PASSION
「どうしたの?今夜は酷く誘ってくるね?」
セドリックのくすくす笑う声が、深夜の誰も居ない教室に響いた。
笑われた事にムッとして、ハリーはセドリックの唇に歯を立てた。
「痛っつ‥‥コラ、ハリー‥‥噛んだら痛いだろう?」
そう言って、セドリックは血の滲む唇に舌を這わせる。
必要以上にいやらしいその仕草は、間違い無くわざと‥ハリーを煽っていた。
「貴方がこれ以上、馬鹿な事を言わないのならもう噛まないよ」
そう言って、ハリーは自分の舌を伸ばして、セドリックの唇を舐める。
セドリックの唾液に濡れた唇は、いつもと違って血の味がした。
ハリーは魅入られたように、自分で付けた傷痕を執拗に舌で弄って、セドリックの血を啜る。
暫くハリーの好きにさせていたセドリックだったが、ハリーにその行為を止める気配が無いのを悟り、強引に引き剥がした。
「僕の血を舐めにここまで来たんじゃないだろう?」
苦笑してセドリックは、ハリーの頭を胸に抱く。
ハリーの少し濡れた髪からは、石鹸の良い匂いがした。
「‥‥そりゃ‥そうだけど‥」
セドリックの腕の中で、ハリーは少し残念そうにそう答えた。
セドリックから梟で手紙が届いたのは、今日の放課後の事だった。
「消灯後、いつもの場所で」
必要最低限の事しか書いていない、几帳面なセドリックにしては珍しい内容だった。
何がセドリックをそこまで追い立てたのか、ハリーにも何となくわかっている。
ハリーだって、叶うことなら手紙を受け取ったその足でここへ来たかった。
ここは、今は物置としてしか使われていない資料室。
ハリーとセドリックの、秘密の逢瀬を重ねる場所。
2人をここまで追い立てた理由は、至極単純‥もう3週間も身体を重ねていない。
恋人が居る若い2人に、これ程酷な事は無い。
‥やっとセドリックに触れられる。
そう思ったら、ハリーの顔は勝手に笑みを形作るのを止められなくなった。
ハリーは、期待に緩みそうになる顔を必死で引き締め、普段より少し念入りに風呂で身体の隅々まで洗ってからここへ来た。
フィルチに見付からない様に、慎重に廊下を歩いている時ですら、セドリックの事を考える事を止められなかった。
早く会いたい。
早く抱き締められたい。
早く抱いて欲しい。
扉を開け、中にセドリックの存在を確認した瞬間に、ハリーは扉を閉める事も忘れて、セドリックに飛びついて噛み付くようにキスをした。
目の前に居るセドリックを感じたくて、もう一秒だって待っていられなかった。
勢い良く飛び込んできたハリーを受け止めきれず、セドリックは背中を壁に押し付ける。
ハリーの少し強引な口付けを受けながら、セドリックは壁際に立っていて良かったと思った。
場所が悪かったら、壁に強か頭をぶつけていたに違いない。
ハリーの舌はセドリックの口内を、ゆっくりと、しかし強引に、しつこいくらいに何度も弄った。
互いの舌を絡めて、何度も角度を変えては唾液を飲み込むハリーの下半身は既に起立している。
セドリックの方も、ハリーと同じくらい硬くなっている。
お互いに、「今夜会える」と思っただけで、相手を見ただけで、この様だ。
2人とも、相当に飢えていた。
それなのに、唇を離したセドリックの素っ気無い態度に、ハリーは苛立った。
まるで、自分1人がセドリックを求めているみたいな言い方が、気に食わない。
自分だって、ハリーの腹に既に反応した硬いものを、押し付けているくせに。
苛立ち紛れに噛んだセドリックの唇が切れて、そこから血が滲んだのを見て、申し訳ないと少し後悔した。
それでも、傷を舐めるいやらしいセドリックの舌を見ていたら、自分も舌を這わせずに居られなかった。
初めて舐めるセドリックの血は、自分の血とは違う味がした。
とても甘くて、美味しかった。
「ハリー‥ドアが開いているよ?」
自分が少し意地悪をしてしまったせいで、しょげてしまったハリーに、セドリックは苦笑して言った。
