◆FANNY BERRY◆




それは食料調達で立ち寄った島での出来事だった。
まぁ、俺は当然料理人として材料調達をナミさんから一任されてるわけだ。
この島はどうやら秋島の一つらしい。
ログがたまるまでは約一週間ってとこだって言ってた。
だから、早々に注文は済ませて現地のいい女と珍しい食材でも捜そうかとこうして歩いてる。
石畳と煉瓦で構築されてるこの小さな街は中々に風光明媚だ。
さぞかしお姉ちゃんと美味いもんもあることだろう。
「ちょっと、そこ行くお兄さん」
んあ?ばーさんが俺を呼んでる。
参ったね、オールマイティーに愛されてるってか?
「どうだい?何個か買って行かないかい?」
籠の中には様々な果物。この島の名産物らしい。
「できれば出向前に積み込みたいんだ。でも……悪くない品だ」
ん?この微妙に翠と黒が混じったような色の果物。
多分、いや絶対にこれは喰ったらやばいだろうよ。
でもよ、俺って根っからの料理人なんだよなぁ。
しかも、今日から出向までの残り三日は自由行動でなんだぜ。
まぁ、一日くらい腹下して寝こんだって……嫌だけどよ。
でもよ、それくらいに試してみたいって感じのする果物だったんだ。
「ばーさん、これと、これ。それからそっちも。港に止まってる船まで三日後の朝持って来てもらえるかい?
もちろん先払いするよ。そん代わり一番上手い奴にしてくれ。淑女のデザートになるやつらだからさ」
ばーさんはスゲェ嬉しそう。
「あんた海賊かい?死んだ夫もそうだったよ」
「んー、いや……俺はただのコック。今乗ってるのが海賊船ってとこさ」
「三日後の朝ね。分かったよ。一番いい奴を持って行くさねぇ」
「それとさ、これも一ついいかな?」
おれが取ったのはもちろん件の果実。
「おまけでいいよ。紛れ込んだものみたいだし」
手付金を渡して俺は宿までほんのりと甘苦いそれを齧りながら向かっていった。




変に眠くなってだらだらとしてらいつの間にか寝ていたらしい。
少し重い身体を起こす。
なんだか胸が重てぇんだが……って胸!!!胸ェ!!!???
思わずジャケット脱いでシャツのボタンも一気に外す。
「な、なんなんだ〜〜〜〜っ!!!!!????」
お、俺に胸が出来てる。しかも、結構いい大きさだ……ナミさんまでは行かなくても。
片手でもって余る位だからな。
条件反射でズボンの中に手を入れてみる。
「ってやっぱりこっちもかよ〜〜〜〜っ!!!!!」
そこに在るはずだった俺のマグナムは無くて、まったく別のものの感触。
まずは落ち着け。こうなったのは何が原因だ?
どう考えたって考えなくたって俺にはあの果物しか思いつかねぇ。
(まずいな……どうにかして元にもどらねぇと……)
状況確認のために風呂場にある鏡に全身映してみる。
金髪にアイスブルーの眼。巨乳……までは行かないけれども男にとっちゃ手ごろでいい大きさの二つの乳房。
それにこのウエストラインはどうよ?自分じゃなかったら押し倒したいくらいだぜ。
シャツを着こんでジャケットももちろんだ。なんつってもブラなんてものは持ってないからな。
空は紫紺。時間はジャスト七時。
姿を隠すには手ごろな時間だ。
まずはこの邪魔な胸を何とかすべく下着買うのが先決だな。



カーニバルの最中、人込みを掻き分けて目的のものをとりあえず入手。
フィッテングもしてもらって……可愛い子だったなぁ。名前だけでも聞いておくんだった。
見立ててもらったのは黒にブルーのレースの入ったちょっとばかりキワメな物。
半分は俺の趣味だが、あの可愛い顔してこんなん好きってもいいよなぁ。
戻ったら誘ってみるか。
問題はどうやって戻るかだな。
私的な見解としちゃ、食物なんだから消化されれば理屈の上じゃ戻るはず。
それまであの馬鹿共から逃げとおすしかねぇな。こんなん見つかったら何されっか分かったもんじゃねぇ。
特にマリモ。あいつはムッツリだからな。
こんな時の煙草って上手くないんだよな……やるせねぇ。
美女わんさか居るのに声も掛けれないとはサンジ様の名が泣くぜ。
しかも、声を掛けられる立場と来たもんだ。参った。
振り切って来た道を戻りながらぼんやりとしてた所だった。
「イッテェ!どこ見て歩いてんだよ」
「ああ、悪ィ。怪我は無い?お嬢さん」
その声で俺は相当間抜けな顔をしてたかもしれない。
(げっ……ポートガス・D・エースッ!!!)
テンガロンハットとマントで完全武装の姿。こいつも会いたく無いリスト上位の男だ。
「埋め合わせに飯でもご馳走しよっか?」
「じょ、冗談じゃねぇ!なんで俺がエースと飯食わなきゃなんねーんだ。第一俺はコック……」
全部言い終わらないうちに俺の首にナイフの刃先の当たる感触。
「ここは海軍の管轄下じゃない。なんで俺の名前知ってんだ?答えによっちゃこのまま刺すぞ」
「……前に会ったことがあるからだよ」
「俺は覚えがないね。それに、女の顔と名前だけは忘れない性質なんだ」
きりり、と刃先が首に沈む。薄皮一枚が切れる感覚と血が滲むのが分かった。
「何者だ?お前」
あー、もう!こうなりゃやけだ!!!
「……あんたの弟の船のコックのサンジ様だよ」
「はぁ?サンジは男だろ。見え透いた嘘は……」
エースはそう言い掛けて口を閉じた。一人でうんうん唸ってる。不気味な奴だ。
「お前もしかしてこういう果物食ったか?」
その説明はまさしく俺が食ったあの果物の形容で。
「ぎゃははははは!!!こりゃぁいい!!お前サイコー!!!」
「うっせぇ!!どうやったら元に戻るんだよ!!!」
「ちょいと解毒の果物が要るわけよ。付いて来るか?まぁただじゃやれねぇけど」
嫌ーな予感はあったんだ。俺がこいつの立場で、相手が可愛いなら絶対に同じことやる。





