〜〜〜〜咲き乱れよ乙女たち〜〜〜〜






話したいことも溜まりに溜まり、同期の二人は時間など忘れてしまう。
崑崙に戻るならと天化も太公望を追いかけて、一緒にこうしている。
「なんで俺の所でこの二人は優雅に茶を飲みながら談話してるんだ?」
「俺っちもそれはすごーく疑問さ」
「そしてなんでお前もいるんだ」
「そりゃあ師叔が行くとこなら俺っちも一緒に居たいからついてきたさ」
悪びれずに答える弟子に道徳真君は頭を抱えた。
しかも当人たちは話に花が咲き一向に終わる気配は無い。
「表で相手でもしてやろうか?」
「師叔と普賢さんの話聞いてるほうがいいさ」
咥え煙草で天化は笑う。
「コーチも混ぜた貰ったらいいさ」
「いや、いい。あいつらの話はよく分からん」
雑談から専門的な話まで、太公望と普賢は止まることがない。
それを区別することなく織り交ぜながら話すのだ。
戦況について話したかと思えば杏仁豆腐の作り方になり、さらに野路で見かけた兎の話。
まるで掴めないその話に道徳真君は眩暈を覚えた。
(……今更ながら普賢がわからんっ……)
「そういえばのう、これを持ってきたんだが……」
太公望はごそごそと酒瓶を取り出す。
「どうしたの?」
「なに、発の部屋にあったものを拝借したまで。なんでも好きにしろと常日頃言われておるからのう」
次々に出てくる酒壺酒瓶に普賢はうふふと笑った。
「じゃあ、これもどう?」
いつも持ち歩く籠の中から出たのは薄紅色の酒の入った小奇麗な瓶。
「原始様のところからちょっと持ってきちゃった」
「久々におぬしと呑むのもいいのう」
(ちょーっと待て!俺が酒飲ませようとしたときの拒否っぷりは何だったんだよ!)
同じように普賢に酒を勧めて、力一杯拒絶された過去を持つ男はこの状況を憮然とした顔で見る。
「じゃあ、夕方頃から始めるってのはどう?」
「ヨウゼンも戻っておるからのう。あれも呼ぶか」
「人数は多いほうが楽しいしね」
「ならわしは野暮用を済ませてくるとするか。天化も来るか?」
「ん。なんかいい酒の肴とか見つかるかもしれないさね」
二人を見送って普賢は籠を卓台の上に乗せる。
篠で編まれた籠は暇潰しに作ったものらしい。
中から次々に出てくる酒類。
「おい、俺が飲ませようとしたときは嫌がってただろ」
「酒癖悪い人と呑むのが嫌なだけだよ。昔はよく望ちゃんと仙桃で作ったし」
仙界きっての酒好きの一人に数えられる太公望。
十二仙の一人の慈航と呑み比べをして勝ったという事実もある。
その太公望と普賢はよく呑んでいたと言うのだ。
「俺そんなに酒癖悪いか?」
「べろべろになって人の服脱がしてやるだけやってさっさと寝て起きたら何も憶えてないってのは
酒癖が悪いっていわないのかな?」
そうなのだ。
酔った勢いであれやこれやと普賢に要求した挙句何一つ憶えていない。
頭痛に苛まされながら目を覚ますと酷く疲れ切った顔で眠る普賢の姿。
慌てて記憶を引っ掛けても何一つ無い真白の状態。
重そうに身体を起こした普賢は一言「顔洗って髭剃ってきて」とだけ。
不機嫌そうな顔つきに痛んだ胸の感触はまだ憶えている。
「俺が悪かった……反省してます」
「望ちゃん、呑むと面白いから」
あれこれと昔の話を嬉しそうに話すのを見ながら道徳真君は頭の中で別のことを考えていた。
(絶対に酔い潰す。覚悟しとけよ……)
男と女。裏腹な目論みが二つ。
(先に潰さないとまたやっかいなことになっちゃうしなぁ……)
「何嬉しそうに笑ってるの?ボクそんなに弱くないよ」
「別にそんなつもりなんてないぞ。普賢こそ何考えてたんだ?」
「なら良いけれども。望ちゃんとよく酒の池作って遊んだなぁ……白鶴とかも巻き込んで」
笑う姿。言葉尻から察するに普賢真人も嫌いではないらしい。
(笑ってられるのも今だけだからな……見てろよ)
上機嫌でトレーニング器具を片付ける姿を見ながら普賢は唇だけで笑う。
(自分で片付けまでやってるし……その下心、討たせてもらうよ)
太極府印を撫でながら、恋人たちは騙しあい。
傾くツキはどちらにつくのか。



頭上に月が昇る頃、青峰山では仙道たちでの宴会が催されていた。
次々に空になっていく酒壺に太公望はにやりと笑う。
「天化、樽に水を入れて持ってきてくれるか?」
「了解さ」
両肩に乗せた樽には溢れる寸前の水。
それに仙桃を放り込んで枡で掬って太公望は満足気に飲み干していく。
(おいおい……飲みすぎだろうが太公望……)
横目でちらりと普賢真人を見ると同じように枡に口をつけている。
(って普賢も!?)
