『ふわふわのたまご』

「遙……、君が好きなんだ……。俺と、つきあってくれないかな……」
 夕日なんかが落ち始めてる放課後の体育館裏。なんというか、ありふれた光景って感じがする。セリフだけ聞けば、なんかラブコメ漫画の一ページっぽい。
 ……相手が担任の先生、……しかも男でなければ。
 さすがに返事に困る。僕だって一応、男の子だ。まぁ、昔から知らないおばさんなんかに「可愛いお嬢さんですねぇ」なんて言われることも多いけど。
 僕は先生をちょっと観察してみる。先生はポケットに手を突っ込んで、クールに決めてるつもりだろうけど、顔は真っ赤で、唇も心なしか震えている。
 一大決心ってやつかもしれない。小学五年生に交際を申し込むんだ。世間的には限りなく犯罪だ。
 ……なーんか、かわいいなんて思ってしまったり。
 僕はクラスの女子の会話を思い出す。告られた時は、その人とキスする所を想像してみるといいって。気持ち悪くならなければ大丈夫、だって。
 先生と、キスか。
 それほど、不自然には感じなかった。なんでだろう? 好きになる理由もないけど、嫌いになる理由もなかった。
 だから、先生にキスしてみた。



 なんか体がフワフワする。……気持ちいい。
 おちんちん、あったかい。……やだ、溶けそう。
 ……な、なんで?
 僕は仕掛けが外れた罠のように、ガバッと跳ね起きた。
 小さいけど柔らかいベッドの上、毛布の中がモソモソと動いている。
「せ、先生っ?! なにっ?!」
 先生の姿は毛布の中に入っちゃってるので見えないけど、何をしているかはすぐに分かる。
 先生、僕のおちんちん……、食べちゃってる!
「や、やだ先生……、な、なに、なにしてんのぉ!」
 寝起きでいきなり、フェラチオされてパニくっている僕を、先生は無視する。僕の分身に、舌をムニムニと絡めてくる。
「ちょ……、せんせ……、やあぁ……、っだ……だめえぇっ!!」
 僕は毛布をひっぺがす。中からは僕のおちんちんをパックリくわえこんでいる先生が出てくる。
 僕たちは一瞬目が合う。が、先生は構わず行為に没頭し始める。
 グチュグチュという、イヤらしい粘着音が僕の耳にも聞こえてくる。
「うああぁ……、だ、駄目だってばぁ……。なに……、なにぃ……?」
 僕の疑問に先生は答えてくれない。そのまま舌を器用に使って、僕の皮を剥いていく。粘膜に電気を通されたようなビリビリした快感が走る。
「ふああぁっ! や、やだってばっ! それ……、やあぁっ! 痛いよ……、痛いってばあぁっ!」
 剥き出しの粘膜を、今度は唾液たっぷりの舌が舐める。ペタペタペタペタまんべんまく刺激された後、チューッって吸われる。
「……っ! くうっ!」
 僕は必死に枕を掴む。何かを抱いていないと、体が一気に崩れてしまいそうだ。中のクッションがギュッと潰れる。
 ベットの上で体を左右にひねる。だが先生の太い腕は僕の腰をガッチリと極めてしまい、そこから逃れることはできない。。
 先生の頭が上下に動き始め、僕の小さな肉茎の根っこから先っぽまでが、柔らかい唇でしごかれる。
「ふううぅ! ううぅ……、うあぁ……、あっ……、はああっ……、あああぁっ!」
 背筋のゾワゾワが止まらない。僕は枕を抱きしめながらとにかく喘いで、体をくねらせる。
 呼吸がせっぱ詰まってくる。お腹が大きく波打ち、どんどん息が荒くなっていく。
「やだぁ……、せんせ……、出る……、僕っ………出るよぉ、出ちゃうよおおぉ!!」
 トドメとばかりに先生は、敏感すぎる先端に噛みついた。衝撃が一気に脳まで突き抜ける。
「うああぁっ! 出っ、出るっ、出るううぅっ!! いっ……、いやあああぁっ!!」
 ドビュウウゥッ! ビュウゥッ! ブビュルウゥッ! ビュウゥッ! ビュッ! ビュッ! ビュウウゥッ!
 僕は朝一の特濃ミルクを、先生の顔にぶちまけた。
「ふあぁ…………、やあぁ……、うああぁ…………」
 全身の震えが止まらない。僕は枕をきつく抱いたまま、ベットの上で痙攣する。
「いやぁ、おはよう遙くん」
 先生は顔にかかった精液を指ですくいながら、丁寧にご挨拶……。
「ピクピクしちゃって、かわいいねぇ。そんなに良かった? 昨日の夜、あんなに出したのに、ちょっと寝ただけでこんなに濃いのが出るんだ。若いっていいなぁ……」
 先生はたっぷりと指に絡んだ精液を口に運び、チュパチュパ吸った。
 僕は先生のアゴを、カカトでおもいっきり蹴り上げた。



