らぶ いず おーばー?
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| 「重大発表があります」 「―――……」 「ちょっと! ちゃんとこっち向いてよ、南!」 「―――あ?」 なにやら千石は暇になったようだ。 見れば手元には読み終わった雑誌。 そうか、もう読み終っちまったか。オレはまだまだ読み終わってないんだよ。 つーか、推理小説。結構よい所だったりするんだよ。 しかし、そんなことこいつが気づくわけが無い。 恨めしそうに、オレはこいつの気を引き止めてくれなかった根性のない雑誌を見た。 『花とゆめ』とか書いてあって、こいつは一体なにを読んでいたのかとギョっとした。少なくとも中学三年男子が嬉々として手にできる類の雑誌ではないことは、名前からわかる。 ―――って、言うかモロ少女漫画じゃん。こいつの読書幅は計りしれん。 「なーんだよ! その鬱陶しそうな態度は! 本よりオレを見ろっつーの」 「いや、実際鬱陶しいから」 「またまた〜、照れなくてもいいから!」 こいつの得意科目って確か国語だったよな? この会話の理解力の無さで、どうやって点数稼いでるんだよ。不思議だ。 テストによくある問題。 線を引かれた文章で、著者が何を伝えたいのか述べよ。 「オレは昼飯食ったあと、屋上で静かに読書するのが好きなんだが」 「だから、オレもその地味な読書付き合ってやったじゃん!」 「――それ少女漫画だし。オレ付き合ってなんて一言も言ってねえし。地味は余計だ」 「少女漫画面白いよ! 見る?」 「見ない」 「あー! だからあ! 本はもういいでしょ!? オレ見てって。重大発表があるって言ってるじゃん!」 「……なんだよ。もう、重大でも重態でも何でもいいからさっさと言え!」 「うわ、さぶ……。普段から地味地味してるから、そんなオヤジギャグ言っちゃうんだよ?」 「地味地味ってなんだ…謎な造語をするな」 「あのね、南くん」 「……うん」 「オレ、南くんのことが大好きなんだよ」 「――――………」 「…………」 「――――はあ。そらどうも」 「酷! なに、その大きな溜め息は!」 ……ついたらいけなかったか? 「ダメに決まってるじゃん!」 おお、よく心中を察したな! 千石! 「ちょっと〜! オレ今すっごい真剣に告ったんだよ! ちゃんと返事してって!」 「こく…告っただあ? なにをだよ!」 「だから、南が好きだって」 頭が真っ白になったのは一瞬のこと。 すぐに我に返って、揶揄われていることに、怒るより先に疲れた。 こいつのおもりは部活だけで充分じゃないか。 どうして貴重な昼休みのひと時まで占領されなきゃいかんの? 「そっか、そっか。わかったから、聞いたからあとはゆっくりさせてくれ」 「なにそれ!? 答えになってないじゃん! オレの本気を玩ぶ気っ」 「玩ぶだあ?」 「あんだけ一緒にデートしてさ!」 「部活帰りに皆と一緒にコロッケ食うことが?」 「好きだって何度も何度も言ってるのに!」 「肉じゃがコロッケが好きなんだろ?」 「好きだけどさ! いや、そこは置いとこうよ、南」 「わかった。置いとく」 「―――はぐらかされてる…」 「ようやくわかってくれたか」 「でもはぐらかされないよ! 今日のいて座は超ラッキー、意中の人に告白すると良い返事が貰えるかも? って朝見たし! ラッキーアイテムは少女漫画もばっちりだし!」 そうか、それはラッキーアイテムだったのか。 「千石、それって何チャン?」 「4チャン」 「8チャン、いて座はアンラッキーデイだったぞ」 「え、嘘!」 がーん、と自分で擬音を言いつつ、千石は地に倒れた。 んな大袈裟な。 しかもウルウルとした目でこっち見てくるし。 きっとハンカチがあったなら噛み締めてたに違いない。 そういう無駄に芸は細かい男だ。 「でも、キヨたんめげない」 「キショイ」 うわ、しかもにじり寄って来たんですけど! 「オレね、南のこと本気で好きなの。付き合ってください」 「――――……今日のかに座はワースト1でした」 「4チャンでは、1位だったよ?」 嘘をつけ、さっき一番はいて座だって言ってたじゃんか。 いや、なんか突っ込むところが違わないか? オレ。 「ふふふ。南はね、オレのこと好きなんだよ!」 「はあ?」 「オレのこと好きで好きでたまらないのだ!」 「なに言ってんだよ!」 「こう言い続けたら、南って単純だから暗示にかかるでショ」 「洗脳ですか」 ヤツはそれはそれは嬉しそうに笑った。 「相思相愛も間近だね」 しまった。ちょっと罠にかかってしまったようだ。 |
■■と、言うわけで初めて書いたナンゴクSSでした。
我ながらよくわからないモン書いたなあ。
って言うかナンゴクマイブームでどうしよう(笑)
酒の残っている頭でぼんやり書いてたら
びっくりするぐらい恥かしい文章だ。
でも実際長編でこの二人を書くなら痛くなるだろうなあ
と、思う今日この頃。
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