ほんのりと頬と肩口が赤くなってはいるがまだ口調もしっかりとしてた。
「道徳、はい」
空になった枡を奪われて、溢れる寸前の状態に。
そして、まるで水のように普賢はそれを飲み干して行く。
(……枠……ですか……?)
小さな唇が木枠に触れ、横目でちらりと見てくる。
(……おい、お前それって俺に喧嘩売ってるだろ……)
元来負けず嫌いな男。
勢い良く煽って負けじと飲み干した。
「そうそう、それくらい呑めなきゃ」
「そうよのう、天化、おぬしの師匠は中々の酒豪じゃのう」
女二人は男三人を気にすることもなく次々と酒を水のように呑んで行く。
「ヨウゼン、水汲んできてくれる?」
「普賢さま、お言葉ですが師叔も普賢さまも呑みす……」
ばちばちと音を立てる対極府印にヨウゼンは言われるまま水を汲みに向かった。
天化は何だかんだと理由をつけて太公望に絡んでいるが、ただでさえ不落のこの道士。
天化の考えなど見透かしたかのようにのらりくらりとかわしていく。
「しかし、暑いのう……」
少しだけとろんとしてきた目で太公望はそんなことを呟いた。
徐に道衣の紐を解き、上着を一枚落とす。
「師叔、こんな所で脱いじゃ駄目さ〜。脱ぐなら俺っちが脱がせてやるから」
「そうか、すまんのう」
「いいっていいって」
役得とばかりに天化の指が更に一枚落としていく。
幾重にも重ねられた道衣はまさに難攻不落に相応しい。
「天化君、ちょっと待ってくれる?」
「何さ〜?ヨウゼンさんも脱がせて欲しいさ?でも俺っち男脱がす趣味はないさね〜」
泥酔寸前なのか天化の視点は定まらない。
「ヨウゼン、おぬしまだシラフじゃのう……天化」
「はいよ〜」
ふらふらとヨウゼンの襟首を掴み、酒樽の中に頭から突っ込む。
「…っは!!天化君!!!」
ごほごほと咳き込み、喉を下る清酒の味に身体が痺れた。
「シラフは駄目さ〜、ヨウゼンさん」
「ほれ、呑むがいい。酔わぬ宴会ほどつまらぬものは無いぞ」
更に進められてヨウゼンも覚悟を決めた。
「分かりました。戴きましょう。どうなっても知りませんよ」
太公望と普賢に負けず劣らずの勢いでヨウゼンは次々に枡を空けていく。
「負けてられないさ〜。俺っちも〜」
(我が弟子ながら何という体たらく……情けないぞ、俺は……)
その間も普賢真人は黙々と一人枡を空けていた。
時折なにやら太公望と耳打ちし合いくすくすと笑う。
(やば……俺も限界かも……)
回りだしそうな景色を見ながら道徳真君はぼんやりと手にした枡を見つめた。
すでに仙桃は何個入れたか分からない状態。
やんややんやと騒ぐ弟子を見ながら少し痛くなってきたこめかみを押さえていた時だった。
「道徳」
すでに半分出来上がった状態の普賢真人。
何気なしにその手が伸ばされぎゅっと抱きついてくる。
「ふ、普賢!?」
普段ならば絶対に起きない事態に狼狽する。
ぐっと頭が引き寄せられてそのまま唇が重なった。
(もしかして、もしかしなくても酔ってますか……?)
