愛するがゆえ5。〜僕らで育てる華・4(前編)〜
◆帰省◆
「ネビル、向こうでトレバーを見かけたんだけど・・・」
学年の全ての過程を無事終えて、級友たちとコンパートメントで楽しく話しに花を咲かせていたネビルのところへ、ロンがそう言ってやってきた。
言われたネビルは、不思議そうに首を傾げて、ロンを見た。
トレバーなら、今ネビルのローブのポケットの中で大人しく眠っている。
「・・・・・あの・・・ロン?」
少し困ったようなネビルの視線に、ロンは困った顔で頷いて「良いから」と、ネビルを少し強引に廊下へと連れ出した。
「・・・・忘れたのか?『トレバー』は、合言葉だったろう?」
廊下でロンに言われ、ようやくネビルは思い出した。
彼らの間で「トレバー」は、「ドラコが呼んでいる」という意味の合言葉だったことに。
「・・・・・・・あぁ、そうか・・・ありがと、ロン・・・・彼は、なんて?」
微笑んでロンに聞き返したネビルの、嬉しそうな顔と言ったら無い。
ドラコとの仲直りを果たし、身も心もすっかり夫婦に浸りきった2人。元来の仲の良さに更に輪をかけて、仲良くしている2人。
それを傍で見ているロンは、ハリーには悪いが正直羨ましい。
気が強く、英雄の地位に居るロンの恋人は、時として「可愛らしくない」時があったから。
「・・・・・・直ぐに来て欲しいそうだ、大事な話があるとかで・・・スネイプ教授も一緒だったけど・・・」
なんでだろうな?と、首を傾げたロンに、ネビルの笑みは更に濃くなった。
スネイプが居る・・・と言うことは、つまり・・・・あの話だ。
「そう・・・・ありがとう、ロン・・・・・多分僕、ここでお別れだ・・・・夏休みになったら、手紙書くから・・・元気でね」
ロンにそう言って、一度コンパートメントの中に戻ったネビルは、中に居た友人たちにロン同様に別れの挨拶を告げて、直ぐに出てきた。
「それじゃ、ハリーと喧嘩しちゃ駄目だからね?」
あまり場の状況を把握していないロンに、そう告げてネビルは颯爽と廊下をトランクを引きずり出て行った。
その背中を見送りながら、ロンは「マルフォイと一緒に旅行でも行くのか?」と、羨ましそうな視線を向けていた。
「・・・・・マルフォイ、先刻から少し忙しないぞ・・・・・落ち着け」
スネイプの少しイラついた声が、狭いコンパートメントに響く。
「すみません」
言われたドラコは、空返事で答えて全く彼の言う事を聞かない。
さっきからコンパートメントのドアを開けたり閉めたり、そこから首を出したり引っ込めたりを繰り返しているドラコ。スネイプでなくても、イライラしてしまう。
「ウィーズリーのヤツ、ちゃんと伝えてくれただろうか・・・・なにしろ、アホのウィーズリーだからな・・・」
そんな事をぶつぶつ言っては、廊下の先を見る。
それから5分と少し経った頃、ようやくドラコの愛しい人が廊下の向こうに現れた。
視界にドラコの姿を捉えると、嬉しそうに微笑んで、しかし重たいトランクが邪魔をしてなかなかドラコの所へと辿り着けない。
ドラコは辛抱強く待った。
ここで手を貸して、それを誰かに見られてしまったら、あらぬ噂がたちかねない。
「ごめんね・・・僕、ロンからここの場所聞くの忘れちゃって・・・・・でも良かった、こっちの端で・・・向こうの端だったら、汽車の中を一往復も歩かなきゃいけないところだった」
ようやくドラコの元へとやってきたネビルは、にこっと笑ってそう言った。
「全く、ネビルはいつもそうだな・・・・困った奴だ」
そんな事を言いながらも、笑顔を隠せないドラコは、そのままネビルの額にキスをする。
「くすぐったいよ」
それを受け止めたネビルは、嬉しそうにくすくす笑った。
その光景を、スネイプは視界に入れないようにして、耳を塞いだ。
このバカップルにいちいち付き合っていたら、胃に穴が開きそうで怖い。