「だって目が覚めたら、横で遙くんがかわいい寝息立てて寝ていて、毛布をめくったらチンコも勃ってんだよ? そりゃ舐めたくもなるだろぉ」
「うるさい犯罪者っ!」
「それは、言わないって約束じゃん……」
 先生とつきあい始めて三ヶ月、だんだんこの人が分かってきた。……たぶん、真性の変態だ。
 だいたいどこの世界に恋人の朝勃ちにいきなり食いつく馬鹿がいるんだ! おかげで朝からシャワーを浴びなきゃいけない。
 熱い水滴に打たれながら僕はこの三ヶ月間を思い出す。まったく、あの人の駄目っぷり……。
 はじめにAから始まっちゃったから、Bまでなんてたった一週間。Cまでは一ヶ月。もっともその時は全然入らなかったから、僕のお尻がちゃんと広がるようになるまでさらに一ヶ月。
 で、ここ最近は児童会の仕事で遅くなるなんてことを理由に、よく先生の家に泊まり込んでいる。僕の実家は埼玉だから通学に一時間半もかかるし、まあ良くできた言い訳なんだと思う。
 ――猿のようにヤリまくるって、こういうのを言うんだろう。
 昨日の夜も、あんまり寝かせてもらえなかった。なんか腰が重いし、だるい。……思わず溜め息がでる。
 今日は土曜だから学校はないけど、午後から塾だ。はやく朝ご飯作って、掃除して、帰ろう。

