最近…眠れない…
「じゅーんっ、寝よ?」
そう言ってテレビを見ていた俺の所に、枕を抱えたアイジがやってきた。
「先寝てていいよ」
「え〜…一緒に寝ようよ?」
そう言いながらアイジは俺に枕を押し付けた。
「俺まだ眠くないもん」
そう言って俺は枕をつき返す。
「ぢゃあ、俺が子守唄歌ってあげるから」
また押し付けられる枕。
「やだよ。お前美川憲一じゃんっ」
俺は半ば投げる様に枕を返す。
「ひでぇっ、せっかくの人の好意をっ」
そう言ってアイジは枕を投げつけた。
それは全く反れる事なく俺の顔面にクリーンヒットした。
「あ、わりぃ」
「最悪っ…子供じゃないんだから一人で寝ろよっ!」
「何で怒ってんだよ?」
「怒ってなんかっ…」
俺は一息ついて、自分を落ち着かせた。
「ちょっと怒ったかも…ていうかイライラしてた…」
アイジは床に転がった枕を掴んで抱きかかえると俺を見た。
「どうしたの?…何か最近変だよ…?あんま寝てないし」
「うん…俺もそう、思う…」
「悩み…でも、あんの?」
アイジは少し首を傾げて俺の顔を覗きこんだ。
心配そうな顔。
まるで、自分の感情を隠すという事を知らないように…
アイジはいつもそう。
そんな顔で見ないでよ…
「俺さ…」
「うん」
「アイジの事好きだしさ…」
「う、ん」
少し不可解な顔をしてそれでもアイジは俺の話を真面目に聞いてる。
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