それから2人は、ハートを乱舞させながら、ネビルのトランクを仲良く棚に乗せた。
そうして、ようやっと落ち着いたコンパートメントで、スネイプは2人と対峙した。
2人は少し緊張した面持ちで、お互いの手を繋いでいる。
あまりの仲の良さに、反吐が出そうだ。と、スネイプは心の中で毒づいた。
「今後の事は、あらかたルシウスから聞いておろうな?」
確認するようにそう口を開いたスネイプに、2人は頷く。
「はい、僕たちは一緒にロングボトム家に行き、そこで出産の準備をする・・・と、聞いております」
答えたのはドラコ。ネビルはその隣で、うんうんと頷いた。
「そうだ・・・我輩は、ロングボトムの薬を作るサポートする為に、お前らに付き添う・・・ただし、我輩も暇ではない・・・一週間だ・・・それ以上の長居はしない・・・良いな?ロングボトム・・・一週間で一か月分の薬を作れ」
少し脅すようにそう言ったスネイプに、ネビルは真剣な顔で頷いた。
「それからマルフォイ・・・・性転換薬と、成長薬の相互作用の実験は、未だ未知数だ・・・激痛を伴うかも知れぬ・・・・・・最悪の場合、流産も考えられる・・・覚悟をしておけ」
脅すでもなく淡々とそう言った彼。返って怖い。一瞬、顔を引き攣らせたドラコに、ネビルが優しく力強い手でドラコの手を掴んだ。
「大丈夫・・・・ドラコも、赤ちゃんも・・・僕が守る」
いつもはドラコからネビルに言っている言葉を、今日はネビルが囀った。
ドラコはネビルに視線を動かし、安心したように微笑む。
そんな2人の様子を見て、スネイプは知らず溜息を吐き出した。
見ていて砂でも吐きたくなる甘い空気が充満している。出来る事なら、今すぐにでもこの場から逃げ出したいと、本気でそう思った。
これから一週間もこいつらと一緒に過ごすのかと思ったら、溜息と頭痛を否めない。
スネイプにとっての長い旅路(ある意味、拷問に近い)が終わり、汽車が止まった。
周りが喧騒で満ち始めても、3人は席を立たずにそこに留まった。
たっぷり30分待って、汽車の中に静寂が戻ってきた頃になって、ようやく3人は立ち上がり汽車を出た。
そして、ホームの隅に置いてある壊れた電話機の前に立つ。
本来私用でのポートキーの利用には、たくさんの制約が存在するが天下のルシウス・マルフォイにはそんなもの通用しない。つまり、この電話機はこの日の為に彼が用意した、秘密のポートキーだった。
「では、行くぞ?・・・・3、2、1・・・」
スネイプの合図で、3人は一斉にその電話機に触れる。片手にはしっかりと自分のトランクを握ったまま、3人の姿は一瞬でその場から消えた。
ヘソの後ろを引っ張られる、独特のくすぐったい感覚を感じながら、3人は飛んだ。
そして地面に足がつく感触を確かめて、ゆっくりと閉じていた目を開ける。
そこで目にした光景に、3人は息を飲んだ。
「・・・・・・・嘘・・・・何?・・・・コレ」
「・・・・父上なら、やりかねない・・・・・が、一体コレは??」
「ルシウス・・・・・・・権力もここまでくると、脅威だ・・・」
3人三様の驚きの声。
無理も無い。
ロングボトム家の横に、一ヶ月前まで普通に馴染みの隣家が立って居たその場所に、当然の如くマルフォイ家の豪邸がその姿を現していたのだった。
◆製薬作業◆
「違う、水仙の花はあめ色になるまで煮込んでからだ」
「は・・・はい、すみません」
「それから、球根はさいの目・・・何度言ったらわかるんだ?」
「ごめんなさい」
夏の日差しから遠く離れた、マルフォイ家の一室にスネイプの怒号が飛ぶ。
言われるままに一生懸命に手を動かしているのは、ネビルだ。
ホグワーツから帰省した昨日から、ほぼ徹夜で2人とも部屋に篭もりっきりだ。
