もう、俺も限界だった。
堂々と屹立した勃起は激しい動悸に合わせて跳ね上がり、先端からは透明な液がはじけ飛んだ。
そして、目の前にいるのは、とろけた瞳で俺を見つめる幼い天使……。
頭が、まるで中に熱した石炭でも入っているかのように熱い。グラグラと視界が揺れ、ウァルの顔がソフトフォーカスに映る。
ソファーの上に、ローブを脱ぎ捨てた全裸で、足を開いて、股間を濡らして、肘をつきながら、顔を赤らめて、綺麗な瞳を、涙に濡らして……。
「宏一さん……」
ほら、またヨダレが垂れてる……。
「これで……、『彼女』になれるんですよねぇ……」
「あぁ……」
俺も腰掛けに片足を乗せ、ウァルのお尻に腰を寄せる。俺の唾液でグチャグチャになった肛華に、灼けた肉棒の先を宛う。
「あ……」
ウァルの背筋がヒクンと跳ねる。
「ウァル……」
こういう時、なんて言葉をかけてやればいいのか、いっぱいいっぱいになってしまった俺の頭では分からない。気の利いたセリフの一つでも言えればいいのに、そんなことを出来る余裕がない。
ただ、入れたい。俺のモノで、この少年を犯したい。貫いてしまいたいッ!
覚悟を決めたのか、ウァルがそっと目を閉じる。
溢れた涙が頬を伝う。
「ウァルぅッ!!」
ズグウウゥッ!
俺は一気に腰を押し込み、怒張を小さな穴へ埋め込んだ。
「ぎうッ!」
同時に、ウァルは大きく顔を歪ませて、衝撃に耐えた。
どれほどの痛みなのか。軋む音さえ聞こえそうなほど歯を食いしばり、眉根を中心に目元にシワが刻まれた。手ではソファーに爪を立て、足の指が丸まった。
そして、俺のペニスは恐ろしい力で締めつけられた。中はグニグニと別の生き物のように蠕動し、サイズの合わない逸物を吸い上げた。
そのまま、俺達は動けなくなった。
ウァルは全身をこわばらせながら、不規則に呼吸することしか出来ず、俺は迂闊に動けばこの天使を壊してしまいそうで怖かった。……とにかく、なじむのを待つしかなかった。
「は……、はぐぅ……」
ウァルは必死になって激痛と闘っていた。指が鬱血するくらいにソファーカバーを握りしめ、時に腰をねじり、時に顎を反らし上げて、破瓜の衝撃に耐えた。
俺は、そんなウァルの体を、挿入したまま抱き上げ、背中に腕を回した。
せめて苦痛が和らぐよう、腰回りに手を当て、首筋を優しく揉んだ。
ウァルは、俺の胸に顔を埋めて、泣いていた。
すすり泣きが、胸骨に響く。
幼い天使の、息が熱い。
ああ、
――可愛い。
非道いことをしているなんて分かっている。世間的には謝って許してくれない行為だろう。それでも、それでもだ。
俺はこんな小さな男の子が、とても愛おしい。
「は、はぁ……、こ、こういち……さぁん……」
「なに……?」
「僕のなか……、気持ちいい……ですか……?」
「あぁ……」
俺は、ためらいもなく首肯した。現に俺のペニスは、ウァルのお尻の中でギチギチに張っていた。粘膜の壁が作り出す絶妙なざわめき……。油断すれば今にも腰を振り出しそうだ。
「よかった……」
ウァルは安心したようにため息をつき、俺の体にしなだれかかった。
頬の涙は、俺の胸からさらに流れ落ち、腹部に綺麗な一本の筋を作った。
ウァルの髪を下から上に梳いていく。絹のような美しい金糸が、サラサラと指の間を流れる。
「ウァル……。ウァルはどうなんだい? ものすごく、痛いんだろ?」
「はい……」