折角の秘密の逢瀬も、ドアが開いたままではこの先の行為には及べない。
「セドリックが閉めてよ」
ぷう〜っと頬を膨らませてハリーはそっぽを向いてしまった。
焦らされた事と、意地悪をされた相乗効果で、だんだんと本格的にハリーは不機嫌さを増していっている。
「‥ハリー、かわいいよ」
そう言って、ハリーに口付けを落としながら、セドリックは面倒臭そうに片手で杖を振った。
開いていたドアがひとりでに閉まって、ついでに鍵まできちんと閉まる。
「お風呂に入ってきたんだね?‥いい匂いがする」
ハリーの髪に顔を埋め、セドリックは囁いた。
「僕のことを考えながら、身体を洗ったの?」
更に意地悪くセドリックが言うと、ハリーは完全に機嫌が悪くなった。
セドリックの胸に両手をついて、向こう側に勢い良く肘を突っぱねた。
無言でセドリックを睨みつけるハリーの目尻に、涙が滲んでいる。
「‥‥帰る‥‥‥」
ハリーはたった一言そう言うと、セドリックを押しのけてそのまま踵を返してドアへと向かった。
扉に手を掛けた所で、鍵がかかっている事を思い出し、ローブの中から杖を出そうと手を伸ばす。
しかしその手はあっさりと、ハリーの背後から伸びてきたセドリックの腕に拘束された。
セドリックの腕は、軟体動物の様な動きでハリーの身体を撫で回す。
その動きは確実に服の上からハリーの性感帯を刺激し、ハリーの膝はあっけなく震えた。
「あっ‥馬鹿‥‥やっめ‥て‥」
ハリーの抵抗の言葉は、全く意味を成さない。
拒絶と言うよりは、嬌声に近い声。
ハリーの耳をセドリックが舌で撫で回し、何度も甘噛みを繰り返す。
ぴちゃぴちゃと、卑猥な音が耳元で聞こえて、ハリーの身体が快感に震える。
「あっ‥ああ‥‥はぁ‥」
ハリーは抵抗するのも忘れて、セドリックの愛撫に鳴いた。
「ここ‥好きだよね?」
既に硬くなり、服の下から自己主張をしているハリーの胸の突起を、服の上から摘み上げながらセドリックが言う。
ハリーはじれったい刺激が嫌なのか、涙目になって何度も頷いた。
ゆっくりとハリーの夜着のボタンを外し、冷たいセドリックの掌がハリーの素肌を撫で回す。
「‥ん‥‥セドっ‥‥やだ‥」
わざとハリーの悦い所を外して触るセドリックに、ハリーは懇願の視線を向けた。
「‥‥どうして欲しいの?ちゃんと言って?」
ハリーの耳に息を吹きかけるようにして、セドリックは悩ましげに囁いた。
セドリックの指先は、蛇のようにハリーの素肌を焦らしながら這い回り続ける。
「‥‥お願‥い‥‥乳首‥弄ってぇ‥‥」
暫くの間は、意地を張ってセドリックの焦らす愛撫に耐えていたハリーだったが、結局は堪えきれなくなってそう言った。
満足げにその言葉を聞いたセドリックの瞳に、邪な光が宿る。
「‥わかった‥‥乳首だけで良いんだね?」
「‥えっ‥?‥‥ひぃっあっあぁ‥」
意味深なセドリックの言葉に、ハリーが聞き返したが、セドリックは答えずにハリーの胸の突起を強く摘んだ。
唐突に訪れた強烈な快感に、ハリーは立っていられない。
膝を折りしゃがみ込んだハリーに、背中から覆いかぶさるようにして、セドリックも床に膝で立つ。
「あぁ‥んっ‥‥やっ‥んふ‥セドリックぅ‥」
ハリーは腰を捩り、快感に震えたが、指による胸への刺激だけでは達せ無い。
ビクビクと断続的に身体を揺らしながら、ハリーは何度も自分の手で服の上から股間を擦った。
そんなハリーの様子を、セドリックは楽しそうに見ていた。
「あああっ‥‥はあっ‥」
やがて限界を迎えたハリーが、一際大きく声を上げて身体から力を抜いた。
「ずるいな‥‥自分だけでイっちゃたの?僕はおかず?」
ぐったりと床に横たわるハリーに、楽しそうなセドリックの声が聞こえた。
ハリーは射精後の倦怠感の残る身体を起こして、セドリックを睨んだ。
どうして、今夜はこんなにもこの人は意地悪なんだろう。