ドラコに投与する性転換の薬は、ネビルが作らなければならない。未完成の薬の為に、正しい用法も容量もわからない。もしかしたら、「ネビルが作る」と言う行為が、一番大事なステップかもしれないのだ。製薬に長けたスネイプではなく、不器用なネビルの手作業こそが、薬の精製に必要な事なのかもしれない。ゆえに、この仕事だけはネビルが1人でこなさなければいけなかった。
頭ではわかっていても、一歩間違うと失敗してしまう難しい作業。以前作った時は、本当に偶然だったので困難だとは感じなかった。しかし、今回は自分の作業によって、ドラコとお腹の赤子に危険に晒してしまう可能性のある、大事な作業。
ネビルに圧し掛かるプレシャーは、今までの比ではない。
頭ではわかっているものの、重く圧し掛かる重圧に、ネビルの身体は思うようには動いてくれない。
いつもの彼らしい仕草で、失敗を連発させた。
「・・・・・・・もう良い、一度休憩だ」
要領の悪いネビルに辟易したのか、スネイプが怒鳴った。
「・・・・・・・・・・・・・・はい」
ネビルは項垂れて、怒りを隠しもしないで部屋を出て行くスネイプを見送った。
1人になった部屋の中で、ネビルは溜息を吐き出す。
自分が情けない。
愛する人の為に、作ってあげる薬なのに・・・・・1つもまともに作れない。
自然と零れた涙が、頬を伝う。
いけない、こんなことじゃ・・・泣いたって、何も始まらない。
自分がこんな風では、ドラコも彼のお腹の中の子供も救えない。
自分の子供なのだから・・・・自分と、ドラコの愛の証の奇跡の子供なのだから、元気な姿で日の目を見せてあげなくちゃ。
数回深呼吸をして、少し強制的に涙を止めると、ネビルは涙をシャツの袖で乱暴に拭った。
そして、数ヶ月前に自分で記したメモ用紙に目を通す。
頭の中で記憶をゆっくりと反芻させながら、ネビルは薬を作るシュミレーションを何度も頭に思い描いた。
彼を良く知る友人たちが、今のネビルの姿を見たら、感嘆の溜息をこぼしたかも知れない。
それくらい、今のネビルの様子は真剣で、鬼気迫る様子だった。
「休憩だと・・・・言ったはずだが?」
いつの間に戻ってきたのか、スネイプが憮然とした表情で戸口に立って居た。
「・・・あ・・・すみません・・・少しでも、復習をしておこうかと思って・・・」
ネビルは振り返って、スネイプに必要以上に怯えた仕草を見せる。
「魔法薬は、生半可な集中力で出来るものではない・・・・・作る前からそんな所に神経を尖らせていては、出来るものも出来ん・・・・いいから、休め」
いつもと同じ強い語調でそう言うと、スネイプはネビルの前の机に、ティーカップを無造作に置いた。淹れたての良い香りの紅茶が、カップの中で揺らいでいた。
不器用な彼なりに、自分の事を気に掛けていてくれたことを知って、ネビルは微笑んだ。
「ありがとうございます」
そう言って、素直に差し出されたカップに手を伸ばす。
紅茶を一口飲むと、疲れた身体は一気に温められて解れて行く。
その心地良い感覚に酔い、ネビルはカップの中身を一気に煽った。
自分でも気付かぬうちに、随分喉が渇いていたようだ。
ぼんやりとそんな事を思っていたネビルの両耳から、突然煙が勢い良く噴き出した。
目を丸くして、自分の耳に手を当てたネビルを、スネイプが珍しく微笑を称えた瞳で見ていた。心なしか、肩まで震えているようだ。
「・・・・せんせ・・・・コレ?」
困ったように、恥ずかしそうに、ネビルはスネイプを凝視した。
そして今更ながらに、自分の紅茶に元気爆発薬が入っていたと悟る。
「・・・・・全く、微塵も疑いなく飲んだな?・・・・毒薬でも入っていたら、どうするつもりだ?」
楽しそうにそう聞いてくるスネイプに、ネビルは困った顔で笑い、首を傾げた。
「そんな・・・・だって、・・・・先生が僕に毒を盛るなんて・・・・考えた事も無かったです・・・」
