『わがままジュリエット』

 ガチャンッ! ついに家庭科準備室の扉には鍵までかけられてしまった。
「佐奈ぁ……」
「名前で呼ぶなっ!」
 ヒステリックな佐奈の絶叫が、ドアの向こうから響いてくる。しょうがない、俺は佐奈を名字で呼ぶことにする。
「月宮……、出てこいよ。主役が来なくっちゃ始まらない……」
「始まらなくていいっ! ふざっけんなよ、チクショウ! 僕はイヤなんだ……、こんなの、こんなのぉっ!」
 ……困った。ここで更にすねられて、衣装を破られたりしたら本当にまずい。あのドレスには換えがないんだ。俺はとりあえず佐奈をなだめにかかる。
「なあ、もう決まったことじゃんか……。頼むよ、佐奈。主役だろ?」
「だから、名前で呼ぶなっ! ……だいったい、何が主役だっ! 『ジュリエット』だぞ……? もおっ……、僕は男なんだあぁっ!」
 知ってる。そんなことはみんな知っている。でも、そこの所をを考慮に入れたって、佐奈はクラスで一番かわいい。満場一致のブッちぎり当選で、彼はヒロインに抜擢された。もう運命みたいなもんだ。
 でも、佐奈はそれが気に入らない。いや、もともと女扱いされることを佐奈は昔から嫌がった。かわいい顔は佐奈のコンプレックスなのだ。
 女の子みたいな本名まで佐奈は嫌がり、他人に下の名前で呼ばれることを嫌う。なにかあるたびにかんしゃくを起こすところを、俺は何度も見てきている。
 それでも、佐奈が女の子扱いされるのは、もうしょうがないことだと思う。
 薄い虹彩の大きな瞳、苺のマシュマロみたいなほっぺ、サラサラの細い髪、小さな唇。はっきり言って、佐奈はそこらへんのアイドルなんかより全然かわいい。
 演劇発表会の演題が『ロミオとジュリエット』に決まった時点で、もうヒロインは佐奈に決定だった。性別なんて関係ない。他の役を回すなんて事実上不可能だった。ジュリエットよりかわいいロミオなんてありえないし……。
 だからなんとしても、佐奈には舞台に上がってもらわなければいけなかった。しかし、衣装あわせでついに佐奈はぶち切れ、教室を飛び出した。ついには家庭科準備室に立てこもってしまったというわけだ。
 ……しょうがない。一回教室にもどろう。少し頭を冷やしてもらわないと話にならない。



「そんでもさあ、やっぱ直也が説得するしかねえよ」
 クラスメイトは無責任に発言する。
「無理だってば……。あいつ今、そうとうキてるぞ。名前で呼んだら怒られた……」
「ワガママなお姫様だなぁ……」
 クラスのみんながため息をつく。衣装あわせは佐奈のヒステリーで中断され、手が止まったままだった。
 委員長が重たい口を開く。
「……でもね、直也くんが説得するしか方法ないと思うのよ。月宮くんを名前で呼べるの、直也くんだけじゃない」
 佐奈は俺以外の人間には下の名前で呼ばせない。でもそれは、俺が好かれてるというより、慣れの問題だろう。幼稚園年少組からの付き合いだし、今更名字で呼ぶ方が違和感がある。
 それでも、今回は俺だって怒られたのだ。佐奈のご立腹の具合も分かろうというものだ。
「とりあえず、こっちは別の仕事やるわ。直也くんは月宮くんを、どんな手を使ってもいいから言いくるめて」
「勘弁してよぉ……。あいつが一度すねたら、俺だって……」
「説得できなかったら、直也くんにジュリエットやってもらうからね」
 ……マジっすか。

 もう一度、家庭科室へ行く。やはりまだ、ドアは閉められたままだった。
「さ……。いや、月宮くん、とりあえず鍵だけでも開けてください」
 返事がない。
「つ、月宮ぁっ?!」
「…………うるさい」
 地の底から響くような、恨みのこもった声だった。しかも、どこかうわずっている。……泣いていたのかもしれない。
 俺は声のボリューム落として、説得しようと思った。しかし、それは上手く文章になってくれなかった。
「月宮、あのさぁ……。えっと……、つ、月宮ぁ……」
 しばらくすると、ガチャンという音と共に、鍵が落ちた。