「‥‥わかったよ‥じゃあ‥‥」
暫く考え込んだ後、ハリーはそう言ってセドリックに艶やかな笑みを見せた。
次いで、セドリックの股間に自ら顔を埋めていく。
ズボンのジッパーを外し、下着を押し上げているセドリックの欲望を外気に晒す。
ハリーはそこへ、迷わず唇を押し当てた。
卑猥な水音を立てながら、ハリーはセドリックの欲望を口内で愛撫し始める。
「‥‥んっ‥ハリー‥‥良いよ‥」
くすくすと笑いながら、セドリックの長い指がハリーの髪に差し込まれ、そのままハリーの頭を押さえ込んだ。
そしてハリーの喉の奥へと、自身の欲望を突き立てる。
喉の奥に熱い高ぶりを感じながら、ハリーは夢中でセドリックを愛撫した。
小さく呻いてセドリックがハリーの喉の奥へと、迸りを注ぐ。
ハリーはそれを、一生懸命に嚥下した。
「‥良い子だったね」
肩で大きく息をしながら、セドリックはハリーの額にちゅっと音を立てて口付ける。
ハリーはそれを嬉しそうに受け止めた。
甘えるようにセドリックに縋り、更に口付けを強請る。
セドリックは何度もハリーに口付けた。
額に、瞳に、頬に、唇に‥‥ハリーの喉の奥から、自分の精液の苦味を感じても、全く気にならなかった。
むしろ、自分の欲望でハリーの可愛らしい唇を犯した事実に、興奮が高まる。
何度も舌を絡め、狂ったようにキスを繰り返す。
「‥‥ね‥セド‥もう‥‥欲しい‥よ‥」
キスをしながら何度も体制を入れ替えていた2人だったが、ハリーがセドリックを跨いで抱き合った所でハリーが唇を離して言った。
その言葉通り、このままの体制でセドリックを受け入れたいらしい。
「‥自分で入れる?」
蕩ける様に優しい笑顔で、セドリックが問うと、ハリーは潤んだ瞳で小さく頷いた。
「‥‥ちゃんと‥見ててね‥?」
少し朱に染まった顔で、恥ずかしそうにそう言うと、ハリーは自ら足を開いた。
ハリーの腰は、下着とズボンを既に履いていない。
長いキス合間に、セドリックの愛撫とも悪戯ともつかぬ手によって、脱がされていた。
ハリーは、腰を少し浮か膝で身体を支えると、恥ずかしそうに目を伏せながら自分の秘部へと指をあてがう。
そしてゆっくりと中指の爪先を、自分の蕾へと挿入した。
自分で自分に与えた刺激に、ハリーの身体がビクンと反応する。
恋人の前での、自慰行為。
そう考えたらハリーの興奮は、一気に高まった。
「いやらしいな‥」
ハリーの蕾が、ゆっくりと自分の中指を根元まで飲み込んだのを見届けて、セドリックは笑った。
「‥僕も混ぜてよ‥」
ハリーの耳元でそう囁きながら、セドリックはハリーの腰を引き寄せて自分の指をハリーの蕾に一気に差し込んだ。
「やっ‥いった‥ぃ‥‥セド‥痛い‥よぅ‥」
突然の圧迫感と、痛みにハリーの身体が強張り、欲情で濡れていた瞳から、痛みによる涙が零れる。
「‥ごめんね‥‥あんまりハリーが可愛いから、我慢できなくて‥」
そう言って、セドリックはハリーの額に口付け、空いている手でハリーの萎えてしまった性器を扱き出す。
同時にハリーを襲う、痛みと快感。
息つく暇もないその刺激にハリーの蕾は、次第にきゅうきゅうとセドリックと自分の指を締め付け出した。
ハリーが痛み以外の快感を感じている事を確認し、セドリックはハリーの中に挿入した指を蠢かしだす。
「あふっ‥んんっ‥あああぁっ‥んやっ‥」
ハリーの唇は、引っ切り無しに悦を紡ぐ。
腰を振り、セドリックのキスと与えられる快楽を貪った。
「‥‥もっと大きくて、熱いの‥欲しいでしょ?」
乱れ過ぎて、ハリーの目の焦点が合わなくなった頃、セドリックはそう囁いた。
その言葉に、一瞬ハリーの目がセドリックへと向けられる。
そして間髪入れずにコクリと頷いた。
「欲し‥い‥‥セド‥入れた‥い‥‥ちょうだい‥早くっ‥‥」
快楽に身を委ねながらも、更なる快感を求めてハリーは腰を揺らしながら言葉を紡ぐ。
セドリックは笑顔で満足そうに、その言葉を聞いた。