ウァルも、素直にうなずいた。
「痛いです……。全身が引き裂かれてるみたいに……痛い」
細い腕が、俺の腰に回される。触れ合う温度が上がっていく。
「でも、いいんです。……痛いのが、嬉しい。……一つになっていることが、……はっきりと分かって、……死んじゃいそうに嬉しいッ!」
少しずつテンションの上がっていくウァルの言葉に、俺の心も熱くなっていく。自然と腕にも力が入っていき、ウァルの丸い後頭部をこするように撫でている。
そして、もう一方の手はウァルのお尻の割れ目に指を這わせている。
中指で、中心線に沿うように尻肉の谷間を撫でる。合わせて、ピクン、ピクンとウァルの体が痙攣する。
指先が、結合部に当たる。
「ひゃうッ!」
悲鳴が部屋に鳴り渡る。しかし、その響きに苦痛の色は薄れ、茹だった気持ちよさが顔を覗かせている。
俺は限界まで広がったウァルの肉環に、指を滑らせる。
ここが、自分のペニスと、ウァルのアナルの境界線……。
「ひゃん……、ふ、ふうぅ……ッ! そ、そこって……、あ……、あぁ……ッ!」
「ああ、入ってる……。俺達、つながってるよ……」
「つ、つながってるぅ……」
感極まったような、ウァルのつぶやき。
二人の呼吸が、荒くなっていく。
意識が下腹部に集中し、身震いまでする。
止めどない細波が広がっていき、肌が汗ばむ。
「はぁ……、は、は……、はあぁ……、はぁ……」
ウァルは顔を上に向けながら、舌を突きだして犬のような呼吸を繰り返す。真っ赤に染まった頬が、汗と涙でコテコテになっている。
「すごいよ、ウァル……。ウァルの中、熱い……。熱くて、気持ちいい……ッ!」
「はぁ……、ぼ、僕も……ぉ! 僕もおぉッ!」
小刻みに震える小さな肩、背中の羽根もざわめいている。
「分かるぅ……、宏一さんの形……、お尻で分かるのおぉッ! す、すごいッ! すごく硬い……ッ! 硬くて、太いのおぉッ!」
「ああぁッ! ウァルッ! ウァルうぅッ!」
「……こ、こういちさぁんッ!」
俺達は、互いの名前を呼び合いながら、硬く抱き締め合う。力の加減なんかできない。限界まで、愛しい人の体を締めつける。
二人の間の空気が、発火しそうなまでに温度を上げる。
そして、お尻にまで力が入るのか、ウァルの体内が激しく動く。
ブジュウゥッ! グジュッ! ジュッ! ブジュウウゥゥッ!
「うぅッ!」
俺は思わず呻きを上げる。
切り取られそうなほどの括約筋の締めつけ、同時に起こる腸壁の波。
その動作はさながら、全ての精を吸い上げようとするバキュームだ。
「うあぁ……、ウァル……ッ! そんなにされたら、俺ぇ……ッ!」
「いやあぁッ! あッ、熱いぃッ! ……動くぅ、勝手に動いちゃううぅッ!」
グチュグチュと、接合部から淫靡な水音がなる。
ほとんど腰は動かしていない。だが、少しの筋肉の加減が、性器に集中した意識にはものすごく大きな愛撫に感じてしまう。
遠くなりかけた意識で、俺は思う。
――この子は、本当に天使だ。
「熱いぃ……、熱いよぉ……」
譫言のように、ウァルは繰り返しつぶやく。そして、それは俺自信の心の声でもあった。……熱い。本当に熱い。
火の玉を抱いているような、圧倒的な熱量だ。
そして、気持ちいい。
動いてないのに、動いてしまう。……ああ、このまま死んでしまいそうなほど気持ちいいッ!
「うあぁッ! ウァルッ!」
ガツンッ!
