どんなに苦しくて眠れなくとも、朝は容赦なくやってくるものだ。

 寝不足の為の頭痛と戦いながら、なんとか一日の授業をこなした淳だが、だからといって悩みが解消されるわけでもない。むしろ働かない脳味噌のおかげで、ほったらかしになっている。

 夕食が終わり、部屋に戻れば観月はいなかった。時間をずらして入浴と食事をとったらしい。それでも就寝時間になれば否応なく顔を合わせる羽目になるのだが、その頃には完璧に立ち直っていた。

『先ほどは見苦しいところを見せてしまいました。ですが、あのようなことは二度とありませんので、どうぞ心配しないで下さい。別にたいしたことは無いですから』

 綻びひとつ見せない、昂然とした態度に救われたのは淳のほうだ。

 そして柳沢も変わらず、淳を見かければ何のわだかまりも見せずに話しかけてきてくれる。

 その度に逃げ出したくなった。

 恥ずかしい。あまりに幼い自分が至らずに恥ずかしい。

 せっかく話しかけられても、ぎこちない受け答えだけをして逃げ出す自分を果たしてどう思っているのか。気になったが、とてもじゃないが直接訊く勇気はなかった。

(同じクラスじゃなくて良かったかも)

 五時間目終了のチャイムとともに、だるさに負けて机につっぷす。観月や柳沢には弱っているところを見せたくない。

「――具合悪いのか?」

 低い声が頭上から聞こえた。
 ゆるりと視線だけを動かすと、赤澤が近くに立っていて驚く。

「今日の部活休むか? オレから云っておくけど」

 眉を顰めて、こちらを見下ろしていた。精悍な顔立ちに、切れ長の双眸。大人びた容姿に、そのような表情を浮べられると、同級生とは思えない威圧感がある。喋ったことがあまりないから、相手の思惑がわからず余計そう感じるのかもしれないが。

「大丈夫。出るよ、部活」
「そうか。まあ、無理すんなよ」

 ぽん、と肩を軽く叩くと、HRが始まるので自席へと戻っていった。

(変なヤツ)

 興味が無いのかと思えば、ささやかながらも優しさを示す。
 観月とは派手な云い争いをするが、それ以外に対しては飄々としている印象が強かった。
 赤澤はただでさえ高校生でも通じる体格に加え、友人がどれも似たようなすれた雰囲気の者が多い。高等部の上級生とタメ口で喋っていたのも見たことがある。

(恐いって云ったら悪いけどさ。ってかバネのほうがどっちかっていうと強面だし。でも、黙ってると何考えてるんだかわからないところが恐いんだよね)

 ぼんやりと、遠くの席にある広い背中を眺めた。

(赤澤が観月の疵のこと知ったら、どうするかな)

 自分じゃダメだった。自分では見て見ぬふりをするのが精一杯だった。
 だけどそれはきっと、観月には辛いばかりのことなのじゃないだろうか。

『――僕は、あなたと違って帰る場所が無いんです。ここで僕が媚を売る相手はテニス部員じゃない。学校なんだ』

 疵ついた。疵つけた。
 痛い言葉だ。言葉はとても痛い。

(オレがここにいる意味はあるんだろうか)

 昨夜から何度も繰り返した自問自答。

 答えを探そうするたびに、ずぶずぶと深みに嵌って出てこられなくなる。大体今まで、他人の人生に向き合ったことも介入したこともない。仲間とは、友人とは、一緒にいれば楽しくて、話しは尽きず日が沈むまで喋って遊んで、時にはケンカして、だけどどれも他愛も無いもので――。

 教師の話を右から左に聞き流していると、HRはいつの間にか終わっていた。急いで鞄を持って教室から出る。
 今日に限って赤澤が一緒に部活に行こうと云ってくるかもしれないと、何故だか思ったのだ。


 部室に走って辿り着けば、カギは幸いにも既に開いていた。入ると何名かが着替えている。
 通常ならば挨拶を欠かさずにいた淳だが、慣れない寝不足の上走ったことで息が上がってしまっていた。無言で部室に入ると、机の上にバッグを置く。

「――挨拶もなしかよ」

 悪意ある声音で咎められ、淳はしまったと周りに目を向けた。同学年でも観月と激しく反目しあっている蒲原、西川、安井が揃い踏みだった。刺のある視線を向けられ、げんなりとしながらも「こんにちは」と幾分強めに声に出した。これが相手の気分を損ねる原因となった。

