◆咲き乱れよ乙女たち〜太公望編〜◆






泥酔した体が三つ。
まるで死体のように床に転がっていた。
「あ〜……喉痛ぇさ……」
深酒と煙草で掠れた喉の痛みに天化は台所に足を向ける。
(……師叔にも水もっていってやるさね……)
来た道を戻り、扉に手を掛ける。
「……何やってるさヨウゼンさん……」
「なんだ、戻ってきたんだ。てっきり潰れてるかと思ったのに」
太公望の上に被さりながら、ヨウゼンは窮屈そうに張り付いている道衣に手を掛けていた。
程よく浮かんだ汗が彼女の身体の線を露にしている。
宝剣を手に取り、ヨウゼンの喉元に突きつける。
「離れるさ、ヨウゼンさん」
「君とは一度きちんと話をしておかなきゃいけないと思ってたところだしね」
三尖刀を構え、二人は向かい合う。
ばちばちと音でもしそうなほど視線がぶつかり合い、お互いに間合いを詰めていく。
「…ぅん……っ……」
余程熱いのか、無意識に指が衣類の紐に掛かる。
「師叔、熱いさ?」
「…ん……」
「しょーがないさ、ほら」
慣れた手つきで張り付く肌着を脱がせる。微かに香油の香り。
「呑みすぎさ、好きなのは分かってるから」
「天化君、師叔から手を離しなさい」
「ちょっと待つさ、このままだとこの人多分……暴れるさ。少し冷ましてやらないと……」
天化は何度か太公望の酒の相手につき合わされている。
その前歴から考えての行動だった。
「ちょっと前にお城の欄干壊したのも師叔さ」
「あれは師叔だったのか……」
「それと壁に大穴明けたのも」
胸に抱えるようにして天化は太公望を自室へと運んでいく。
「一時休戦。師叔のほうが心配さ」
「確かに。一時休戦は受け入れるよ」
寝台に降ろすと小さな寝息が聞こえる。
満足気な笑みと染まった頬。これが軍師の姿と誰が思うだろうか。
取れかけたさらしからこぼれそうな形の良い乳房が二つ。
「っしょっと……これで大丈夫さ」
窓を開けて、酔い冷ましの香を焚きつめる。清浄な香りが部屋を包み、ほんのりと染めていく。
「珍しいものを持ってるんだね」
「まさか。これ普賢さんのさ。コーチが泥酔した時に使ってるみたいさね。あの二人はなんだかんだ
言いながらいっつも一緒に居るさ。こことかも掃除してくれるし」
男二人、寝台に腰掛けて。
「うちの師匠も普賢さまのことは気に入ってるみたいだけども……」
「普賢さん可愛いから。でも、普賢さんに手ぇだすとコーチに殺されるさ、ヨウゼンさん」
「いや、それやったら君のところの師伯だけじゃなくてうちの師匠も敵に回すことになるから」
道徳真君と玉鼎真人。
動と静。行動派と知性派。肉体と頭脳。
まったく正反対の二人が一人の仙女を取り合ったのは崑崙でも話題になった。
そして普賢真人を知るものは殆どがその結末に驚いたものだ。
どう考えても不似合いな二人が一緒に居る。
振り回したり振り回されたりとそれはそれで話の種になるのだが。
「普賢さんの趣味って分かんないさね」
「君密かに自分の師匠のこと馬鹿にしてない?」
「そーゆー意味じゃなくてさ、普賢さんって結構変わってるから」
「そうなのかい?」
「甲斐甲斐しくコーチの世話したかと思えば太極府印でぶっ飛ばしてたり。この間は核融合食らったって
コーチ言ってたし。ある意味師叔よりも手強いさ。剣術も結構いい線行ってるし」
「僕が師匠から聞いてるのとは随分違う感じだね」
玉鼎真人の言う普賢真人は常に冷静で穏やかな笑みを浮かべている。
崩れることの無い理念と理性。崑崙の重要計画を担う姿。