俺は座位の体勢のまま、腰を上方に突き上げてしまう。
もう耐えられない。精神がいくら乱暴な動きを否定しようと、肉体が我慢出来ない。
「ぐうぅッ!」
俺の背中に、ウァルが爪を立てる。皮膚の破ける痛撃が、背面に走る。
だが、俺の動きは止まらない。もうスイッチが入ってしまった。俺はただ、肉体の快楽を追い求める獣になって、ウァルの体を突きまくる。
「うあぁッ! ふか……、深いいぃッ! い、痛ッ! ひッ! ひうぅッ! ああああぁぁッ!」
ほとんど体重なんか感じさせない天使の肢体は、軽々と俺の腰の上で跳ねまくる。
「ご、ごめんッ! でも、俺ッ! ……おれえぇッ!」
「あやまらないでえぇッ!」
俺の悲鳴に、ウァルが叫ぶ。
「いいのぉッ! どうなってもいいのッ! 僕も、僕も気持ちいいから……、だから……、だからこのままッ! あ、ああぁぁッ!」
ウァルは無理をしている。肛虐の激痛は最高潮で、気も失わんばかりだろう。だが、それでもウァルは俺を受け入れる。愛する人の衝動を、全身で受け止める。
もっとも、俺だってもう動きを制することなど出来ない。ただ突く。闇雲に、ウァルの小さな体を陵辱する。
「あ、あがッ! あ、ああぁ……、あぁ……ッ! あぎッ! ひッ! ひううぅッ!」
ウァルの悲痛な泣き声が聞こえる。でも、俺の動きはそんな嗚咽を踏み台にするように加速する。さながら脱穀機のようなピストン運動。このまま続けたら、確実にこの少年を壊してしまう。
だから、せめて早くッ! 早くッ!
「ウァルううぅッ!」
グジュッ! グジュウゥゥッ! ブジュッ! ブジュッ! ブジュウゥゥッ!
「はああぁッ! こ、こういち……さぁ……ッ! あ、ああぁッ!」
立てられた爪が背中を上がり、バリバリと表皮が裂ける。
そして、俺の腰の下からも、何かがこみ上げてくる。
今まで感じたこともないような、あまりに大きな悦楽の津波……。
ビクンッ!
一際大きな痙攣。そして、登ってくる淫欲の証左。……それも、大量に。
「うあぁッ!」
ペニスが灼ける。そう思った瞬間、
ドビュルウウゥッ! ビュルウウゥッ! ビュッ! ビュルウウゥッ! ビュクンッ! ビュッ! ブビュウウゥゥッ!
「ああぁッ!」
俺は射精し、ウァルは啼いた。
それは、言葉にもなっていない、耳を裂くような悲鳴だった。
だが、俺の射精は続く。こんな小さな天使の体なんて、全て満たす勢いで注ぎ込んでいく。
「と、止まらない……」
ドクッ、ドクッと断続的に白濁液が撃ち込まれる。そのたびにウァルはしゃくり上げるように背を震わす。
「あ……、熱いぃ……。熱いよぉ……」
もう、消えそうなほどか細い、天使の声だ。
俺はその小さな肩を抱き締める。
「ごめん……、俺、勝手に……」
「だから、謝らないでください……。僕がしたくて……、してるんですから……」
「いや、そうじゃなくて……」
俺はウァルの精一杯勃起したペニスに指を伸ばした。
「あッ……」
「ほら、ウァルはまだイってないんだよな……」
俺達はまだ抱き合っている。あれだけ射精しても、いまだ萎えないペニスを入れっぱなしにしながら。
ようやくなじんできたのか、さっきまでのきつい感じは薄れている。ただ、分身を包む粘膜の壁がとても暖かい。
このままずっとこうしていたいけど、それではウァルを壊してしまう。
だから、その前にウァルをイかせてあげたい。
「そ、そんなのいいんです……ッ! その前に宏一さんの……その……手で出しちゃったし……。そんなに僕に気をつかわなくったっていいんです!」
「ダメだよ……」
俺は慎重に指を絡める。ウァルのペニスは、押し出された先走りで濡れに濡れていて、触れただけでクチャリというイヤらしい音がする。
「あ……、宏一さん……。そこぉ……」
「ウァルは俺の彼女なんだろ? だから、ウァルにはもっと感じて欲しいんだよ。……できれば、一緒にイきたいんだ」
「一緒……?」
「そう、一緒にさ」
「いっしょ……」
ウァルはうっとりと目を細め、俺の頬を撫でた。
「いっしょに、イきたいです……」
俺も、ウァルのうるんだ目の端を指で拭った。宝石のような深い色をたたえた瞳が、俺を見つめていた。
「ああ、一緒にイこう」
俺はウァルの小さな体を脇から抱え上げ、体勢を変えた。
羽根を折らないような体位はどうしても限られてしまう。俺はウァルの体を回して、ソファーの上にうつ伏せに寝かしつけた。
そのまま俺は膝立ちで、ウァルに腰をすりよせる。
「後ろから……ですか?」
「怖いかい?」
ウァルは首を横に振った。
「いいえ、ダイジョブです。もっと愛されるなら、どんな恥ずかしい格好だって平気です……。僕、彼女なんですから……」
ウァルは少しこちらに振り向き、笑顔を作る。
健気な態度に、胸が疼く。
俺は改めてウァルの細い腰を持ち、入れっぱなしのペニスをなじます。
精液、唾液、腸液でとろけきった秘穴が、ゾワゾワと俺の肉棒に絡みつく。
(すごい……。これで動いたら、どうなっちまうんだろう……?)
