◆イケナイコトカイ?◆







道徳が望ちゃんのところに行っちゃってから、ボクはなんとなく時間を持て余していた。
モクタクは元々そんなに帰ってくる子でもないし、静かな日々は悪くない。
でも、なんかつまらないんだよね。
外は雨だし、多分望ちゃんのところも雨。
ボクもたまには下山したいって言ったら何だかんだ理由つけてダメ!って言うし。
自分ばっかり楽しい思いして人には留守番しろってどういうことさ。
あー、ツマンナイ。退屈。でも、外に出る気にもならない。
それにここには本とかも無いから時間つぶしには瞑想くらいしか出来ないし。
なんでボク、白鶴洞(じぶんち)じゃなくて紫陽洞(ここ)にいるんだろ。
朝、送りだしてそのまま帰ればよかったんだけど……。
身体はだるいし、腰は重いし、起きる気になれなかった。
少し眠ってから目を覚ましたら雨降ってるし。
そしてその雨はやまないでずっと降ってるから帰るきっかけを無くしちゃった。
だからたまにはだらけるものいいかな?とか思って敷布に包まってうとうとしたり。
大体、道徳は手加減って物を知らないんだ。
だって……一晩に何回も……やだ、思い出すと耳まで赤くなりそう。
あー、もう……どうしよう。
ちょっとだけ、寝ようかな……。



