両親が、仕事で数日居なくなると知り俺は目の前が暗くなると言う表現は今こそ一致する、と先を考え憂鬱さと共に思った


つまり、数日帝人君と俺はこの家に二人なのだ
如何して自分が最愛の弟と二人きりというシチュエーションに堪えられようか

両親が一日二日居ないなんてよくある事なのだが、今はまずい
よろしくない、とてもよろしくない


「タイミング…悪すぎだろ」


数日外出していれば良いのだろうが、それはしたくない
紀田とかいう帝人君の幼馴染みが不在を狙いやって来るに違いない


トーストを囓る帝人君を眺め溜息を吐けば口元についたバターを拭い首を傾げる帝人君
嗚呼本当に可愛い、何で同じ親から産まれたこの子はこんなに可愛いんだろう


「兄さん?」


「ん?もう一枚食べる?」


「ううん、お腹いっぱい」


首を横に振り残ったサラダとパンの切れ端を俺に寄越す子供っぽい仕種が可愛らしい

と言っても高校生がするにしては行儀が悪いから俺は眉を寄せ笑いながらそう言えば帝人君は唇を尖らせて食べ切れない、とぼやいた


「そうだ…兄さん、家にいる?」


「うん?」


「母さん達…居ないらしいから」


「嗚呼、大丈夫だよちゃんと居るから」


「よかった」


俺が微笑んで言えば安心した風に帝人君も微笑む

そうだろう、帝人君は家事が出来ない
幼い頃から俺が絶対に火気には近寄らせなかったし、帝人君の綺麗な指を荒らす水仕事なんてさせる筈がない


だから俺が両親の不在に数日外出なんてそもそも不可能なんだ


再び俺は数日間に溜息を吐いた
熱く跳ねる水滴を頭から被り、水の暖簾を浴びながら僕は息を吐く


兄さんが僕を避けてる、気がする

何時も通り通学時の送り迎えもしてくれるし、何かあれば必ず駆け付けてくれる、過剰なスキンシップも健在


ただ、何処と無く距離を感じるのだ


気に食わない、兄さんが勝手にベタベタしてきて、勝手に避けるなんて


今回の両親の不在だって兄さんはきっと外出しようとしてた

僕は一人じゃ米すら研げないって言うのに


少し苛立ちながら柔らかいタオルを纏いきちんと揃えられている着替えに手をかける


頭にタオルを被り居間へ向かえばソファーに座りテレビを視聴している兄さんが居た
眺めている訳ではなく、視聴しているんだとわかるのは何時もなら僕の足音に振り向く兄さんの反応がないから


