◆命数糸◆




「武王、太公望様がお戻りです」
政務官が言うや否や発は回廊を走りぬける。
太公望が崑崙に帰還していた約一ヶ月の間、苛々と空を見上げてはため息をついた。
(あ……普賢ちゃんのことは……)
小さな唇が秘密だと告げた事。それを彼女に言うことは普賢に対する裏切りにも当たる。
(秘密……か。言っちゃなんねーこともあるしな)
白の外套を翻し、発は手を伸ばす。
「お帰り。遅かったな」
「すまん。色々と用向きが出来てな」
その手を取って笑う顔。ふわりと風が短くなった髪をかきあげていく。
「またすぐに、行かねばならん。わしが少しここを空けても大丈夫じゃな?」
頬に触れる左手。二人だけで取り付けた秘密の約束。
運命の糸は複雑に絡まって決して自分たちを離してはくれない。
それは不幸せでありまた、幸福でもあった。
望む望まぬには関わらず、定められてしまったことなのだから。







金螯の内部では結界を解くために十天君が顔を並べていた。
中心に立つのは王天君。
「聞仲を出すのか?」
「ああ、お願いすりゃあ俺たちの思うように動くだろう?」
がり…と爪を噛んで王天君の口は小さくゆがむ。
「いいよな?姚天君」
仮面の仙女は無言のまま。彼女の目的は他の九人とは異なっていた。
表向きは通天教主に対する危険因子を封じた。しかし、その本質はもっと異質なものだった。
(忌々しい子供が……)
印を結び、その封印を解く。
「!!」
八卦図の中から飛び出すのは夥しい鞭。空間を壊さんとばかりに打ち据えてくる。
「久々だな、聞仲」
「……趙公明が死んだか?」
期を読むのに長けた男は自分がなぜに封を解かれたかを即座に導く。
「さっすが。なぁ、聞仲。俺らを指揮して崑崙ぶっ潰してくれよ……」
血の気の無い唇が、ゆがんで笑う。
「お前の言葉は聞くことも無いが……崑崙は私にとっても有害だ」
「利害関係、一致してんじゃんか」
けらけらと笑いながら、王天君は聞仲を見上げた。
「まずは通天教主さまに会ってからだ」
その言葉に、姚天君は静かに席を外した。






「全員揃ったか?」
周城では太公望が散らばる道士たちに集合をかけていた。
風の道士は時代の流れを読むことに長けている。その気配を鋭敏に感じ取り、道士たちを残らずに集めたのだ。
趙公明の封神。それでいて聞仲がおとなしくしているわけが無い。
仮に聞仲が幽閉されていたとそいても、趙公明亡き後に聞仲を封じる必要は無いのだ。
策を練るものは常に己が指揮官であるがゆえに、相手の指揮官のことを考える。
その結論が、この行動だった。
「明朝に崑崙に向かう。此度は人間を巻き込むわけには行かぬ。会いたいものがあるならば明日までに
 戻れるならば好きにする通い。それと、武成王一族は全員西周に残り、ここを守ってくれ」
その言葉に天化は言葉を失う。
「師叔!!」
「わしが……なぜにおぬしを外したかは分かるな?天化」
己の感情を前に出すよりも、指揮官としての立場を彼女はとった。
それは自分を駒として使うならば至極当然の行為だったのかもしれない。
折れた剣は、戦には持ち込めないのだから。
「集合は、ここに」
小さくなる後姿を、ただ見送ることしか許されない立場。
その身を抱いて、護ると誓ったのに。この手は、それさえも許されない。
行き場の無い思いを抱いてここに留まる訳には行かないのに。
あの人を守るための力は、一つでも多く必要なこの実情を。
「……………………」
散らばる道士たちの中、自分ひとりだけが異質なように思えた。
それは儚く散る命たちへの警告。
まだ、誰も知らないままに。