「うるさい。もう月宮なんて呼ぶな」
「…………」
 さっきは自分で佐奈って呼ぶなって言ったくせに……。まあいいや、とりあえずドアは開けてくれたらしい。
 俺は手すりに手をかけて、扉を開いた。

 目の前には、純白のドレスを着た佐奈が立っていた。

「あ……」
 俺は一瞬、気が遠くなった。顔を赤く染めた涙目の佐奈に、本当に心を奪われてしまった。男とか女とか関係ない、そんなつまらないことなんて超越した美しさだった。
 佐奈は手を掴んで、俺をむりやり部屋の中に引き入れた。そして、再びドアの鍵にかけた。
「……う、うぅ。……直也ぁ」
 佐奈はドアに背を向けて、俺を見ていた。目にたっぷりと熱い涙をためて、肩を震わせていた。
「佐奈……」
 俺は、間抜けに佐奈の名前を呼ぶくらいしかできなかった。こんな佐奈になんて言葉をかけていいのか、全然分からなかった。
 佐奈は目をゴシゴシと袖で拭くと、ドアに背もたれたまま、ズルズル床にへたりこんだ。
「直也……、僕、やらないからね。こんな役、死んだってやらない……」
「……なんでだよ、……なんで、そんなにかわいいのに」
「かわいいなんて言うなぁっ!!」
 佐奈の声はもう悲鳴の様だった。佐奈はうつむいたまま、頭を抱え込んだ。
「そんな言葉、嫌いだってこと……、直也は、知ってるはずじゃないかぁっ!」
 知ってる。でも、この気持ちを誤魔化すことはできない。佐奈はかわいい。それこそ、油断したら気を失いそうなほどかわいい。
「なんなんだよ、みんなして……。昔からそうだ。人の顔を見てはかわいい、かわいいって……。そんなんで喜ぶほど、僕は人間やめてないんだ……」
 佐奈の言葉は、それこそ血を吐くようなつぶやきだった。
「僕にどうしろって言うんだよ……。こんなんじゃ、まともな人生送れない。恋人もできない、結婚だってできない。いや、友達だって作れないんだ……」
「佐奈、お前……」
「直也は、どうなんだよ……? 本当に僕の友達なの? 僕のこと、どう思ってる? どうでもいい? どうなってもいい?」
「お前さあ……」
「どうなんだよっ!?」
「お前、自分がどんなに愛されてるか、本当に分かってないのか?」
「え?」
 俺と佐奈は、しばらく無言で向き合った。まるで、時間が止まったみたいだった。
 佐奈は俺の言葉が日本語として通じていないようだった。とまどいの表情を浮かべながら、俺を見ていた。
「……な、なにそれ」
「あのな、お前みたいに自分勝手に壁作っているヤツが、なんで普通に生活できてると思ってるんだよ。なんだかんだ言って、みんなお前が好きだからだろ」
「……い、意味、わかんないよ」
「みんな、お前が好きなんだって言ったんだよ」
「そんなはずないじゃん!」
 佐奈の語気は少し荒くなっていた。……混乱している。俺はそう思った。
「じゃあ、なんでみんなで僕のこといじめるんだよ! なんでこんな服着させて……」
「……佐奈は嫌がるだろうけど、もう一回言うぞ。佐奈がかわいいからだよ」
「や、やだよ、そんなのぉ……」
 嫌がられてもしょうがない。何を言おうと、かわいいモノはかわいい。みんながみんな、そう思ってるんだ。
 しかし、佐奈はまだその言葉が信じられないようだった。
「……じゃあ、直也は僕が好き?」
「当たり前じゃん」
「……キスとか、できるくらい?」
「は?」
「キスだよ。僕が本当にかわいいなら、そのくらいできるだろ。本当に女の子の役ができるくらい、僕がかわいいならさ」
「………………」
「ほら、できないだろ。いい加減なこと言うなよ」
 それはこっちのセリフだ。いい加減にしろよ、佐奈。
 俺は佐奈の小さな肩を、両手でガッチリ押さえ込んだ。
「……え?」
 構わず、唇を押しつけた。
 佐奈は固まっていた。柔らかい唇は、わずかに震えていた。俺は佐奈の上唇を少し吸った後、角度を変えてもう一度キスした。
 唇を離すと、唾液が細い糸を引いた。佐奈の唇は、少し濡れていた。