「もっと物静かでおしとやかな人だと思ってたんだけど」
「いーや。あの二人の喧嘩は恐くて見てられないさ」
「喧嘩?あの普賢様が?」
「あのヒトみたいな人にはコーチくらい頑丈じゃないとダメらしいさ」
煙草に火を点けて天化は眠る太公望の髪を撫でた。
「こっち帰ってくるたびに普賢さんのもの増えてるし。玉鼎さんにあきらめたほうがいいって言った方がいいさ」
「うちの師匠はそう簡単に諦めないタイプだよ」
「ああ、ヨウゼンさんと一緒さね。しつこいってやつ」
「……なら君も道徳師伯と同じく猪突猛進型だね」
ぱたんと寝返りを打つ音で我に返る。
半分取れたさらしと前垂れから覗く腿の白さ。
伸びた脚と敷布を軽く握る指。
「なんつーか、やらしい格好さ……」
「確かに……なんともいえない」
「いっそ全部脱がしたほうが楽さね、師叔……」
さらしに手をかけて解いていく。ぷるんと形の良い乳房が外気に触れる。
その感覚に身を捩り、両腕で抱きしめるように胸を包んだ。
「そんじゃ下も……」
「天化君!」
「ヨウゼンさんは嫌いさ?だったら見なくてもいいさね」
「そうじゃなくて寝込みにそんなこと……」
「師叔結構こーゆーのも好きさ」
脱がしながら開いた唇をぺろりと舐める。
「師叔、起きるさ〜。起きないと悪戯するさ」
「……ん……」
「一応断ったから大丈夫さ」
けらけらと笑う天化にヨウゼンは頭を抱えた。
「隣空いてるからヨウゼンさんそっちで寝てていいさね」
「誰が師叔を好きにしていいって言った?」
「じゃあ、三人でもいいさ」
天化は軽く太公望の身体を揺らす。
「師叔、ヨウゼンさんも悪戯したいって言ってるさ」
「……ふ……ぅ……」
「いいって言ってるさ」
(天化君、それ絶対に違う。違うけれども……この話乗った!!!)
「まぁ……合意の上なら……」






男二人、女の身体を抱き起こす。
しっとりとした肌に指が落ち、前後から弄って行く。
「……ん……」
ちゅっ…と乳房に口付けて舌を這わせたのはヨウゼン。
「師叔……」
耳元に息を掛け、耳朶を噛むのは天化。
背中の線をなぞって時折吸い付く。
「…っ…!!な、何をしてるおぬしらっ!!!」
「悪戯。さっき聞いたら師叔いいって言ったさ」
「言うか!!離れろっ!」
「嫌さ」
「嫌です」
深酒が祟ってか身体に力は残っていない。
「やめ……っ……」
天化の指が腰骨に触れ、軽くなぞる。
「……や…ぁ……」
「嘘。いつもこーすると喜ぶクセに」
「…んっ!!」
「耳とかも好きさね、師叔……」
軽く唇が触れて、掛かる息。
「あ!やっ!!」
膝立ちにさせて両手で包む込むように乳房を抱いて、舌先で舐め上げる。
「ヨウゼン!!」
「僕もあなたから許可は得たつもりですよ?」
力では勝てない相手二人。打神鞭を取ろうにも力は抜けきっていた。
顎を取られて、唇が塞がれる。
「……っ……ふ……」
少し浮いた肋骨を舐めて、唇はなだらかな腹部に吸い付く。
柔らかさと甘さ。
「あっ!!!」
一方を引き離そうとすれば、もう一人が身体を弄る。
ヨウゼンの舌先が入り口を舐め上げ、天化の唇が首筋を吸い上げた。
「ひ……ぁっ!!!」
口元を手で押さえて、声を殺そうとする。
その手を背後から、天化の手が引き離した。
「ダメ。聞かせて」
入り込む舌が、口腔を蹂躙する。ぴちゃりと音を立てて唇が離れた。
「やぁっ……やめ……!!……」
震える膝は今にも崩れそうで、身体を支えるのがやっと。
「あ、んん……ヨウ…ゼン……ッ!やめ……!」
秘裂を摩っていた指を内側にゆっくりと侵入させる。
