毎日新聞&同HP掲載記事
[〒を訪ねて・ふくおか郵便局物語]行橋今川 今ではカッパ美術館
| 今川カッパ美術館紹介記事:毎日新聞&毎日新聞HP(平成16年3月4日)より |
[〒を訪ねて・ふくおか郵便局物語]行橋今川 今ではカッパ美術館 ◇住民の趣味、発表の場に−−柏木秀樹局長 民家のような玄関を入ると、長机と壁に味わい深い手作り作品が並ぶ。行橋市流末(りゅうまつ)の行 橋今川郵便局を訪れる人たちが思わず足を止める「今川カッパ美術館」だ。 柏木秀樹局長(58)が玄関扉を入ってすぐの風よけ室約1坪(約3・3平方メートル)を住民の趣味の発 表の場として開放したのは89年7月。以来、3週間ごとに内容が変わるさまざまな作品展が足かけ15 年間続いており、現在開催分で270回目。柏木局長は「小さな場所だからこそ、気負わず長く続けられ た」と語る。 出品者は郵便局周辺の住民が中心で、柏木局長が自ら探す。絵画や書、彫刻、手芸、押し花、写真、 俳句、魚拓などジャンルは問わない。外回り業務で訪れる家や事務所などで作品を見つけると出展を 依頼する。 これまでの作品展で特に思い出深いのは90年6月に開いた「今川カッパ大賞」だ。局近くには英彦 山を源流とする今川が流れ、そこで「カッパに尻こ玉を抜かれた」「泳いでいるのを見た」などの伝承が あった。 このカッパ民話を子供たちに絵と創作童話で表現してもらおうと考え、京築地区の小中学校から募る と、たちまち生き生きとしたさまざまなカッパが集まった。 カッパの話題は更に広がる。郵便局の近くにある平成筑豊鉄道の駅の名前が「今川河童(かっぱ)」 と決まったのも大賞がきっかけ。命名式では近くの今川小の児童や住民たちが等身大のカッパ人形を 作り駅周辺に並べた。同小の校舎にも児童が大きなカッパの絵を描いた。 柏木局長は「休日にはカッパになる」と話す。童心に帰り、カッパの目線になって街を歩く。季節の草花、 街並みの小さな変化など普段見過ごしてしまうような風物が見えてくる。そして、地域情報として自身の ホームページ(http://www1.ocn.ne.jp/〜kappa1/)で紹介する。 柏木局長は「これからも、地域に愛される郵便局にしたい。市民に喜んでもらえるのが一番の励みです」 と笑顔で話す。【松尾雅也】 |