「雲中子」
終南山には風変わりな仙女が住まう。まだ膨れぬ腹をさすりながら、画面を見上げる瞳。
「ああ……お前らか。どうかしたか?」
連れ立って降りたのは道徳真君と普賢真人。
「具合はどう?」
「まだ着床して三週間前後だからね。そう変わりはないよ」
それでも、どこかしら穏やかな表情。
それは小さな母親としての自覚の表れだった。
好んで来ていた短衣は長衣に変わり、少しだけ薄くなった化粧。
「道行にもね、身体は冷やすなって言われた。そんなにやわじゃないと思うんだけども」
「大事にすることに、越したことは無いしね」
女二人はあれこれと話が進んでしまう。
この何気ない日常。それが何よりも愛しく大事なものだというのは。
失うことが分かって初めて気がついてしまう。
「普賢」
雲中子は小さな硝子瓶をそっとその手に握らせる。
「効力は丸一日。その間だけ受胎可能な身体に変わるよ」
「………………………」
それは、何度も夢見た甘い未来。焦がれて焦がれて、手を伸ばした光。
「道徳相手じゃ無くても、大丈夫だから」
「ちょっと待て。俺以外の誰が相手になるって言うんだ」
雲中子の胸倉を掴んで、道徳は詰め寄る。
「玉鼎や慈航だって、相手にはなりえるだろう?」
「雲中子、俺は売られた喧嘩は買うほうだぞ」
ふたりのやりとりに普賢は思わず声を出して笑う。
「果物とかなら食べれるんでしょ?色々持ってきたから黄竜と食べて」
口元を押さえながら、笑う顔。
樹木の緑も、空の色も。どれもみな鮮やか過ぎるほどで。
その色合いに泣きたくなってしまう。
「あまり長居しても迷惑になるしね、道徳、帰ろう?」
「そうだな。黄竜にあとで睡眠薬と猫いらずでも……」
言い終わる前に背中にがすんと入る蹴りこみ。
「何すんだ!この女っ!!」
「悔しかったら親になってみろ」
見送られて終南山を後にする。手の中には件の小瓶が。
(どうしようかな……これ……)
その甘い未来に、囚われてしまったら。
この先に待つ未来を受け入れることが出来なくなる。
「……………………」
俯いたままの未来はいらないと、手を引いてくれる恋人がいるのに。
どうして二人で過ごすことが出来なくなるのだろう。
あれだけ長い時間を重ねたはずなのに。
もっと傍に居たいと我侭が心を支配してしまう。
「……や、雨……」
はらはらと降る雨は、まるで涙のようで二人の肩を静かに濡らす。
霧雨はやがてその姿を変えて、二人を包み込んでいく。
「道徳、風邪ひちゃうよ。急ごう」
「……………………」
「道徳?」
後ろから抱きしめられて、動きが取れなくなる。
この雨の中二人だけ。
「昔、お前を弟子に取れば良かったって……思ってた」
それは彼の小さな告白。
押し殺してきた感情。それを隠す必要はもう無いのだから。
「でも……もしそうなってたら……俺はお前を残していくことになってたんだ……」
雨は他の音を消し去って彼の声だけを彼女に伝える。
世界中に二人ぼっち。寂しさを埋めるためにその身体を寄せ合った。
ただ、それだけの事だったのかもしれない。
それでも、離れたくないと願う気持ち。離したくないと手を取りたい想い。
重ねた日々に、無駄なものなど何一つ無かったのだから。
「たった一人で悠久の時間を過ごさせる……そんなこと、出来ない……」
濡れて冷たいはずの身体。
肩口に触れる唇の熱さに目を閉じる。
「……ありがと……」
その手に、自分の手を静かに重ねて。
同じようにこの運命を重ねることが出来るのならば。
後悔など、ありはしないのだから。
「我侭……言っても良い?」
彼の覚悟と同じように、彼女が選択した未来。
「……子供……つくろ……」
例えそれが泡沫だとしても。
「……ああ……」
そうせずにはいられなかった。