「んだよ、その態度」
「観月といい、お前等といい。本当に補強組とかって最悪」
「大体お前等って本当に強いのかよ。赤澤より弱かったらイイ笑いもんだぜ」

 日頃の鬱憤を晴らすかのごとく、次々に嫌味を云われて閉口する。ここで問題を起こして、悩みを増やすのは得策じゃない。淳は黙って着替え始めた。

「無視かよ」

 返したら返したで文句を云われ、黙ってたら黙ってたで反感を買うものらしい。仕方なしに当り障り無く対応する。

「別に、部長は強いと思うけど、部長はシングルスでオレはダブルスだから」
「そのダブルス。見てて強いようには見えないのはオレだけかな」

 西川が鼻で笑い、その先を安井が次いだ。

「ラケットが悪いんじゃねえの? なんか汚い木のラケット使ってるだろう」
「ラケットは関係無いよ」

 感情が篭らないように、気をつけて言葉を紡ぐ。

「ねえ、一回ちゃんと見てみたかったんだ。見せてくれよ。手作りのウッドラケットって初めて見た。既製品とは違う形してるよな」

 ぐいと、小柄な蒲原が淳に迫った。淳は困惑する。本当ならば世界にひとつしかないラケットを他人に触らせるのは厭だ。けれどこれ以上の波風はごめんだった。

「いいよ」

 バッグからラケットを取り出す。三人はそれを手に取り、まじまじと興味深そうに見入った。何か悪さをする素振りはない。自分が穿ちすぎたことを恥、淳は制服を畳んでロッカーにしまった。

「これって誰が作ったんだ?」
「前の中学の顧問が、元ウッドラケットの職人だったんだ。ひとりひとりに合ったラケットを作ってくれるんだよ」
「へえ〜ひとりひとりか。いいなあ」
「ガット張りからグリップテームまで、持ち主の個性にあった仕様にしてくれるんだ。だけど、ガットはこっちに来て何回か切れちゃったから、こっちで張り直したんだけど」

 お陰で微妙に打球の感触が狂ってしまい困っている、という事までは話さなかった。本音を云えばオジイに張って貰いたいところだが、転校した自分が頼れるわけがない。自分でどうにかしなければいけないのだ。

「けっこう軽いな。もっと重いのかと思った」

 蒲浦がぶんぶんと振り回す。気持ちはわかるが、狭い空間で振り回していい物でもない。注意しようとしたら、案の定西川の肘に当たった。「いってぇ!」打ち所が悪かったらしく、感電したように震えて腕を振り払う。ラケットが飛んでいった。

「あ…っ」

 全員の視線がラケットを追う。方向からしてドアに当たって落ちるかと思いきや、間の悪いことに開いていた。開けていたのは赤澤で、突然飛んできたラケットに仰天して反射的に叩き落す。足もとに落ちたそれは、後ろにいた観月が――踏んだ。

 ボキッ。

 耳障りで痛々しい音が部室に響く。

 どう良いほうに解釈しても、無事とは思えない音だった。
 しん、と一同静まり返って、観月の足もとに注目する。
 観月は慎重に、足をどけた。一番近くで確認してしまった赤澤の顔が引き攣る。

「壊れてる」
「―――………」

 フレームのエッジ部分が割れて、細かい木片が散らばっていた。
 顔色を変えて、蒲浦が仲間を窺う。

「オ、オレのせいかな…」

 ラケットを結果的に飛ばした西川は首を振って「オレじゃないぞ! ってか、踏んだのは観月じゃん」と、指さした。

「ま、まあ落ち着こうぜ。ラケットって確か特待生だと学校側から金が出るんじゃなかったっけ?」

 隣で安井が慌てふためいて、責任逃れをしようとしている西川を留める。
 いまいち状況が把握できていない赤澤は、顔面蒼白で立ち尽くす淳と、周りにいた三人を困惑気味に目を向けた。

「これ、木更津のラケットだよな。なんで飛んできたんだよ。お前等何してたんだ?」
「や、その…。ウッドラケットが珍しいから見せて貰ってたんだよ。それだけで、別にわざとじゃ」

 補強組には厳しい態度の三人も、赤澤には疑われたくないのか必死に「わざとじゃない」と繰り返した。

「――謝るのはオレにじゃないと思うんだけど」

 冷たく赤澤が放つ。三人は迫力負けしたように、気まずい顔で互いを見ていた。

「謝るのは、踏んだ僕でしょう」

 観月がしゃがんで、ラケットを拾う。赤澤がその邪魔にならないようにドア前から離れた。

「すみませんでした、木更津くん。ただ――、形ある物はいつかは壊れるものです。ウッドは寿命が短い。木の弾力がなくなるも早いでしょう。丁度良かったんじゃないですか、きみにはきみに合ったラケットがありますよ」
「――観月」

 咎めるように、赤澤が名を呼ぶ。それを無視して、尚も観月は続けた。

「これまでのデータで、きみに合ったラケットの目途は立ててます。個人仕様で作られたラケットも使いやすかったものかもしれませんが、所詮は時代遅れのウッドラケット。このように壊れ易いですし、壊れたからといって修理をしてくれる方はライバル校の顧問でしょ? いつまでも頼れないんですから、やはり丁度良かったんですよ」

 淡々と語り終えると、最後はにっこりと笑った。
 西川が自分のことを棚に上げて「ひでぇヤツ」と小さく呟く。
 黙って聞いていた淳だったが、誰の話にも答えず赤澤に顔を向けた。

「――赤澤部長」
「ん?」
「オレ、やっぱり体調悪くて…。今日部活休むよ」
「そうか。保健室行くか?」
「ううん。寮に戻る」
「わかった。気をつけて帰れよ」

 何も云わず、何も聞かず。赤澤は淳のしたいように取り計らってくれた。口を挟もうとした観月を睨んで止めてくれたのもわかった。淳はそれを幸いと、バッグを担ぐとジャージ姿のまま部室から出る。ドア付近で観月と擦れ違ったが、顔をわざと背けたままにした。