「兄さん」


カシャリ、と手に持っていたグラスを落とし、表情は微笑んで兄さんが振り向く


「…そんなに驚かなくったっていいのに」


「ごめんね、ぼーっとしてたよ」


「お風呂」


「ああ、うんありがとう」


グラスはとっくに空になっていたらしく絨毯によって崩壊を免れたそれを持ち立ち上がって主が居なくなったソファーに座る


パタン、と戸を閉めパタパタと遠ざかる足音、兄さんの温もりが残るソファーに頭を預け、手触りのいいクッションを抱いた


風呂上がりは如何しても眠くなる、寝不足なのも相まって堪え難い睡魔にウトウトと沈む




「……君、帝人君、帝人君」


「…んー」


「こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ」


「うん…」


何時の間にか風呂からあがっていたらしい兄さんに肩を揺すられ浅い眠りから覚醒した

隣に座る兄さんの体温の御蔭で寒い思いをする事はなかったが、髪に纏わり付いている水滴が肩に落ち冷たい


「髪も乾かさなきゃ」


肩に掛けられたままのタオルでワシャワシャと水滴を払う兄さんの指に目を細める
兄さんの動きが少し鈍くなるけど、過剰なスキンシップの意趣返しだとそのまま抱き着いた


「帝人君、髪拭けない」


「うん」


胸板に顔を押し付ければ何時もより早く打つ心臓の音、その音を境に僕はソファーに倒された

駄目だ、駄目だ駄目だ
こんな状況、あっちゃいけない

俺の下でキョトンとしてる帝人君から目を離せなくなりながら必死に理性を繋ぐ


帝人君は俺の可愛い可愛い弟で、つまり血の繋がりがあってしかも男だ

だから今の状況は決して許されるものじゃない


「兄、さん」


戸惑い呼ぶ帝人君に如何しようもなくクラクラする


嗚呼、駄目だ


*****


「兄、さん」


声が少し震えて喉から宙に舞い、僕は兄さんを見上げた


兄さんは泣きそうな表情をしながら僕を押し倒している
その表情に今更ながら、後悔した
こうなる事を望んで抱き着いた訳じゃないんだけど
結果として煽る形になってしまったらしい