 佐奈は事態を飲み込むのに数秒かかった。そして、自分のされたことを理解すると、その口を両手で押さえた。
「な、なんでこんなこと……、直也……」
「佐奈が好きだからだよ。いまさら何言ってるんだよ」
「でも……、そんな……」
 うるさい。俺は佐奈の両手首を掴むと、それを左右にむりやり広げ、後ろのドアに押しつけた。
 そのまま佐奈に倒れ込んで、もう一度、唇を奪った。
 今度は舌で、閉じられた口をむりやり押し開いた。少し空いた隙間から、強引に佐奈の舌を吸った。そのまま噛み、なぶり、俺の唾液を流し込んだ。
 佐奈は俺から逃れようと、腕に力を入れた。しかし、俺はさらに強く手首を握りつけ、佐奈を強引に押さえこんだ。
 窓からは直の西日が差し込んでいた。オレンジ色に染まった部屋で、俺達はキスを続けた。
 俺は佐奈の甘い唾液を堪能した後、ゆっくりと唇を離した。佐奈はその場で脱力し、ズルズルと床に崩れ落ちた。
「うぅ……、う……、うぐぅ……」
 佐奈はすすり泣いていた。相当ショックだったのか、自分の肩を抱きながら、引きつった呼吸をくり返していた。
 一方、俺の理性はブチ切れていた。乱れたドレスをまとい、床に伏せている佐奈を見て、そんなものが保てるワケがなかった。
 俺は佐奈のドレスのスカートに手を入れた。そして、目的のモノを探し出し、握りつけた。
「あっ!?」
 佐奈が驚きの声を上げるがもう遅い。佐奈のペニスは勃起していた。そうさ、あんなキスをされたんだ。当た前じゃないか。
 俺は佐奈の熱い肉棒をさすった。スカートの折れ目が、動きに合わせて複雑に揺れた。
「や、やだ直也っ! なにやってんだよ、や、やめてっ!」
 俺は起きあがろうとする佐奈の襟首を掴み、ひねって床に叩き込んだ。佐奈の後頭部が床にゴチンと当たる。
「痛っ……! あ……あぐうぅ……。や、やだあ……、やめて、やめてぇ……」
 佐奈は俺の下で暴れるが、小さな身体は掴まれた首を支点に虚しくのたうつだけだった。俺はさらに首をひねり上げて、顔を佐奈の前に近づけた。
「なにがやめてだよ。佐奈だって、こんなにガチガチになってるじゃん。気持ちいいんだろ?」
「こんなの……気持ちいいわけ……ないじゃないかあっ! やめてよ! 直也恐い! ……恐いよおぉっ!」
 俺は構わず佐奈のペニスをこすった。頭の中は爛れてしまいそうなほど熱くなっていた。確かに、俺は恐い顔になってしまっているのかもしれない。
 それでも、せめて佐奈を気持ちよくさせようと、手のリズムには緩急をもたせ、指の動きにも波をつけた。
 本当に気持ちいいのか、それとも諦めたのか、佐奈の筋肉から次第に力が抜けていった。ただ呼吸はせわしなく続き、胸が上下に激しく揺れていた。
 ついに、佐奈の抵抗がなくなった。俺は掴んでいた手を離した。佐奈は荒れた息をくり返すだけで、逃げようとはしなかった。
 俺は空いた手で自分のズボンのチャックを下ろした。中には痛いほど勃起したペニスがある。俺は屹立した自分の分身を引きずり出し、オナニーを始めた。
 右手で佐奈のモノ、左手で自分のモノをこすった。自然とリズムは重なり、俺達は同時に同じ快感を得た。
 ……いや、それは勝手な思いこみかもしれない。でも、そう信じたかった。佐奈と一緒に感じている、気持ちよくなっている。俺はそう願っていた。
「うぅ……、うっ! うあぁ……」
 佐奈の喉から、せつないうめき声が漏れだした。見れば、額にも汗が滲んでいる。
 佐奈は快感に耐えていた。射精を必死にこらえていた。力で抵抗できないなら、せめてこれ以上の陵辱を無価値にしていと思ったのだろうか。
 そんなことは許さない。俺は自分が気持ちいいように、佐奈のペニスに攻撃をくわえた。揉むようにさすり、カリ首と皮の間を撫で、亀頭を親指の先で掻いた。
「ひっ! ああぁ……、あぁ……、うぅっ!」
 佐奈がアゴをのけぞらせた。限界が近い。そうさ、俺だって自分に同じことをしているんだ。俺だって死ぬほど気持ちいいんだ!