ウァルは覚悟を決めたのか、顔をクッションに沈め、ソファーカバーを握りしめる。
ほんの少しだけ、お尻の位置が上がる。
俺も、意を決する。
「いくよ、ウァル……」
「はい……」
俺は、腰を引く。ズズッとペニスが引き出され、泡立った粘りがヌラヌラと肉の茎に光る。
「はあぁ……」
ウァルの肺から空気が抜けていく。どのような快感を感じているのか、体は脱力し、肩が落ちる。
そして、カリ首が括約筋に引っかかったところで、ゆっくりと押し込む。
「ふうぅッ! は、はあぁッ……、はわぁ……」
小さな天使が、大きく喘ぐ。
再び根本まで撃ち込まれると、ウァルの背筋は電気でも流したかのように痙攣し、足の指が床を掻く。
(ゆっくり……、ゆっくりしないと……)
俺はピストン運動を続ける。少年を傷つけないよう、慎重に。愛しい人の快感を引きずり出すように、気を込めて抽挿する。
「はぁ……、や、やあぁ……。いいですぅ……。なんか、すごく気持ちいいですぅ……」
ウァルの呼吸が不規則になっていく。切なげな吐息は熱をはらみ、ソファーを湿らせていく。
一方、俺もペースが上がっていく。
もちろん、スローペースを守りたいとは思っている。だが、ウァルの締め付けがあまりにも気持ち良すぎて、理性が保てない。
「くッ……、うぅ……」
俺は歯を食いしばり、悦楽に耐える。少しでも気を緩めれば、ウァルに力一杯の一撃を撃ち込んでしまいそうだ。俺の手は震え、額には脂汗が浮かぶ。
その時、気づいた。
ウァルの背中の羽根も、ヒクヒクと揺れている。
そういえば、ここも性感帯だったっけ。俺は腰から手を離し、羽根の根本に手を伸ばす。
そっと、摘んでみる。その瞬間、ウァルの体はビクンとのけぞり、開いた羽根から羽毛が舞い散る。
「やッ! やあぁッ! そ、そこはダメです……ッ! そこ……、すごく変……ッ!」
ここにきて、ようやく上がったウァルからの抗議だった。だが、こんな反応を見せつけられて、そこを弄らない男はいないだろう。俺は指の先でくすぐるように、羽根の付け根を愛撫する。
「ひ、ひやぁッ! そこ……、そこやあぁぁッ! あ、あ、あ、ああッ!」
ウァルは大声を上げながら、肢体を左右にツイストする。だが、俺のペニスで貫かれた体は、腰を中心に回るだけで逃れることは出来ない。俺はひねられた腰の感触に呻きながらも、懸命にウァルの羽根を揉む。
ブジュッ! グジュウゥッ! グジュッ! ジュッ! ブジュウウゥッ!
激しい動きに合わせて、結合部からイヤらしい水音がはじけ飛ぶ。おれもついに耐えきれなくなって、ピストンのペースをあげてしまう。
そうすると、ウァルの中がさらにうねる。搾り取られそうな錯覚に、俺はおののきながらも、ひたすらに腰を振るしかない。
「くうぅッ! うッ! うぐうぅッ! あ……、ああぁ……」
ウァルは、羽根からの快感をようやく落ち着いて受け止めることが出来るようになったようだ。潰されそうなほどの法悦に脱力しながらも、ソファーにへばりついて絶頂を耐える。
だが、もう息も絶え絶えな純白の天使……。ああ、早くイかせてあげたい……ッ!