 カゴの中に入れておいた着替えがない。なぜか白いフリルのついたエプロンが一枚、ピロッと入ってる。

「この淫行教師ぃっ!!」
「なんて言いながら、しっかり着てくれてるじゃん、裸エプロン♪」
「いいから僕の服返せっ!」
 リビングに怒鳴り込んできた僕を、先生はパンッっと手を合わせて、拝み始めた。
「漢のロマン、かなえさせてくれ!」
 ………………。
 どうですか、みなさん。この馬鹿っぷり。……馬鹿っ、バカバカバカァっ!!
 どうしてこの人は、こんなかわいい恋人に恥ずかしいことばっかりさせて喜ぶんだ。それとも、大人の男ってみんなこうなの?
 この格好、一応してはみたけどはっきり言って裸より恥ずかしい。前はリボンがヒラヒラしちゃってるし、後ろなんて丸見えだ。…………さいってぇ。
 もういい。とっととご飯だけ作って服を返して貰おう。そしてとっとと帰ろう。この人はいいかげん調子に乗りすぎだ。
 昨日の帰りに買ったパンを切って、バターを塗って、ハムとか挟む。レタスを剥いて、トマトを切る。コーヒーメーカーのスイッチを入れる。チャッチャッチャだ。
「はいどーぞ!!」
 僕は朝食の乗ったお盆をテーブルに叩きつける。衝撃でお皿やカップが三センチくらい浮いた後、引力に従ってガシャガシャと落ちる。
「いや……、どーも」
 さすがに先生も引いている。まあ、自分の分は丁寧に置く。
「では、いただきます」
「……はい」
 僕はモソモソとサンドイッチを口に入れる。いつもはもうちょっとおいしい朝食だけど、なんか今日はいまいちだ。こんな簡単な料理でも、味は感情で決まっちゃうものらしい。
 先生は先生で、すっごい優しい目で僕を見てるし……。
「かわいいいなぁ、遙くんは……」
「知ってるよ」
「そういうかわいくない態度も、かわいいなぁ……。メチャクチャ似合ってるよ、その裸エプロン」
 無視決定。僕は黙々と食事を続ける。
 なんか、先生はずっと僕を見ている。食事を口に運びながらも、視線は僕に張りつきっぱなしだ。
 僕はすごく恥ずかしい……。そもそもこの格好が恥ずかしいのに、さらに見られることが、ものすごく恥ずかしい。
 くやしいなぁ。なんでこんなことで、ドキドキしちゃってんだろう。
「ねぇ、遙くん。こういうの知ってる?」
 無視。
「親指をさ、こうやってテーブルの縁に並べて置くの。やってみて」
 話題が変わったらしい。しょうがないので僕は先生の指示に従ってみた。親指をテーブルの上に置く。
「でさ、これをその上に置くんだ」
 そう言うと先生は、僕の親指の上にコーヒーカップを乗せた。もちろん中身はまだ入ったままだ。
「……えっ!?」
「ほら、もう動けない」
 たしかに動けない。少しでも揺れたら中身がこぼれる。僕は腕を上げることも、引くこともできない。
「……で、これがなに?」
 僕は先生を睨む。こんないたずらにつきあわされるのも、今はまっぴらだ。
 しかしその瞬間、僕は下半身にゾワッと来る悪寒を感じた。
 見れば、先生の足が僕のエプロンの下に潜り込み、おちんちんに触れている。
「……せ、せんせっ!」
 僕は立ち上がろうとしたが、指上のコーヒーカップがそれを封じる。まだ熱い中身がタプタプと揺れる。
「あれぇ、遙くん勃起しちゃってるじゃん。なんにもしてないのに、こんなになっちゃってたの?」
 しょうがないじゃないかぁ! 裸よりも恥ずかしい格好させられて、ずっと見られ続けたら誰だってこうなっちゃうよ!
 でも、僕はそんな抗議も先生に言うことができない。ちょっと大きな声を上げただけでも、コーヒーカップはバランスを崩しそうだ。
「やらしいなぁ、遙くんは。かわいい顔して、エロエロなんだね」
 先生はそう言いながら、足の指で僕のおちんちんをクリクリとこね回す。テーブルに隠れて見えもしないはずなのに、どうしてこんな器用なことができるのか……。
「やあぁ……、せ……、せんせぇ……」
 僕は体を硬直させ、肩をすくめる。全身がこわばって、小さくプルプルと震えてしまう。
「あれ、こんなんで感じてるんだ。遙くん、足なんかで気持ちいいの?」
 ……違う! これは気持ちよくって震えてるんじゃないの! 怖いんだってば!
 しかし、先生は全然お構いなしだ。攻撃はどんどん強くなっていく。
「や……、だぁ。……やめてぇ、せんせぇ、……こ、怖いっ、怖いぃっ!」