 佐奈をなぶっている。そう思うだけでクラクラする。佐奈が喘いでいる。嬉しい。俺は泣きそうなほど嬉しい。
 非道いことをしているとは思うけど、謝ることもできない。それならせめて、いっぱい感じさせてやるっ!
 俺はラストスパートをかけた。より速く、まるで機関車みたいに二つのシャフトをこすり上げた。
 二つの掌が、灼けそうな程熱くなった。佐奈の呼吸も千々に乱れ、眉間に大きなシワがよった。
 そしてついに、快感の堰が切られた。
「ぐううぅっ! うっ! うぅっ! ひあぁっ! やだぁ……やだ、やだっ! やだああぁっ!」
「佐奈あぁっ! ううぅっ! さ、佐奈あぁっ!」
 ドビュウウゥッ! ドビュルウゥッ! ドビュッ! ドビュウゥッ! ドビュ、ビュ! ビュウッ! ビュルウウゥッ!
 ブビュウッ! ドビュルウゥゥッ! ドビュウウゥッ! ドビュルッ! ビュルッ! ビュウゥッ! ドビュウウッ!
 俺達は同時に達した。佐奈の煮えた精液は俺の手を抜け、スカートの中にぶちまけられた。腰の痙攣を、俺の掌は直で受け止めた。佐奈の快感を全て感じたようだった。
 俺の精液も今までに見たことの無いような量になっていた。白濁液は凄まじい勢いで飛び散り、佐奈の上に降り掛かった。
 寝ている佐奈の胸、顔、髪に牛乳ビンでもぶちまけたかのように白い液体が降り注いだ。
「ふああぁ……、あぁ、いやあぁ…………」
 佐奈は身体を震わせながら、快感に酔いしれていた。いくら頭で抵抗しても、肉体がそれを許さなかった。佐奈は惚けた目で天井を見つめていた。
 佐奈の頬は赤く、涙で濡れていた。俺の精液が垂れ落ち、口からはトロリとヨダレが一筋流れ出していた。
 潤んだ瞳に夕日が反射して、キラリと光った。そのまま、佐奈は目を閉じた。
 ピクピクと痙攣する佐奈を見て、俺はまた興奮していた。
 佐奈はかわいすぎた。俺は美術の時間に世界の名画なんてみせられても、どこが美しいかなんてさっぱりわからなかったけど、今なら理解できそうだった。
 ベトベトに汚れた佐奈を、本気で美しいと思った。
 俺は何かに操られるように立ち上がり、棚の上のサラダオイルに手を伸ばしていた。
 ドロドロの黄色い液体が揺れる。俺は蓋を開け、少し掌にとってみる。
 冷たい。ベタベタする。
 足下ではほとんど死に体の佐奈が喘いでいる。その上に、俺はサラダオイルを垂らしていった。
「うああぁ? あ、な、なにぃ……!?」
 佐奈は何が起こったか理解できなかったようだった。いや、俺だって自分が何をしているのかよくわからない。
 大切なドレスは、これでダメになってしまった。後かたづけとかどうするればいいんだろう。いや。そもそも俺は何をしようとしているんだ?
 佐奈がドロドロになっていく。俺の意識も溶けていく。全部、夕日の赤色に吸い込まれていく。
 糸を引くような油の滝が佐奈に落ちていく。濡れたドレスが佐奈の身体に張りついていく。薄い生地が透き通り、白い皮膚や肋骨、ピンク色に乳首まで浮き出てくる。
 ついに俺は、容器が空になるまでサラダオイルを佐奈に注いだ。もう、後戻りはできない。
「佐奈……」
 俺は空っぽになったボトルを捨て、佐奈の前にひざまずいた。
 ゆっくりと佐奈の顔を撫でた。指が柔らかい頬肉の上をヌルリと滑った。
「直也……、冗談だよね? こんなこと……ありえないよ」
 佐奈は怯えている。でも、俺はブレーキなんてとっくに壊れている。もう、止まれない。
 佐奈にキスする。同時に右手では胸を揉みしだく。グチャグチャに濡れたドレスの下には、本当に柔らかいおっぱいがあるかのようだ。俺は大きな円を描くように佐奈の胸をさする。
「ふうぅ……、ん……、んん……」
 塞がれた唇の向こう、佐奈のくぐもった声が確かに漏れる。俺は口を佐奈から離し、舌を首筋に這わせる。
 スカートに手を入れ、太ももをなで回す。付け根に近いところが触れられると、佐奈はビクンと背中を丸める。
 そのまま指をさらに奥へ。
 丸いお尻を撫でる。さらにその奥へ。小さい窄まりに指が当たる。
 オイルでヌルヌルになった指で周辺をまさぐっていく。……柔らかい、もう吸い込まれてしまいそうなほど柔らかい。
「あぁ……やだ、やだよぉ……。こんなの、ゴーカンじゃん……」
「そうだよ……。俺、佐奈を犯したいんだよ……」
「……何言ってるか……わかってるの?」
「……さあ、なに言ってるんだろうな、俺」
 俺を突き動かしているのはとても刹那的な性衝動だった。……犯したい! メチャクチャにしたい! 佐奈を俺の物にしたい!
