主人公、いきなり死んじゃいましたけど。 ・・・まあ、どうにかなります・・・多分。 Double Helix第一話 - 生き返ったような話 -気がつくと私は真っ暗な部屋にいた。半ば眠った頭で周りを見渡すと、床にはなにやら妖しげな魔法陣。 あいにくとそっち系の知識はないので詳しくはわからないが、ぼんやりと光っている。私はその中心に座り込んでいた。 どうやらここは死後の世界らしい。にしても・・・まあ少なくとも極楽浄土に往生したようではないようである。 だってこの雰囲気は、どうしたって黒い・・・そう、黒魔術のようなものだし。悪魔にでも魅入られたのかもしれない。 生前の行動を考えると十分あり得る話だ。決して人に自慢できる人生を歩んできたのではないということは、自分が一番よくわかっている。 「気がついた?」 なんだか聞き慣れた声のこの場でありがちな台詞No.1に、この声は・・・と思いながらきびすをめぐらす。 はたして声の主はやはり志保だった。彼女を守って私は死んだ。・・・はずなのに。何でここにいるんスか? 真っ暗な空間の中で、彼女の足下だけが薄明い。それに、いつもとは何か・・・雰囲気が違う。そう、まるで客人を迎え入れた屋敷の主のような・・・ 彼女がこの空間の支配者のような気がしてきたのは、気のせいだろうか。 「ここは・・・?」 とりあえず、訊いてみる。 「ボクの部屋だよ。」 はい? 「で、キミが死にそうになったところを私が引っ張ってきたわけ。」 先生、話が見えません。 「うーん、つまりぃ・・・」 うんうん 「ボクはキミを私の使い魔にしようとしているのです。」 人差し指をピンとたてて、明るい声でさらりと言う。 いや、要約されてないしそれ。しかも使い魔? 「頭の弾痕は修復したんだけどなー。」 そんな人の頭を壊れてるみたいに言わないでください。たった4行の説明で分かれという方が無理ですヨ。 「えー、じゃあまずイチから、この世界のことから説明しよっか。」 最初からそうしてくださいよ・・・ 「世界には裏と表があるんだけど、キミが今まで暮らしていた世界ってのは実は裏なのです。表の世界の真似をして、神に背いたサタンの一族が作り上げた、穢れた魂の世界。 で、この部屋もそうなんだけど、ここは表の世界。太古の昔から神とその一族が住まう真の世界。ここまではおっけー?」 えーっと、とりあえずお前の絵が異常にヘタな理由からきこうか。 「マニアックなネタには突っ込まないよ」 ごめんなさい。てかこのネタを知っているとは・・・話が合いそうだ。 「で、ボクは表の世界の王家の長女。使い魔、っても実質結婚相手なんだけど、それを見つけに裏の世界に降りてたわけで。」 「人間から選ぶの?」 「表では子供は女の子しかうまれないの。だから人間の中の優れた男を見つけてきて結婚するわけ。まあ絶対的に女性中心の世界になってるから秩序は保たれてるし。」 なーる、って結婚相手!?しかも王族の跡継ぎ!? 「そ。名誉なことっすよー?」 何で私なんかが?もっとほかにもいたでしょうに。 少しためらうような仕草の後、 「守ってくれたとき・・・嬉しかったんだよ・・・?」 上目遣いで、ちょっとはにかむように赤くなる。 か、かわいい・・・ 「それはおいといて。」 一瞬にして軽いノリに戻る。これが伝説の秘技肩すかしか・・・ 「使い魔になるときに、たった一つだけ、力を得ることができるの。空中浮遊でもいいし、瞬間移動でもいい。黒魔術を使いこなせるように、なんてのもありだけど・・・」 一拍おいて、こちらを覗き込むように。 「キミは、どんな力がほしい?」 えーと、 「ちょっと考えさせて?急に決められるものじゃないし。」 「もちろん。あと1000年はその力で生きていくんだから、じっくり考えてもらわないと。キミは王家に仕えるようになる、ってことも忘れずにね」 何が必要だ?何を優先させればいい?落ち着いて考えろ。 あ。一個思いついた。でもこれありかな? 「じゃあ――――――― |