 タプンとカップの中身が揺れる。とにかく意識を集中させないと、一気にひっくり返しそうだ。
 それでもまだ、先生は悪戯をやめてくれない。さらに両足で僕のおちんちんを弄びにかかる。
「ほーら、こうやってモニュモニュしてあげる。そして、上下に動かしたりさ。いいでしょ?」
「やだぁっ……、やめて……、お願いぃ……、やめ……、やめっ……」
 虫が這うようなイヤらしい動きだった。まずい、僕は気持ちいい……。頭にうっすらと霞がかかってくる。
 その時、グラッとカップが揺れる。僕は慌てて体勢を立て直す。
「気をつけないと、おちんちんにコーヒーかかっちゃうよぉ。火傷しちゃうかも」
「いっ、……いやあぁっ!!」
 僕は絞る様な悲鳴を上げる。体は気持ちいい。でも、気持ちよくなんかなれない。なっちゃいけない。僕の頭は混乱する。
 先生は足の動きをどんどん速めて、僕を追いつめていく。張りつめた陰茎、そして下の袋までがフニフニと揉まれていく。
 カタカタと肩が震え始める。僕はとにかく両手に力を入れて指をテーブルに押しつける。それでも振動はどんどん激しくなり、カップのバランスがちょっとずつずれていく。
「だ……だめぇ、……だめだよぉ、……ほ、ほんと、……やめ、……やめてぇっ」
 僕は力のない声で先生に訴える。本当に、本当にもう限界だ……。これ以上されたら射精する……。コーヒー、こぼしちゃう……。
 こ、怖いっ……! でも、気持ちいぃっ!
「ほーら、遙くん。足コキでイっちゃえ」
 先生はペニスの先を、足の指でキュッと摘む。強烈な刺激が、快感に上乗せされる。
 駄目っ! イく……! イっちゃうぅ……! 駄目駄目駄目ぇっ……!
 ついに先生は、僕の包茎チンポを一気に剥き上げた。
「ひぐうぅっ! うぅっ、うあああぁぁ!!」
 ドビュウウゥッ! ビュルルウゥッ! ビュルウゥッ! ビュクン! ビュウゥッ! ビュッ! ビュクン!
 僕は射精した。エプロンの裏に大量の精液を叩きつけた。その瞬間。反射的に体が弓なりに反り、腰が跳ねた。
 コーヒーカップはバランスを崩し、僕の方向に倒れる。
「キャアアァッ!」
 パシッと、先生はそれを片手でキャッチした。一方、僕は無様に椅子から転げ落ちる。
 ドスンッ! 細い腰がしたたかにフローリングの床に打ちつけられた。
「…………あぁ、うああぁ……、はあぁっ……、あぁっ……、ああぁっ……、うわあああぁっ!」
 僕はついに床に伏せたまま泣き出してしまった。とても悔しくて、悲しくて、涙がどんどんこぼれてきた。
 先生が僕に近づいてくる。床に伏せた顔をそっとのぞき込む。
「よ、遙くん……、大丈夫……?」
「うぅ……、ううぅっ……」
「ご、ごめん……、遙くん……、あ、あのぉ……」
 先生が肩に手をかけた。僕はそれを肘で払った。
 さらに勢いで、振り向きざまに顔を殴った。
「ごふっ!!」
 僕のパンチはこめかみにクリーンヒットし、先生は後ろに倒れた。
「バカあぁっ!!」
 絶叫だった。自分でも信じられないような声だったけど、もう止まらない。
「何考えてんだよ! 先生はそれでも、本当に僕の先生なの?! なんなんだよ……、もう、なんなんだよぉっ!!」
 目の前が涙でグシャグシャになった。でも、先生は何も答えてくれない。
 畜生……、ちくしょおぉっ!
「……あ、あの時、……あの時キスなんてしなければよかったぁっ!!」
 それは本心のつもりだった。
 ……でも、この言葉は、僕の心の方に深く突き刺さった。
 後悔。
 それは言ってはいけないセリフ言ってしまったことの後悔だった。
 な……、なんだよぉ。なんで、僕がこんな思いをしなきゃいけなんだよぉ……。悪いのは、先生なのにっ……!
 先生も、何も言ってくれないし……。なんで……、なんでっ……!
「……せ、せんせえぇ!」
 僕は涙をむりやり拭って、先生を見た。
「…………はぁ?」
 先生は、気絶していた。
 僕の拳は結構いいところに入っていたらしい。先生は足先をヒクヒクさせながら、床に転がったままだった。
 なんだよこれ、超ヘタレじゃん……。呆れて物も言えない。
 ……ホントに、なんでこんな人を、こんなに好きになってしまったんだろう。僕がガックリと肩を落とした。
 そして、無防備に寝ている先生を見て思いついてしまった。
 ――そうだね、僕には仕返しをする権利がある。