 指を入れる。油を奥まで押し込むように、くり返して出し入れをする。佐奈の体内はまるで熱い泥みたいで、俺の方が溶けてしまいそうになる。
 恐怖からか、快感からかは分からないが、佐奈は俺の下でヒクヒクと震える。ふせられた目元に、長い睫毛が揺れている。
 かわいいすぎる佐奈に、俺はめまいを起こす。
 佐奈のスカートをまくると、扇情的な白い足があらわになる。細くて、すべすべの足。俺はその太ももを抱える。
 佐奈の股間と、俺の股間が近づいていく。俺はさっきからずっと、ガチガチに勃起している。佐奈だって萎えてなんかいない。俺は佐奈のお尻に自分の分身をあてがう。
「佐奈……犯すよ」
「…………ッ!!」
 佐奈はうめきながら、ドレスの端を握りしめた。布に染みこんだオイルがポタポタと落ちる。
 ……そして、俺は佐奈に突き入れた。
「ううぅっ…………!!」
 佐奈が歯を食いしばり、激痛に耐える。
 佐奈のアナルはとても狭かった。そこはいくら濡らしたところで、そう簡単に入るような所ではなかったのだ。それでも、俺は止められない。なんどもむりやり突き入れ、佐奈を少しずつこじ開けていく。
 亀頭が入る。やがて一番太いカリ首が埋め込まれる。
「かっ……うぐうぅっ!! いたっ、痛い、痛いぃっ!」
 佐奈が悲鳴を上げる。でも、俺は止めない。
 俺は足を掴み直し、佐奈に全体重をかけた。ペニスのシャフトは一気に佐奈に吸い込まれた。
「うあああぁっ! ひぎっ……、痛いぃっ……、痛い、痛い……」
 佐奈が苦しんでいる。俺は根本まで埋め込んだ状態で動きを止める。
 動けない。佐奈の中はきつすぎて、とても出し入れなんてできる状態じゃない。たぶん、このまま続けたら佐奈は壊れる。
 俺は冷たい床の上にある佐奈の身体をかかえ、ベチョベチョのドレスに抱きついた。
 佐奈の身体は、エンストした車のようにガクガクと震えていた。俺は、自分で与えた恐怖、痛み、絶望を、この手に抱いた。
 こんな勝手なことをしておいても、やっぱり佐奈の中は気持ちよかった。人の体内がこんなに心地いいなんて思わなかった。そこは佐奈の鼓動まで伝わってきそうな粘膜の壁だった。
 そして、そのまま俺達は止まった。
 しばらくすると、佐奈の身体も俺のモノになじんできたようだった。収縮が緩み、佐奈の表情もどことなく和らいできた。
 佐奈も俺の身体に腕を回してきた。お互いの身体がさらに密着し、俺の服もいよいよグチャグチャになった。
 まるで、佐奈の大切な何かまで染みこんでくるかのようだった
 俺は身体をゆっくりと揺すり始めた。全身をこすり合わせるように大きく動いた。
 腰は密着したまま円を描いていた。俺はペニスを佐奈の中でくねらせた。
「あ、ああぁ……、はあ……」
 佐奈の口から快感の溜め息が漏れる。佐奈も感じ始めている。
 俺はもっと腰を密着させた。ペニスがさらに奥まで届いた。そして、お互いの腹の間に佐奈のペニスが挟まれた。
 服は油にまみれていた。そんな間を、佐奈のペニスはグチャグチャにシェイクされることになった。
 佐奈の勃起をヘソの下で確かに感じた。俺はさらに揺れる。佐奈を抱く腕にも力が入る。勢いでうなじも撫でる。
「あぁ……、佐奈ぁ……、佐奈あぁ……」
 佐奈の名前を呼ぶだけで、背筋に快感のパルスが走る。まるで魔法の呪文だ。俺は佐奈の耳元で、必死に名前を呼びかける。
「佐奈……、佐奈ぁ……、佐奈っ……、佐奈あぁ……」
 ふと、俺の耳にも佐奈の息がかかった。
「なおや……」
 ゾクンと全身が凍った。せつなそうな喘ぎと共に発せられた自分の名前に、俺は達してしまいそうになるほど感じてしまった。
「佐奈……、佐奈……、佐奈っ……、佐奈あぁっ!」
