不毛な恋

「ねぇ帝人君」
「なーんですかぁ?」
ぽちぽちとDSでゲームをしながら、ぱたぱたと足を動かす。
その足にちょっかいを掛けられたから、ぱしんと手で払いのければ笑う気配。
「今日は俺のとこ?」
「そーですよ」
「じゃぁ明日は?」
「静雄さんの所ですー」
くすくすと笑いながら言えば、はぁっと盛大に溜息付いた。
そのままのっかかられる。
音ゲーだから、そうされると困るんだけど。
むかっとして視線を漸く臨也さんに向ければ困ったように笑ってた。
「行ってほしくないんだけどなぁ…」
「駄目ですよー約束ですもん」
「シズちゃんやっちゃおうかなぁ…」
「そうしたら俺、一生臨也さんと口所か顔すら合わせませんからね」
「…ジョウダンデス」
「ですよねー」
また元の画面に目を落とし、ゲームの続きをする。
其の途端、携帯がなった。
「…はい」
あからさまに不機嫌そうになった臨也さんが可愛くて頭を撫でてやれば、満足したのかぎゅっと抱きついてきて。
「あ、静雄さんですか?明日でしたら九時に…」
其の言葉に、がぶりと噛み付かれた。
「…っ」
『どうした?』
痛い。
あとで御仕置きしてあげなくちゃ。
携帯から聴こえてくる声に、微笑を浮かべる。
「ちょっと臨也さんがじゃれてるだけです」
『また、あいつか…おまえ!』
「静雄さんも俺を独占するのは禁止ですよ?」
『………っ』
「明日このまま俺セルティさんの所遊びに行ってもいいんだし」
あ、寧ろそれ楽しいかも?
なんて思ったところで、電話越しと後ろからの同時の声で意識を戻された。
『「それはだめ」だ』
「いーじゃないですか、セルティさん優しいですし。まぁ冗談ですけど」
こういうときだけは息があうんだもんなぁ…なんて思いながら、そろそろどちらともどうにかしないと身の危険が迫る。
それが楽しくてくすりと笑えば、後ろと耳元で不思議そうな声がした。
「明日ちゃーんと、イって、あげますから。大人しくしててくださいよ?」
返事を聞かずにそのまま切って。
そして後ろをふり返って。
「さ、もう一回シましょ?」
ゲームは当分お預けにして。
こんな子供に振り回される大人たちにちょっとだけご褒美を。
きっと二人とも思ってる。


あぁ、君を愛するのはなんて不毛なことか!


2010.02/17 如月修羅

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