自分の指を一気にハリーから引き抜き、次いでハリーの指もそこから引き抜いた。
内壁を指が擦る感覚に、ハリーは射精してしまいそうなくらいの快感を感じたが、セドリックの指がハリーの欲望の根元を握り込みそれを許さない。
行き場を失ったハリーの欲情は、自分の身体へとセドリックを受け入れる事のみに集中した。
天を突くセドリックの欲望を掴んだハリーの手が震える。
これから自分の中に入れると思っただけで、ハリーの喉がゴクリと鳴った。
手元を見詰めるハリーの瞳は欲情に濡れ、これから味わう快感に既に酔い始めている。
ハリーがゆっくりと腰を落とすと、先走りに濡れたセドリックの先端がハリーの蕾に吸い付くようにして飲み込まれ始めた。
「んっ‥はぁ‥ああ‥」
セドリックの肩に片手を回し上体を支えながら、ハリーは腰を上手に使ってセドリックの先端を何度も出し入れした。
ハリーは蕾の入り口付近の内壁を擦られるのが好きだ。
自分で自分の好きな所を探り、セドリックの硬くて熱い欲望を何度も擦りつける。
「‥ハリー‥‥気持ち良いの?」
少し乱れた吐息を吐き出しながら、セドリックが聞いた。
ハリーは答える余裕も無いらしく、夢中で腰を上下させている。
「んっはっ‥‥ああん‥あっああっ‥やんっ‥‥‥ひっ!!」
自慰行為にも似た一人遊びに夢中になっていたハリーを、セドリックは突然勢い良く後ろに押し倒し、腰を一気に深く押し込んだ。
「いやあっ‥ああああっ‥あっ‥セドっ‥‥きつ‥やあんんっ‥」
セドリックは激しい律動で、ハリーの深部を抉る様に突いた。
ハリーの口から、悲鳴が零れる。
しかし、それは決して拒絶や痛みからくるものではなく、快楽が起こす悲鳴だった。
それを知っているセドリックは、遠慮なくハリーを犯し続ける。
ハリーの片足を持ち上げ、肩に担ぎ更に深く侵入を果たす。
「あああっ‥あん‥‥セドぉ‥いっ‥いい‥あう‥‥あはんっ‥」
セドリックの律動のままに、ハリーは声を上げてよがる。
与えられる快楽を貪ること以外に思考が回らず、ハリーの中にはもう理性など無いに等しい。
「‥ハリー‥‥可愛いよ‥」
そう言って、セドリックは何度もハリーにキスをした。
胸の突起を指で擦り、ハリーの欲望の先端を腹で擦り、何度もハリーの最奥に自分の腰を突き入れる。
その度にハリーは全身で反応を示した。
腰をよじり、涙を流し、先走る液を飛ばし、セドリックの欲望を締め付ける。
激しすぎる行為も、2人にとっては必然。
お互いを好きだと確かめ合う行為で、快楽に溺れるための行為。
「ああぁ‥も‥イクっ‥セド‥‥イっちゃうぅっっ‥」
ハリーが背を弓なりに反らせて、甲高い悲鳴を上げて果てた。
「んっ‥んあっ‥はっあっああ‥んっく‥あああん‥」
射精時のきつい締め付けにも、欲望を発しないセドリックが、倦怠感を感じる暇も無くハリーを突き上げる。
ハリーは必死でセドリックにしがみ付いて、切れ切れの悲鳴を吐いた。
「ああっ‥んあっやっ‥やあっあっあああっ‥‥あっはぁっ‥んあっ‥」
激しすぎる快感に、ハリーが二度目の射精を迎えようとした頃、セドリックが熱い欲望をハリーの身体の奥に注いだ。
誘発されるように、セドリックから数秒遅れて、ハリーも吐精する。
汗の滲む額に前髪を張り付かせながら、ハリーはうっとりと瞳を閉じ、薄く開いた唇で何度も浅い呼吸を繰り返した。
ハリーの前髪を優しくかき上げ、セドリックがハリーの額や瞳に、何度も口付ける。
「可愛い‥‥ハリー、好きだよ‥」
そう言って、セドリックはゆっくりとした動作でハリーの唇にキスを落とした。
確かめるように唇に舌を這わせ、ハリーの歯列や舌の感触を楽しむ。
ハリーはされるまま、長くて深い口付けを享受している。
少し息苦しくなって、閉じていた目を薄く開くと、直ぐ傍にセドリックの長い睫毛が見えた。
閉じられたセドリックの瞼を、ハリーは魅入られた様に見詰める。
