◆武成王の次男、黄天化参戦◆






不慮の事故というべきか、不幸と言うべきか。
武成王の妻と、妹であり紂王の第三王妃である黄貴妃が相次いで落命したのだ。
まさに完全なる妲己の智謀。
そして武成王は一族を率いて朝歌を脱する。
聞仲の居ない間の出来事だった。
一族を連れ、目指すは太公望と姫昌の住まう西岐、豊邑だった。





西岐上空は快晴。
太公望は西岐城に客人として住まうことになった。
姫昌たっての願いである。
断る理由もなく、宮中の客人となり、兵法を姫昌や旦と交わす日々。
「兵士のほうも大分さまになってきたのう」
「御主人、あれ〜〜〜」
四不象が空を指す。
「あれは〜…黄巾力士!?原始天尊様の宝貝ロボ!!??」
ずしんと煙を立てながら太公望と姫昌の前に黄巾力士が降り立った。
「太公望に伝令ーーーーー武成王がピンチ!すぐ朝歌に向かえーーー」
「!?」
武成王には恩義がある。
「御主人」
「うむ。急いでくれ、スープー」
太公望は恩義と礼を重んじる。
それは幼少の頃、姜族の正当な頭領として教育されてきた頃の名残だ。
絆、心、礼節。
呂望の名の頃のものを今も抱きしめ、道士として生きる。
「姫昌、わしはすこし出かけてくる」
「ええ、頼みましたよ太公望。私も武成王には恩があります」
「うむ」
四不象に乗り、朝歌を目指す。
その後を武吉が追いかけて。



武成王一族は黄飛虎の父を人質に取られ、動けない状態にあった。
同じく礼節を重んじるこの武人は自分を殺せと刺客に言う。
覚悟を決めた武成王に妖怪仙人が切りかかろうとしたときだった。
「盛り上がってるねぇ、俺っちも交ぜてくれねぇか?」
宝剣の宝貝を片手に現れたのは一人の道士。
名は「黄天化」武成王の二番目の息子である。
「よぉ親父ー、元気にしてたか〜?しばらく見ないうちに老けたな〜」
軽く言葉をかけながら次々に妖怪仙人を切りつけていく。
その剣の鮮やかさ。
天武の才能と血の強さとでも言おうか。
塀の上からふわりと飛び、駆け寄る。
「天化!!」
「親父、兄者、弟者、みんな変わらねぇ…あれ、その小さいのは?」
「ああ、天祥っていうんだ、兄さんが居なくなってから生まれたんだよ」
「ひゅ〜、親父も年だと思ってけどやるもんだねぇ」
「天化!!」
くしゃっと天化の頭をなでる。
「よく帰ってきたな……だが…」
「おふくろと伯母さんのことか?よく出来た人たちだった…俺っち絶対妲己を
許さねぇかんね!」
ようやく一族が全員揃った。
「武成王!」
「おお、太公望殿!」
「遅くなってしまって…」
ひょいと背中から天化が顔を出す。
「あんたが太公望師叔さ?俺っちは天化ちゅーんだ」
「知っておる。道徳のところの門下であろう?」
つかつかと進み、天下はまじまじと太公望の顔を覗き込む。
「聞いてたよりもずっとずっと可愛いさ。俺っちも力になるさ」
煙草を軽く銜えながら天化はにっこりと笑った。
「うむ。妲己の手下は葬ったが…こんどは聞仲の追っ手が来るだろう」
「急がねぇとな」
天化は太公望の傍から離れよとうとしない。
「師叔、俺っち、師叔のこと、好きみたいさ」
「…なんと?」
「だから〜。俺っち師叔に一目惚れしたさ!」
天化はどうやらはっきりとした物言いらしい。何度あしらわれても太公望の傍から離れなかった。



崑崙山同様に仙道の住まう世界、金号列島。
ただ、一点違うのは妖怪仙人の住まうということだった。
聞仲はこの列島の出身である。
むろん、彼の要する幹部たちも同様に。