まだ、濡れきってないそこは入り込んでくる異物を排除するかの様に狭く、きつい。
つぷ……離れて僅かに濡れた指先がその上の敏感な部分をくちゅ、と開いて擦り上げる。
「きゃ……あ!!!」
親指と人差し指できゅっと摘み上げるとびくりと大きく跳ねる細腰。
「や、やぁ……ッ!!!あんっ!!」
「ああ、やっと……濡れてきましたね……」
こぼれだすぬるついた体液は女特有の甘さを生み出す。
普段は女を徹底して排斥している太公望から。
「……師叔、オイタしちゃあ、ダメさ」
ぷるぷると揺れる胸を弄っていた指を離す。
「悪い子はお仕置きされるさね?」
引き出しの中から取り出したのは練り状の薬らしきもの。
たっぷりと掬って、窄まりに擦り込む。
「て、天化っ!!」
「だから、悪い子にはお仕置きさ。望」
バンダナで後ろ手に一括りに縛り上げる。
前後を同時に攻め立てられ、粘膜越しに摩られる感触に震えが止まらない。
「さっすがコーチ。面白いもの隠してるさね」
指は休むことなく慣れないそこを受け入れることが容易になるようにやんわりと刺激する。
ぺろり、と乳首を舐め上げていた舌先がその周辺を焦らしながらちろちろと這い回っていく。
「道徳さまが?」
「大方普賢さんに使おうとして、思いっきり怒られたってとこさね。それか意外と二人で楽しんだかな?」
天化は太公望の耳元に息を吹きかけて、そっとその柔らかい耳朶を噛んだ。
「知ってるさ?紫陽洞(ここ)には遊び道具はいっぱいあるって……」
それが子供の玩具ではないことは容易に想像できる。
道徳真君の同期はあの雲中子と太乙真人なのだから。
「あ!や、やめ……ッ!!!」
何度も薬を擦り込まれて、段々と内側が熱くなってくる。
胸も、首筋も、濡れた秘所も、充血して敏感になった突起も。
全てを一度に攻められて、意識が弾け飛ぶ。
「ッッッああっ!!!」
こぽり、と音を立てて体液が入口から止め処なく溢れ出す。
「ひぅ……は……ッ……」
ぜいぜいと肩で息をして、だらりと力の抜けた身体を天化が支える。
「もうちょっとしたら、コッチも効いて来るさ……」
ぺろ…耳の裏を舌がなぞっていく。そのまま息を吹きかけて、細い背中に身体を密着させて揺れる乳房を鷲掴みにする。
そのまま、きゅっと摘むと面白いように返る反応に天化は小さく唇を舐めた。
「……天…化……?」
怪訝そうに覗き込む顔。
「あのコーチがただの潤滑剤なんか置いとくわけないさね、師叔……」
天化の掌の上、ころころと小さな箱は転がっていく。
それを受け取るとヨウゼンも興味ありげに蓋を開いた。
とろりとした、半透明の練り状のそれは指で掬えば形が壊れてしまうように柔らかい。
「ひぁ!!やめ……ッ……!」
指先に絡めて、一番奥のほうまでたっぷりと飲み込ませる。
ちゅるっと抜けた指は更にそれを濡れて痺れたままの肉芽にも余すことなく。
「!!!!」
飲み込まれそうな快感の波に、ぎゅっと唇を噛む。
それでも、溢れて止まらない愛液は腿を濡らしてまっさらな敷布に沈んでいく。
「あ……は…ァ…!!……!」
抵抗しようとしても、手は後ろに縛られ自由が利かない。
もどかしげに指先だけが宙を掴むだけ。
「……や……ヨウ……ゼ…!!」
名前を呼ぶ唇を天化が塞ぐ。
舌を吸い合って、何度も何度も、絡めて。
吐息交じりに離れると、ぴちゃ…と糸が繋いだ。
「俺っちのこと、忘れちゃダメ」
「…ッは……天…化ぁ……っ…」
ぐ…と胸が敷布に沈むように体勢を変えられる。
膝と顎先で身体を支え、太公望は背後のヨウゼンを見やった。
