◆箱舟◆




「さて、趙公明とは手を結べたが問題は聞仲だな」
日が暮れる前に戻ってきたはいいが、この先の進展が思うように浮かばない。
彼が言うようにそう簡単に自分たちに協力するとは思えない。
そうだったならば、あの大戦は防げたかもしれないのだから。
「どうやって聞仲を説得しよう……お茶やお菓子じゃ駄目だよね……」
「お前……多分それでだまされんのは俺とモクタクくらいだぞ……」
長椅子に並んで座ってあれこれと考える。
こんなときは一人出ないことが嬉しい。
「あの強すぎる忠誠心……でも、従うべき紂王はまだ生きてるし……殺っちゃうわけにも
 行かないよね……」
はぁ、と零れるため息。男の胸に凭れる小さな頭。
「殺ってすむなら最初から総攻撃掛けてるだろ?疲れてんな、少し休んだほうがいい。
 腹の子にも響くし、ため息つくほど悲しいことでもあったか?」
少女の顎を指先で持ち上げて、唇を重ねる。
「ため息なんてついてないもん」
「俺の考え、聞いてみる?」
「聞きたい」
「んじゃ、まずは茶でも飲みながらおやつ食ってだな。それ以上痩せられちゃ腹ん中の
 ちびが死んじまう」
今、自分に必要なのはおそらく余裕というもの。
この監獄の中でそうあせることはないと彼は説くのだ。
「今日は休んで、あとは明日。俺らには時間だけはあるんだから」
そう、多分それが真実。
自分たちがどうこうあがいても世界に影響をおよぼすことなどできはしない。
ただ落ち行く杠葉のように世界を憂うだけ。
それでも真実を知りたいと思うこの心を抑えることなどできないのだから。