 愛おしい。佐奈が愛おしい。全身を溶かす麻薬のようなものが胸の奥からこみ上げてくる。死にそうな程の多幸感が俺を狂わす。
 身体が揺れる。佐奈の身体をこのまま俺の熱で溶かすように、全身を愛撫していく。
 ブチュブチュと接触面から粘着音がする。溶ける……。俺の身体……溶けちゃう……。
 気持ちいい……。このまま死んでしまいそうなほど気持ちいい……。
 ダメだ……! 佐奈も気持ちよくしなきゃダメだ! 俺は佐奈のチンポを徹底的に腹でこする。
「あぁ……な、直也ぁ……、直也……、直也あぁ……、なおやあぁっ!!」
 佐奈の声が準備室に響く。背中に回された手にいよいよ力が入り、俺の背中に爪が立てられる。
「佐奈っ! 佐奈あぁっ!!」
 もう耐えられない。俺はついに最後の力を込めて、佐奈の身体の限界まで、ペニスを奥まで突き入れる。
「あああぁっ、なっ、なおやああぁっ!!」
 ドビュルウウゥゥッ! ビュルウゥ! ビュルウゥッ! ビュウゥッ! ビュッ! ビュクン! ビュルウウゥッ!
 ドビュウゥッ! ドビュッ! ビュルルウゥゥッ! ビュウウゥッ! ビュッ! ブビュウウゥッ! ビュルンッ!
 佐奈の絶叫を引き金に、俺達は絶頂に至った
 俺は佐奈の直腸最奥に、煮溶けた精液を放った。佐奈が女なら確実に妊娠しているであろう勢いだった。
 腹の間でサンドイッチされた佐奈のペニスも、同時に弾けた。精液は再びスカートの中にブチまかれ、しぶきはボタボタと床にまで垂れた。。
 もう二度と剥がれなくなるような力強さで、俺達は抱き合っていた。立てられた爪は幾筋かの痣を俺の背中に残しているだろう。でも痛くなんかない。これは俺達が愛し合った証だ。
 佐奈の荒れた呼吸が、耳にかかる。張り付いた頬が暖かい。佐奈が、暖かい……。
 俺は放心しながら、このまま時間が止まってくれることを、本気で望んでいた。



「うわ……、すごいねこれは……」
 委員長は家庭科準備室の惨状を見てつぶやいた。
 そりゃそうだ。サラダオイルがまるまる一本、ここにはブチ撒かれたのだ。
 あげくにお互いベチョベチョ。どろんこプロレスだって、もうちょっとマシなんじゃないだろうか? とにかく非道い状況だ。
「いくら喧嘩したって、普通こんなにはならないでしょ……。あなたたちバカ?」
「異論ありません」
「僕もないよ」
 俺達は諸手をあげて同意した。……反論できるわけがない。
「とりあえず委員長なら部室棟のシャワー借りられるだろ。あと、洗濯機とか。……あそこにあったっけ?」
「あるけどさぁ……。でも、そのドレスはもうダメだわ、作り直しね。ま、あんたの服と一緒に洗濯しちゃいましょ」
 よかった。油で誤魔化してあるけど、佐奈のスカートは精液でベチョベチョなんだ。このままいけば、ここであったことは隠し通せるかもしれない。
「いや、そんなことはどうでもいいわ。……で、月宮くん。結論はでたの?」
 そう、委員長はこの答えを聞くために家庭科準備室までやってきたのだ。なかなか帰ってこない俺達にしびれを切らして。
 委員長の問いに、佐奈は笑顔でこう言った。
「ロミオ役を女子がやるなら、考えてもいいよ。それなら公平っぽいでしょ」
「……なるほど」
 委員長はちょっと考えて、手を打った。
「そうね、それ面白いわ。いっそ、全キャスト男女入れ替えてもいいかもね。うん、そうしましょ」
 委員長はなかなか柔軟な思考ができる人のようだった。ありがたい。いやあ、男前だなぁ、この人は。
 それならロミオ役は、委員長でもよさそうだ。こいつになら、佐奈をまかせたっていい。
「じゃあ、私はちょっと部室棟に行ってくるわ。直也くん、ごくろうさま。月宮くん、本当にありがとう。……少し待っててね」