まるで房中の様に絡ませてくる舌先。
(そんな風になんて滅多にしないだろ……嬉しいけどさ……)
とろんとした三人の視線などお構い無しに普賢はそのまま幾度と無く接吻する。
「普賢さんも意外と大胆さね〜。ね、師叔〜」
「あ?わしの酒が呑めんのかヨウゼン」
「いえ〜、その、師叔は〜……」
尚も煽る太公望。同様に真っ赤になった顔の天化。沈着冷静が崩れたヨウゼン。
(もしかしなくても俺が一番シラフか……?)
にこにこと笑いながら普賢は耳に額にと甘く口付けてくる。
「道徳……」
耳元に唇を落として、小さく囁く。
「する?」
「ふふふふ、普賢っ!!??」
心臓直撃のその言葉。掛かる息にも甘い香り。
「するの?しないの?どっち」
上目でとろとろの瞳で軽く睨まれれば断る言葉など見つからない。
「……します」
自分の首にしがみ付く少女の頭を撫でながらぼんやりと考える。
(この誘い、乗らなかったら男じゃないだろ)
同時に昼間の素っ気ない態度が頭を過ぎった。
(泣かせてやるからな、覚悟しろよ……普賢)
膝抱きにして、その身体を抱える。
「太公望、普賢が潰れたから俺らは先に帰らせてもらうよ」
「そうか……途中で落としたとかうっかり池に捨てたとか無いようにな」
薄着一枚纏った姿の太公望。
肩口と胸の膨らみが読み取れるほど。
隣ではヨウゼンの枡に天化が溢れる寸前まで酒を注いでいる。
「それは無いから安心してくれ」
「そうか、気をつけてな」
少しふらつく足で道徳真君は普賢真人の洞府へと向かう。
「師叔〜、帰るってここがコーチの家さぁ」
へろへろになりながら天化は笑い出す。呑めば笑い上戸になるらしい。
「仙道は本来、色欲は無いはずなのだが……おぬしら見てるとそうも思えんな……」
「俺っちあの人の弟子だからしょーがないでしょ」
「あやつらはあれで十二仙のはずだが……」
「コーチの場合は老いらくの恋さねぇ。まぁ、多分素がスケベさね、あのヒト」
籠に入った桃を齧りながら太公望は転がる酒瓶をちらりと見た。
無数に転がるそれらと樽。量に換算すれば道徳真君の倍以上はざっと飲んでいる算段だ。
「あれは量を飲むからのう……あそこにあるのは全部普賢が一人で空けたのじゃ」
「……普賢さんってやっぱわからないさ〜……」
「顔に出ぬからのう」
ふぅとため息をついて、太公望は天化の枡に酒を入れた。




倒れるように寝台に押されたのは道徳真君。
(ちょっと待て!普賢!!)
たどたどしい手つきで上着に手を掛けて来る。
「上手く出来ないや……」
酔いの回った指先は上手く金具を外せず、もどかしげに動く。
「そんなことしなくていいから」
その声を無視して、普賢は自分の道衣を脱ぎだす。
ばさりと落ち、現れる半裸の身体。
「何で?たまにはボクだってしてみたい」
唇を軽く尖らせてそんなことを言い出す始末。
(これは……据え膳か……?だったら素直に戴くのが礼儀だよな)
窮屈そうなさらしを解くと、形のいい乳房が目を奪う。
軽くその先端を摘むと切なげに声が上がる。
「あん……」
指先が乳房に沈むと、その手を取り上げられた。
「痛いよ……そんなにしないで……」
潤んだ瞳で見つめられれば、抑えていた気持ちが高揚する。
首筋に軽く口付けられて、その感覚の奇妙さに思わず苦笑した。
鼻筋、額と唇は甘く降り注ぐ。
自分で上着を脱ぎ捨てて、そのまま普賢の下穿きを剥ぎ取る。
括れた腰と、伸びた脚。
「やぁんっ!」
柔らかい胸を弄る手。時折きゅっと摘まれて上がる嬌声がいつもよりも甘い。
(酒の力って……ある意味凄いかも……)
普賢の手が下穿きの紐に掛かって、ゆっくりと解く。
(……おい!普賢!!)