「もうそろそろ……いいかな……」
「!!」
ずる…と入り込んでくる感触。
腰を押さえつけられて、身動きすらもかなわないままに最奥までしっかりと飲み込まされ、強く打ち付けられる。
ふるふると揺れる二つの乳房を荒々しく掴まれ、指先がその先端を摘む。
「ひぁ……ッ!!あ!!あ…う…!!」
くい、と顎を取られて天化が笑う。
ぱらり…拘束されていた手を自由にすると、その手を取って自分のほうへと。
「師叔、触って」
熱くなって立ち上がったそれに指を掛けさせる。
「んー……やっぱ、舐めて」
舌先が下から上に舐め上げて、時折軽く唇だけで挟むように甘く噛む。
ぴちゃぴちゃと舐め濡れた音。
形を確かめるように舌は丁寧に這いまわり、指先はその下に掛かる。
やんわりと揉みながら唇は先端を吸い上げていく。
「……ッ…もっと、唇も使って…っ…」
「!!」
後ろから突き上げられて指先が震える。
「よそ見しちゃ、ダメさ。ほら……」
促されて、目を閉じる。
ちゅるっ…小さな唇が咥え込んで上下していく。
その度に上がる音に答えるかのようにヨウゼンは太公望を後ろから攻め上げていった。
「ヨウゼンさん、あんま強くすると師叔ちっさいから壊れるさ」
「いや、平等にいい思いさせてもらいたいからね」
(……勝手なことを……わしの意思は関係なしか……)
「師叔、手がお留守さ」
指を掛けなおして、やんわりと扱きながら上下させる。
増して行く硬さと熱さ。
「……ふ…ぅ……っ……」
根元まで咥えさせられて、眉を寄せる。
彼女が何かしら動きを見せるたびに、ヨウゼンは後ろから突き上げてくるのだ。
「……っ…望……」
「!!」
口中に吐き出される勢いとその感触に唇を離そうとする。
それをさせまいと頭を押さえつけられて飲む込む様にと天化は太公望に囁く。
「……っは…あ……」
ごほごほと咳き込みながら、飲みきれずに零れた熱は唇を伝って鎖骨と胸を汚していく。
「そんな恐い顔しないさ、望」
太公望の手の中で、天化のそれは再び硬さを取り戻し始める。
「ヨウゼンさん、ちょっと体勢変えて」
「そうだね」
ぐったりとしている太公望の身体を起こして、繋ぎ直す。
ぷるんと揺れる乳房に吸い付いて何度も甘く噛み上げていく。
「あァんっ!!」
「随分と甘えた声ですね……師叔……」
自分の上に乗せて、腰を抱いて何度も下から突き上げて。
がくがくと震える膝と、ぬるぬるとこぼれだす半透明の体液。
じゅぷじゅぷと繋がる音が耳を何度も侵していく。
「…ひ…ぁ……ッ…ヨウ……ゼ……」
口元を押さえる手を取って、ヨウゼンは太公望の身体を引き寄せた。
ぐっと繋がりが深くなって空いた手が腰を抱き寄せる。
「んじゃ、俺っちもそろそろ混ぜてもらうさね」
「!!」
前後を深く貫かれて、小さな悲鳴が上がる。
「……っは……!!…や…ッ……」
小さな肩を震わせて、逃げようとしても自らの体重で一層深く繋がってしまう。
「あ、んんっ!!や……あ!!」
両手を取られて強く引き寄せられ、前のめりになりそうな身体。
後ろからは天化が両方の乳房を掴み、時折その先端をきゅっと摘んでくる。
「!!」
湿った音と、喘ぎ声。吐息と、弄る手の感触。
(……何故、わしがこんな目に……っ……)
理性とは裏腹に、身体ばかりが熱くなっていく。
(……中で……擦れて…っ……)
小さな身体は男二人に嬲られ、しっかりと貫かれている。
逃げる方法は唯一つ、終わらせることだけ。
ただ、それはこの二人に通用するものではなかった。
「やっ!!!」
