「失礼します…」
僕は、ノックをしてご主人様の部屋に入った。
ご主人様はベッドに腰掛けて僕を待っていた。
細すぎる身体……、白すぎる肌……。ご主人様は生まれつき体が弱く、この家から出たことがない。それでも今日は、幾分顔色がいいように僕には思えた。
「うん、いつものはちゃんと持ってきたね」
「はい」
僕の手には数枚の皿と特製の各種薬液、スプーン、小瓶、そしてガラスの浣腸器がある。これらに僕自身を含めたものが、今夜のご主人様のお食事になる。
「じゃあ、こっちに来て、お尻を向けて」
「…はい」
僕はご主人様の前で後ろを向き、メイド服のスカートを持ち上げた。
僕のお尻には4日前からアナルプラグが入れられている。それは、革のベルトでしっかり固定されている。これを取ることは、鍵を持つご主人様にしかできない。
「お尻を上げて。もっと高く」
「…はい」
僕はつま先立ちになり、ご主人様に腰を突き出す。
お尻が小刻みに震える。
「それでは、いただきます」
「……はい。どうぞ心ゆくまでお召し上がりください」
ご主人様は革ベルトの鍵をはずす。汗と汚汁で蒸れたお尻を、冷たい空気がなぜる。 僕はそれだけで少し気持ちよくなってしまう。
そして、ご主人様はアナルプラグに手をかける。
「んっ……」
ご主人様は、プラグをひねりながらゆっくり抜いていく。長さ20センチのプラグが僕の括約筋をこすり上げていく。
「お、おお……おほおおぉぉ……」
「なんだいニルス、もう盛り上がっているの?」
ご主人様は僕の反応が楽しいのか、抜きかけたプラグを再び戻し、また抜いたりを繰り返す。
ぬちっ……、ぬちっ……、ぬちっ……。粘膜を擦る、嫌らしい音が僕の耳にまで聞こえてくる。
「ご、ご主人様……、お戯れはおやめください……」
「いや、今日の前菜の下ごしらえだよ。ほら、瓶を構えて」
いつもより早いペースに僕はとまどってしまう。この調子でやられたら、今日はコースの最後まで身体が持つか分からない。
……しかし、ご主人様の命令は絶対だ。僕は小瓶をペニスの先端にあてがう。
「ご主人様……。準備できました……」
僕の言葉を聞くと、ご主人様はさっきよりもずっと早いスピードでプラグをピストンさせ始める。
「……あ、あひぃ……、ひ、ひ、ひいぃっ……! お、お尻、お尻があぁ……! おおおぉっ……!!」
「こら、またニルスは間違えたね。お尻じゃないよ。ケツ穴って言って」
「ひゃはぁ……、す、すいません……けつぅ、けつあなぁ……けつあなぁっ……! うああぁっ……!」
嬌声とアナルの蠕動で、ご主人様は僕の限界が近いことを察したらしい。とどめにプラグを直腸の奥に押し込み、一気に引き抜いた。
ブビュルウゥゥッ!
腸液とガスが噴出する下品な音と一緒に、僕は一気に上り詰めてしまった。
「あひいぃっ! 出るぅっ! 出るうぅっ! でひゃいますぅっ……!!」
どびゅううううっ! ぶびゅるううううっ! どびゅるん! ぶびゅるっ! びゅっ! びゅっ! びゅっ!