 部室を出ると、他部員に見つかるのが厭で走り出す。

 部活動が必須の学院なので、下校する生徒のいない道をひたすらに走った。

 木々の多い街中。坂道、車の多い舗道。がむしゃらに走って、気づけば街中にいた。学生服やサラリーマン、奥様方で溢れた駅前は、有名な百貨店とその周囲に洒落た店が軒を連ねる、都内でもそれなりに名の知れた食のスポットだ。自然、集まる人間の数が違う。人混みを避けるようにして、淳は尚も足を進めた。

 初めて駅から先に出た。大きな橋を渡ろうかで迷い、結局渡らずに土手へと降りていった。

 視界が開け、眼下に多摩川が悠々と流れている。空はじょじょに西から茜色に染まり初めていた。

 川辺では母子が石を投げて遊んでいる。対岸ではランニングする者が後を絶たないでいた。
 白い野球のユニフォームを着た少年達が走りこみをしている。
 川に架かる橋に隣接し、鉄橋がかかっており、そこに銀色の電車が轟音を立てて渡った。

 淳は人目を避けるように、鉄橋下のコンクリートで固められた土手に座り込むと、バッグから携帯を取り出す。

 震える手で、通話ボタンを押した。

 呼び出し音に、心音が重なる。

(出て――…出てよ。今日は部活無いでしょう…。お願いだから)

 祈るように、携帯を両手で握り緊め、耳に当てた。

『どうした?』

 繋がった。

 途端、ぶわりと涙が溢れ出す。景色がぼやけて、慌てて下を向いた。

『おい、淳。淳だよな? お前暫くぶりにかけてきたと思ったらイタ電かよ』

 久し振り――、そうだ。長い間片割の声を聞いてなかった。だけど久し振りのような気はまったくしない。

 けれど――声を聞いた途端に、ただの子供に戻ってしまった。

「……亮ちゃん」

 嗚咽が漏れないように気をつけたつもりだが、それでも涙声はどうしようもない。

『泣いてるの? どうしたんだよ、淳。何があった』

 相手の声のトーンが変わる。怒ってる声だ。

「亮ちゃん…どうしよう。オ、オジイの…ラケット…壊れ、壊れちゃったよ」

 ボロリと尚も涙が零れた。コンクリートに黒い染みが増え、幼児のように泣きじゃくる。

「どうしよう…どうしよう…」
『ラケット壊れた? 壊されたのか?』
「ううん…、壊れたの。亮ちゃん…どうしよう。あれじゃもう直せないよ」
『うーん。新しいの作って貰えばいいんじゃないの。オレから頼んどくよ』
「だって…だって、オレ、もう、六角の部員じゃ…ないし」
『最初にラケット作って貰った時だって六角の部員じゃなかったろうが。小学生だったし』
「だけど…だけど…、オレもう。どうしていいのかわからない」
『ラケットのことだけじゃないんだろう? 何で泣いてんだよ』
「オレ、オレ、ここにいる意味あるのかな。ここにいて、いいのかな…。もう何もかも上手くいかなくて…」
『うん』
「もうヤダよ。逃げたい」

 誰でもない。亮だからこそ云える。
 亮は絶対に自分を軽蔑しないし、見捨てない。どんなに自分が悪くても自分の味方になってくれる。わかっているからこそ、漏れた泣き言だった。

『そっか』
「亮ちゃん、亮ちゃん…。今ひとりでどうしていいかわからないんだよ。来てよ、来て助けて」
『はあ? 今から? 無茶云うなよ』

 無茶はわかっている。わかっているからこそ、無理を押し通した。ただわがままを目一杯云ってみたかったのだ。

「来てよ! たったひとりの兄弟でしょ!」
『知るかよ。逃げたかったら自分の足で逃げてこいっつの』
「千葉まで走ってなんかいけないよ!」
『誰が走って来いって云ったよ。お前そっちで大分脳味噌傷んだな』
「酷い…見捨てるんだ。こんなに打ちひしがれている可愛い弟を見捨てるんだ」
『いや、別に可愛くないから。七分違いで弟主張するのも図々しいし』

 云いたい放題云えることが一番ストレス解消になる。どう云い返そうかと頭を捻ってると、頭上で大音響の鐘の音が響いた。

「わ…っ」
『? ……、……』

 何か亮が喋ったが、それさえ聞こえない。こちら側のスピーカーと、対岸のスピーカーが反響しあって凄まじい音なのだ。
 鐘の音は暫くして止んだ。

「びっくりした」
『どこに居んだよ、お前』
「多摩川。今五時のチャイムが鳴ったみたい」
『多摩川? 学校じゃないんだ』
「逃げ出してしまった…」
『多摩川のどの辺だよ。なんか今電車の音も聞こえてるけど』
「二子玉川駅の下。上にすぐ鉄橋がかかってるから」