暫くそうしていると、突然セドリックの瞼が開き綺麗なグレーの瞳と視線が合ってしまった。
セドリックの瞳が、嬉しそうに細められて、ハリーの唇が長い口付けから開放される。
セドリックは、ハリーの身体を抱き起こし、その身体からゆっくりと自身を引き抜いた。
内壁を擦る感覚と、セドリックの精液が溢れ出す感覚に、ハリーが小さく呻く。
セドリックがくすくす笑って、それを楽しそうに見ていた。
「‥‥いじわる」
セドリックの膝に座って、肩に甘えるように両手を絡めながら、ハリーは拗ねた様に言う。
今日のセドリックは、何だかいつもに比べて意地が悪い。
「ハリーが可愛いからね‥つい‥」
そう言って、セドリックはハリーの鎖骨に顔を埋めた。
歯を立て、吸い上げ、赤い斑点を何個も付ける。
「あっ‥んんっ‥‥セド‥」
途端に、ハリーの口から甘えたような声が響いた。
ハリーは、まだまだ抱かれ足りない。
しかし、セドリックは二度目の行為には及ぼうとせず、半裸のハリーに自分のローブを着せた。
「‥‥何?‥セドリック??」
訳がわからず、困惑したハリーに向かってセドリックは極上の笑みを返す。
「身体‥‥べたべたで気持ち悪いでしょう?」
確かに、ハリーの身体は自分の精液で汚れていた。
しかし、このまま行為を続けるのなら、更に汚れる事は必至な筈だ。
「‥でも‥‥」
歯切れ悪く答えて、ハリーは眉根を寄せて悲しそうにセドリックを見た。
折角、久しぶりのSEXなのに‥もう終わりなの?
ハリーの顔にそう書いてあった。
セドリックは、物欲しそうなハリーに笑顔を向けて立ち上がり、その小さな身体を抱き上げた。
「このまま、お風呂に行こう」
セドリックはそう言って、ハリーの返事も待たずに歩き出す。
「えっ!?‥ちょっ‥‥やだっ‥下ろして!!」
ハリーは慌てて声を荒げた。
セドリックは、さっさとズボンの前を整えていて、普通の格好をしていたが、ハリーは夜着の上を辛うじて肩にかけている状態で、下半身に至っては一糸も纏っていない。
いくらローブを着ているとは言え、横抱きにセドリックに抱き上げられた今の状態では、チラリズムも良い所‥下手をしたら露出狂だ。
「暴れると、ハリーの可愛い所が全部見えちゃうよ?」
腕の中でじたばたと暴れるハリーに、セドリックがそう言うと、ハリーは涙を滲ませてセドリックを睨んだ。
「‥それとも、透明マントを着て行くかい?」
思いついたようにそう言って、セドリックの口元が卑猥に歪む。
「いいかも‥‥うん、そうしよう」
勝手に1人で納得すると、セドリックは一度しゃがみ込み、ハリーが着てきた透明マントを拾い上げ、自分たちの上から被った。
再びハリーを抱かかえ直し、今度こそセドリックは扉を開けて廊下を歩き出す。
セドリックは、透明マントを被った視界に、少し戸惑っているようだった。
一方、透明マントには慣れているハリーだったが、こんなあられも無い格好で廊下を進んでいく現実に、湧き上がる羞恥心を止められなかった。
もしここで、今、誰かとすれ違ったら‥向こうには見えないけれど、僕は裸同然ですれ違わなければならない‥。
ハリーは、恥ずかしさで身体を震わせ、セドリックのシャツをぎゅっと握り締めて、目を瞑る。
少しでも、この恥ずかしい現状を忘れられる様、精一杯努力した。
暫く歩いて、セドリックの歩みが止まった。
ハリーはおずおずと、閉じていた瞼を開くと、透明マントの布越しに見慣れた銅像が確認できた。
「ボケのボリス」の像。
監督生用の浴室の前だった。
セドリックと付き合いだしてから、ハリーはしばしばここを利用していたので良く知っている。
当然、セドリックはこの中に入っていくものだとハリーは思っていた。
先刻「風呂に入る」と言っていたので、間違いない‥と思っていた。
しかし、意に反してセドリックはあろうことか廊下で、ハリーに悪戯を始めた。