(ここは…………?)
腕や脚に絡みつく触手に湧き上がる怖気。
壁に貼り付けられるように身体は押さえつけられている。
(これが夢の中の特訓というのか!?なんという悪趣味な……)
両手首は上に縛り上げられ自由は無い。
それでも聞こえてくる会話にどうにか耳を欹てた。
途切れ途切れの言葉から、どうやら自分は崑崙の密偵としてつかまっているらしい。
封神計画が無かったならばそうなる可能性だってあったのだろうから。
(まずはこれをなんとかせねば……)
胸元の打神鞭を取ろうにも腕は動かせない。
触手が動くたびに感じる暖かさとぬめりはこれが夢だとは思えないほど。
吸盤と襞のついた表面が頬をなでるたびに背筋にぞくり、と何かが走る。
「!!」
唇を抉じ開けて一本が入り込む。嫌だとその先端を噛むのと同時にそれは始まった、
今まで衣の上から撫で摩っていた触手は一斉に内側へ。
両脚を大きく開かされて太腿に絡まり始める。
「んん〜〜〜っっ……う!!…ッ!」
声を上げようにも口中は犯されてそれもままならない。
道衣は引き裂かれて、端々にわずかに布が残るだけ。
「んんっっ!!」
触手の先端が割れて繊毛のような管が伸び、それが乳房へと絡まった。
まだ未成熟で硬いそこを、やんわりと揉み抱くように動く。
「んぅ……ふ……」
震え始める腰に反応するように乳首を攻め上げる。
左右を同時に嬲られ、まるで男二人の唇がそうしているかのよう。
何も知らない身体ではないから、性質が悪い。
舌先が背中を滑り落ちるように、亀頭を模したそれがなぞる。
下着の端を軽く引いて一気に引き裂く。
剥き出しになった秘所が外気に晒される。
「!?」
腕ほどもある太さのそれがゆっくりと開く。
内側にから表面に変わったそこにはびっしりと疣と繊毛が生えて今かと待つように蠢いている。
まるで個々が意思を持ったようにそれぞれが動き、少女の陰唇へと近付き、触れた。
「んんんんんっっっ!!!!」
女陰を擦るように前後に動き始めると同時に、疣の先から粘液が放出される。
くちゅくちゅと音を立てながら陰唇と肉芽に加えられる刺激。
張り詰めた乳房と乳首への攻めも止むことは無く、舌先が舐めるようにぬめった繊毛が
首筋を上下した。
「んぅ……んん!!…っ…!!」
百合花のようにぱっくりと開いた肉の塊が乳房に吸い付く。
「!!!!!!」
揉み抱かれながらちゅくちゅくと吸い上げるような動きに愛液は止め処なくあふれた。
体液に反応するように粘液の放出はいっそう激しくなり後ろから別の触手がゆっくりと
小さな尻に伸び始める。
腰を少しだけ浮かせるように絡まり、先端が菊座へと触れた。
慣らすかのよう粘液を吐き出してつぷ…と挿入が始まる。
「うぅんんっっ!!!!」
ぼこぼこと大きな疣が内側を擦りあげる感触にあがる悲鳴。
じんじんと身体の奥が痺れて抵抗する力はすでになかった。
繰り返される注入にぷるんぷるんと乳房が揺れる。
それに反応するように花弁はそこを揉み抱いて乳首をちろちろと舐め嬲るのだ。
「……ふぁ……っ……」
口腔を蹂躙していた管が抜けて、舌先と糸を引く。
吐き出された粘液は男の白濁に似て、彼女の肌を汚した。
「……んっ……ぅ……」
今度は先ほどよりも穏やかに先端が唇に触れる。
まるでねだるようにちゅ、ちゅっ…と。
「わしに……しろと……?」
亀頭の先を舐めながら舌先はカリ首へと落ちていく。
幹根を唇が挟めば、触手は自ら上下した。
鈴口を嬲るように舌を捻じ込んで少しだけ強く吸い上げる。
それでもまだ足りないのか少女の片手を開放した。
「ふ……ぅん……」
扱くように手を動かして先端をちろちろと舌先が舐めあげる。
口腔の愛撫を争うように触手は少女の唇を奪い合う。
手を休めれば休むなと急かすように後穴への動きが激しくなる。
「ふぅん……っく…っ!!」
頬張るように触手を咥えて亀頭への愛撫を繰り返す。
それに応えるように少女への陵辱が激しくなり始めた。
「あああああっっっ!!!」
繊毛が包皮を捲り上げ、べちゃりと肉芽に触れる。
無数の毛が舐め絞るようにそこを攻め始めた。
陰唇を抉じ開けて一際大きな疣が膣口を塞ぐ。
まるで男根の先端だけが入ってるかのよう。
先割れから生まれた無数の管が襞肉をちゅくちゅくと刺激する。
「ふぁんっ!!ひゃ……あぅ!!」
浅い注入にびくびくと悶える細腰。
だらしなく流れる愛液と涎を喜ぶようにして触手は舐め取る。
腸壁を何度も擦りあげるたびに、膣口の疣と後ろにもぐりこんだ触手の疣が擦れ合う。
そのたびに生まれる刺激に肌だけが加速して熱くなった。
蝕壁を跨ぐような格好と、じゅるじゅると音を立てて陰部と擦れ合う行為。
それでも決して膣奥までは侵入しようとしないのだ。
「ひぁ……っ!!」
びゅるん!と頬に吐き出される粘液。ねばねばとしたそれは体中に飛び散る。
それでも勢いはまだまだ収まらず、口付けるように口中へと入り込んだ。
粘液を舐め取るように舌を動かせば、今度は口腔へと吐き出される白濁。
(いったい……いつになれば終わるのだ……)
思考することさえも奪おうと菊座に群がるように集まる触手たち。
それが一斉に争うように入りこんで少女は悲鳴を上げた。
「やぁん!!!ああっっ!!」
中でも太い二本が絡まり合うようにして蠢く。
肉芽に与えられる刺激に収縮を繰り返す子宮。
同時に後穴の触手を締め上げれば内側を満たすかのようにどろどろと粘液が吐き出される。
それが触手たちの動きをより滑らかにしてしまう。
「ふ……ぅ…ッ!!」
体中を汚す体液と触手たちとの淫戯。
幼さの残る体を嬲るその光景は姦淫地獄そのものだった。
「良い眺めですね。なんとも」
その声にとろりとした視線を向ける。
「崑崙の密偵を捕らえたと聞けば、こんな少女。僕たちも舐められたものだ」
それは自分の知る男の声。
それでも違うのは彼の姿が見知ったそれではないということ。
(半妖態……ヨウゼンは……)
顎先に指が掛かり、青年のほうに向けさせられる。
「名前は?」
「……太公望……」
その言葉に彼が自分を知らないのだということに気がつく。
自分に向けられる冷たい視線には淫女への侮蔑も混じっているのだから。
その合間も身体は触手に蹂躙されてびちゃびちゃと愛液を垂れ流す。
「このままこいつらに犯させるのも面白そうだけども……崑崙の道士なんてそうそう抱けない