耳から煙を噴き出したまま、ネビルは曇りの無い瞳でそう言った。
その姿に、スネイプは少し驚いた。
そして、数秒後には微笑と共に、ドラコが何故ネビルを生涯の伴侶に選んだのかを理解した。
真っ直ぐで純真なネビルだからこそ、ドラコは惹かれ、彼に恋をした。
奇想天外なこの運命は、2人にとって自然な成り行きだったと、巻き込まれた自分は断言できる。そう思った。
それから三日後、薬は見事に完成した。
◆投与・変化◆
ネビルの作った薬を飲んだドラコは、翌日には成長薬を投与された。
体内の時間を一気に加速させるその薬は、常人に投与しても稀に拒絶反応が起きる代物だったが、ドラコには何の弊害も起きなかった。
たいらだった腹が、臨月近くまで膨れただけで済んだ。
今まで自分が妊娠したと知ってはいたが、如実に現れた身体の変化に、ドラコは戸惑った。
重い身体に、自分の足が見えぬほどに大きくなった腹。しかも急速に成長した胎児は、無遠慮に中から腹を蹴る。
「・・・・ドラコ、大丈夫?」
心労と、身体の大事を願う家族の意向で、ドラコはほぼ寝たきりを余儀なくされた。
ネビルはそんなドラコの傍を、片時も離れない。
「あぁ・・・・大分慣れた」
少し疲れた声でそう答えたドラコに、ネビルは微笑んだ。
「そう?無理しちゃ駄目だよ?」
にっこり笑ってドラコにキスをするネビルは、ドラコの腹がでかくなってから機嫌がすこぶる良い。
「えへへ・・・・・赤ちゃん、楽しみだねぇ」
のんきにそんな事を言っては、ドラコの腹を撫で、耳を寄せる。
ドラコの心境は複雑だ。
生まれても居ない赤子に、ネビルを取られた気分になった。
◆危惧◆
ドラコの危惧は、それだけじゃない。
自分の身体に変化が起こり、自由に身動きが出来なくなってしまう前から、ネビルを気に入っていたルシウス。
一緒に眠る事は出来るが、SEXが出来ないこの現状で、自分はもとよりネビルだって欲求不満に違いない。
その隙を狡猾なルシウスが、見逃すはずが無い。
きっと動けない自分を嘲うかのごとく、知らぬ間に幾度と無くネビルにちょっかいをかけているに違いない。
何も起こらなければ良い。
男である自分が、子供を生む事よりも、ルシウスがネビルに手を出す事の方が、今のドラコにとっては大問題で、心配の種だった。
「ネビルくん」
ある日の昼下がり、廊下でネビルはルシウスに声をかけられた。
丁度ドラコが午睡に入ったので、その間に紅茶のおかわりでも用意しようと、ドラコの寝室を出たところだった。
「はい・・・お義父様・・・・何か?」
真っ直ぐな目でルシウスを見上げたネビル。曇りの無いその瞳には、不信感のかけらもない。
「・・・・ここの所、ずっとドラコに付きっきりで・・・・・疲れたんじゃないかい?」
優しい声音で、ネビルを気遣う言葉をかけてきたルシウスに、ネビルは微笑んだ。
「いいえ・・・そんな事ないですよ・・ずっとドラコと一緒に居られて、僕毎日が楽しくて、幸せです」
本心でそう思っているのだろう。言葉通り、ネビルの笑顔は幸せそうだった。
「そうか・・・それは何よりだ」
ルシウスも笑った。瞳の奥に、なんだか妖しげな光が揺れている。
鈍いネビルはその事に全く気付いていなかった。
「はい」
満面の笑みで頷いて、無防備な姿をルシウスに晒した。
「それはそうと・・・・・ネビルくん・・」
笑顔を顔に貼り付けたまま、ルシウスは優雅な仕草でネビルの身体を壁際に追い詰めた。
「・・・はい?」
その事自体に気付いていないネビルは、可愛らしい仕草で首を傾げてルシウスを見上げる。
「あっちの方は、いつからご無沙汰かな?」
「・・・・・は?」
目を細めてルシウスが問いかけた言葉を、ネビルは理解できずに間抜けな声を出して目を見開いた。
その様子を見て、ルシウスは心の中でガッツポーズを作って叫ぶ。(「萌え〜っ!!!」←おいおい。)