夢の中でまで夜の続き。
少し熱い身体にボクは溜め息をつくしかなかった。
どうして、思い出しちゃうんだろう。
あの人の手の感じとか……体温とか。
(……思い出してきちゃった……)
ぎゅっと自分を抱きしめる。それだけなのに凄く……熱いのはどうして?
布越しに指が胸にぶつかる感触だけでぴくんと身体が疼いてくる。
(どうしよ……)
少しだけ、撫でるみたいに触ってみると自分でも息がこぼれるのが分かる。
何回かそうやってるうちにもどかしくなってきてさらしとか全部外して。
「……あっ……ん!!……」
いつもされるみたいに、ゆっくりと乳房を揉んでみる。
掌で少し撫でまわす感じにして、あんまり痛くないように。
自分でなんてしたことないけど、されてるようにしてみればいいって事は何となく分かるから。
でも……なんだかいけないことみたいな気がする。
「…んぅ……あんっ……」
やだ、止まらない……。
そのまま指を下ろして、下着の中に入れてみる。
(……や……濡れてる……)
触ればイヤでも反応するのが女の身体だってのはじっくりと教え込まれたけど。
でも、自分でさわってもそうなるとかは思ってなかったし、しようとかも思わなかった。
ちゅ……ちゅくっ……
(本当に止まらないよ……ダメ……こんなの……)
でも、指はもっと中まで入りたいって言って、ぬるぬるしたまま入っていく。
「あっ!!あ、は……っん!!」
中で動かして、押し上げる。
「やぁ……やだっ……」
誰も居ないのに、ボク一人なのに、無意識にそんな声が上がるの。
だって、居ないはずのあの人にされてるみたいだから。
こんなことしちゃいけないって分かってる。
「……きゃっ……ん!!……」
空いた手で胸を掴んで。濡れた指で触るとそれだけで腰が跳ねるから。
だって、そうなるようにされたんだもの……。
触られて、気持ちいいって思うように。
ボク、いけない子だから。
仙人はこんなことしちゃダメって知ってるのに。
「っは、あんっ!!!んんっ!!」
じゅく……じゅるっ……
耳の奥まで厭らしい音がする。
ぐちゅぐちゅになったそこから溢れて敷布に沈んでいく。
「あ、あ……っくん……」
じんじんとして、甘い痺れ。
ダメ……もっと、違うのがいいの。
「ああんっ!!!」
びくびくと痙攣するのが分かる。
ボク、こんないやらしい子だったの?
(……道徳、今、何してるの……?)
ボクのことなんか忘れて、誰かと一緒に居る?
こんな風にしておいて、他の人のところに居るの?
「や、んっ!!!!」
ぼんやりとした視界。
(やだ……幻覚まで見えちゃったよ……)
重なる唇の感触。昨日の夜の続きみたい。
乾いた唇を舐められて、軽く噛まれる。
指を取られて、ぬるついてたところ、全部舐められて。
何回も、何回も、色んなところを噛まれて、ボクはその度に彼に抱きついた。
(夢なら……何したっていいよね……)
だから、道衣の金具を引いて、その首に噛み付いて。
くすぐったそうにして、手がボクの腰に回ってくる。
「……ん、こっち……」
もっと違うところ、触って欲しいから……。
「っあ!!」
指が動くたびに、ボクの身体はがくがくと震えて。
ちゅ…ちゅく……ちゅっ……
「は……や……んっ……」
耳とか舐められて、息、かけられて。
ただ、それだけなのに、変になりそう。
指じゃなくて、もっと、違うのがいいの。
「……来て……抱いて……」
こんなことを言うのも、イケナイコトなの?
腰を抱かれて、沈んでくる熱さにボクの身体は何時までたっても慣れずに竦む。
嫌なわけじゃないのに、いつもびくってなっちゃうから。
「あ!んんっ!!」
ずっと、男の子に生まれればよかったって思ってた。
男の子なら、強くなって皆を守れたはずって。
悔しいけれども、ボクは彼に勝てるだけの力が無い。
女の身体は痛みを受け入れるように作られてるって誰かが言ってた。
柔らかい胸も、何もかも、その腕の中に抱けるようにって。
「……っは……ふ……」
ぴちゃ…ちゅっ…
胸とか色んなところを、舐められて吸われて、ぎゅっと抱いてくれる。
「……ね、もっと苛めてもいいよ……」
ちょっと、驚いたような顔。
夢の中でも、そんな顔するんだね。
いつも、ボクがキミを苛めてるみたいに見られてるから、ボクのこと苛めてもいいんだよ。
「あ、やだっ……」
片足を取られて、ぐっと折られる。そのまま、斜めに体を倒されて……ちょっと恥ずかしいかも。
前に天化の部屋を掃除した時に見つけた本の中にあったみたいな格好。
「ん!!!あ、あっ!!」
いつもよりも、奥まで突かれて身体が溶けそう。
押さえつけられて、唇を吸われて。だからボクも同じように返して。
いつも、あなたは優しいから、その優しさにボクは甘えてるのかもしれない。
「やんっ!!ダメっ!!」
指で一番弱いところをつん…って押されて身体がびくんとなるのが分かる。
やめてって言ったって、やめてなんてくれないって知ってるけども。
でも、あんまりされると本当に変になっちゃいそうで恐いから……。
「きゃ……っ!!やだぁ……」
ぬるぬるになったボクのそこから、いやらしい音が聞こえてくる。
しっかりと飲み込んで、もっとって言ってるみたいに。
「ひぁ……!!ん!!」
掴まれた足首に接吻されて、ぺろ…って指を舐められる。
ダメ、そんなことしないで。
だって、そんなことされて気持ちよくなってるなんて、変だよ。
ボク、どうしたらいいの?
「!!」
ずるっ……と引き抜かれて、後ろから抱きかかえられるみたいな格好。
首筋を噛まれて、耳に甘く息を掛けられて、ボクはただ喘ぐことしか出来ない。
ぎゅ、っと胸を揉まれて、もう、それだけでも何もかもがどうでもよくなりそう。
「ああっ!!!」
下から、突き上げられて痺れるような感覚がボクを支配する。
ね、いつも言わないけれど。
置いていかれるとね、泣きそうになるの。
でも、そんなこと言ったってボクのわがままにしかならないって知ってるから。
キミの背中を見送りながら早く帰ってきますようにって小さく呟くんだ。
「……ね、どうして優しくするの……?」
夢の中なら、言えるから。」
「あんまり優しくされると……ボク、付け上がるよ……?」
額に、ちゅっと接吻されて目を閉じる。
大きな手。両手で包んでボクも同じように口付けた。
「行かないで……一緒に居て……ずっとこうしてて……」
甘くて、優しい口付けは、キミが教えてくれたもの。
誰かに触れることの暖かさと、ほんのすこしの嫉妬もキミがボクにくれたもの。
「……好き……一人にしないで……」
ず、と腰を抱かれて一番奥までキミを感じて。
「あ、あっ!!やぁっ…あああっ!!!!」
キミにこうして抱かれてるとボクは女に生まれて良かったって思うよ。
だから、離さないでずっと……こうしていて……。