 だろうし……ま、浅はかな己の行動を嘆くんだね」
秘所に張り付いていた蝕襞を跳ね除ければ、とろ…と愛液が零れ落ちた。
「何もしなくてもこれだけ濡れてれば楽に入るな」
何を言っても無駄ならば何も言わない事を選ぼう。
このまま彼に貪り食われても今までの彼を思えばそれでもいいと思えるのだから。
「―――――――――ッ!!」
入り込んでくるそれの熱さとは裏腹に悲しいこの胸の中。
「君…………初めてなのか?」
「……知らぬ……ッ……」
それでも痛むこの身体がそれを告げるから。
「ははは……妖怪に犯されるなんて考えてもなかっただろうに……恨むなら人間に生まれた事を
 恨むんだね!!僕たちを裏切った人間を!!」
引き裂くように膣口を犯しながら、一気に奥まで貫かれる。
痛いのは犯された身体ではなく、彼の言葉を受け止めた心のほう。
彼は夢の中まで孤独にさいなまれていたのだ。
「処女のくせに……こんなにすんなりと飲み込んで……すぐに自分で腰を振るように
 なるだろうね。そうしたら愛玩動物として飼うのも面白そうだ」
ぽろり、ぽろり。涙がこぼれる。
そんな悲しい言葉を紡いでも彼を暖める腕はここには無い。
白い腿を伝う血液だけがただ赤くて。
痛みは飲み込んでしまえばいいだけのものになっていた。
「泣くほど痛いのか?」
違う、と首を振る。
「じゃあ、何故泣く」
「おぬしが……悲しいと思うから……」
細い首に手が掛かりきつく締め上げた。
「お前に何がわかる!!たかが人間の分際で!」!
「か……っは……」
人間は力を少し入れればそれだけで命を失うほどの脆さ。
この少女とて彼にとっては例外ではなかった。
「苦し……っ……」
「生意気な餓鬼が!!」
静かに瞳を閉じて呼吸をすることを破棄する。
このまま彼に殺されても、それで彼が少しでも満足するならばそれでいいと思えた。
「なぜ抵抗しない」
「わしは……おぬしを知っておる……寂しがりでとても優しい……」
途切れ途切れに生まれる言葉に青年は首から手を離した。
「のう……ヨウゼン……」
重なる視線。
「どうして……僕の名前を……」
「ずっと昔から知っておったよ……おぬしのことを……」
「…………離れろ!!お前たち!!」
彼の声に少女の身体に張り付いていた触手が逃げるように離れていく。
少女の手を掴んで、引きずるようにして青年は回廊を走った。
連れて来られたのは彼の自室。
天蓋付きの寝台に降ろされてじっと瞳を覗き込まれる。
「わしを殺さぬのか?」
「わからない……自分でもどうしてなのか……」
柔肌にこびりついた白い粘液。
「僕が怖くはないのか?」
「一度もおぬしを怖いと思ったことはないよ」
しずかに兜をはずせば、灰白の髪から伸びる角。
自分の腰を抱く腕も異形の者のそれ。
「なら、それを証明して見せろ。僕のことを恐れてなどいないと」
のろのろと身体を起こしてそっと彼の頬に唇を当てる。
耳朶を優しく噛んで恋人同士がするようにその背中を抱いた。
「…………………」
掌に唇を落として、上着を剥ぎ取る。
冷たい肌に接吻しながらゆっくりと頭を下げていく。
まるで死人のような青白さと冷たさ。
「…ん……っ……」
陽根に指を掛けてそっと唇で包む。
口中で舌を動かして亀頭とその首周りを丹念に舐め嬲る。
ともすれば吐き出しそうなその大きさに首を振って、ちゅるん…と唇を離す。
亀頭の先と少女の小さな唇を繋ぐ糸がぬらり…光った。
「ふ…ぁ……」
ぴちゃぴちゃと舐めながら唇は太茎を上下する。
二つの袋を指先で揺り合わせながら根元を甘く挟んでやんわりと噛んだ。
掌で感じる脈拍。自分を犯す凶器を愛撫していく。
ぢゅぷ…先端を強く吸い込む。
「!!」
勢いよく吐き出される体液を、吐き気をこらえながら喉奥に流し込んで。
肩で息をしながら尚も肉棒への奉仕を続ける。
飲みきれなかった白いそれは唇の端からこぼれて彼女の肌を濡らす。
どれだけの時間、彼を愛撫していただろう。
舌先はじんじんと痺れて感覚は薄くなってきている。
それでも懸命に唇を動かしながら白濁を飲み込む。
「……もういい……もう……」
突き放すように身体を引き剥がされて、ぺたり、と寝台に座り込んだ。
「そこにあるもので口の中を洗え」
小脇の卓台に置かれた茶器には花びらが一枚浮かんだ桃茶。
静かに口をつけて飲み込む。
喉を潤すその甘さがじんわりと体中に広がった。
「きゃ…ッ…」
片手をひねり挙げるようにして抱き寄せられて、少女は男の瞳を見つめた。
「僕は……誰が相手でも接吻(キス)はしない主義なんだ。舌をかまれたらたまらないからね」
ゆっくりと彼の唇が近付いてそっと重なる。
乾いたそれはほんのりと暖かく、自分の知る彼の唇だった。
「…ふ……ぁ……」
弄る様に絡まる舌先に同じように返して、彼の背中を抱きしめて。
唇が離れようとするのを、頭を抱いて嫌だと伝えた。
「!!」
抱えるように腰を浮かされて、反り勃った肉棒を跨ぐ様な格好。
先端が陰唇に触れてゆっくりと挿入が始まる。
「あ……ぁ……」
膣壁を押し広げながら、先刻とは違った優しい注入。
震える肩先を抱いて何度も何度も唇が重なった。
黒髪を指先が滑って擽るように首筋を撫でる。
「やー……」
「嫌なら逃げれば良い。僕の舌を噛み切って」
「ぅんっ!!」
ぢゅくん!根元まで肉棒を咥え込んだそこがびくびくと痙攣した。
向かい合わせで抱き合ってより奥まで沈めようと腰を抱く手。
「あ!!あぁんっ!!」
仰け反る喉元に接吻して噛み付くように跡を残す。
「どのみち……崑崙に戻っても妖怪に嬲られたものとして侮蔑されるんだ。ここに残って
 暮らせば良い。僕はここの次の教主だ、君一人を養うくらいは造作は無いよ」
突き上げられるたびにちゅぐ…ぢゅぷ…響く淫音。
「道士になる前の……君の名前は……?」
「……呂望……」
内側でびくびくと震える肉棒と、それを締め上げる襞肉。
「良い名前だ……道士なんか辞めて……僕に飼われれば良い……ッ…」
近付く限界に加速する腰の動き。
「きゃぁ…んっ!!あ!!……ヨウゼ…あァんっ!!」
小さな身体を折るようにしてきつく抱きしめる。
「あぁああんっっ!!」
「…っ……呂望……ッ!!」
びゅくびゅくと吐き出された体液を受け止めながら、そっと彼の唇に自分のそれを重ねて。
入り込んでくる舌先を受け入れながら溢れる白濁をそのままにした。