 携帯で喋りながら、何の気なしに上を見上げる。鉄橋横の二子橋に目をやり、ぎょっとした。

 見知った制服姿の少年が、こちらに気づいて身を乗り出していたのだ。目が合ったとわかった途端「そこにいるだーね!」と叫んで、走り出した。こちらに来るのだろう。

「あ、ごめん亮ちゃん。またあとで電話する。ちょっと切る」
『え? おい、ちょっ』

 慌てて切ると、袖で目元を拭った。

「木更津!」

 土手の上に現れたのは柳沢だった。制服のズボンの裾が汚れるのも構わず、草の茂みを必死の形相で駆け下りてくる。

「柳沢…、どうして」
「どうしてじゃないだーね。って…泣いてた?」
「…っ」

 目元が赤くなっていたらしい。羞恥のために頬を染めて、顔を背けた。

「ごめん。その、なんていうか…。オレが部活に出たら、妙な雰囲気で…、壊れたラケット見つけてさ。それが木更津のだったから…。木更津いないし、どうしたのかなって聞いたら、具合悪くて帰ったっていうし…でも、寮に連絡入れても帰ってないって」

 しどろもどろと、要領の得ない説明だったが、概要は掴める。

「誰に…何て聞いたの」
「赤澤と観月。蒲浦と西川と安井が木更津のラケット放り投げちゃって、それを観月がタイミング悪く踏んだって」
「うん」
「わざとじゃないとは云ってたけど…」
「その場にオレもいたから…わざとじゃないのはわかってるよ」
「そっか。でも三人は罰としてランニング三十周させられてたぜ」
「え…、観月に?」

 思わず顔を上げて柳沢を見た。今度は泣き顔については何も云われない変わりに、ほっとしたように並んで腰をおろす。

「いや、赤澤」
「意外…」

 これまで赤澤が補強組側に立ったことはなかったはずだ。知らず漏らせば、柳沢は複雑な顔をした。

「赤澤は…微妙な立場だからな。オレ達のこと手放しで受け止めているのはアイツくらいだ。だけど、もしそれを表立って態度に示したら、オレ達に反感持ってる部員が辞めかねない。だから敢えて、時期を見計らってるんだ」
「そうなの…?」
「うん。そもそも、テニス部に補強組が入ったのは赤澤の為だって知ってたか?」

 首を横に振る。

「今年の夏に、都大会でテニスの名門校、青学の先輩と対戦して勝ったんだって。個人戦では全国まで行ったらしい。そこで学院側はテニス部に目をつけたんだ。ただでさえ強い生徒がいるなら見逃す手はないわな。補強してもっと強くすればいいって」
「そうなんだ…。知らなかった。強いとは思ってたけど」

 何せ観月が一目を置く相手である。バカ澤とこきおろしているわりには、練習試合などで穴が開くほど観察しているのを知っていた。

「赤澤も部を強くするのは賛成なんだ。でも、今まで一緒に部を支えてきた仲間をないがしろにしたくもない」
「赤澤くんって実は複雑な立場だったんだね。柳沢、その…よく話をするの?」
「よくってわけじゃないけど、委員会が一緒だし。それにウチのクラス赤澤の友人が多いから」
「オレ…知らないことばかりだな。情けない。自分のことで手一杯でさ。特待生のくせに甘えて…本当に情けないよ」
「そんなことない。木更津の技術は本当に凄いと思うし。さすが関東で1、2を争う六角中でレギュラーだけあるなって」
「やめてよ。オレがレギュラーだったのは…亮が…兄がいたからだよ」
「んなことないって! 何度もビデオ観て思ったよ。お前凄いテニスが好きなんだなって。試合の最中楽しくて仕方ないって顔だった。オレもそんな風にテニスを楽しみたいって……その、オレ頑張るからさ。お前のいい所ちゃんと引き出せるように」

 身を乗り出して、淳の手を掴んだ。豆だらけで、皮膚の厚い掌。

「頑張るから…」

 言葉を止めた先。

 ――辞めるなよ――。

 そう、耳に届いた気がした。

「って云うか、赤澤に云われたんだけど。オレ達の苗字って云い難いじゃん。名前で呼ばないか? 試合中、舌噛みそうになっちゃって」

 はにかんで、そう提案され、淳は目をしばたかせる。

「ああ、それわかる。オレも云い難い」
「じゃあ、淳って呼ぶから」
「ん…ねえ、慎也。さっきからいつもの『だーね』が出てないよ」
「え? あ、うん。だって、真面目な話だし」

 慌てふためいて、柳沢は顔を真っ赤にした。その様子を見て、淳の胸に温かいものが広がっていく。

 くすくすと笑う淳に、柳沢は恥ずかしそうに、口を尖らせて云い募った。

「笑うなんて酷いだーね」
「あはは! 出た」

 声を出して笑うと、柳沢もにんまりと笑顔を淳に向ける。

「嘘、もっと笑っていいだーね。楽しいのが一番だし!」
「うん、ありがとう」

 ずっと手の甲に置かれたままだった、柳沢の手に自分の掌を重ねた。少しでも感謝の気持ちが伝わればいいと思った。

「優しいね、慎也って」
「え、照れるだーね。ってか、淳みたいにキレイな顔のヤツに云われるとマジで恥ずかしい。普段前髪で隠れてるからわからないんだけど」
「キレイ? そっちのほうが恥ずかしいんですけど。そーゆーことは観月に云ってやったら」
「観月はダメ。キレイというより、恐い」
「まあ、それは云えてる」