「さて、味見させてもらうとすっかな」
嬉しそうに笑う顔。うわ……マジにむかつくぜ。
大体俺は男だ!!つってもこの誘いに乗ったのも紛れも無くこの俺。
だってよ、「女は男の倍以上にいいんだ」なんで言われてみろよ。
試したくなるってモンだろ?
「意外といい趣味してんじゃん」
フロントホックを外されて、ぷるんとした胸が露になる。
うわ、マジで逃げるに逃げられねぇ。
ちゅっ……と唇が触れて軽く噛まれる。
「……っは……」
そのまま舌先が回りをなぞって、さっきよりも少し強く吸われた。
「!!」
自分でも身体が竦むのが分かる。
交換条件はSEX一回で解毒剤の材料一つ。元に戻るには背に腹は変えられねぇ。
「……っあ……ぅ……」
くすぐったい様な、奇妙な感じ。
かり、って噛まれて腰に手が回ってくる。
軽くキスされてから、唇を割って舌が入り込んできて絡まって……吸われる。
(……やべぇ……こいつ……慣れてるっ……)
女になってみて初めて分かった。
キスだけでもダイレクトに腰にクル。それくらいイイ。
ぴちゃぴちゃと吸い合ったままズボンごと下着も全部剥ぎ取られた。
「なぁ、痛いのと痛くねぇのとどっちがいい?」
「……んあ……?」
「記念に残る方なら、痛いほうが記念にはなるけど?まぁ、生爪はぐような感じらしいぞ」
じょ、冗談じゃねぇ。そんな痛ぇことはまっぴらごめんだ。
「痛くないほう……」
「んじゃ、口開けて」
やけに苦い薬を飲まさせて、口移しで水が入ってくる。結構べたなこと好きなんだろうな……。
だんだん身体が熱くなってくるのが分かる。
……って、おい、これって……何のクスリだ!!??二枚にオロスぞ!!
「……んあっ!!」
ヤバイ……ちょっと胸吸われただけでも……腰にクル。
舌が這い回るたびに上がる声に段々意識が薄くなっていく。
「……っは……ん!!」
鎖骨、胸、親指。全部噛まれて舐められて、自分が本当に女の身体なんだと実感させられる。
ちょっと触られただけでも、掠められただけでもこんな風に感じてしまう。
「!!!」
やば……十分濡れたソコを舐められて、俺の意識は半分飛んだ。
「っは……ああんっ!!!」
腰を抱かれて、逃げられないように。
そのまま舌が内まで入ってくる。
じゅるっ……そんな音が耳に響いて、自分がどんな格好なのかなんて気にしてられない。
「ああああっ!!!!」
……女のイクって、こんないいもんなのか?
ナミさん、ちょっとだけずるくないかい?
「どうよ、女って?」
「……サイコー……」
「んじゃあ、俺にもおすそ分けして」
ず……と入り込んでくる感触。
「……っあ!!」
頭を抱えるように押さえ込まれて、逃げるに逃げられない。
薬の効果で痛みはないけれども、打ち付けられる感覚と腰に響く妙な疼き。
ぐいぐいと突かれて、勝手に腰が動く。
「……っは……んんっ!!!」
「……もうちょっと……力抜いてくんない?」
「……?」
「……結構……キツい……」
真顔でそんなことを言ってくるこいつがどっかしらいいと思っちまうのはきっと身体がオンナになってるからだ。
シーツに当たるのは頭と肩だけ。
「…ひ……ぅ…!!……」
噛み合う様なキスしあって、舌、吸い合って。
頭の中真白になるくらいに、抱きあって。
ああ、もう……どうにでもなってくれ。いいもんはいいんだよ……。
「あああああっ!!!!」
一際強く突かれて、腰が砕けそう。
「……っ……サン……ジ…っ…」
そのまま、俺はブラックアウト。後のことは憶えてねぇ……。



目が覚めると、隣でエースが寝てた。
いや、正確に言えば俺は奴の腕の中で寝てたわけで。
……意外とちゃんとした顔の造りなんだな。もっとぼんやりしてる奴だと思ってた。
まぁ、背中にあんな物騒なもん背負ってる奴が穏やかなわけはない。
それでも、こいつの結構広い背中にしがみ付いてるのも悪くはないって、ちょっとだけ思ったのも嘘じゃない。
ちょっとだけだ、気の迷い。身体が女になってるからだ、きっと。
材料全部そろえるにはまだまだ回数が足りない。
元に戻らなゃ、不都合なことも沢山あるんだ。
……疲れた。腰は痛ぇし、腹の中、なんか引っかかる感じもする。
考えるのは後回しにして、寝ちまおう。
こいつが起きてから、色々またあるんだろうし。


なぁ、誰か教えてくれよ。
俺の明日はどっちだ!?
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