掌に転がる丸薬を口にして、水で流し込む。
その風景を目を細めて見るのは一人の男。
「どうして笑ってるの?」
冷え切った身体は風呂で温めて、湯上りの匂いを分け合う。
「幸せだから」
耳朶に触れる唇。そのまま少しだけ下げて頬にそっと接吻する。
細い頸に。うなじに。甘く噛むように降る唇。
「ボクも、同じ気持ち」
夜着を脱がせて、その肌に顔を埋める。この体温を味わえるうちに、細胞に刻み込みたい。
何度も唇を舐めあって、じゃれあうように体を絡める。
二人分の体重を受けて、軋む寝台。
「……あ……っ…」
手をとられて、指先に這う舌。薄い爪を噛んで、その先端を吸い上げられる。
確かめるように、一本一本。舌先は丹念に舐め上げていく。
首筋をちゅ…と噛まれて、きゅっと閉じられる瞳。
銀色の長い睫を見つめられるのも、あとどれくらいだろう。
折り重なって抱きしめあう。分かち合える暖かさ。
柔らかい乳房をやんわりとつかんで、その先端を吸い上げる。
「あ!!…ん…ッ……」
かりり…と噛まれてこぼれる嬌声。甘えるような声を聞けるのも自分だけの特権だと唇だけで笑う。
舐め嬲られて濡れた乳房。両手で包み込むように優しくもまれて、小さな肩が揺れる。
身体の線をなぞるように、なだらかな腹部を経て舌先はゆっくりと下がっていく。
「…ゃ……あっ!!」
白い肌に刻まれる赤い痣。ひとつ、ふたつ……ゆっくりと増えていく。
吸われるたびにこぼれる喘ぎ。
薄暗闇の空間に、絡まった身体が二つ。
「!!」
舌先が濡れた突起に触れて、ぺろ…と舐めあげる。
掠めるようにわずかに触れては離れて、ゆっくりと彼女を追い込むように。
「…っは…ぁ……ンッ!!」
震える膝を割って、今度は唇全体を使って貪る様に吸い上げていく。
内部で蠢く舌は、まるで別の生命体のように。
唇が離れるのと同時に入り込んでくる指先。
「…ひ…ぅん……っ!…あ…っ…」
目尻にたまる涙。ぽろ…とこぼれては敷布に沈んでいく。
ちゅく、ぢゅる…と指先が抜き差しする度に湿った音が鼓膜に沈んでいく。
根元までくわえ込ませてぐい、と少しだけ盛り下がった部分を押し上げれると大きく跳ねる細腰。
「あァんっ!!!やあ……ッ!!」
体液は彼の指の付け根までしっかりとぬらして、もっと奥へと誘う。
ぬるついたそれは女特有の匂い。
「あ…んんっ!!道徳……っ……」
次第に増やされる指と、背筋に走る甘い痺れ。
「…ぁ……ッ……!!……」
どれだけ押し殺そうとしても、殺しきれない声が室内を支配する。
「……普賢……」
耳元で自分の名前を囁く低い声。
男の頬に手を当てて、甘い甘い接吻を重ねた。
絡まった舌先は離れたくないと銀糸がつなぐ。
このまま皮膚も溶かしてひとつになれたらどれだけ幸福になれるだろう。
濡れきった入り口に先端が触れて、そのまま奥へと深く入り込む。
「ああんっっ!!」
甘えるような声。ぎゅっと背中に回される小さな手。
形のいい額に唇を落として、そのままそっと下げていく。
「……あ!!ああ…っん!!」
「……こっち、見て。俺のほう、ちゃんと……」
重なる目線。はじめてあったときには想像もできなかった未来。
こうして、誰かを愛し誰かに愛されるなどとは予想もしなかった。
「!!!」
突き上げられる度に、肉壁は男を締め上げていく。
溶け合って、絡まって……何かを宿すために。
「あ!!道…徳…ッ……!!」
揺さぶられるように、打ち付けてくる腰とそれに重なるように荒くなる呼吸。
「……っふ…ぅ……」
呼吸は口付けの合間に。隙間なく重なって、きつく抱きしめあう。
それでも、全然足りないと身体は互いを求めてしまう。
そして、心も。
誰にも邪魔されたくなくて。この閉鎖された空間でだた繋がっていたくて。
ようやく見つけた互いの安らげる場所。
胸板と柔らかい胸がぴったりと重なって互いの背を抱きしめあう。
「……ね……すごくあったかいのは……どうして…?」
汗で額に張り付いた灰白の髪を、そっと払う指先。
「……どうしてだろうな……俺に教えてくれよ……お前が……」
砂糖菓子のようなこの夢は、触れただけで壊れてしまう。
顎先に触れる唇。接吻の合間にだけ許される呼吸。
慰めの日々でも、それが傷の舐めあいだとしても。
「あぁんッ!!!」
濡れた指先で肉芽を押し上げられる。
一層きつくなる締め上げに、道徳は眉を寄せた。
(……きっつ……まだ……繋がってたいから……)
腰を抱き寄せて、ぐ…と深く身体を絡めて。そのたびに小さく振られる頸。
「……道徳…ッ……」
しがみつく様に首に回される腕。
「……ってして……」
「?」
「…離れないように……ぎゅって…抱いて……」
仙号も階位も捨ててしまえば、残るのはただの男と女。
溜まった涙を舐め取って、その柔らかい頬に触れる。
銀色の愛しさを抱きしめて離さない様に。
(お前の望む未来は……与えられないかもしれない……)
濡れきった接合部からはぐちゅぐちゅと淫音が零れてくる。
腿を濡らして、敷布に沈む体液。
(けど……一人ぼっちにはさせないから……約束するよ……)
「あっ!!やぁ……っ!!」
荒くなる呼吸と、腰の動き。
折られた身体は、わずかに肩口が敷布に触れるだけ。
ぎりぎりまで引き抜いては、最奥まで貫かれる。
そのたびにびくびくと震える肩と、きつく閉じられる瞳。
「あ!!っは……ああっっ!!!」
本来授かるべきではない命。
今夜だけは――――違っていた。