 顔を見合わせて、もう一度二人は笑った。

「観月といえば、これ渡すよう頼まれてただーね」

 ラケットバッグをごそごそと探ると、一本の見慣れないラケットを取り出す。

「はい、淳の」
「オレの?」

 手渡されて、びっくりした。まじまじと新品のラケットを眺める。

「観月が選んで、ガットのテンションも淳用に張って貰ったんだって。ウッドラケット一本じゃ限界があるから、用意してたらしいだーね。なんか試合にはこっちを使って貰おうと企んでたみたいだけど、あまりに淳がウッドラケットを大切にしてたから云い出せなかったみたいだーよ」
「オレの為に…」

 生まれて初めてラケットを手に取った時のような感動が湧き上がった。単純だとは自分でも思ったが、素直に嬉しかったのだ。

(そっか…だからあんなにラケット変えろって云ってたのか。これをオレに渡したかったんだな)

「観月ってヒネクレ者だ」
「今気づいたのか?」
「ううん。わかってたけど、改めて実感した。ヒネてて、複雑で、嘘つきだ」
「淳のラケット。危ないからとかブツブツ文句垂れて、破片全て、細かいものから何から拾い上げてただーよ」
「きっと、纏めて取っておいて、オレにくれるんだろうな」
「きみの物なんだからご自分で処分しなさい、とか云うだーね」
「本当、嘘つき。あまりに嘘つきすぎて、自分でもわからなくなってるんじゃないかな」
「だーね。でも、まっすぐぶつかっていく赤澤がいるし、その内観月も諦めるんじゃないか〜?」
「赤澤くんのこと、よく知らないんだけど。何か興味湧いた。オレもぶつかってみるよ」
「淳」
「うん、頑張る。慎也、この間は怒鳴っちゃってごめんね」

 それから二人で、辺りが真っ暗になるのも気づかずに、部活のこと学校のこと、それぞれの転校経緯まで、思ったこと疑問だったことを片っ端から喋り倒した。

 周囲からは人影が消え、子供達の声も途絶える。さすがに咽がカラカラになった頃、柳沢の携帯が鳴った。着信相手を見て「赤澤だーね」と淳に教えて出る。

「――あ、もうそんな時間か。悪い、観月怒ってんの?」

 そんな会話を耳にして、淳も自分の携帯で時刻を確認した。十九時を過ぎていて、青くなる。寮では夕食が始まる時間だ。寮則では一応携帯やPHSの持込は禁止となっている為、寮母が生徒の携帯ナンバーを知ることはない。そして考えてみれば、淳はこの学院に来てからというもの、自分のナンバーを教えたことがなかった。だから柳沢は自分を闇雲に捜し回っていたのである。見つけてくれたのは――縁があるってことだろう。淳はひとり感慨深く頷いた。

「いや、大丈夫だーね。今淳と多摩川にいるから…。もう帰るから…」

 目で合図をされ、淳は立ち上がる。とにかく寮に帰ろうと、バッグを背負った。ジャリが敷き詰められている、第二堤防の道に視界を巡らす。

 鉄橋から注がれる光の下、自分と同じ背格好の少年が仁王立ちしているのを見て仰天した。

「………」

 ぽかんと口を開けっ放しで、道を塞いでいる少年を凝視する。

 携帯を切った柳沢が、微動だにせず立ち尽くす淳を訝しがり、次いで目の前に立つ少年に遅まきながら気づいた。

 学ラン姿で、髪は肩まで伸びている。薄明かりの下でも、その容姿は柳沢を驚かすには充分だった。

「来てやったお兄様に感謝の言葉はないのかよ」

「亮ちゃん…」

 淳が呼んだ名前で、柳沢はやはりと確信する。と、陽の落ちた川辺に淳の叫びが木霊した。

「え、ええええ―――っ! うっそ、マジで? マジで来たの!」

 大人しいイメージしかなかった淳の絶叫に、柳沢がびくつく。

「来てやったんだよ! 感謝しろ、凄くしろ。泣いて喜べ」
「ってか、なんでこんな短時間で着いたわけ。信じられない。オレがここに居なかったらどうするつもりだったんだよ」
「サエの姉さんの車で来たんだよ」
「サエ?」
「ここにいるよ〜」
「オレもいたりして〜」

 土手の上で、やはり学ラン姿の二人が手を大きく振っていた。

「サエ…バネまで! な…ななな……」
「驚いてる驚いてる」
「あっちゃんのこんだけ驚いた顔って貴重だよね」

 指をさして吃驚する淳に、黒羽と佐伯がほくそえんだ。

「あっちゃん云うな!」
「あ、突っ込む所はそこなんだ。久し振り〜、ねえその髪どうしたの?」

 状況が把握できずにいる淳に、佐伯はなおも揶揄う。

「そうだよ。いつの間に切ったんだ? 校則でダメだったとか?」

 亮は淳に近寄ると、茫然自失としている弟の頬を軽く叩いた。

「おい、淳。大丈夫か?」
「なんで来たのさ!」
「なんでって、来いって云ったのはお前だろうが。電話口で泣かれた挙句に唐突に切られちゃこっちだって心配するって」
「わーわーわー!」