「ドラコがあのような状態では、さぞかし夜が辛い事だろう・・・」
にこにことんでもない台詞を繰り返すルシウスに、だんだんネビルの理解が追いつく。
それと同時に、顔が羞恥で真っ赤に染まった。
「なっ・・・・何を言い出すんですか、お・・・・お義父様・・・・そ・・・そんなっ・・・事」
しどろもどろになって答えるネビル。
聞き様によっては、図星を指されて焦っているようにも見えてしまう仕草。
ルシウスは微笑んだまま、ネビルのシャツの上から胸をゆっくりと撫で上げた。
「・・・・・あっ・・・」
必要以上にいやらしいその動きに、敏感なネビルの身体は正直すぎる反応を返した。
「・・・そんな事は無い・・・・訳ではなさそうだ」
そんなネビルに、やけに嬉しそうに微笑んで、ルシウスはネビルを押し付けている場所の壁をくるりと反転させて、奥の部屋へとネビルをいざなっていった。
「やっ・・・ちょ・・・・お義父様ぁ・・・・・・・はっぅん・・・だめぇ!」
ルシウスに押し込まれた隠し部屋。そこに置いてあるベッドの上で、ネビルが喘いでいた。
必死で抵抗しているつもりなのだろうけれど、感じやすい体質が邪魔をして、理性よりも快感が先立ってしまって、上手に抵抗できない。
そうこうするうちに、あっと言う間に半裸に剥かれてしまった上半身。
ネビルの「悦い場所」の1つである胸の突起を、ルシウスは指で舌で、執拗に愛撫していた。
くちゅくちゅといういやらしい音に混じって、甘い嬌声を零すネビルの身体。無意識に跳ねてしまう腰のせいで、抵抗する腕に力が込もらず、ルシウスの髪を指で掴んだその仕草は、まるで更に強い愛撫を強請っているようだ。
「随分感じやすい身体だ・・・・・・乳首を少し弄っただけで、もうこんなに苦しそうにしている」
口元に微笑を浮かべて顔を上げたルシウスはそう言って、ズボンの上からネビルの腰の中心へ触れた。
「んんっ・・・・やっ・・・・お義父様・・・・・いや・・・・もぅ・・止めて・・・」
涙目のネビルは、浅い呼吸を繰り返しながら、一生懸命にルシウスに懇願した。
これ以上の戯れは・・・・・完全に浮気。ドラコに知れたら、大変な事になる。
「ここで止めてしまったら、ネビルくんが可哀相だ・・・・・大丈夫、私に任せておけば心配はいらない・・」
ネビルの言葉に全く耳を貸そうとしないルシウスは、そう言ってさっさとネビルのズボンを脱がせにかかった。
必死で抵抗したネビルだったが、結局は全裸にされてしまう。
更に容赦の無い力で足を大きく開かされ、ネビルは羞恥に両手で顔を覆って泣き出した。
「うっく・・・・・ふっうぅ・・・・・うぅ」
「・・・・泣く事は無い・・・・ネビルくん・・・綺麗だ・・・・・君のここは、赤く色づいて・・・艶やかな蜜を零している」
興奮した様子で、ルシウスはそんな感想を洩らした。
泣いているネビルを慰めたつもりなのだろうが、全くの見当違いだ。卑猥な言葉で、自分の一番恥ずかしい場所を観察されて、ネビルの羞恥はどんどん高まる。
「いやぁっ・・・・お義父様ぁ・・・・もぉやめてぇ・・・見ないで・・・」
涙で濡れた震える声で、ネビルは必死で懇願したが、その仕草の可愛らしさにルシウスの興奮は増すばかりだ。
「・・・・どうして?・・・・こんなに綺麗なのだから・・・もっと見せていただきたい」
言葉通り、ルシウスはネビルの股間に顔を近付けたようだ。
両手で視界を遮っているネビルにも、ルシウスの荒い息遣いをその場所に感じて、その事を悟る。
恥ずかしさから、ネビルの自身はルシウスの目の前でビクンと揺れて体積を増し、先端から蜜を溢れさせた。
途端、ルシウスの口から溜息が漏れる。
「素晴らしい・・・・ネビルくん・・・・」
完全に興奮しているルシウスは、そう言いながらネビルの先端をぺろりと舌先で舐めあげた。
