青空の下で願うこと


「臨也ー静雄ー居る?」
「ん、帝人か?」
「差し入れー」
どさどさと購買で買ってきたサンドウィッチやらコーヒーやら紅茶やらを置いていく。
「あ、帝人くーん♪」
後ろからおんぶお化けのように引っ付いてきた臨也を引き剥がし、紅茶を握らせる。
なんていうか、暑っ苦しい。
「ちぇーっこの場所教えたの誰さー」
「臨也」
「だったらもう少し優遇してくれてもいいでしょーご相伴にあずかってるんだからさー」
「優遇してちゃんと臨也の好きな紅茶買って来てあげたでしょ」
はいはいと適当に受け流して、静雄にはカツサンドを放り投げる。
ぱしりと受け取って、もくもくと向き始めた静雄に笑った。
何時も臨也と喧嘩ばかりしているけれど、昼休みだけは別らしい。
準備室の鍵が壊れてるのをいいことに、いつもこのメンバーで秘密のこの場所で食事をする。
いつの頃からか始まった、不思議な儀式にもにた時間。
「あー次の時間小テストだ」
「シズちゃんやった?」
「…やってねぇ…」
ひらりと取り出されたのは白い紙。
「ふふふ、実はこれがあるんだなーシズちゃん幾ら出す?」
「…いらねぇよ」
「あっらー残念。帝人君はいらないよね?」
彼がどうやってそれを入手したのか聞きたくもないのでスルーしつつ、自分はお握りを口に運ぶ。
うん、美味しい。
「ちょ…スルー?!」
「いー天気だよねー」
「あーだなー」
「無視しないでよ!…でも、本当いい天気だねぇ…」
ちょっと薄汚れた窓から見上げた空は、雲ひとつない青空で。
こんな日に喧嘩も言い争いも何もかも不釣合いで。
ふわりと笑顔になれば、二人もつられたように微笑んだ。
高校卒業するまで、こんな穏やかな時間が取れれば嬉しいなとは流石に言い切れないけれど。
せめて明日もこんな時間を過ごせればいいと。
空に願った。



御本人様以外のお持ち帰りは禁止です

2010.6/17 如月修羅

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