 羞恥に身悶えすると、心のままに亮の腹を殴る。

「何すんだよ!」

 すかさず蹴り返された。

「ええーええええ――っ! ってかバネとサエに云ったの? 云っちゃったのか!」
「大丈夫。お前には喋るなって云っておいたから」
「おう、喋らないぞ」
「うん。淳には黙っておく」

 黒羽と佐伯の暢気な返答に、淳は目の前が真っ暗になった。

「バ、バカ――っ! 亮のバカ! 信じられない。なにこのヒト!」
「優しいお兄様に向かってバカとはなんだよ」
「七分違いで兄を主張するなんて図々しいんだよ!」
「そりゃオレの台詞ですから」

 がっつりと両手で組み合うと、今度は力比べになる。

「ふーざーけるなー!」
「仕方ねーだろう。電車よりも車のほうが早いんだし。でも父さんはまだ会社だしさ。丁度サエの姉ちゃんが家にいたんだよ」
「だからって、だからって」
「心配だったんだよ。本当に。お前、溜め込むタイプだし。オレも…久し振りに泣かれて焦ったっていうか…」

 ぶすくれた顔で告白され、淳は拍子抜けして手から力を抜いた。土手をおりてきた佐伯が亮の肩を掴んで引き離し、淳のほうは黒羽が引き受ける。

「車中、ずっと『淳に何かあったらルドルフの奴等コロス』って凄かったんだよ」
「バラすなよ、サエ!」
「ブチ殺し要員として、オレ達も連れて来られたってわけだ」

 噛み付く亮を無視して、黒羽が肩を竦めた。そして淳の顔を背後から覗き込む。

「どうする? ブチ殺しておくか〜」
「恐いことサラリと聞かないでくれるかな。ノーサンキューだよ」
「そっか。なんだ、けっこうサッパリした顔してんじゃん」
「うん。なんかもう吹っ切れた」
「じゃあ、帰るぞ」

 亮が横から告げると、淳の腕を取った。

「はい? 帰るって…何処へ」
「ウチに決まってるだろう」
「ちょっと…ちょっと待ってよ。悪いとは思うけど、もう寮に帰る時間なんだ」
「寮になんか帰らなくていい。六角に戻ってくりゃいいだろう」
「はあ〜?」

 これには呆気に取られた淳よりも、口を挟めずに傍観していた柳沢が慌てた。二人の間に割って入る。

「ちょっと待つだーね! 淳はルドルフを辞めないだーよ!」
「誰、お前」

 闖入者に対して、亮があからさまに気色ばんだ。同じ顔でも淳とは違って気の荒い亮に、柳沢は面食らいながらも胸を張って宣言する。

「淳のダブルスパートナーだーね」
「パートナーだぁ〜?」
「うん、柳沢って云うんだよ。ルドルフでできたオレの友達」

 先ほどまでの剣幕をあっさりと引っ込めると、淳はカラリと頷いて補足した。亮はジロジロと柳沢を値踏みするように見る。

「変な顔」
「殴るよ」

 ひんやりと、淳が応戦。これには柳沢のほうが震え上がった。

「な、仲良くするだーね」
「あー、これで仲がいいんだよね。こいつ等」

 同情するように、黒羽が柳沢の肩を叩いた。

「傍で見ているとヒヤヒヤすんだけど。久し振りに見ると楽しいねえ」
「煩いよ、サエ」
「……なんか、淳ってばオレに対してだけ冷たくないか?」
「サエは亮に甘すぎ。どうせ、動転していた亮に姉ちゃんの車斡旋したのはサエでしょう」
「亮の、淳に対する甘やかしぶりには負けるから安心して。ちなみにオレ達、ブチ殺し要員だけでなくて、淳拉致要員でもあるんだけど」
「どうする、拉致るか〜?」