そしてそのまま、果実のようなネビルの先端をすっぽりと口に包み込んでしまった。
「ひゃあっん・・・・あっあ・・・・駄目ぇ・・・・」
突然訪れた歓楽に、ネビルは首を振り、顔を覆っていた手で今度はシーツを強く握りこんだ。
「いやっああっあはぁん・・・・んあっ・・・・お義父様ぁ・・・・もっ・・出ちゃうぅ・・・」
襲い来る強い快楽に、ネビルはいつしか抵抗を忘れて喘いでいた。
年長者だけあって、経験豊富で巧みなルシウスの舌技に完全に陥落してしまっていた。
先端の皮を剥かれ、尿道を舌で広げられ、指先で睾丸まで弄ばれ、ネビルの腰は絶え間なく揺らぎ、触れられてもいない蕾がひくひくと蠢いた。
感度の良いその姿に、ルシウスは嬉しくなって、ますます愛撫の激しさを増した。
「ほんと・・・・・あっ出ちゃうぅっ・・あっあああぁぁぁっっ!!」
悲鳴をあげて、ネビルが果てた。
口内に感じる熱い液体をルシウスは愛しそうに、ゆっくりと飲み込んでいく。
よほど激しい快感を感じたのか、ネビルは断続的な吐性をなかなか止められず、嗚咽を零して泣きながら何度も小刻みに射精した。
静かな部屋の中に、ネビルの荒い息遣いだけが響いた。
「悦かったかな?」
ぐったりとベッドに身体を投げ出したネビルに、ルシウスが問う。ネビルは疲れたような顔で、小さく頷いた。
「・・・・こんな凄いの・・・・・初めて・・・」
そして夢見心地の視線で、掠れた喉を震わせる。
ネビルのその返答に、ルシウスはにっこりと微笑んだ。
「・・・・もっと悦くしてあげよう・・・」
ネビルの身体に覆いかぶさるように、ベッドに手をついて、耳元で甘く囁く。
聞き慣れたドラコのものとは違う、大人の男の声に、熱に浮かされたネビルはうっとりと目を閉じた。
「・・・・・・して・・お義父様・・ネビルを、めちゃくちゃに・・・・犯して?・・・」
甘えた声でそう言って、ネビルはルシウスに擦り寄った。
その姿に、ルシウスは再び心の中でガッツポーズ。(「まだまだドラコには負けん!!」←捨てきれない男のプライド・・・・らしい)
「ではネビルくん・・・・・・おねだりは・・・どうするか知っているだろう?」
耳元で囁かれる甘い誘惑。ネビルは素直に従い、気だるい身体を起こす。
そして、ルシウスの股間の服を器用に肌蹴させると、慣れた仕草で顔を埋めていく。
「ふっ・・・・・上手だ・・・・ネビルくん・・・・ドラコのしつけはなかなか上等のようだ」
思いのほか巧みなネビルの愛撫に、ルシウスの顔が嬉しそうに歪んだ。
その言葉に、ルシウスの自身を口に頬張ったままネビルは少し顔を上げて、にっこりと目を細めた。
ネビルはまるで先刻のお返しとばかりに、丁寧に一生懸命にルシウスを愛撫した。
大人の威厳を保つ為、限界ギリギリになっても我慢していたルシウスだったが、結局は我慢できずにネビルの口の中に予告無しに吐精してしまった。
「んっんむっっ・・・・・・あっはぁ・・・・げほっげほ・・・酷い・・・」
いきなり喉の奥を襲った苦い液体に、ネビルはルシウスの自身を吐き出し激しく咳き込んだ。
涙の滲んだ瞳で、少し恨めしそうにルシウスを睨む。
ルシウスは苦笑して、あやす様にネビルの身体を引き寄せた。
「そんなに怒るな・・・・・詫びはたっぷりと与えてやろう」
少しだけ申し訳なさそうにそう言ったルシウスに、ネビルは嬉しそうに笑った。
それからネビルは四つん這いになって、ルシウスに「おねだり」をした。
「お義父様・・・・・・・入れて・・・ネビルのここに・・・・・熱いの欲しいの」
少し恥ずかしそうにしながらも、自ら蕾に指をあてがい左右に開き、ひくつくそこをルシウスの目前に晒す。
「お願い・・・お義父様ぁ・・」
ネビルの潤んだ視線と、甘えた声に、満足そうに笑ってルシウスはネビルお望みどおり先端をそこに押し付けた。
