戦略的環境アセスメントに関する環境省の取組
西久保 裕彦 環境省総合環境政策局環境影響評価課
1.戦略的環境アセスメントの意義
(1) 意思決定のグリーン化
(2) 事業実施段階での環境アセスメントの限界を補完
2.環境基本法及び環境基本計画
(1) 環境基本法第19条
国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。
(2) 環境基本計画におけるSEA
上位計画や政策における環境配慮のあり方について、現状の課題を整理した上で、内容、手法などの具体的な検討を行うとともに、国や地方公共団体における取組の実例を積み重ね、その有効性、実効性の検証を行います。それを踏まえて、環境配慮のあり方に関するガイドラインの作成を図ります。このような検討や取組の状況を見つつ、必要に応じて制度化の検討を進めます。
3.諸外国の状況
(1) 主要国
米国、カナダ、オランダ等では、既にSEAについての制度が存在する。
(2) SEAに関するEU指令
EU指令:一定の計画及びプログラムの環境に及ぼす影響に関する2001年6月27日の欧州議会及び欧州理事会の指令
○加盟国(15カ国)及び加盟申請国(10カ国)に対し、2004年7月までの国内法令措置の整備を求める。枠組み法の性格。
○対象:政策は対象外。農業、林業、漁業、エネルギー、工業、交通、廃棄物処理、水管理、都市・農村計画などの計画・プログラムを対象。
○手続き:計画・プログラムの策定手続きに統合するか、独自の手続きとするかは各国の判断。環境当局、公衆の意見聴取有り。
○意思決定情報の開示:環境報告書、意見がどう考慮されたかの説明、代替案に照らして採択された計画等の採択の理由などの意思決定情報の開示。
4.我が国における検討状況
(1)環境省
@ 戦略的環境アセスメント総合研究会報告(平成12年): SEAの原則の提示
A 廃棄物分野における戦略的環境アセスメントの考え方(平成13年)
B 海外における戦略的環境アセスメントの技術手法と事例(平成13年)
C 国際シンポジウムの開催(平成15年)
D一般廃棄物処理計画SEA試行ガイドライン(平成15年)
E効果的なSEAと事例分析(平成15年)
F 廃棄物処理施設整備の構想段階におけるSEAケーススタディの検討
(2)国レベルにおけるその他の取組
○「河川事業の計画段階における環境影響の分析方法に関する考え方」の提言(平成14年12月)
○道路、港湾、空港等に関する市民参加(PI)のガイドライン
○その他、国際協力機構(JICA)や農業農村整備事業においても検討中
(3)地方公共団体の取組
○東京都:環境影響評価条例の改正
○埼玉県:戦略的環境影響評価実施要綱
5.戦略的環境アセスメントのポイント
(1) SEAはケース・バイ・ケース
(2) 計画策定プロセスとの調和が必要
(3) 必要十分な情報にとどめるべき
(4) 積極的な公衆関与がキーポイント
(5) 決定権者への情報提供が目的