 黒羽が欠伸でもするかのように云った。

 右腕を黒羽に、左腕を佐伯に捕らえて淳は渋面を作る。「どうしようかなー」と亮がニヤリと笑った。

 柳沢が再度助け出そうとした折、土手の上でこちらを見ている人影に気づいてぎょっとする。

「おい、何やってんだ」

 鋭い牽制が闇夜を割く。

 全員の視線が、土手上の人物に集まった。

「そいつ等、オレのダチなんだけど。なんか用か」

 警戒心も顕わに、厳しい表情でこちらを睨んでいる。ルドルフの制服をはためかせて立っていたのは赤澤だった。

「誰?」

 亮が淳に聞いた。

「ウチの部長」
「部長? へえー。弟がお世話になっているようで」

 威圧感ある赤澤に対しても、嫌味を欠かさない亮の豪胆さに淳は嘆息を漏らす。

「弟?」
「兄だよ」

 赤澤は拍子抜けした様子で、二人の顔を見比べた。

「ああ…双子の。なんでこんな所に? ってかマジでそっくりだな。こりゃ観月も間違うわ」

 スコーンと、赤澤の後頭部に何か当たったらしく、前のめりになって「痛!」と頭を抱えた。当たった物は地面を転がって、淳達の足もとまで落ちてくる。テニスの球だった。

「いてーよ、何すんだよ観月!」
「つい」
「ついで硬球当ててくれんな」

 赤澤は背後に向かってしきりに怒鳴っている。盛り上がっている土手の向こう側にはどうやら観月がいるらしかった。

「なんか木更津の友達らしいぞ。別に絡まれてるわけじゃねーみてえ」

 その説明に、黒羽と佐伯が互いを見て苦笑を漏らす。

「カツ上げとか思われたみたいだね」
「ルドルフって坊ちゃん学校だしなー。そう見られても仕方ねーよ」

 赤澤の隣に、観月が姿を現した。

 眼下に集まっている一同を見下ろして、ばつ悪気な表情をする。

「もう帰宅時間過ぎてますよ」
「ああ、うん。帰るよ」
「淳」

 咎めるように名を呼ばれ、こちらも決まり悪く兄と向き合った。

「亮、バネ、サエ。来てくれて本当にありがとう。凄い嬉しかった。わがまま云ってごめん」

 勢いよく頭を下げる。千葉から東京の外れまで、来るのは本当に時間がかかっただろうし、自分のわがままのせいで大変な迷惑をかけてしまった。

 下げたままでいると、亮がこれみよがしに溜息をつく。淳の頭を軽く叩いた。

「ラケット、どうする?」

 顔を上げると、んんーと云い淀む。そして「新しいラケット貰ったんだ」と答えた。

 それが迎えてに来てくれたという、亮達に対する答えでもあった。

「そっか…。サエ、バネ。帰るぞ」

 亮は颯爽と踵を返すと、二人に命令する。

「おう」
「はいはい」

 黒羽と佐伯はあっさり頷くと、亮の後ろに続いた。

「今度の土日に一回帰るよ。サエ、お姉さんにも謝っておいて」

 堤防の階段を上っていく背中に投げかける。亮は背を向けたまま手を振って、黒羽は「達者でなー。そのジャージカッコいいな。今度は制服姿も見せにきてくれよ」と笑った。佐伯も朗らかな笑顔だったが、

「大丈夫。姉さん、亮だったらいつでもお嫁にきていいって云ってるくらいだから」

 淳は拾ったテニスボールを、振りかぶって投げた。

 しかしこちらは余裕で避ける。舌打ちした淳だったが、亮が飛んできて「そういう冗談は嫌いだ!」と蹴りを入れたので満足した。

「騒がせちゃってごめんね」

 姿が消えたのを見届けてから、淳は柳沢を申しわけなく窺う。
 引き攣った顔の柳沢に気づいて、不安になった。

「慎也…」
「――あの、どういう関係なの?」
「何が?」
「いや……」

 歯切れ悪く、柳沢はそこで止めた。そして肩を落とすと一転、晴れやかな表情を浮べる。

「残ってくれて、嬉しかっただーね」
「残るよ。そんなに子供じゃないもん」
「あははは。とにかく良かった」
「――和やかな所申し訳無いんですけど。夕食抜きは覚悟して下さいね」

 水を差すように観月が云った。

 ムスっとした顔で、相変わらず土手の上にいる。

「もちろん、僕もですけどね」

 悩ましげに長嘆され、淳は二人にも謝罪した。

「ごめん、観月。赤澤くんも、せっかく躰を気遣ってくれたのに」
「オレは別にいいよ。家に帰るだけだし。ってか悪いのって木更津なのか?」

 最後の問いは隣の観月に向けたものである。観月は苦味潰した顔をしたが、渋々といった様子で頭を下げた。

「いえ、悪いのは僕です。少しばかり、云い過ぎました。すみません」
「少しかよ」
「煩いですね。あなたに云われる筋合いは無いですよ」

 キッと、赤澤を睨みつけると理不尽この上ない八つ当たりを開始する。が、赤澤はまったく気にした風もない。

「まーな。じゃ、オレ帰るわ」

 こちらもあっさりしたもので、片手をあげるとさっさと土手を降りていった。観月は逡巡したように目を泳がすと、躊躇いがちに声をかけた。

「赤澤、ありがとうございました」

 赤澤は何か答えたようだが、土手下にいる淳には聞こえない。急いで堤防を昇ったが、その時には既に赤澤の姿はなかった。

「さてと、どう云い訳しましょうかね」

 思案に暮れながらも歩き出す観月に並びながら、淳は疑問に思っていたことを訊いてみた。

「ねえ、なんで赤澤くんと観月がここに?」
「そうだ、ちょっと木更津くん。僕に携帯のナンバーとアドレス教えてくれませんか? 今回柳沢くんが探しに出かけましたけど、結局見つかったかどうだかも連絡がない。こちらから連絡取ろうにも僕はお二人のナンバーを知らなかったものですから、焦りましたよ」
「ごめん。帰ったら教えるよ。ってか慎也も教えてなかったんだ?」
「赤澤だけだーね。特に観月に聞かれなかったから」
「……同じ場所に住んで、同じ学校にいて、同じ部活で…。必要なかったからですよ」
「そりゃそーだ」