「兄さん…あの、」


「帝人君、愛してる…ごめんね」


泣きそうな声で何故か僕に謝罪して兄さんは僕の首に舌を這わせ始める


「兄さんっ…駄、目…」


肩を押し兄さんから離れようと身を捩るが兄さんの力に勝てる筈がなくて

首から顔を上げた兄さんと目があって、その小さな抵抗すら出来なくなる


兄さんの瞳には欲情をベースに罪悪感とか、後悔とか色んな感情が浮かんでいて
言葉を失う


「兄さ…」


唇に噛みつかれ、ぶつかる歯に顔を顰める
兄さんともあればキス位経験あるだろうに、と思ってる内に舌が歯列を割り僕のそれを根元から舐め探る様に口腔を暴れた

やっぱり経験済みなんだ、と巧みに蹂躙する舌に涙が浮かぶ

この行為が嫌なんじゃなくて、兄さんが僕の知らない所で僕の知らない人とこういう事をしているんだと思ったら鼻がツンと痛くなった


「帝人君…ごめんね」


僕の涙を拒絶だと判断したのか、兄さんは塩味を舐めてまるで僕が壊れ物だと言う風に抱きしめる


「兄さん……僕、」


「うん」


「僕、兄さんが好き」


「家族だからね」


「違うの、好き、多分兄さんと同じ意味で…だから」


「帝人君…俺に同情してるなら今すぐ撤回して」


兄さんの悲しそうに歪む顔が嫌で、兄さんの首に抱き着きその顔を見ない様に


「本当に、好き」


兄さんはやっぱり震える腕で、怖がりながら、それでも今度は僕を強く強く抱きしめた
「んっ…あ、う、兄さ、ん」


場所は変わって俺の寝室、白いシーツを握り締めながら帝人君が呻く


可愛い、想像していたよりずっとずっと可愛くて艶っぽい


ずっと触れたかった肌に接吻ければビクリと揺れる未成熟な帝人君


「っ…やぁっ、あ」


涙を溜め俺を呼ぶ帝人君に欲情を抑え切れない


もっと見たい、もっと帝人君に触れたい


実の弟に対し欲情しているという背徳も重なり俺は今までにないくらい興奮していた


肌を徒に舐めるのを止め、女のそれとは違い飾りにもならない小さな胸の突起を舌で突けばヒ、と帝人君が息を呑むのがわかる、

反応が可愛くて執拗に舐めたり弾いたり甘く噛んでいれば帝人君は俺の髪に力の入っていない指を絡ませた


「んっ、や…兄さ…」


「敏感だね、可愛いよ帝人君」


「あ、や、っん…っ」


そこばかり責めていれば帝人君は指で口を覆い、足をモジモジと合わせる


「兄さ…そこばっかりっ…やぁっ…」


「どうして…気持ち良くない?」


理由はわかるんだけど、余りにも帝人君が可愛くてつい意地の悪い事を言ってしまう

そういえば幼い頃もからかえば顔を赤くして反論する帝人君が可愛くて、同じ事をしたな


今も変わらず帝人君は顔を真っ赤にして、俺の視線から逃れる様に横を向き、怖ず怖ずと口を開いた


「きもち…けど……っ、下も…触っ、て」


嗚呼、この子は何でこんなに可愛いんだろう


俺は振り切れる理性と、限界を超える欲に目眩を感じ帝人君に接吻し存在を主張する下半身へ手を伸ばした


そうすれば、人に触られる経験等皆無な帝人君は悲鳴の様な声を上げ、俺の頭を抱え込み涙を流す


「兄さっ、兄さん…あ、う、あっ」


「…っ、帝人君、可愛い」


本当はゆっくりと優しくしてやりたいのだが、こんなに艶っぽい帝人君を前にそんな余裕はなく少し強くその幼い性器を刺激し、絶頂へ促した


「んっん、あっ、やぁ、兄さんっ、あ!」


途切れ途切れに喘ぎ、首を振りながら性急な愛撫へついていこうと唇を噛み締める帝人君


「っ、も…あ、やっ、も…駄目っ、や」


グリッと先端を刺激すると共に帝人君は全身を痙攣させ性を吐き出した、それを手に受け取り帝人君の後孔へと塗れば不快な感覚に射精後のけだるそうな表情を向け、俺を凝視した


「帝人君…痛いだろうけど、ごめんね、俺も我慢出来ないから」


そう告げれば、何をするのか悟ったのか帝人君の瞳が揺れる

だが帝人君は拒否する事なくただ頷いた

*****

自分の出した精液を、排泄すべき場所に塗り込まれるなんてそう経験出来ないだろうな、と僕は兄さんの指の圧迫感に目を瞑りながら思う


最初は痛みがあったのだが、兄さんがゆっくりと慣らしてくれたからか知らないが、既にその指を三本受け入れている今は差ほど痛みを感じない


ただ圧迫感があるだけ


これから此処に兄さんを受け入れるのだ、と考えると何故か下腹が疼く


「っ、兄さ…」


何時まで経ってもクチクチと音を立て挿入される指に焦れったくなって、兄さんを見詰め先を促した


「兄さん…も、大丈夫だから…っ」


そう言えば兄さんは指を胎内で回し何とも言えない表情で僕に接吻ける


兄さんに気を遣ってるんじゃなくて、僕が早くしてほしいんだとどう言えば伝わるんだろう
もどかしさに兄さんの肩を噛めば兄さんは宥める様にあいてる片手で僕の頭を撫で漸く指を後孔から抜いてくれた


「帝人君…大丈夫?」


「大丈夫だからっ、早く…」


まだ僕の心配ばかりしている兄さんに苛立ち、言えば今日何度見るだろうか泣きそうな表情をして僕の後孔に自身を宛がい、それでも躊躇い震える息を吐き出す兄さん


「…後悔、したってもう遅いよ?…帝人君」


「うん…兄さんこそ」


「っ、愛してる、帝人君」


本当に泣き出すんじゃないか、兄さんの切なそうな声に耳を傾けていればグ、と後孔にめり込む感覚

そのままゆっくりとゆっくりと腰をすすめ、兄さんが侵入してくる


「う…っ、んぁ…あ」


成る程これは中々痛い

痛みにシーツを握れば、兄さんの背中に腕を回す様指示され、爪を立ててしまうなと揺れる脳で考えながらその背中に抱き着いた


「は…っ、ん、全部…入っ…た?」


動きを止め僕の汗を拭う様に額にキスをする兄さんに尋ねれば、微笑みながら肯定してくれる


「うん…大丈夫?痛く…ない筈、ないか」


「大丈夫…兄さん、大好き」


「……俺も、愛してる、帝人君ずっとずっとこうしたかった」


「うん、兄さん…動いて」


ゆるりと足を絡めれば、目を見開き固まる兄さんに拗ねた顔をしてみせる


兄さんは困った様に笑いながら、ゆるりと腰を揺らした


ギチギチとした圧迫感の中に疼く下腹
この幸せな感じは兄さんとしてるからなんだ、と珍しく汗を浮かべる兄さんに自分からキスをすれば下半身に触れられ、流れる電流


「んっや、あっ、兄さんっあぁ!」


「ん、帝人君愛してる…帝人」


普段呼ばれない呼び方で名を呼ばれ、キュンとした疼きに兄さんの背中に爪を立て、何度も何度も兄さんを呼び、これは現実なんだと噛み締めた


*****


貴方と一緒なら
茨だって食べられる

貴方が一緒なら


*****



リクお願いして、よかった…!
2010.4/21 如月修羅

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