 小さいけど、柔らかいベッドの上。
 キスで先生を起こした。ピチャピチャ舐めるイヤらしいキス。この三ヶ月で覚えた事を全部復習するような、丁寧なキス。
「うぅ、うっ……」
「先生、おっはよー」
「お、おはよ……」
 先生は起きあがろうとする、が、次の瞬間、その顔は大きく引きつった。
「だだだだだだ! いだああぁっ! な、なんだっ?!」
 先生は激痛が走った股間を見る。僕も見る。そこには根本をくるっと凧糸で巻かれたおちんちんが見える。
 背中に回された両手の違和感にも気づいたようだ。そう、両方の親指にも凧糸が巻かれている。
 そして、それはペニスの方の凧糸ともつながっている。
 両手を後ろ手で縛り、おちんちんと連動していて締まっちゃう。それが僕の作った仕掛けだ。
 僕は先生のお腹をまたぎ、腰掛ける。ベッドのスプリングがきしむ。
「どう、びっくりした?」
「……した。すっげぇ驚いた」
 先生の顔が青ざめている。なるほど、こういう顔ってちょっとかわいい。いじめっ子の気分がよく分かる。
「先生、僕……、かわいい?」
 先生が僕を見る。僕はまだ裸エプロンのままだ。先生の大好きなコスチューム。漢のロマン……。
 僕はその裾をソーッと持ち上げる。
「見える? 僕のおちんちん……。キスしただけで勃っちゃったんだぁ……」
「あ、あぁ……」
 僕の張りつめた包茎チンポを見て、先生の呼吸が一気に荒くなる。胸が大きく波打っている。
「うっ、いだ……、いだだだだだっ! 痛っ、痛いよこれ!」
 先生のおちんちんも硬くなりだした。凧糸がギリギリ食い込んでいくのがよく見える。でも、暴れたところでそれはさらに痛くなるだけだ。
 ――こんなもんで済ます気なんかないんだから。
 僕はベッドの脇に置いといたバターを取る。そして、指ですくい取る。
 母さんが見たら「食べ物を粗末にするな」とでも言うのかな。でも、ここは二人の聖域だ。邪魔は入らない。
 バターを、先生のおっぱいに塗った。ベトベトにして、揉んでみた。
「うぅっ! よ、遙くん……、ちょっと、ちょっと待って……」
 もちろん待つ気なんてない。乳首を親指と人差し指で挟み、クリクリとひねる。
「ぐっ……、うあぁっ……、かあっ!」
 先生の顔が面白い。呼吸はすっごい興奮してるなのに、表情は痛がっている。眉間にシワががよって、少し涙目だ。……僕は、なんかたまらなくなってしまう。
「先生……、かわいいいね」
「な、なに……?」
 震える先生に、キスした。
 厚い胸板をヌルヌルな手で揉みしだきながら、上唇を吸った。そっと噛んだ。
 先生もそれに答えた。僕の舌が吸われる。そのまま、フレンチなキスになっていく。
「ふうぅっ……、んんっ! んうぅ……、んんぅ……」
 僕はこの三ヶ月でとってもキスが上手くなった。もう、先生にやられっぱなしじゃない。互角に舌をやりとりできる。お互いが口を犯し、蹂躙する、そして、される……。
 頭がすごく熱くなってきたので、唇を離した。先生の顔も、もうトロトロだ。だらしなくヨダレが口から垂れている。
 僕は体勢を変え、後ろを向いた。そして、先生の頭をまたいで、お尻を顔の真上に向けた。
 先生の目の前には、小さなすぼまりがアップ見えているはずだ。
 僕は自分でその穴に指を入れる。バターまみれの指は簡単に中に入っていく。一本、二本……。
「見える……? 僕のお尻……、先生にずっといじられて、ほら、こんなになっちゃった……」
 両方の指で、少し左右に穴を広げてみた。生温い空気が中に流れ込んでくる。気持ちいい……。
「ふあぁ……、ねぇ、舐めたい? 僕の汚いとこ、舐めたい?」
「……うん、舐めたい。舐めたいよぉ……。遙くんのお尻、舐めたい……」
 先生は何かに憑かれたような声で答える。僕は先生の顔に腰を下ろす。
「ふぐううぅっ!」
「はは、先生……。頑張ってねぇ」
 くぐもった声が僕の下から聞こえてきた。なんだか、とっても苦しそう。でも、しばらくすると柔らかい舌が、僕のお尻の割れ目を這い始める。
「あはあぁっ……」
 つい声が出てしまう。先生の舌はシワの一本一本まで丹念に舐め、やがて少しずつ中に割って入ってくる。
 僕は先生以外の人を知らないから比べることは出来ないけど、上手いと思う。僕はすごく感じてしまう。
 気持ちよさに浮かされていると、先生の隆々と勃起したペニスが目に入った。それは心臓の鼓動に合わせて震えながら、透明な液を垂れ流している。
 僕はもう一度バターをすくい取った。そして、手を伸ばして先生のペニスに触った。
「うぐううぅっ……」
 先生が呻く。とっても気持ちいいらしい。そう、僕だって上手くなってるんだ。死んじゃうくらい気持ちいいんじゃないかな?
 もっと、気持ちよくしてあげる。僕はヌルヌルの手で熱い肉塊をゆっくりしごき上げる。
 先生がガクガク震え始める。でも気にしない。カリと皮の間に指を這わせ、爪で鈴口を弄る。
 こういうテクニックだって全部先生に教えてもらったんだから、自業自得だよね。
