『愛とはあなたのためだとか言ったら
 疑われるけれど…………頑張っちゃうもんね』






道徳真君が白鶴洞に来て一週間。
なんとかモクタクとの修行も形になってきていた。
「モクタクは?」
「ぐっすり寝てるみたい。がんばってるから……早く寝ちゃうのかな?」
夜着に身を包んで、寝台に腰掛ける。
「道徳もお疲れ様。ごめんね、忙しいのに頼んじゃって」
「いや、俺は構わないよ。それに……」
普賢の手を取って、そっと唇を当てる。
「こうして一緒に過ごせる時間が出来た。それで十分」
そのまま、抱き寄せて普賢のを自分の上に。
「あ……やぁ……」
湯上がりの肌は、ほんのりと甘い香り。
汗止めに叩いた夜粉は、そのはだにきらめきを落とした。
袷を解けば、揺れて誘う丸い乳房が二つ。
「今度は俺の面倒見て。子供はもう寝たし」
「面倒?」
男の頭を抱いて、その額に唇を落とす。
(……お前、さりげなく俺を生殺しにする気か……?)
ちょうど、胸の谷間に顔を埋める格好になりそのままの背を抱いて。
今度は少しだけ噛み付くような接吻を繰り返した。
「ぁん…っ!……」
つ…と指を滑らせて、腰骨を軽く小突く。
震える肩口を甘く噛んで、指先を下げて。
柔らかい腹を撫でるように滑らせていく。
「モクタクが……起きちゃう……」
「聞かせてやればいい。子供を卒業するにはちょうどいいだろ?」
舌と唇で甘くて柔らかい身体の線を確かめていく。
恥ずかしげに胸を隠そうとする手を外して、貪るように乳首を吸い上げる。
「あァんっ!!」
「やっと、堂々と一緒にいられんだ……邪魔立てはさせない」
男の頬を手で包んで、顎先にそっと唇を当てて。
同じように求めてくれる接吻を何度も何度も、息が止まりそうなほどに繰り返した。
口付けだけで、得られる幸せ。
恋を夢見る少女にとっては何よりも甘く優しいもの。
そして、身体で覚えてしまった他人の暖かさ。
「……邪魔……?」
胸の谷間に男の顔を抱いて、普賢は囁いた。
「今くらい、俺のことだけ考えてくれたっていいだろ?師妹」
柔らかい乳房は、少し力を入れただけで指が食い込んでしまう。
左右を交互に舌先が嬲り、ぢゅる…と吸い舐める。
「…やぁん……っ……」
「今日は……イイコトしてみようか……」
枕の下に隠していた小瓶を取り出す。
どろり…琥珀色の液体を指に絡めて、それを乳首に塗りこむ。
「…ゃ……くすぐったいよぉ……」
「ちょっとだけ我慢してくれ」
そのまま指を下げて、秘裂にそって滑らせる。
ちゅく…と音を立てて、指先は肉壁を擦るように蠢く。
一瓶全てを、普賢の身体に塗布し終えると道徳は目を細めた。
「!!」
ふいに、全身を襲う甘い痺れ。
その意味を解するために、少女は男に視線を投げかける。
「さっき、太乙が立ち寄ったんだ。そん時に試作品だけどって貰った」
「…ぁ…ッ!!……」
自分の吐く息だけでも、とろとろと愛液が零れだしてしまう。
がくがくと震える膝と、折られた指。
「いい子だ……じっとして……」
手首を取って、その薄い甲に降る接吻。
そして、手首を一つに纏めて普賢の頭上で縛り上げた。
仙気で作られた光の糸を、断ち切れるのは術者だけ。
「こんな……や…ぁん!!」
きりきりと痛む手首。
膝を押し割って、足を大きく開かせる。
溢れ始めたぬるつく体液は、息を吹きかけるだけでとろり…と零れだす。
「!!」
溝の中に舌を捻じ込んで、花弁を口腔で嬲るように。
少女の柔らかい下腹部に顔を埋めて、奥からあふれ出す体液を貪った。
「あぁんっ!!!ア……ぅ…ンッッ!!」
落とし忘れた右耳の飾りが、ころりと敷布の上に落ちる。
空を写し取ったような色の硝子球。中に閉じ込められた花の色は、破瓜の赤。
小さな尻を抱いて、より奥まで舌を捻じ込む。
愛欲を捨てて得たはずの仙号は、箱の中に閉じ込めた。
「……ダ…メ…っ!!あ!!……やぁ……」
ちゅる…唇が離れる。そこと、繋がっていたいというように光る糸がぬるぬると伝う。
そのまま舌先は少しだけ上にあるひくつく突起に触れた。
「!!!!!」
びりびりと痺れが背筋を走り、力が抜けていく。
指先で邪魔なものを押し上げて、ちろちろと焦らすように舌が這う。
「や…ァ!!!道徳……っ……!!」
「薬使ってるからかな……凄ぇ……」
ぢゅく…音を立てて、指先を飲み込む襞。
「ァんっっ!!」
「そんなにキモチイイ?」
愛液は道徳の指を付け根まで濡らすほど。
目尻の涙を口唇で舐めて、耳朶をやんわりと噛む。
「ぁ……そ…な……!!し…ないで…ぇ…っ!!」
「そう?」
指を引き抜いて、それを彼女の唇に当てる。
「…ふ……ぁ……」
「ちゃんと、舐めて」
縛られた手首が、もどかしげに揺れる。
男の身体を押しやろうにも、これでは動きが取れない。
ぴちゃぴちゃと小さな舌が指を上下する。
(一回くらい、普賢からもしてもらいたいよな……)
ちゅる…指を口中から引き抜いて、道徳は普賢と視線を重ねた。
「……?……」
怪訝そうな瞳。
「そんな顔するなって……せっかく綺麗な顔してるのに」
嵐の前の静けさは、この男にも当てはまる。
穏やかに笑って、唇が言葉を紡いだ。
「俺にもして。今ので十分練習になったろ?」
