いつまでも貴方はそのままでいて? 今日も今日とて取引相手との交渉が長引いて。 結局家に辿りつくのは、深夜といっても差し支えない時間だ。 ガチャリとドアを開け、靴を脱いだ所で後ろから抱きつかれた。 「帝人君、おっ帰りー。ご飯にする?お風呂にする?それともお…」 「黙ってください臨也さん」 速攻で黙らせて、まずは靴を脱いで部屋にと上がる。 ちなみにくすくすと笑っている臨也さんは僕が学生の頃から、何一つ変っていない。 こうやって、不法侵入することも、毎回同じ台詞で出迎えてくれることも。 昔はそれこそ真っ赤になって真っ青になったものだけれど、流石になれた。 「どうやって入ったかは面倒だから聞きませんけど、パソコンとか弄ってないですよね?」 「恋人のプライベートはちゃんと守るよーただ、洗濯とかはしちゃったけど」 …あんた、いつから僕の部屋にあがりこんでたんですか。 とはとりあえず聞かない。 少なくとも朝はいなかった。 「…はぁ、まぁありがとうございます」 「帝人君、もう少し喜んでよー」 「いやですよ、っていうか子供じみた言い方辞めて下さい」 年を考えてください、年を。と押しのけながらいって、居間にといけばやっぱり手料理が並んでいた。 押しかけ女房みたいですよね、と一度言ったら凄く嬉しそうに微笑まれたので、それ以降言うのは辞めた。 「あー…今食べたら絶対に太る…」 「大丈夫、其の後運動すればいいんだから♪」 「…お断りします、明日もはや…」 「くないよね?あれ、帝人君忘れちゃった?明日お休みだよー?」 「…あれ?」 カレンダーをみれば確かに明日は休みだ。 自分より相手の方が把握してるって一体…。 「此処の所、お互い忙しかったでしょ。ついでにお酒ものもっか」 「いいですね」 「其の後遊んでねー」 「………考えておきます」 「あら?なら頑張って気分よくしておかないとー」 くすくすと笑う臨也さんはどれだけ昔と変らなくても、やっぱり大人の余裕が常にあって。 まだまだ自分は大人になりきれてないんだなと口元に微笑が浮かんだ。 ねぇ、そのままの貴方が好きなんです。 ずーっとそのままでいて欲しいなんて、わがままですか? 戻 むくいぬ様以外のお持ち帰りは御遠慮ください 2010.7/8 如月修羅 |