「ふううぅっ……、ううぅ……、うぅ……」
 なんか先生の声に嗚咽が混じり始めたので、僕はちょっと腰を上げる。
「あれぇ、先生、泣いてるのぉ? 鼻水までたらして、馬鹿みたいだよぉ」
 僕はかなり意地悪に言ってみる。でも、本当のことだし。
「うあぁ……、だめだよ……、もう、限界……」
「そう言ってた僕を、まだ虐めてくれたのは、どこの誰かなあ?」
「ご、ごめん……、ごめんなさいっ……! ごめんってばぁ! だから、紐、はずしてぇ!」
「……まだ駄目ぇ♪」
 僕は立ち上がる。そして体勢を変え、先生の震える腰をまたぐ。そのまま、自分の腰を下ろしていく。
 先生のペニスの先を、僕の肛門にあてがう。
 熱い。先生の、とても熱い……。僕も興奮してしまう。今にも、イっちゃいそうだ。
 二人して寸止めで震えている。僕たちは本当に馬鹿みたいだ。
「先生、入れちゃうよ……、いいよね?」
 先生は首を横に振る。なんか必死の命乞いって感じだ。本当に限界っぽい。
 でも、駄目。僕はバターと唾液でグチャグチャになった肛門に、先生のそそり立つ大きな肉柱を埋め込んでいく。
「うううぅっ……、うぐっ……、ぐううぅ……」
 先生はバターとヨダレと脂汗でネチョネチョになっている顔をさらにしわくちゃにして、苦しそうに呻いている。
 僕も、ものすごく気持ちいい。先生のものが、どんどん、どんどん奥へと入ってくる。
 ついに、根本までまるまる入ってしまった。僕の全体重は一点にかけられ、一番深いところにある快感のスイッチをズシンと圧迫する。
「ああぁ、先生……、先生の……、熱いよぉ……」
 僕は少しずつ腰を動かす。軽く上下に、そして横にも。それはクネクネとイヤらしくグラインド変わっていく。
「あぁ、僕、先生に教わったこと……、勝手にしちゃうんだぁ……。でも、いいよね……、僕、先生の生徒だもんね……?」
 ビクンと先生の顎が発作的に反り返り、頭が枕に押しつけられる。奥歯もカタカタ鳴っている。うかつに体をひねると凧糸が締まるので、それが精一杯の我慢らしい。
 僕はさらに腰の振りを大きくする。それに合わせて先生も動いてくる。もうとっくに限界のはずなのに、快感を求める本能か、体が勝手に動いているみたいだ。
「うああぁっ! あ、があっ! あああぁっ!」
 先生の体が硬直し、腰がビクビクと跳ねた。……イっちゃったらしい。でも、精液は出てこない。
 先生のモノが、どんどん僕の中で熱くなっていく。すごい……。僕も思わず震えてしまう。
 僕はエプロンをめくり、自分で自分の物をしごき始める。そこは朝から二回も出しているのに、今までにないくらい硬くなってしまっている。
 僕の腰の動きは、腕の動作に合わせて、前後への単調なものになっていく。でもそれは、より長いストロークで先生のペニスをこすり上げていくことになる。
 先生の腰も合わせて揺れる。僕はガンガンと上へ突き上げられる。まるでロデオだ。
「きゃんっ! うあぁ……、せんせぇ……、いいよぉ、これぇ……、いいよぉ……」
「よ……ようくん……、うぅ……、よう……、ようくん……」
 先生は譫言の様に僕の名前を呟いている。息も絶え絶えだ。でも体の方がどんどん動きが速くなる。意志とはまるで無関係に、機械のように動き続ける。
「せんせい……、すきぃ……」
 僕の声も譫言だった。でも、これが一番自然なセリフに思えた。
「すきだよぉ……、すきぃ……、せんせぇっ、すきぃっ! だいすきぃっ!」
「よお……くんっ! よおくん……! よおくん……」
 僕は先生の陰毛をまさぐる。そこには凧糸の結び目が隠れている。この一端を引けば、戒めはほどける。
 僕も限界だ。ダラダラと我慢汁が先端から吹き出ている。だから、必死にそれを掴んだ。
「いいよ、せんせぇ……。もう、許してあげる……。だから、いっぱい……、いっぱい出してぇ!!」
 一番奥に先生のペニスが入った瞬間、紐を引き抜いた。
 その刹那、先生の腰がさらに一段跳ね上がった。ガツンという楔のような一撃が打ち込まれ、僕は一気に登り詰める。
「うあああぁぁっ!! せ、せんせええぇっ!!」
 ドブビュウウウゥゥッ! ドビュリュリュウウゥッ! ビュルウゥッ! ビュクンッ! ビュルウゥ!
 ブジュウウウゥゥッ! ブキュン! ビュウウウゥッ! ビキュン! ビョオオォッ! ビュルウンッ!
 溶岩みたいな熱い精液が、僕の中に穿たれた。……爛てしまいそうなくらい、熱かった。それは僕の体の奥までジーンと染み渡った。
 僕もおもいっきり射精した。精液はまくられたエプロンを越え、言葉にならない呻き声上げている先生の上に降り注いだ。
「ふわああぁ……、はあぁっ……、はあぁっ……」
 僕は先生の胸に崩れ落ちた。ズルッとペニスがお尻から抜ける。
 先生はまだ、ビクビクと痙攣を続けて、お尻割れ目にに精液を吐き出し続けている。
 僕は前に這い寄り、泣いている先生の頭を優しく抱きしめた。