「……ゃ……できないよ……」
「じゃあ、このまま続ける?」
男の指が、少女の手首に触れる。
「痛ッッ!!!!」
ぎり…締め付けが強くなり、糸は手首を落とさんばかりに食い込んでいく。
「どうすれば……いいの?」
薬の力と、恐怖心で普賢の思考は失われつつあった。
出来ることは、恋人の言うことを聞き入れるだけ。
「今、指にしたみたいにして……」
「……手……解いてぇ……」
ぱりん!と手首の戒めが消える。それと同時に今度は小さな光の鎖が彼女の首に。
そして、その元は男の手に握られていた。
「……んっ……」
恐る恐るそれに手を掛けて、舌を這わせる。
一度そうしてしまえば、恐怖心は薄れて従順に舐め嬲ることが出来た。
先端を口に含んでそのまま上下させる。
括れとその鈴口に舌を当てて、軽く吸い上げて。
薄い唇が太茎を横からぱくりと甘く噛み、つつ…と下がっていく。
(……ここまで開発した俺って……ちょっと凄いかも……)
自分が手をつけるまで、少女は男と唇を重ねたことさえなかった。
真さらな状態を、己の思うままに染めていく喜び。
愛しくて――――それでも、壊したくなる衝動。
「……もう少し……優しく触って……」
「……こう……?」
とろとろになった目が、見上げてくる。
(そ……その顔は反則だぞ!!普賢っ!!)
反り勃った陽根に、かかる指の甘さと細さ。
「そう……そんな感じ……」
目を閉じて、切なげに眉を寄せて普賢はそれを舐めあげる。
零れてくる濡れて曇った音は、否応無しに二人を興奮させていく。
(ボクがされて気持ちいいように……道徳もいいのかな……?)
喉の奥まで飲み込まれて、沸き起こる吐き気と戦いながら必死に唇を使う。
これで恋人が喜ぶなら……そんな気持ちが普賢の意識を染め上げた。
唇と舌で感じるその熱さ。
これが今から自分の身体を貫くのだ。
「…ぁん……」
顎を取って、唇を離させる。
亀頭の先と普賢の唇を糸が繋いだ。
「……もう、いいよ。おいで……」
手首を取って、自分の身体を跨がせて腰を落とすように促がした。
とろとろに濡れきった入り口に、先端がぬる…と飲み込まれていく。
押し広げなら、熱源はゆっくりと少女の胎奥を目指す。
「…ぁ……ぅん……っ…」
男の手が、腰の括れを掴む。
「あああぁぁんんッッ!!!」
ずん!と一気に奥まで突き上げられて、一際甲高い嬌声が室内に響いた。
びくびくと震える肩先と、半開きの唇。
じんじんと繋がった箇所が痺れて全身を熱くする。
「…きゃ…あぁん!!道……徳…ッ!!」
縋るように背中にしがみつく手。
ぢゅく、ぢゅぷ…腰を動かすたびに襞が絡んで男を締め上げる。
荒い息が肌に掛かるだけで、びくんと普賢の腰が震えた。
(ありゃ……ちょっと効き過ぎたかな……ごめん……)
少女の腰が上下するたびに、ぬるぬると半透明の体液を絡めた陽根がその幹を覗かせる。
意識しまいとしても、それは目に入り、普賢はぎゅっと目を閉じた。
「あ……んんっっ!!!ふぁ……」
男の腹部に手をついて、必死に腰を振る姿。
仰け反る身体を抱きしめて、より深くまで混ざり合うために腰の動きが重なっていく。
「あ…は…ァ!!あ!!やぁ……っっ!!」
「……普賢……」
強く抱きしめて、骨まで溶ける様な甘い接吻を。
「あ!!アアっっ!!!」
きり…背を走る爪。
ふにゅんと柔らかい二つの乳房が胸板に触れる。
(ちょっと……こっちから仕掛けさせてもらおっかな……)
一度引き抜いて、普賢の身体を敷布に押し倒す。
少しだけ身体を斜めにさせて、片足を肩にかけるようにして担いだ。
そのままぐっと折って、抽入を再開させる。
「ふぁ…!!や…やぁんっっ!!ダメ……ぇ…!!」
ぐちゅぐちゅと淫音が耳を支配して、一気に本能を呼び覚ます。
(ボク……ボク……こんな……っ…)
溶け合う汗と、体液。
擦り上げられて、突き上げられて、絡まって、絡め取って。
二人分の体液がとろり、と敷布に沈んでいく。
「やぁんっっ!!ボク…ッ……!!変に……な…ちゃ…ああっ!!」
手を伸ばして、道徳真君の身体を抱きしめる。
汗と混じった男の匂いが、愛しくて離したくないと思ってしまう。
師表二人。本来ならばあってはならない関係なのだ。
「やぁ……あ!!!あああっ!!道徳ッッ!!!」
ずく!と強く貫かれて、襞がきゅん、ときつく絡まる。
「――――――ッ…普賢…っ!!」
柔らかな胎に、白濁を吐き出してその身体を抱きしめあった。
ちゅぷ…唇が何度も重なっては離れる。
「…ぁん…!……」
乳房を少し強く揉まれて、尖りきった乳首をぢゅっ…と吸い上げられた。
「や……どいて……」
「一回くらい試してみようかと……」
「?」
「抜かずの二発を」
どかそうにも、薬はまだ十分残っていて、敏感に反応してしまう。
「モクタクもぐっすり寝てるから。大丈夫」
「そういう問題じゃ……あぁんっ!!」
自分の中でゆっくりと硬さを取り戻していくのがありありと分かる。
(や……どうしよ……)
それと同じように、じんわりと生まれてくるぬめった体液。
「まだ、時間はたっぷりあるだろ?俺のことだけ……考えて」
朝の気配はまだ欠片も無く。
夜の挾間で、その身体を確かめ合った。