腹筋に触れる指先にこそばゆさを感じる。
引き締まった筋肉質の身体。長年の功夫の賜物でもあった。
「普賢っ、それはしなくていいからっ」
「だって望ちゃんに言われたんだもん」
軽く頬を膨らます仕草。これが普段見ているはずの普賢真人とは思えない。
(太公望、何を教えてんだよ……)
「好きなら……してあげなって……」
自分に覆い被さるその痴態がやけに艶かしくて。
「……嫌……?」
「……嫌じゃないから困るんだよ……」
立ち上がったそれに指先が掛かる。
(一回してもらったら、次も期待しちゃうだろ……)
舌先が掠めて、たどたどしく不慣れながらに上下していく。
(やばっ……かなりいいかも……)
ちゅっ…っと音を立てて唇が触れては離れる。
小さな舌がまるで別の生き物様に這い、舐め上げる。
強要した事も、懇願したことも無いが、それでも愛撫してくれるのは、愛されてるからだと自惚れたい。
「…っ……もういいよ……」
腕を取って自分の腹の上に乗せるとぬるりとした感触。
(ちょっと苛めてみるか……酒入ってるし、いつもよりは素直になってるかも……)
無骨な指が濡れた秘所に沈む。
「あんっ!」
「俺にしながら感じた?」
「…ん……違っ……!」
「じゃあ……なんでこんなに濡れてるわけ?」
耳まで赤くなる姿。指の付け根まで沈めると腰が妖しく動く。
「…!…あ!んんっ!!!」
「正直に言わないとこのままだけど?」
ちゅくちゅくと淫音が神経を刺激する。
親指はその周辺を軽く撫で上げて、震える肢体に応えて指を増やす。
(まぁ、言ってみるだけなら怒んないだろうし……第一俺がこのままだと辛い)
焦らしながら僅かばかり指を動かす。
「…っは……ぁ…ん!」
「どうだった?感じた?」
「……うん……」
(やばっ……可愛いっ……!!)
崩壊寸前の理性を辛うじて繋ぎ止めて、少しだけ身体を起こした。
(んじゃあ、もう一個だけ。わがまま言わせてくれ、普賢)
指を抜いて、軽く舐める。
「上になってみるか?普賢」
「え……」
「自分で挿れてみせて」
「……ん……何か恐いよ……」
ちょっと不安そうな顔が逆に心に火を点ける。
躊躇いがちな腰に手を回して引き寄せた。
「おいで、普賢」
伸ばされた手を取って。
「…っあ!」
両手で細い腰を抱いて、ゆっくりと誘導する。自分の上で喘ぐ様は扇情的を通り越した。
無意識の媚薬ほど性質の悪いものは無い。
そして、それに染まった自分も。
「きゃ……んっ!!」
半開きの唇。染まった頬。仰け反る白い喉元。
それを作り上げたのは自分だという自負と独占欲。
ぐいっと引き寄せるたびに半泣きの顔が切なげになる。
(やばい……止まんないかも……)
立てられた膝を折って、軽く引き抜いて形勢を変える。
形良く撓った足首を掴んで一気に突き上げていく。
「!!」
甘い悲鳴は接吻で消して、懇願する目に従う。
背中に回された手が抱きついてくる感触と爪が食い込む僅かな痛み。
(……痛ってぇ……)
手加減など一切無しで爪は背を滑る。
(まぁ、これくらいは我慢するけどさ)
前髪を上げて頭を押さえつける。形のいい額に浮いた汗。
「……何笑ってるんだ?」
「…好き……」
「…………」
(普段からこうだといいんだけどな……普賢……)
見せまいとしまいこんだ筈の気持ちが解かれてこぼれてくる。
「……俺のこと好き?」
「…大好き……」
こつんと額が触れる。
(素直じゃないし、冷たいときも多いし、理屈屋だけども)
「…っは!……やんっ!!」
「……普賢……」
(俺やっぱ、お前じゃないと駄目みたいだ……)
ぐちゅぐちゅと濡れた音と絡みつく脚。