抱えあげたハリーの腰の辺りを、いやらしい手つきで撫で回す。
「えっ!?ちょっ‥‥セドっやめてっ‥」
思わずハリーの口から嬌声に近い、抗議の声が上がる。
「駄目じゃないかハリー‥僕たちは今透明なんだから、声を出しちゃいけないよ‥」
ハリーの背中を壁に押し付け、セドリックはハリーの耳元で囁いた。
背をぺったりと壁に押し付けられ、両足を抱え上げられた体勢でハリーはセドリックの指に翻弄された。
快楽を求めていたハリーの身体は、抵抗する事よりもよりも、与えられる快感を貪る事の方に集中させられる。
「‥いやぁ‥‥セドリック‥‥こんなの‥ひどっ‥‥んふっ‥んん」
最後まで抵抗を止めなかった唇は、セドリックの唇に塞がれてしまう。
セドリックは、ハリーの両足を膝の後ろから高く抱えあげて、器用に胸の突起を両側から一つずつ掴んで擦った。
ハリーの身体が、快楽にビクンと断続的に揺れる。
セドリックは焦らすように、深いキスを続け、胸の突起を摘んだり抓ったりを繰り返す。
じれったい刺激と、羞恥から、ハリーの瞳から涙がこぼれ落ちた。
大きく広げられたハリーの足の付け根で、露わになになった蕾がヒクヒクと蠢き、セドリックの精液をゆっくりと吐き出し始める。
触れられても居ないのに、ハリーの蕾からはくちゅっといやらしい音がした。
ハリーの片足を肩に担ぎ、セドリックはハリーの蕾へと指を這わせる。
ただ触れただけのセドリックの指を、ハリーの蕾の入り口が誘う込もうとするように蠢く。
「いやらしいねハリー‥こんなにひくひくさせて‥‥こんな所で、僕としたいの?」
ハリーの唇をようやく解放して、セドリックは意地の悪い笑みを見せた。
「あっ‥‥やぁ‥セド‥‥もっ‥許して‥‥僕、おかしくなっちゃう‥」
ハリーは必死でセドリックの首に腕を回し、涙を流しながら懇願した。
「かわいいよ‥ハリー‥」
ハリーの前髪にちゅっと音を立てて口付けて、セドリックはうっとりと囁いた。
その瞳には、常に冷静な監督生のものとは違う、快楽を追う獣のような光が宿っている。
「‥‥こんなになって、苦しいね?おかしくなる前になんとかしなきゃ‥ハリー‥自分でしてごらん?」
そう言ってセドリックは、既に先走りでびしょびしょになっているハリーの自身に、ハリーの指を無理に這わせた。
「いや‥‥できな‥い‥‥あうっ‥」
信じられない表情で、セドリックを見詰めるハリーの瞳が、短い悲鳴と共に顰められた。
セドリックの長い指が、容赦無くハリーの蕾に差し込まれたからだ。
「出来るよね?僕とシてなかった間中、1回も自分でしてない訳じゃないだろう?‥見せてよ、僕を想ってハリーが1人でイクところ‥」
耳元で、狂おしいくらいに甘ったるい声で囁かれて、ハリーはそれだけで弾けてしまいそうだった。
抱え上げられたハリーの足が、身体がふるふると震える。
ただ、快楽が欲しくて。
気持ち良くなりたくて。
この苦しさから逃げ出したくて。
ハリーは涙を零しながら、言われたとおりに自慰を始めた。
セドリックは満足そうに笑った。
「んんっ‥‥んあっ‥ふっっああっセドっ‥」
自分で指を這わせ始めて間も無く、ハリーは自分の掌に精を放った。
ぽたぽたと掌を伝って、液が廊下の床にいくつもの白い斑点を描いた。
ハリーの足を抱え、その一部始終を見ていたセドリックは、まるで自分が射精した時の様に恍惚の表情を浮かべている。
「上手に出来たね‥‥可愛いよ‥」
そう言って、何度もハリーにキスをした。
ハリーの射精の跡を廊下に残したまま、セドリックはハリーを抱えて今度こそ、監督生用の風呂場へと入っていった。
to be continud..
長いので一旦切ります‥‥って、わたしこればっかりですね(苦笑)
なんかちょっと後半セドがサドっ気丸出しですみません(反省)
続きは、勿論お風呂で‥です(笑)
お楽しみ!?にぃ〜!んがんぐ。
2004・05・19 ミヅキチヨ
続き