは、臨也さんだって頑張れば同じ物作れますよだから作ってくださいって言おうと思ったんです」
自分で創れたらいいのだが、いかんせんレベルが高すぎてこの間失敗したばかりだ。
「あぁ理論は分かったけど、それ俺に愛されたくないってことかな?」
「……同じ料理を作ってくれない臨也さんに辟易するぐらいには、愛されたくないです」
「どういうレベルそれ」
「静雄さんと臨也さんを足してニで割るぐらいが丁度いいってぐらいかな」
静雄さんは逆に同じ物を食べつづけるタイプだと思う。
これでこまめに変えていたら申し訳ないのだけれど、実際きいたことがないので真実は闇の中だ。
「…帝人君、そんなに俺に監禁されたい?」
「されたくはないですけど、ちなみに静雄さんのはあくまでも同じ物を食べてそうだなという想像なんで、実際は知りませんよ」
「知ってたら監禁だけじゃなくて調教もプラスするよ?」
「丁重にお断りします。というわけで、僕が知ってるのは臨也さんだけなんでとりあえず同じ物作ってください」
「えー飽きちゃうよー」
「飽きてもいいんで作ってください」
「シズちゃんみたくなっちゃうよ?きっとアレは同じ物を食べつづけた弊害だよね」
「なってもいいんで、作ってください」
「俺が嫌だよ。というわけで決まりねー」
ちっと再び舌打ちすれば、大丈夫、美味しく作ってあげるからといわれて溜息を零した。
美味しくなるのはきっと当たり前だろうけれど、当分の間料理の本も料理番組を見るのをやめて、二人っきりで引きこもってれば同じ料理が食べれるかもしれない。
そこまで考えて、なんだか考え方が方向性が違うだけで臨也さんとそっくりなことに気がついて、恋人同士って思考が似てくるんだろうかとキノコを用意されるのを見つつ思った。


2010.0808 如月修羅


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