出会い編
フェイ視点。
ギガ行く時に、選ぶのはきっと登録所みたいなところでやってるんだと信じてる(ようはアンオフィですよ)
 
(どうせなら、可愛い子か女性がいいですねぇ…あぁ、遊びなれてる男性でもいいですけど)
即席でパーティーを組むのはいつものことだ。
此処の所ずっと熟練の…まぁあまり自分の美的感覚にはひっかからない相手とばかり組んでいた。
ここらで少し空気を入れ替えたいと思ったって罰は当たらないだろう。
(なにも、戦うつもりのない相手を無理矢理ってわけじゃないですし…)
今日これから戦いに行こうと登録作業をしている人々を見る。
(あの人…は、あぁ相棒がいるんですねぇ…うーんあっちは…あぁ駄目だ、もう決まったみたいですね)
なかなか上手く行かない。
大体自分のレベルが低すぎるのだ。
足手まとい気味の自分を援護しつつ戦うとなると…それなりの熟練者になってくる。
(まぁ、諦め…ますか。というか我侭言える立場じゃないですものねぇ)
苦笑を漏らし、改めて探し始める。
「……すみま、せん……」
「……?」
「あの、すみません……」
声が聞こえる。
どこからかわからず、きょろきょろと辺りを見渡せば屈強な戦士たちの間に頭一つ分の小さい銀色の光を見つけた。
「と、通らせてくださ…い…」
ちょうど壁のようになってしまっているらしい。
登録所まで辿り着けずに困っているようだ。
…そんなに声が小さいわけではないのだが、今日は運が悪い人が多すぎた。
「…大丈夫ですか?」
手を差し伸べて、声の主をひっぱりあげる。
「…!」
「……助かり、ました…」
ほっとしたように微笑んだ少年は、銀色の髪に、自分と同じ色のメッシュが入った髪型をしていて。
何より。
(……どうしましょう、ストライクですねぇ……)
自分よりは小さい細い体、白い肌。
空と同じ綺麗な青い瞳、黒いゴシック服がその素肌を包みこみ、どこか禁欲的な雰囲気を漂わせている。
(こういう子、可愛がりたいんですが…さて、どう口説きましょうか…?)
「……?あの、手……」
「あぁ、すみません」
離したくはなかったが、ここで警戒されても困る。
ゆっくりと手を離しながら、少年を見た。
まだ幼い顔立ちだ、一体何歳なのだろう。
「…貴方も、これから?」
「え?」
「もう、パーティー決めました、か?」
「いえ、実はまだなんですよ」
そう微笑んで言えば、少年が少し首を傾げた。
「僕は、大鍵のデモニスタのスカイと、いいます。一応、デモンウイングまで習得、済み…です」
デモンウイングまで習得済みということは、自分よりも相当レベルの高い相手だ。
パーティーを組むのは諦めた方がいいだろう。
勿体無い…と思いつつ、相手が名乗ったのに自分が名乗らないわけにもいかない。
「私はアイスレイピアの魔想紋章士のフェイと申します。お恥ずかしながら、あまり戦いに出ていなかったもので…クイーンランサーの紋章までしか使えないのですよ」
初期中の初期しか使えない自分を、高レベルのスカイは必要としないだろう。
だがしかし、其の言葉をきいてスカイが微笑んだ。
「では、僕と…組んで、いただけます…か?」
「…え?でも…」
「ふふ、実は…デモンウイング、実戦ではじめて…使うんです。だから、今日は小手調べ…なんですよ」
そんなに強い所にはいきませんからと微笑むスカイに微笑んだ。
(この子、どれだけ「危ない人」に声をかけてるのか、わかってないでしょうねぇ…あぁでも)
「なら、ご一緒させてください。少し鍛錬をしたおかげか、そろそろ次の紋章の力を読み取れそうなんですよ」
にこやかに会話を進めながら思う。
(自分からはいってきちゃったんですから…ここは)
 
(食べ尽くして、あげようかな)

この日、出会ったのは一匹の黒き蝶


2010.12/19 フェイ

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