大量の精液が一気に精通管を駆け上り、構えられていた小瓶の底に叩きつけられた。 それは瓶の中にあふれかえり、糸を引き、イヤらしい芳香を醸し出した。
「ふぁ……、はわぁぁ……」
衝撃的な快感に、僕は腰から力が抜け、がっくりと膝を落としてしまった。
「はは、イっちゃったね、ニルス。でも、僕はまだ前菜もいただいてないんだよ? ほら、早く準備してよ。……飢え死にしちゃう」
「は、はい……、すいません……」
そうだ……、僕はまだ前菜もお出ししていないのだ。惚けている場合じゃない。
僕は机の端に手をかけ、無理矢理体勢を整えると、前菜の準備にかかった。
前菜用の薬液を300cc浣腸器に入れ、ご主人様に手渡す。
「うん、じゃあいただこうかな」
「はい……。よろしくお願いします……」
僕は再び、ご主人様の前にお尻を突き出す。
ご主人様は僕のケツ穴に薬液を注入していった。
「く……、きゅうぅん……」
僕の敏感なアヌスは、この程度の刺激で快感になってしまう。そういうふうに育てられてきたのだ。……ご主人様の給仕として。
まもなく、薬液が直腸を回り始めた。ぎゅるぎゅるとお腹が回り始める。苦しい……。
「……ご主人様、出ます……、でまひゅぅ……。どうかお召し上がりくだひゃい……」
「うん」
ご主人様が皿を僕のお尻の下にあてがう。準備はできた。
「おほぉ……! お、おおぉぉっ……!!」
僕はゆっくりとお皿の上に前菜を盛りつけていく。……はねないように、……こぼれないように、気をつけながら、慎重に緑色の大便をひりだしていく。
「おおぉぉ……、ふおおぉぉ……、おほおおぉぉっ……!」
これは、ご主人様の前菜用に食べた僕の5日前の食事のなれの果てだ。滋養にいい野菜や香草のみでできている。
生まれつき身体の弱いご主人様は、このような形でしか食事をとることができない。そのため、僕とその他数人のメイド少年達は、ご主人様のお食事製造器として教育、調教されている。
ようやく前菜を盛りつけることができた。まだ、呼吸が整わないが、これ以上ご主人様をお待たせすることはできない。僕はスプーンをご主人様に手渡す。
「はぁ……、はぁ……、では、どうぞ……」
「うん」
ご主人様が僕のだした前菜をスプーンですくい、口に運ぶ。まだ湯気の立つそれを咀嚼し、堪能し、嚥下する。
僕は、お食事中のご主人様の笑顔を見て、先ほどの快感とはまた違う気持ちよさを感じる。胸のあたりが暖かくなるような、幸せな気分になる。
「ニルス、さっき出したドレッシングを」
「……は、はい!」
僕はさっきだした精液の入った小瓶をご主人様に渡す。ご主人様はそれを前菜にかけ、再び口に入れる。……僕の精液は高タンパクの栄養剤だ。
「うん、ニルスのだしてくれたドレッシングはおいしいね。食もすすむよ」
「あ、ありがとうございます……」
改めてそういうことを言われると、なんだか照れてしまう。おもわず下を向いてしまった。顔が熱い。
「……そ、それじゃスープのご用意をいたしますね」
僕はスープ用の薬液を用意し始めた。浣腸器にとり、それをご主人様に渡す。そして、それは再び僕のケツ穴に入れられる。
「くっ、んんっ……」
4日前のスープ用の食事は、ちょうどいい具合に緩くなるよう調整してある。薬液の混ざったそれは極上のポタージュだ。僕は丁寧にそれを皿にひりだしていく。
「ひ……、ひああぁぁ、はぁ……、はぁっ……!」
ぷじゅううぅぅっ……。
皿には乳白色のスープがたまっていく。
「ひっ、んんっ……! ふわあぁっ……」
最後の一滴まで絞り出す。丁寧に注がなければならない緊張感で、足がぷるぷるしてしまう。
「……はぁ、……はぁ、ど、どうぞ、お召し上がり……くだ……さい……」
僕はスープをテーブルの上にさしだした。
「うん」
ご主人様はスプーンで音もなくスープをすくい、口に運ぶ。いつ見ても完璧なテーブルマナーだ。僕はご主人様に貴族の気品を感じてしまう。
……綺麗だと思った。……この人はとても綺麗な人だ。ただ、スープを口に運ぶだけで綺麗な人。完璧な貴族。
もし、こんなお体でなければ、今頃社交界をにぎわせ、良縁に巡り会っていたことだろう。
ご主人様がおもむろに口を開いた。
「もうひと味、欲しいね」
「……え?」
「え、じゃないよ。もうひと味、欲しいんだ。……わかるね」
「……はい」
もちろん理解している。それはメイドである僕の仕事だ。僕は準備に取りかかった。
僕はスカートの端を口にくわえ、ペニスを掴む。皮を剥き、ペニスの先端をスープの中に入れる。そして、根本を擦る……。