ヨウゼンの指先が濡れきって敏感になった突起を擦り上げる。
その度にきつい収縮が二人を襲い、より一層、彼女への攻めが激しくなっていく。
(……こんな……どうにかなってしまう……)
何度も先端まで引き抜かれては、奥まで進入してくる熱さ。
「あ、あああぁッッ!!!」
びくびくと痙攣するして崩れる身体を受け止めて、目の前で揺れる乳房にヨウゼンは唇を当てた。
「…ひ……ぅ…ん!!……」
「……師叔、もうイッちゃったさ?」
顎先を取って、ぺろ、とその喉元を舐められる。
「んじゃ、次は俺っちたちにイイ思いさせて……」
何度も腰を抱かれて、性感帯全てを一度に攻められては意識が薄くなっていく。
その度に引き戻されて、鳴かせられ、求められる。
吐き出された熱い体液が、あふれ出しては腿を汚していく。
(……内側が……溢れて……止まらない……っ…)
突き上げられるたびに、内壁越しに擦り上げられその度に太公望の身体は男二人を締め上げていく。
「あぁんっ!!!」
「そんなにいいですか?師叔……」
指先を舐めてくる舌先。
「師叔はこういうの、好きさね」
耳をぱくりと噛んでくる唇。
体中に付けられた情痕は、白と赤の対を成す。
「!!!!!」
一際強く一度に攻められ、がくりと崩れる身体。
意識はそこでぷつりと切れて、熱い身体だけが残された。






「……ぅ……」
のろのろと重い身体と痛む頭を抱え、太公望は自分の両隣で眠る男二人を見る。
よほど満足しきったのかぐっすりと寝付いて起きる気配は微塵もない。
気付かれないようにそっと抜け出してずきずきと痛む腰を叱責しながら浴室へと向かう。
「気持ち悪くて……かなわぬ……」
未だに足を踏み出すたびに、ぬるぬると内腿を濡らす体液の感触。
(あやつら、好き放題にしおって……)
熱めの湯は身体を癒し、疲れをゆっくりと奪っていく。
「……?……」
陶器の小さな器に盛られた丸い香玉。
(普賢のだな……一つ拝借させてもらうぞ……)
ぽとん、と湯船に入れればそれは瞬く間に湯の色を薄い桃色に変え、甘い香りを醸し出す。
(まったく……酒の席の事とするにしても、度が過ぎるわ……)
頭まで湯の中に浸かって、太公望は耳を塞いだ。






「お目覚めのようだな、御両人」
その声に男二人はゆっくりと振り向く。
道衣姿ではないが、すっかりと着替えた太公望が打神鞭片手に穏やかに笑っている。
(……まずいさ……やっぱやりすぎたさ……っ?)
ちらりとヨウゼンに目線を投げれば同じように返される。
無体をした後の太公望の笑みはある意味死に直結すると考えても良いのだ。
くるくると小さな風が太公望の長い黒髪をかきあげていく。
「言い残すことは、無いか?」
「師叔、落ち着くさ!!話し合いって大事さね?」
「何事にも限度があるが?」
「太公望師叔、昨日は貴女も楽しんで……」
「ぬしらの方が数倍楽しんだであろう?」
細まる目と、笑う小さな唇。
その笑みの妖艶さに目を奪われ、呼吸が止まる。
「この……痴れ者共がっ!!!!」
打風刃が二人を襲い、室内を縦横無尽に走り回った。





普賢の心配は現実となり、翌日頭を抱える道徳真君の姿がそこにあった。
西岐に戻ってからも暫くの間は自室には頑丈に施錠を施し、太公望は安眠を得ることに。
邸宅の再建にはもちろんヨウゼンと天化がしっかりと使われたのはいうまでもない。


『教訓:酒はほどほどに』



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