そ、壮大な告白をされてしまった。
雨降ってるし、用事も終わったからこれは早めに帰って普賢の顔見ようと思ったら……。
まぁ、顔も見れたのですがそれ以上に素敵なものを拝ませていただきまして。
だから、本当はちょっとからかってやろうかと思って便乗してみた。
たまにはこういう感じもいいかな、って思って。
でも、普段自分の気持ちなんか滅多に出さない普賢が漏らした本音は予想以上に重くて。
そんな気持ちで俺を送り出してるなんて知らなかった。
俺の方が一方的に追っかけてるものだとばかり思ってたし。
よくよく考えてみればまだ……子供だ。
仙界入りしてなきゃ親元で育てられてて、大事にされる年頃なんだ。
そして、そろそろ嫁ぎ先とか……仙界入りしててくれて助かったけど。
じゃなくて、違うだろ、俺!!
寂しいとか、そういう気持ちはまず見せたりしないから年齢よりもずっと大人で人間が出来てるもんだと勘違いしてたのかもしれない。
だけど、結局は俺たちだって根底にあるものは人間なんだよな。
どんなに修行積んだって、巧夫重ねたって変わらないものはあるんだ。
多分、千年たっても、二千年たっても変わらないものは変わらない。
数秒で全てが変化することだってあるんだ。
(ごめん……今度は一緒に連れて行くから……)
本当はこのまま起きるのを待って抱きしめたいけれども。
それはお前の自尊心を傷付けるだろ?
きっと醜態晒したって思って下手したら自傷行為とか行ったら嫌だしさ。
大人びてて、賢くて、ときどき狡猾で、自尊心が強くて自制を利かせることが上手で。
だから、誰かに寄りかかることが出来なくて何でも一人で片付けようとする。
全部、何もかも頼ってくれなんて思わない。
事実、俺にはどうしてやることも出来ないことだってあるだろうから。
それでも、お前が泣きたい時に泣かせてやれる場所で居ることくらいはできるって自負はあるんだ。
俺にとって一番大事なのはお前だから。
本当は弟子とかそういうのを筆頭にするのが筋なんだろうけども。
でも、俺の弟子で一人で生きていけないようなやつはいないから。
そんな事お前に言ったらまた笑われるんだろう。
いつか。
本当にいつかでいいから。
嬉しいことも悲しいことも、分けあえる様に慣れればって思うんだ。
俺らはどっちも意地っ張りだから時間がかかるのは覚悟してる。
長期戦はお前に惚れた時点で仲良くなれるような気がしてたからさ。
(起こさないように、また行ってくるから……ゆっくり寝てろよ)
雨が上がって、青空が出てたら今度は一緒に行こう。
懐かしい景色や、見たことの無い場所に連れて行くから。
じゃ、ちょっとだけ行ってくるよ。
早めに戻ってこれるようにするから。





雨上がりの朝。
きらきらとした光でボクは目を覚ました。
(なんて夢みちゃったんだろ……)
着替えようとして身体を起こす。
汗と他のでべた付く身体を何とかしたからお風呂場に向かったんだけども……。
どういうこと?
昨日はボク一人のはず……なのに、なんで……。
まさか、昨日帰ってきた!?
でも、だったらあんなまどろっこしい事しないと思うし。
もう、夢ってことでいい!!
でなきゃ……どんな顔して会ったら良いかわかんないよ。
はやく、白鶴洞(うち)に帰ろう。
また雨が降るかもしれないし。




読みかけの本を読んで、ちょっとの瞑想と半端にしていた書簡を終わらせて。
少し疲れたからお茶入れてのんびりしてた。
いつも通り人が居るか居ないかなんて確認もしないで扉を開いて。
そんなに焦らなくてもボクはどこにも行かないのに。
「ただいま」
ここで待ってるから。
「おかえりなさい」
どこかで水滴の零れる音がした。
明日もきっと……晴れるよね?

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