ご主人様に見られながら、僕はオナニーを始める。
「ん、うんっ……、うんっ……、ふ、ふうぅぅっ……!」
スープの中に出さなくてはいけない。丁寧に……、慎重に……、こぼれないように……。
「ふっ……、ふっ……、ふうぅ…………、んんっ……! んぐぅぅ……!」
でも、なぜだろう。今日の僕はいつになく興奮していた。いつもなら冷静にこなせるこの行為にも、妙に力が入ってしまう。自然と指のストロークが大きくなり、腰が揺れてしまう……。
その時突然、ご主人様が僕のお尻に手を伸ばしてきた。
「んんっ!?」
「腰が動き始めてるじゃないか、もっと静かにやらなきゃだめだよ」
ご主人様は僕のケツ穴に指を入れてくる。そのままお尻の肉を鷲掴みにして、僕の腰を固定する。
「んんっ?! んっ! ふううぅぅっ?!」
これが躾からくる行動なら、僕も耐えることができる。このままペニスを擦り続けて、精液を出すことができる。
しかし、なぜかご主人様は僕のお尻を揉みしだきながら、ケツ穴をかき回す指を2本に増やしてきた。
「ご、ごひゅじんひゃま……、にゃ、にゃに……、ひゃぐっ!!」
「ん? 少し手伝ってあげようと思ってさ」
「んっ……?! んんんんんっ……!」
口も開けられず、間抜けな受け答えしかできない僕を無視して、ご主人様がその細い指で、僕の肛門を犯す。グニグニと括約筋をほぐし、前立腺を掻く。その指はさらに3本、4本と増えていく。
「ひ、ひぎいいぃぃっ! ふっ……、ふぁ……、あがああぁぁっ!!」
僕は耐えきれなくなって、口を開けてしまった。くわえていたスカートが落ち、裾がスープに浸ってしまう。
しまった、と思った。ご主人様のお食事は、お取り替えということが基本的にできない。これは大失態だ。
しかし、まだご主人様はその指を抜いてくれない。それどころか、いよいよ指のスピードを速め、僕を絶頂に押し上げようとする。
「や、やめてぇ、くだひゃいぃ……! スカートがスープにぃ……、や、やぁ、だめぇっ……!! おねがいでひゅ、ごひゅじんひゃみゃぁぁ! や、やめぇ、やめてぇぇっ……!!」
「はは、きもち良さそうだね。かわいいよニルス」
「ああぁぁ、ごひゅじんひゃみゃぁぁ! だみぇぇ……! いきゅぅぅっ、いきまひゅううぅぅ、で、でりゅぅぅっ!!」
ぶびゅううぅぅっ! びゅるううっ! びゅっ! ぶびゅるっ! びゅっ! びゅっ! びゅっ!
僕の精液はスカートの裏に叩きつけられた。勢いでスカートが持ち上がるほどの、大量の射精だった。
「お……、おおぉぉ……、おほおおぉぉ……」
体の痙攣が止まらない。ご主人様の繊細で巧みな指使いは、僕がこれまでの人生で味わったことのない快楽を引き出した。
「あ、ああぁぁ……、ひぃ、ひぃん……! ひやあぁぁ……」
僕はいつのまにか泣いてしまっていた。失態と後悔、快感と悦楽がめちゃくちゃに入り交じっていた。もう、何がなんだか分からなくなってしまった。
しかし、ご主人様はまだ僕のアナルから指を抜いてくれなかった。
「………ご、ごひゅじんひゃみゃぁ?」
「ニルス、かわいいね」
「ふわあぁ……?」
「だからさ、僕、もっとしてあげたくなっちゃった」
その後のご主人様の行動は信じられないものだった。ご主人様は両手の人差し指、中指、薬指、計6本の指を僕のアナルに入れてきたのだ。
「ひぎゃああぁぁっ……!!」
そして、ご主人様は6本の指を一斉に暴れさせた。中指で広げ、人差し指で掻きむしり、薬指で擦り上げた。前立腺を撫で、叩き、刺した。
「いぎいいぃぃ! ひぃ、ひぃ、ひやああぁぁっ! ああぁぁっ! ……っ! ……っっっ!」
絶頂の上の絶頂だった。もう声も出すことができなくなっていた。目の前でバシャバシャとフラッシュがたかれているような錯覚におちいった。パクパクと馬鹿みたいに口を開いたり閉めたりすることしかできなかった。
「 ……っ! ……っ、……っっっ!」
ミチ、ミチミチミチミチミチミチミチミチィィィ……。
巨魁が直腸をずり落ちる、イヤな音が響いた。
それは、僕が2日前に食べた高級ロースとシタビラメの混合物のたてた音だった。本来、薬液で引きずり出されるはずの今日のメインディッシュが、肛門の圧倒的刺激に導かれて、すぐそこの出口までやってきていたのだ。
「…………ご、…………ごひゅじんひゃみゃぁ、…………あぁ、…………いやぁぁぁ」
いけない……! 絶対にこれを出してはいけない……! これ以上の粗相は死んでも許されない……! ご主人様を引き離してでも、これは止めなければならない!