どれだけの日々をそうして過ごしたのだろう。
時間の感覚は薄れてもはや今がいつなのかもわからないほど。
青年は少女を室外に出すことは無く、彼女もまたそれを望んだりもしなかった。
「気分はどうだい?」
「……腹が……」
膨れた腹部は彼女が新しい命を宿していることを証明する。
それでも子供のことなどお構いなしに彼は少女を飽くことなく抱くのだ。
「ああ、だいぶ出てきたね。まぁ、あと十年くらいはそのままだから」
「そうか…………」
膝の上に頭を乗せて寝転ぶ彼の頬をそっとなでる指先。
「人間は面倒だ。ちょっと力を入れれば死ぬし、弱いくせに自分たちが一番だとおもってやがる」
吐き出すような言葉でも、少女はそれをすべて受け入れる。
「ヨウゼン……疲れておるか?」
「君は関係の無いことだ。君は黙って僕のいうことを聞いてればいいんだ」
終わらないこの夢は本当に夢なのだろうか?
自分は封神計画の遂行者として動いていたはずなのに。
「君だってここにいたほうが幸せだろう?」
たとえこの部屋だけが世界でも、箱庭の幸せには十分すぎた。
それでもこの幸せが長く続かないことも自分が一番に知っている。
「ヨウゼン」
「なんだい?」
「真実を告げようか……わしもおぬしも……封神計画に身を置くもの……」
その瞬間に絵画を引き裂くように空間が崩れ落ちる。
「ヨウゼンっ!!」
手を伸ばしても彼の姿はすでに無く、ただ暗闇が広がるだけ。
(そうか……わしは太極図にためされておるのだな……)
膝を抱えて瞳を閉じる。
太極図が自分を認めない限りこの淫夢は終わらないのだから。





「……ッ……」
ちくん。胸に刺さる小さな痛み。
「普賢?」
「ううん……なんでもないよ。気にしないで」
自分で自分を抱くようにして、呼吸を整える。
(望ちゃんに何かあったのかな……)
腹部を摩って気持ちを落ち着けて。頭の中で断片的になっている思考を組み立てなおす。
たった一つの真実のために。
「道徳」
「ん?」
「なんだか怖いよ……ぎゅって……して……」
不安なのは自分も彼女もきっと同じ。
この世界に魅入られてしまったときに定まった天命。




終わらない夏の夜の夢。
熱い身体を抱きながら一人で眠るだけ。





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13:14 2006/02/07

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