 結局その後、僕たちは一緒にお風呂に入った。
 じゃれ合って、抱き合って、キスして、なんかお互い、溶けた猫みたいになった。
 気づいたら、もう正午になっていた。

「本当に帰るの? もうちょっとこうしてようよ」
「駄目だよ……、塾だもん」
「どうしても、駄目なの?」
「……うん、先生のこと、愛しているからね」
 僕の言葉の意味が、先生はよく分からなかったようだ。なんか『はてな?』って顔をしている。
 通じないならいいよ。僕は先生のマンションを後にした。

 ……僕との関係がばれたら本当に犯罪者だってことを、あの人は理解しているのだろうか。
 だから僕は、少しでも生活のペースは崩せない。こんな怪しまれることも、本当はしちゃいけない。
 塾だって行きたくないけど、行く。学校で先生を見ても無表情で通す。顔がにやけてしまうのを必死で押さえる。
 大人になったら、そんなことは当たり前のようにできてしまうのだろうか、僕にはよく分からない。
 でも、そんな大人にはなりたくないなぁ、なんて、少し思ってしまう。

 帰りは西武池袋線、下りの急行。昼ちょっと過ぎのポカポカな日差しが車内を暖めている。
 僕はもうクタクタで眠ってしまいそうになる。でも、降車駅で寝過ごす訳にはいかないから、重いまぶたをこする。
 昨日あれだけヤりまくったあげく、今日は朝からフェラされて、足コキされて、SMなんてしちゃってるんだ。もうメチャクチャ……。体の芯から疲れているって感じだ。すごくダルい……。
 ――それにしても、楽しかった。ちょっと(いや結構?)イヤなこともあったけど、それでもやっぱり楽しかった。
 なんか『恋愛』してるって感じがした。心が温かくなって、どんどん膨らんで、ときどきグラグラ揺れるけど、それでも、なにか大切なものが生まれそうで……。
 なんか恋愛って、『たまご』みたいだなんて、思ってしまった。
 この先どうなるかは分からないけど、僕は先生と一緒にいたいと思う。もし調子にのるようならブッ叩いてでも、ずっと側にいたいと思う。
 初めてキスした時には限りなくゼロだった僕の愛情も、ほら、なんだかこんなに大きくなっちゃった。
 カタコトと電車が揺れている。町が真横に流れていく。僕はなんだかフワフワして、気持ちいい。
 ……だから眠っちゃダメなんだったら。

(了)

[投下 : 2chエロパロ板『女装空想小説』 2003年12月23日(509にリンク)]

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