……でも、声が出ない……。体が動かない……。頭がまともに働かない……。僕は肩をガクガクと震わせるだけで、他に何もすることができない……。
「………あぁぁ、………うあぁぁぁぁぁ」
圧倒的な快楽の前に僕の体は無力だった。堕ちるような絶望感だった。……ただただ、死にたいと思った。
ついに、ご主人様の指にメインディッシュが触れたらしい。
「……ニルス、いいよ。出しちゃいな」
「……あぁ、…………ああぁぁ、………ああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」
ミチ、ミチ、ミチ、ミチミチミチミチミチミチィィ!! ブリリリリリリィィィィッ!!
極太のメインディッシュが僕のアナルから滑り落ちた。それは途中で切れることなく、ゆっくりと下に垂れていった。
「……うがああぁぁっ!! ……あぁっ!! あっ…、ああぁっ……、いやああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」
どびゅううぅぅっ! びゅううううっ! びゅん! びゅう! びゅっ! びゅっ! びゅびゅびゅびゅびゅううぅぅっ!
獣のような声で泣き叫びながら、僕はまた射精した。スカートの中はもうグチャグチャになった。
メインディッシュは最後まで途切れなかった。大きな一つの固まりとして、床にドスンと落下した。
そして、そのまま僕も崩れ落ちた。膝が折れ、顔を自由落下で床にぶつけた。痛いとも思わなかった。僕の脳は圧倒的悦楽に痺れ、何も認識することができなくなっていた。
「…………はわぁぁ、あぁ、………ああぁぁぁぁ」
僕はだらしない顔を晒しながら、間抜けな声を上げていた。
なま暖かい感触が口の中に広がった。
その時、僕は自分がどうなっているのか分からなかった。
まず、自分がベッドに寝かされていることに気がついた。とても柔らかい、ご主人様のベッドだ。
そして、自分の目の前、鼻と鼻があたる距離に、ご主人様がいることに気がついた。
最後にようやく、僕は、自分がご主人様にキスされていることに気がついた。
……キスされてる?
ご主人様に、キス、されてる!?
僕は自分のされていることを、うまく認識することができなかった。
……ファーストキスだった。
僕は物心ついたときから徹底的に調教され、ありとあらゆる恥ずかしいことを体験してきた。だが、唇を奪われるということだけはいままでなかった。
……ご主人様の柔らかい唇が、僕の唇に触れている。……ご主人様の柔らかい舌が、僕の歯をなぞる。……そして、なにか柔らかく、あたたかいものが、僕の口内にながれこんでくる。
……僕は気がついた。……これは、メインディッシュだ。
僕は口移しで、自分がさっきひりだしたものを食べていた。
ご主人様は僕の意識が戻ったことに気がつくと、顔を離した。
「……ご主人様」
「……ごめんね。やりすぎちゃったみたいだ」
ご主人様はバツの悪そうな顔で答えた。
……僕は部屋の床を見た。そこにはポタージュがぶちまけられ、大量の精液と腸液が散乱し、メインディッシュが厳かに鎮座していた。
僕は反射的に跳ね起きた。大変だ! たいへんだたいへんだたいへんだ! どうしよう。いそいで片づけなくては。いや、ご主人様のお食事は? でも部屋が。いや、でも、どうしよう……?!
「……ニルス?」
「ご、ご主人様ぁ……!!」
とにかくパニクっていた。謝る? 謝って済むようなことじゃない。いったいどうやってこんな大失態を償えばいいんだ?!
「……ニルス、いっしょに食べよ」
「……え?」
信じられない言葉だった。僕のメイドとしての常識ラインを軽くぶち抜く発言だった。この状態のものを、ご主人様は食べる? それも、僕と一緒に?!