 今は家族よりも長い時間一緒に居る。今更ながらに思って、おかしくなった。

「新しいウッドラケット、頼まなくて良かったんですか」

 躊躇いがちに、今度は観月が質問をした。

「いいよ。だってオレにはもう新しいラケットあるもん」
「……亮くんがいるのを見て、正直このまま帰ってしまうのではないかと思いました」
「そしたら今度は亮をスカウトした?」
「いいえ、ちゃんと木更津淳を迎えに行きましたよ」
「ふふ、良かった。髪を切った甲斐があったよ」
「悪いけど淳で良かっただーね。お兄さん、なんか恐かっただーよ」

 渋い顔で、柳沢がぼやく。

「そうかな。せっかく慎也がキレイな顔って云ってくれたから。今度両手に花でもさせてあげようと思ったんだけど」
「や、やめるだーね! 考えるだけで恐いだーね!」
「…何謎な会話をしているんですか、きみ達は」

 胡乱な眼差しを観月が二人に向けた。

「いやさー」
「説明しないでいいだーね!」
「まあ、観月とオレでもある意味両手に花だと思うけど」
「ひぃいい――!」
「もう、遊んでないで急いでください。正座時間が長くなりますよ」
「一蓮托生だもんねぇ。観月の機転頼みだ、頑張って」

 のほほんと心のままに答えると、観月は肩眉を釣り上げて「なかなかいい性格してましたね」呟いた。

 

 

 

 

 こげ茶色のジャケットに、臙脂のネクタイ。胸元には頑強な盾と輝く光をモチーフとしたエンブレム。

 その姿が違和感なくなり、瀟洒な佇まいの校舎に溶け込んでいくようになれば、相反して波の音が絶えない六角の古びた校舎に馴染まなくなっているんだろう。

 

 淳は寂寥感を振り切るように、新しい仲間達の背中を追い越した。

 





























終わったー(涙)
なんでこの話がこんなに長くなったんだろう〜。
書いても書いても終わらないから死にかけました。
これにかかりきりになっている場合じゃ思い切りないのに。
真面目な話では初めて六角を書いてみました。
佐伯の扱いがおかしくてすみません。ってかこんな力関係の六角って珍しいかもですね。
この話は大分前からちょっとだけ書いて、原稿が忙しくなって放っておいたものです。
でも待ってて良かったかな。そういう話もありますよね(言い訳)
萌のなにひとつない、クソ長い話を読んで下さってありがとうございます。

そもそも本命カップリングだけじゃなくて、周囲の話も書いてみたいと思っていました。
20.5巻を穴が開くほど見ましたよ〜。

淳が秋にスカウトされて、尚且つ数日後にはあっさり転入しているものだから悩みました。
果たして淳はどうしてルドルフに来たのか?

私なりに考えてみたのですが…
云っておきますが私一卵性の双子のことなんかサッパリわかりませんよ。
妄想と想像力の賜物ですから。怒らないで、一卵性の双子さん…(見ている方がいるか知りませんが)
過去に出逢った双子は多分全員一卵性だった気がします。
気がするというのも、一卵性と二卵性ってよほど精密に検査しなきゃわからないものらしいんですよ。
今回調べててびっくりした。
一卵性でも早い段階で分かれると、胎盤が二つできるらしい。
だからどうやって調べるかっていうと、本人達が昔どれだけ間違われたかで決めるんだってさ。
(勿論100%じゃないですけど)

話は戻りますが、過去出逢った双子5組は本当に仲が良かった。
一組なんか高校に入ってまで手繋いで帰ってたからなあ。

双子のこと調べてたら、けっこう衝撃的事実が。
一卵性より二卵性のほうが日本では圧倒的に少ないらしいです。
ただ、最近は不妊治療だとかで増えているらしいんですが。
多胎児は未熟児で生まれてくる確率が圧倒的に多いため、戦前はきちんと育つのも珍しかったようです。
なので双子は珍しいものだったし、弱くて生き残る率が少ないからと忌み嫌われてたみたいですね。
犬猫みたいに複数で産まれてくるから、畜生腹とも蔑まされたりしたみたいです。
双子だからって結婚断られたりと、大変な差別があったと知ってびっくりした。

昔は先に産まれたほうが妹・弟になったのは、あとから産まれたくるほうが弱いから、
強く育って欲しいと願いを込めて長子にしたとか。
 あとは、もうひとりを押し退けて先に出てきたから、先に産まれた子供は夜叉の生まれ変わりだから
先に産まれた子を殺して、次の子を長子としたとか・・・
まあ、色々あったみたいです。

 あと忘れるところでしたが(笑)
この話は直様との合同誌にある『エチュード』の木更津視点の話でもあります。
だから赤澤のイイところまるでなしだったんです。(エチュードでイイ所どりしてます)
蒲原くんと中西くんと安井くん。これに遠矢くんという元副部長が加わって
観月と赤澤が部内を纏めるのに右往左往している話です。
ってかエチュードとこれ合わせたら100ページの本ができるんですけどね…とほほ。

『あなたは知らない』とも繋がっているので、観月の疵についてはそっちでもちょいと触れてます。


赤澤は三年の5月に入寮したという設定なので、この話の時期は自宅通学です。
とりあえず、書きたいもの書けたらサッパリしました。

これ書いてる最中に六角でとあるマイナーCPに嵌ったのは内緒です。
(あああ〜〜〜バレバレ?/汗)





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