(訂正、泣かせることはしません……お前に泣かれるのは何であれ辛いから……)
「んぅ……あ!!やぁっ!!」
竦む肩に噛み付いて、小さな跡を残す。
柔らかい胸と隙間無く重なって、括れた腰を抱き寄せより奥を求めて。
その声と香りに溺れてしまう。
(あー、もう……堕落でもなんでもいい……俺はこいつが居ないと駄目なんだよっ……)
少しだけ開いた唇に、自分のそれを重ねて声を奪う。
例えどんな風に揶揄されても。
君が好きです。





「……頭痛い……」
ずきずきと痛むこめかみと喉の掠れを感じながら普賢真人は重い身体を起こそうとした。
しかし、思い通りにならない肉体は力を失って上手く起こすことが出来ない。
「……なんでボク裸なの……」
片手で額を押さえながら必死になって夕べの記憶を思い起こす。
でてくるのは泥酔した仲間たち。
(……やられた…っ……潰すつもりが潰されたっ……)
体中に点在する痕跡から察するにどうやら相当なことをしてらしい。
追い討ちをかける頭痛と腰痛。
「ん?起きたのか……?」
「…………」
「言っとくけどな、夕べのことは俺じゃないぞ。お前が誘って乗っかってきて……」
「…え……嘘……」
「……まったく憶えてないのか……?」
小さく頷いて、普賢は耳まで真っ赤に染める。
「いや、俺は嬉しかったけどな。普段のお前からは考えられないようなことまでしてもらったし。
たまには酔わすのもいいな〜って思えるよな、あーゆーことしてもらうと」
からかい半分、道徳真君は嬉しそうに笑う。
それが更に普賢真人の羞恥心に火を点けた。
きゅっと唇を噛んで軽く睨んでくる目には薄っすらと涙が溜まっている。
(やば……泣かせちゃったよ……俺……)
両手で顔を覆ってぽろぽろと涙をこぼす様はまた別物で扇情的だ。
「あー、だからその……」
「もう……やだっ…」
「悪かった悪かった、俺が悪かったから。確かに嬉しかったけど、言いすぎたのは認めるから」
「頭は痛いし、腰は痛いし、喉は痛いし……もう……」
自分の胸を押し返して、泣き止まない姿。
「まぁ、あれだけやったら腰も痛くな……」
「それ以上言わないで!!」
「あだだだだっ!!!悪かったって!!!」
力一杯耳を引っ張られて、必死になって宥める。
怒り心頭、普賢真人は転がっていた太極府印を手にして恋人を見据えた。
「待て!!だから夕べはっ……」
「……ダメ……頭痛いし、力も入んないよ……」
枕に顔を埋めて、力なく腕を伸ばす。
(確かに飛ばしすぎました……反省します……)
結局、酒の勢いも手伝い回数を数えることは途中で放棄した。
お互いに頭痛と腰痛を抱える結果が全て。
「…肩は見えるからやめてって言ってるのに」
「あー……ごめん……」
「知らない。こっちこないで」
言われても後ろから抱きしめて、頬を寄せる。
「…痛いってば……顔洗って髭剃ってからにして」
態度とは裏腹にその声は柔らかい。
そのまま両手で乳房を包み込み、身体を寄せる。
「どーせ太公望たちも似たような状態だろうしさ」
「……ちょっと待って、望ちゃんも酔ってた?」
「ああ、お前よりか呑んでたんじゃないかな」
「……何か壊してないといいけど……」
昔を思い出すような表情。
「は……はい?」
「望ちゃん、酔うと物壊すから」
「……紫陽洞、大丈夫なのか……」
「望ちゃんだけならまだしも、天化とヨウゼン付だしね」
違った意味で道徳真君は頭痛を覚えた。


教訓。
『酒は呑めども呑まれるな』
そういうことらしい。



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