「……だめかな?」
「……いえ、だめとかなんとかではなく……! その……、よろしいのですか?」
「ニルス……、君と食べたいんだよ」
胸が熱くなった。心臓が高鳴り、指先が震えた。目からは涙がこぼれてきた。
「ご、しゅじん、さまぁ……」
のどが詰まって上手くしゃべれない。ただ、ただ、幸せだった。
「さあ、食べよう?」
「……は、はい!」
僕はせいいっぱいの声で返事をした。
犬のようにはいつくばり、メインディッシュをほおばった。ご主人様にそれを口移しで食べさせた。ご主人様はスープをスプーンですくい、僕の口に流し込んだ。
そして、ぐちゃぐちゃになった口のまま、キスした。お互いのものを流し合い、飲み込んだ。そんな行為を、床の固形物がなくなるまで、ただ続けた。
僕とご主人様は抱き合った。ご主人様の細い体は痛々しかったけど、それでも感じる体温は暖かかった。
メイド服はもうグチャグチャで、ご主人様のガウンもシミや汚れがはねていた。そんなドロドロの2人が、きつく抱きしめ合った。
「ニルス……」
ご主人様が僕の耳元で囁いた。
「なんですか、ご主人様……」
「そろそろ、デザートが食べたいんだけど……」
僕は我に返った。そうだ、まだコースの途中だったんだ。なんか夢を見ているような時間を過ごしていたけど、まだ仕事は終わっていない。
「す、すいません。いそいで準備をしますから……」
僕は薬液を浣腸器にとり、お尻を向けた。
「どうぞ。今日のデザートはイチゴのムースになっています……」
ご主人様は薬液を僕のケツ穴に流し込んでいく。冷たい感触が腸を満たしていく。
「あ、あぁ……」
これで今日の仕事が終わる。この幸せな時間も、もう終わりだ……。
ギュルギュルとお腹が鳴り始めた。
「それでは、盛りつけを……」
「お皿はいいよ、ニルス」
「……え?」
「ベッドに四つん這いになってもらえないかな」
「あ、あの、それは……」
「直接、いただくよ」
そんな……! なんでそんな……! それでは……、それでは……!
「僕のお尻に、そんな……」
「ニルス。ケツ穴だよ」
「そうです…、け、ケツ穴に、直接だなんて……、そんな、そんな……」
その時、ギューッと下腹部に締め付けられるような痛みが走った。デザートが出てくる限界だ。ご主人様に従うしかない。僕はベッドの上に這い上がった。
ベチョベチョのスカートをめくり、お尻を高く突き上げる。少しでも高く、ケツ穴を天井に向けて広げる。
ご主人様もベッドに上がる。そして、僕のお尻をそっと撫でた後、おもむろに舌を僕のケツ穴に突き入れた。
「おおおおぉぉっ!!」
柔らかい舌が僕のケツ穴を舐め回す。ニチニチとねぶり、こね回す。快感が腰から背中を走り、僕の脳を揺らす。
「ごひゅじんひゃみゃああぁっ、すごいぃっ、そりぇ……、そりぇすごいでひゅぅ……! あぁ、きまひゅ……、でざーと、でざーとでりゅ……、でまひゅ……、ごひゅじんひゃみゃあぁっ、でりゅ……、でりゅ……、あ、ああぁぁっ……、でりゅぅっ……、イきゅうぅっ!」
ぶびゅうううぅぅっ! ぶりりぃぃぃぃ! びゅくん! みちぃぃぃ! ぶりゅん! びしゅううぅぅぅぅ! びゅくん! びゅる! びゅっ! びゅっ! ぶぶぶぶううううぅぅっ!
ケツ穴とペニスで同時に爆発が起こった。ご主人様の顔にデザートを叩きつけながら、また僕は大量の精液をスカートの中にまき散らした。
「ひぃ……、ひひゃあぁぁ……、ああぁぁぁぁ、あがぁぁぁぁ……」
ぴちゃぴちゃと、デザートを指でなめとる音が、後ろから聞こえる。
「おいしかったよ、ニルス。ありがとう」
「………ああ、ごひゅじん、ひゃみゃあぁ……、およろこびぃ、いただいてぇ、僕ぅ、僕ぅっ……」
恥ずかしい……。ろれつの回らない舌。だらしない顔。しまりのないペニス。全てが恥ずかしい……。
……でも、うれしい。とても、うれしい! 僕は、この人が好きっ……!!
ご主人様……! 顔をベッドに埋めながら、僕はなんども心の中で叫ぶ。ご主人様、ご主人様、ご主人様ぁっ!
