Poisson d'avril!!
「大好きって聞きあきました」 「え、でも大好きなんだけど」 「今日は四月馬鹿の日ですし、反対の言葉で言ってください」 なんていわれてはや一時間。 臨也はどこか真っ青になっていた。 「帝人君なんて大ッ嫌いだよ」 「そうですか」 「本当に本当に嫌い、顔を見たくないぐらい」 「そうですか」 「………っ」 一時間こんな調子で。 帝人君は涼しい顔で紅茶を飲んでいる。 あれ、なにこれどんなプレイ? どこか満足そうに頷いたりしてるし。 だんだん空しくなってくる。 無言で此方はコーヒーを一口飲むと、はぁっと大きく息を吐き出した。 「俺、帝人君が大ッ嫌いだけど、帝人君は?」 「考えておきます」 「酷くない?!」 「酷くないですよ」 くすくすと笑ってる帝人君。 本当いい性格してる。 引き寄せれば、ぱしっと腕を叩かれた。 此処らへんはいつもの帝人君だ。 あぁなんか帝人君性格変ってない? ちらりと帝人君が視線を逸らした。 そしてすぐに此方を見る。 「で、臨也さんは僕のことどう思ってるんです?」 「は?」 今までの聞いてなかったとは言わせないよ? じろりと睨んでも、涼しい顔をして此方を見ている。 「大ッ嫌いだってば。愛してなんかないよ」 「そうですか」 ふむと頷いて、にっこりと笑った。 「でも僕は臨也さんのこと愛してますよ?」 「酷い!!」 がばっと抱きつけば、帝人君はなぜかされるがままに抱きしめられて。 えぇ?! 普段嫌がるのに何で? 「酷いのはどっちですか?」 「…え?」 「いつまでやってるんですか。四月馬鹿、エイプリルフールは午前中だけですよ」 「あ…」 気が付いたらもう午後になっていて。 「じゃ、じゃぁ帝人君?!」 「あーはい」 「愛してるって本当?」 「間違えてないですね」 (真っ赤になっちゃって…、凄く可愛い!! あぁでも、大人をからかった責任はとってもらわないとね!) 戻 2010.4/1 如月修羅 |