『誰かの願いが叶うころ』

 真田×幸村 シリーズ2 オフ/2色/P90/\700


 
 

 あんな風に泣く男だとは思わなかった。

 考えてみれば出逢ってから、たった二年と少し。ずっと側にいたような気になっていたから、
近くにいるのが当たり前で、それは少なくとも進学により、分かれるまでは続くものだと疑いもしなかった。

 ――別れというのは、あっという間に。
いつの間にか、いきなり訪れえるものかもしれないのに。

 そして、きっと失ったり、遠くになったりして始めて気づくのだ。

 誰かの側で、誰かが笑う。

 その奇跡に。

 自分が死ぬまでの間。一体どれぐらいの人間と出会い。どれぐらい心許せる者ができるだろう。

 どんなに長くても百年にも満たない付き合いの中で、その人間について、自分はどれだけのこと知り、
どれだけのことをわかることができるのだろうか。

 そしてそれは真実だったのか。わかったつもりだっただけではないのか。

 この世界は不平等にできている。

 夢を叶えることができる者。挫折する者。

 夢さえ見られない者。夢しか見られない者。

 勝つ者。

 負ける者。

 勝負さえ、できない者。

 自分はいつも、勝ちに拘ってきた。それが当たり前だと思っていた。

 その為の努力も怠らなかった。

 産まれてからたった十五年。

 何かをわかった気になり、何もわかってなかったことを知る。

 あの時。オレはお前の涙を止めることしか考えられなかった。

 泣いて欲しくなんかなかった。いつものお前に、戻って欲しいと思った。

 なんて傲慢で、なんて我儘な願いだろうか。

 そんな力など――自分には無いのに。


 そこで気がついた。

 オレはお前に、求めてばかりだったことを…。


















 みんなの願いは 同時には叶わない
















「――もう…お前達が…望むオレには、なれないかも…しれない」




「最初に言っただろう? オレは、お前がお前であればそれでいいんだ。
お前こそ――オレ達を何だと思っている」





「頼りない、無知な男かもしれん…だが、風よけぐらいにはなる」
























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