「ニルス……」
「……にゃあ」
恥ずかしい……。僕はもう、まともに言葉もしゃべれない。
「いただきます」
え、それは変です、ご主人様。もうコースは終わりです。後はコーヒーをお出しして、ゆっくりくつろいでもらえれば……。
ズグニュウゥッ……!!
僕のケツ穴に何かが入れられた。それは細く、いつも入れられているプラグに比べれば半分程度の大きさのものだったけど、硬く、熱く、焼けていた。
それは……、それは……、ご主人様のペニス!
「あ、ああ……!? ああああぁぁぁぁっ!!」
そう思っただけで、僕はまた射精してしまった。ご主人様が……、ご主人様が……、僕の……、僕のケツ穴に……、入れてる……!!
「あ、あひっ、ひいっ、ご、ごひゅじんひゃまああああぁぁぁぁ!! 僕ぅ、僕ぅぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
絶頂、絶頂、絶頂! 止まらない。上ったまま降りてこれないっ……!
延々と続くエクスタシーに僕はもがいた。ケツ穴も、ペニスも、全てがイキっぱなしだ。もう、精液もほとんど残ってないのに、僕のペニスは、間歇泉の様に一定間隔で汁を飛ばした。
……ああ、暖かい。腰に添えられたご主人様の手が暖かい。お尻に当たる衝撃が暖かい。肛門を貫くペニスが本当に暖かい。
僕は満たされていく……。幸福。愛する人と交わる幸福……。好き、好き、好き……。どんなに言葉を重ねても足りない。ご主人様、好きです!! 愛しています!!
「……ごひゅじん、……さまぁ、ぼきゅう……、ぼきゅう……、あ……、あい……、あいして…」
伝えなきゃ。ご主人様に、この気持ちを。ご主人……、ご主人……、ご主人様あぁっ!
「……僕も愛しているよ、ニルス」
そして、ご主人様の精液が僕の中に穿たれた。
「うぅっ! うぐうぅっ……、うああああぁぁっ!!」
僕は幸福の頂を越えた。このまま死ぬと思った。全てが光の中に溶けていった。
硬いベッドに僕は寝ていた。
使用人用の僕の部屋。低い天井。狭い床。
僕は裸だった。
今度はわりとすぐに理解できた。あのまま気を失った僕は、他のメイドにここに運ばれて来たというところだろう。今が何時だかは分からないが、もうあの部屋の片づけも終わっているのではないだろうか。少なくとも、僕の体は綺麗に拭かれていた。
「失礼」
ノックと共に入って来たのはメイド長のモーリスだった。
「……あ」
僕は恐怖した。自分のしてしまったことのとんでもなさに。
自分のご主人様にまともにお食事をだすこともできず……、あげく、ただただ快感に流されるまま流されてしまった……。そのまま失神してしまった……。
「……怯えることはない」
よほど表情に出ていたのだろう。モーリスはすべてを察してしゃべり始めた。
「ご主人様がお前を選んだということだ。そのことについて口を挟む者はいない」
「………僕を、選んだ?」
「そうさ」
――幸福で胸がいっぱいになった。……ご主人様が、……僕を、……選んだ。
「……覚悟はしておけよ」
モーリスは眉間にシワを寄せながら言った。それは本当に苦しそうな表情だった。
「……かくご、ですか?」
「……そうさ。覚悟だ。つまり、ご主人様はもう覚悟したということさ」
それだけ言うと、モーリスは部屋から出て行った。半分泣いているようだった。
僕はもう一度モーリスの言葉の意味を考えた。覚悟、ご主人様の、覚悟?
理解した。
死だ。
ご主人様は悟ったのだ。ご自分の死期が近いことを。だから、告白したのだ。最後に……、悔いのないように……。
その瞬間、世界が揺れた。床が天井にになった様な気分だった。頭の中がグルグル回っている。回る、回る!
「うわああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
僕は泣き叫んだ。絶叫だった。
僕にはしばらく覚悟なんてできそうにない。……だって、幸せだったから。幸せだったから!
そうさ、僕はあの時、幸せだったんだ。……本当に、生まれて初めて幸せだったんだ!!
僕は床を殴り、壁に突っ伏し、ベッドを噛んだ。
覚悟は、決めるしかない。でも、今はただベッドで泣くことしかできなかった。
(了)
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