ただ触れただけだというのに、ネビルのひくついた蕾は、貧欲蠢いて男をそこに取り込もうとする。
「・・・・・いやらしい・・・・知らなかったよ、ネビルくん・・・君がこんなに淫乱だったなんて・・・」
楽しそうに言葉を紡ぎながら、ルシウスは一気に先端をネビルの中に埋め込んだ。
「あっ・・・・はぁん・・・・おっきぃ・・・・・・お義父様・・」
ネビルは嬉しそうに悦を歌って、瞳を閉じる。
「もうこんなに締め付けて・・・・・私のものが全て入らないのではないかね?」
意地悪く紡がれる言葉は、今のネビルにとっては愛の囁きにしか聞こえない。
「あぁん・・・・平気・・・・お義父様ぁ・・・ネビル、良い子だから・・・・ちゃんと出来る・・」
完全に手中に堕ちたネビルの姿に、ルシウスは満足げに笑う。
「それは、頼もしい」
言葉と共に、激しい猛りをネビルにぶつけだす。
「あっあぁぁっ・・・・・お義父様ぁっ・・・・あっ・・凄いぃ〜っ!!」
「良いっ!・・・・そこぉ・・・・・いいのぉ・・・・ネビル、壊れちゃうぅ・・・」
「ひぃんっ・・・ああぅっ・・・・テクニシャ〜ン!!」
「もっ・・・・・ネビル、死んじゃうよぉ・・・っっ!!」
ガバッ!!!!
物凄い勢いでドラコは飛び起きた。
今見た映像は、一体なんだ??
夢にしては、妙にリアルだった。
急いで辺りを見回して、ここが自分の部屋だと気付き、ドラコはぞっとした。
さっき見た夢の中で、ルシウスにネビルが手篭めにされている最中、自分はこの部屋で何も知らずに眠っていたのだ。
この偶然は、果たして偶然だろうか??
寝ぼけた頭を一生懸命に回転させて、ドラコはベッドから立ち上がった。
「・・・・・ドラコ?・・・どうしたの?」
その時、聞き慣れた愛しい声がドラコの頭上から降ってきた。
視線をゆっくりと巡らせると、自分の正面に心配そうな顔をして、ネビルが立って居た。
「・・・・ネ・・ビル・・・」
掠れた声で名前を呼び、ドラコはネビルに縋った。
「ちょっと・・・・ドラコ、どうしたの?・・・・・・怖い夢でも見たの?」
優しくドラコの肩に手を置き、ネビルは微笑んだ。
「・・・・・ネビル・・・・ネビル・・」
ドラコは何度もネビルの名前を呼んで、その存在を確かめるように縋り付く。
「大丈夫・・・僕はここに居るよ?・・・・ドコへも行ったりしないから・・安心して?」
ネビルは優しくドラコの身体を抱き寄せて、言葉通りの優しい声でドラコに微笑んだ。
傍で感じる温かくて愛しい身体からは、夢の中の汚らわしいルシウスの匂いなど微塵も感じない。
あの映像は、本当に夢だったのだと安堵して、ドラコはほっと胸を撫で下ろした。
「ネビル・・・・・愛している・・・・・・」
ドラコが唐突に愛を紡ぐのを、ネビルは笑顔でくすぐったそうに聞いていた。
「うん・・・僕もだよ・・愛してる」
ドラコが喜び、安心するであろう台詞を紡いで、愛しい身体を抱き寄せたネビル。
「・・・・・・・・いたい・・・」
次いでドラコから漏れた言葉。「一緒に居たい」と言いたかったのかと、思ったが・・・・少しニュアンスが違った。
「ドラコ・・・・?」
抱き寄せていた身体を少しだけ離して、ネビルはドラコの顔を心配そうに覗き込んだ。
ドラコは眉を寄せて、青い顔をしていた。
「・・・・痛い・・・・」
そして再度、同じ言葉を紡いだ。
「ドラコ!ドラコ!大丈夫!?」
思わず声を荒げたネビルの目の前で、ドラコは大きな腹を抱えて床に蹲った。
To be continued‥‥。
今日のチヨリン。
千夜「やっちゃったね、・・・・・・ルシネビ」
凛「うん、やっちゃったね(笑)」
ルシネビのネビが、少し頭の足りない言動なのは、坊ちゃんの妄想だからです(断言)
2005・01・04 蒼向上委員会