腕の中で少しだけ疲れた顔で幸せそうに笑う恋人。
男の手を取って、そっと自分の腹に導く。
「本当に、居ると思う?」
「思う。仙桃百個賭けてもいいぞ」
うふふ、と笑って普賢は男の胸に顔を埋めた。
「俺さ、お前が膨らんだ腹摩るの見たかったんだ……ずっと」
おそらく産まれる事の無い子供。
それでも、嘘でも二人の間に何かを残したかったのだ。
たとえこの身体が消え去っても、思いだけは消えることは無いのだから。
命数糸は、魂を絡め取って全てを奪う。
定まった天数、天命。自分たちに残された時間。
「ね……封神傍って……もしかしたら日々変わる物なのかもね……」
見上げてくる灰白の瞳。
「どういうことだ?」
「最初に覗いたときは……僕の名も、あなたの名も無かった」
「…………………」
「もし、あれが宝貝なら……進化したっておかしくない」
今できることは、強がる彼女を抱きしめることだけ。
「望ちゃんがこれからやることは……多分ボクが予想してることだと思う」
薄い唇が織り成す言葉。
「けど、ボクがこれからすることは……望ちゃんは予想してないかもしれない」
少しだけ伸びた襟足。そこに触れる男の指。
雨音は、強まって二人だけの秘密を作り出してくれる。
雨の日はこうして抱きしめあって時間が流れるのを感受していた。
「二人で……居ような。離れてしまわないように……」
ここに降る雨は、おそらく眠れぬ夜を過ごす親友の下にも同じように降りしきる。
さららと流れる砂の時計を止めることは出来ないのだから。