 委員長は小走りで準備室を出て行った。後には、間抜けな男二人が取り残された。
 佐奈は溜め息を一つつき、床に腰を下ろした。そして、何かを諦めるように言った。
「いつか、こんなことになるんじゃないかと思ってた」
「こんなことって……?」
「こんなことだよ」
 佐奈は自分の身体を指さした。その先はズタボロのドレス、その下は陵辱された肢体……。
「……ごめん」
「なにをいまさら」
 うつむく俺を、佐奈は眉をひそめながらにらんだ。
 俺はこの場で佐奈に殺されたって文句は言えなかった。それだけのことをしてしまったのだ。あれはどんなに謝ったって許されない、最低最悪の行為だった。
「あーあ、これで本当の女の子になっちゃった……」
「……ごめん」
「うるさい。謝るな」
 ……ごめんな、佐奈。でもやっぱ、俺には謝る以外、何もできないよ。
「で、直也はこれからどうする気なの?」
「どうする……?」
「僕との付き合い方さ。これだけのことをして、まだ友達ってわけにもいかないでしょ」
「………………」
 俺には何も言う資格がない。絶交ならそれも仕方がないことだ。死ねと言われれば死んだっていい。
 しかし、佐奈のその後の言葉は、あまりに意外なものだった。
「……僕と、恋人になりたい?」
「え?!」
 俺は顔を上げた。佐奈は顔を少し赤らめながらも真剣な表情で俺を見ていた。
「僕を女の子にした責任、とってくれる?」
 この言葉が、佐奈の悪ふざけなんかじゃないことは、まっすぐ前を見た目をみれば分かることだった。佐奈は真摯に今の事態に向き合おうとしていた。
「どうなの、直也。僕を彼女にする覚悟はあるの?」
「あ、あるっ!!」
 俺は慌てて叫んだ。こんな問いかけに時間はかからない。速答だ。
「そうか……、直也はそれでいいんだ……」
 佐奈は、目を細めて笑った。それは、いままで見てきた佐奈の表情で、一番優しい笑顔だった。

 そして、俺達は演劇発表会の準備に追われている。
 佐奈は自分の要求が通った後でも、やっぱりちょっとワガママだった。なにか悶着があるごとに、俺はいろいろフォローに走った。
 時には佐奈と喧嘩もした。仲直りもした。キスだって、ときどきした。
 佐奈は、やっぱり舞台の上でもかわいい。笑顔、泣き顔、憂えた表情、感情の一つ一つが魅力的だ。
「直也の顔、舞台の上からでも見えるよ」
「そんなものなの?」
「僕を見ている時の直也って、すごいバカっぽい顔になってるからね。……見間違わないよ」
 まったくこいつは……。それでも佐奈が俺を見ていてくれてるってのは、嬉しい。いよいよダメだな、俺。

 なぜ佐奈が俺を許し、恋人にまでしてくれたのかは、いまだによく分からない。
 ただ、佐奈の中には予感のようなものがあったのかもしれないと、俺は勝手に思っている。
 佐奈は自分が女に見られることをすごく嫌った。結果、それは周囲との軋轢を産み、佐奈はワガママと見られることが多くなった。
 でも違う。佐奈の自分勝手な言動は、他人の理不尽な思いこみに対する防御反応だっただけだ。
 今の俺なら、そんな佐奈をいくらでも受け入れることができる。佐奈の全てを愛せる。……心から。
 佐奈がせめて、俺だけでも受け入れてくれるなら、俺達はいくらでも幸せになれるだろう。

 かわいいジュリエットには、ハッピーエンドもよく似合うと、俺は思う。

(了)

[投下 : 2chエロパロ板『女装空想小説』 2004年03月08日(744〜758)]

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