窓辺から差し込む光は、疲れた身体には少しだけつらい。
それでも三人分の朝食の準備と、昨夜の残滓をなんとかしなければならないのは明白だ。
のろのろと身体を起こして、わずかばかり窓を開ける。
(……道徳、疲れた顔してる……)
毎日の剣の指南に加えて、この過剰なまでの毎晩の房事。
(ごめんね、ワガママでお願いしちゃって……)
ぐっすりと眠る男の頭を抱いて、その額に唇を降らせる。
鼻筋に、頬に、唇に。
愛しくて何度も何度も。
目を閉じて、夢中になって。その世界に没頭してしまう。
扉の向こうのことなど、分からないほどに。
(たまにはあの女起こしてやっか。いっつも人のこと寝坊扱いしやがって)
のとのとと歩きながら、モクタクは普賢の寝室の前で足を止める。
気配から察しても、まだ熟睡してると踏んだのだ。
そのまま躊躇無く一気に扉を開いた。
「!!??」
目の前の光景は、自分の師が男の上に覆いかぶさってねっとりと唇を重ねている。
うっとりと目を閉じて、何度も何度も。
その柔肌にはありありと昨夜の情痕。
「……モクタク……っ!!??」
立ち尽くす愛弟子の存在にようやく気が付いて、普賢は道徳から身体をばっと離す。
「え、あ…その……」
「何だ……もうちょっと続けて欲しかったのになぁ……」
「起きてたのっ!!??」
「ああ。そりゃお姫様の接吻で目を覚まさなかったら約束違反だろ?」
しっかりと腰を抱かれて、今度は逃げられないように抱かれてしまう。
「あんまり人の寝室は襲撃するなって教訓になったろ?」
固まったままのモクタクに、男は視線を投げる。
「…………あ……あんたらちょっとは控えようとか思わねぇのかよっ!!!」
「思わん」
「馬鹿なこと言ってないで離してぇ!!」
「それも嫌だ」
「こんの似非仙人二人っっ!!!」
「失礼だな。俺も普賢もちゃんと仙号もってんだよ。ガキはさっさと顔でも洗って来い」
「いいから離してっっ!!!」





前途多難なのは、この弟子かそれともこの師か?
傍迷惑な恋人たちの喧騒は、今日も止まることをしらない。





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18:17 2004/09/22

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