「師叔」
扉が開いて入り込んでくるのは天才道士と謳われる男。
長い髪は一つに纏められ、その男ぶりを上げている。
「明日、崑崙に戻るのですか?」
「道士は皆な。ああ、天化は置いていくが」
自分が不在の間に何が起きても良いように、先に書を認めた。
優秀な宰相たちと、何よりも第四子の旦が居れば聞仲の居ない殷を制御することは出来る。
「どうして天化君を、残留させるのですか?」
数字だけで見れば、攻撃と起動の高い天化を残留させるのは得策ではない。
それを誰よりも認識しているのがヨウゼンだった。
「あの傷は妖怪仙人の付けた傷じゃ。血は……未だに止まらぬ」
ぽつり、ぽつりと呟く声。
窓の外は雨に包まれた世界。
「十分な動きが取れぬものを戦場に持ち込んでも、無駄に命を落とすだけじゃ」
淡々とした声。
「……いいえ。あなたは天化君を生かすためにここに残すことにしたんです。この先の未来視をしたが
 故に。天化君の師は道徳真君さまですからね……それに普賢さまもいる」
「……………………」
「崑崙、金螯。幹部同士の戦いはどちらにも犠牲者を出すことになります。天化君の性格を知っていれば
 仙界に上げることはできませんね。彼も……彼の師と同じように戦士の血を持っている」
師表同士の戦いは、否が応でも道士たちを巻き込んでいくことになるのは明白だ。
「あなたは天化君を失いたくない。だから理由を付けて彼を残した」
道士、軍師、女。どれも全て『太公望』とう人間の中にあるもの。
先の二つを優先させて、皆の前ではああ言ったが、本心は女の自分が呟いたもの。
引き止めても、前に進む男。
ならばいっそ突き放してしまえばいい。
「もし……僕が同じように傷を負ったら……あなたはどんな決断を下しましたか?」
その声に振り向く姿。
「……ヨウゼン……」
「あなたは僕をここに残しましたか?」
彼女の片腕となり、彼はあらゆる場面に精通している。
いまや欠かせぬ存在だ。
すい、と手が伸びてヨウゼンの背に回った。
「残さぬ…………共に居てもらう」
「それは、僕が便利だからですか?」
見上げてくる黒い瞳。わずかにゆがんで、静かに閉じられる。
「…………悲しいことを言うでない……ヨウゼン……」
ぎゅっと道衣を掴む指先。
この指が本当に欲しいものはたった一つだけ。
その一つになりたいと思う気持ち。
「それとも、わしを残して……逝きたいのか?」
「……いいえ……あなたが常に生き残る道を模索するように、僕も……あなたと生き残る道を探したいんです」
頬を手で包まれて、重なる視線。
ゆっくりと近付く唇を受け止めて、舌先を絡ませる。
離れては重ねて、何度も何度も確かめるように呼吸を分け合った。
素顔を隠して生きてきたのは同じで、その心の脆さを騙しながら日々を歩む。
雨の中泣いている子供が二人。その小さな手を繋いだ。
「……ヨウゼン、もしも、わしが先にこの命を失ったならば……」
胸に顔を埋めて太公望は小さく呟いた。
「おぬしの望むようにするがよい……」
優しい人はいつも悲しみばかり背負い、しなくていい後悔ばかりを重ねてしまう。
それでも、彼女は逃げることなくここまで来たのだ。
失ったものも、得たものも。全てが彼女の糧となり、その美しさとなる。
残酷な運命は太公望に花を添えてしまうのだ。
同じように運命に魅入られてしまった男が一人。
自分の居場所を求めてその手を伸ばす。
たった一人に手を引いて欲しくて、もがきながらその手を。
「ヨウゼン、わしの手を離すでないぞ。決して」
「……ええ……太公望師叔……」
布越しに重なる心音と体温。分け合えるだけの時間はまだ十分にある。
この雨は二人だけの秘密の立会人。
「明日、崑崙に戻る。今宵は身体を休めるがよい」
「ええ、ここで……」




絡まった糸を断ち切るにはまだ幼すぎる魂。
その罪の名は――――『未熟』




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