「師叔、もう寝たさ?」
草原に寝転んで、太公望は星空を見ていた。
四不象もこないであろう、ひとりきりになれる場所。
太公望はそんなところを見つけるのに長けていた。
「いや、まだ起きておるよ。しかしよくここが分かったのう」
「必死に探したさ。師叔に会いたかったから」
珍しく頭布も外し、夜風に髪を泳がせて。
天化も同様に隣に寝転ぶ。
「星が綺麗だと思わぬか?」
そう言って空に手を伸ばす。
あの星の光は数え切れないような時間をかけて、ここに届いている。
手伸ばせば、届きそうなのに、決して届くことは無い。
その手を天化が掴む。
「師叔のほうが綺麗さ」
「わしの一体どこがいいのじゃ、天化」
ため息をつき、太公望は天化の傍に寄った。
莫夜の宝剣を手に飛び回る天化と、今こうして自分の傍に居る天化は同じ人間とは思えない。
戦闘の申し子のような殺気は微塵も無かった。
「師叔は美人って言うか…可愛いさ」
「そんなことも無かろう。崑崙には公主のような本物の美女がいるぞ」
「違うさ。美人は確かにいるさ。でも…」
「?」
「師叔はそれだけじゃないさ。俺っちあんま頭良くないから上手く言えないけど…」
ぼりぼりと頭をかく。
「師叔のこと好きさ。それじゃ駄目?」
転がったまま抱き寄せる。
満天の星空。
「俺っち、師叔としたいって言ったら怒る?」
太公望を上に乗せて、唇を奪う。
「仙道は………」
「俺っち仙界入りして日が浅いから、まだまだ煩悩も欲求も捨てられないさ」
太公望の衣服を一枚ずつ落としていく。
「師叔、俺っちも脱がせて」
鍛えられた剣士の肉体。過酷な修行で天化の身体も傷だらけだった。
隆起した筋肉。形の良い二等筋。
少年と青年の間にある胸板。
「師叔も傷だらけさ。でも、今度からは俺っちが守るから心配要らないさ」
少し膨らみの増した胸。
身体の線をなぞりながら天化はそちらこちらに情痕を付けていく。
「師叔、俺っちにも…して…」
優しい強制。
太公望の手を自分の股間に導く。
熱を持ったそれを太公望はそっと手にする。
恐る恐る口をつけ、舌を這わせていく。
一度口をつければ後は同じだった。
先端を舐め上げて、舌を動かす。
口中で熱さと硬度を上げていくのがありありとわかる。
「…っ…師叔…俺っちも…」
太公望の身体を持ち上げて、腰を自分の顔の上に向けさせる。
「て…天化っ!?」
剥き出しの肉壁に舌をねじ込み、吸い上げる。
「!!!!!」
指で押し広げられて、敏感な部分を舌が容赦なく責め上げていく。
「…やぁっん…やめ…」
「…師叔、ちゃんと続けて…」
促されて、たどたどしく舌を這わせた。
指を絡めて、上下させる。
天化の指を伝って愛液が零れていく。
「師叔…感じやすいほうさ?気持ちいい?」
天化の指と舌に翻弄され、何度も揺さぶられる。
「…ああっ!!…て…天化っ…!!!」
「そろそろ…俺っちも師叔の中…入りたいさ…」
太公望の身体を一度引き離して、組み敷く。
「師叔…」
隙間無く、身体を絡めて、最深部を目指して求め合う。
天化の腕の中にすっぽりと納まる身体。
大地に伸びる手を自分の背中に回させる。
「爪、割れるさ…俺っちの背中ならいくらでも傷つけていいから…」
天化が腰を打つたびに爪痕が増えていく。
快感に流されそうな意識を必死につなぎとめる表情。
(師叔…本当に綺麗さ……)
太公望の美しさは外見だけではなく、内面より浮き出るもの。
それは凛とした強さと、楚々としたものが混在する花のようで。
「…師叔…俺っち…我慢の限界…かも…」
腰骨を掴んで数回強く突き上げる。
「!!!!!!」
重なった息は二人同時。
少しだけ冷たい夜風が肌をさらっていった。




「…天化…重いからどいてくれ…」
余韻の冷め遣らない無い身体のまま太公望は天化の胸を押し返そうとした。
「あ…うん…」
一度離れかけて、天化は再度太公望を抱きしめて、注入する。
「天化!」
「嫌さ。師叔と離れたくないもんね」
舌を出して笑う天化。
「頼むから離れてくれ…重くてかなわぬ…」
仕方ないとばかりに名残惜しげに天下は身体を離した。
引き抜かれる感覚に太公望の身体が震える。
「師叔、もっとこっち来るさ」
離れたくないのは本当らしい。
天化は自分の胸に太公望をかき抱く。
「そういや師叔って、仙人名貰う前ってどんな名前だった?」
「わしか?呂望といっておったよ」
「リョボウ?なんか舌噛みそう」
そんな天下を見てくすくすと笑う。
「同期の輩には望ちゃんとも呼ばれたがのう」
「俺っちも望ちゃんって呼びたいさ」
煙草に火をつける。
「わしにもくれ」
「師叔も吸うさ?意外さね」
天化の吸いさしを奪うと、太公望は慣れた動作で口にする。
「天化、わしにはお主の力が必要だ。わしを助けてくれるか?」
「あ…当たり前さ!俺っち、師叔を守るから!」
風が太公望の髪をさらっていく。
「さっきも思ったけど、師叔はやっぱ綺麗さ」
「なにを言うか…」
「必死になって俺っちにくっついてるときの顔なんかたまんなかった」
「て…天化!!!!」
真っ赤な顔で天下の胸を叩く。
「怒った顔もかわいいさ、師叔」


この先の戦は激化していくのは目に見えていた。
戦力は少しでも多いほうがいい。
それが強いものならば尚更だ。
「師叔」
聞こえてか聞こえないのか太公望は振り向かない。
「望」
「その名で呼ぶなとー」
「嫌」
「べたべたと触るなというに」
「もっと嫌。俺っちは師叔を守るから一番近くに居なきゃ駄目さ」
四不象の頭をなでる。
「ってことは天化さんは僕のライバルですね!」
「?」
「僕もお師匠様のことが好きですから!」
「師叔は俺っちのものさ!」


やれやれと太公望は頭を抱える。
少しばかり賑やかに一向は西岐を目指す。



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