「ウァル……」
「ふあぁ……?」
「自分で、いじれるかい?」
「いじれ……るか……って……、どこ……を……」
「自分のをだよ」
混濁する意識の中、俺の言葉の意味を理解したのだろう。ウァルはビクッと一度痙攣し、肩をすくめる。
「……で、でもぉ、ぼく、じぶんで……なんて……したこと……ない……」
「でも、そうすればもっと気持ちいいよ……。一緒にイきたいんだ……、やってみて……」
「ふ、ふえぇ……」
おそらく、とても恥ずかしいのだろう。ウァルはただでさえ紅潮した顔を、さらに赤くした。
だが、手はゴソゴソと下へ向かう。この子は素直にいうことをきく。
そして、触れる。もっとも敏感な粘膜に、指先が当たる。
「ひぐッ!」
ウァルの体は大きく跳ねた。そして、広がる快感のパルスに、ただただ身を震わす。
「か、かはッ……、や……、ここダメ……、こんなとこ触ったら……死んじゃう……」
「大丈夫だよ……」
いや、そう言う俺は、もう大丈夫などではなかった。急激に締まる肛華に身を絞られ、あまりの快感にダクダクと中で何かが漏れだしている。
もう、爆発寸前だ。これ以上は堪え切れそうにない。
「ほら、こすってみな……。こうやって……」
俺はウァルの両羽根を握りしめ、同時にしごいた。
「きゃうッ!」
ウァルの羽根が開き、羽毛が逆立つ。羽先は反り返り、プルプルと震える。
「ほら……、こうやって自分のをこするんだよ……。さあ……、早く……ッ!」
「……は、はいッ!」
そして、ウァルはついに自分の分身を握りしめ、上下にこすり始めた。
シュッ……、シュッ……、シュッ……、シュッ……。
「ひ、ひうッ……、や……、これなに……ッ……! ひ、ひぎッ……」
初めてのオナニーに戸惑いながらも、さっき俺にされた容量で、ウァルは自分の包茎ペニスを根本からこする。すでにそこまで来ていたのか、先走りがポンプで吐き出されたかのようにビュルビュルと漏れ、ソファーに点々と染みを作っていく。
同時に、狭い穴がさらにギュッと締まり、グニグニとうごめく。絶妙なほどの肉の細波に、俺の理性が流されていく。
「くうッ……、うッ……、うぁ、ウァル……ッ! ウァルッ!」
俺もラストスパートをかける。ウァルの手の速度にも負けない速さで、連波を撃ち込む。
ウァルの秘芯、一番気持ちいい場所を、内側から何度も叩く。
「……はッ、はぐうッ! あ、……来るッ! 来ちゃうッ! 僕、……ま、またイくッ!」
ウァルの手が、さらにせわしなく動き出す。最後の最後、頂点の先まで快感を持って行く。
弾ける粘膜と、肉を叩く音。そして、歌うような喘ぎが部屋を満たす。
広げられた羽に、光が乱反射する。
「イ、イくッ! イくイくイくッ! ……イっちゃうーッ!」
「ああ、俺も……、うッ! うあぁ……ッ!」
もう、タイミングを合わせる必要さえない。ただ、我慢の堰を切ればいい。俺達は、同時に高みへと登っていく。
そして、ウァルが啼く。啼きながら、イく。
「あ、あ、あ、ああああぁッ! あはああぁッ!」
「ウァルウゥッッ!!」
ドビュルウウウウゥゥッ! ビュルウウゥッ! ビュウウゥゥッ! ビュッ! ビュルッ! ブビュウウウゥッ!
ビュルウウゥッ! ビュッ! ブビュッ! ビュウウゥッ! ビュルウウゥッ! ビュウウゥゥ! ビュルウウゥッ!
ウァルは、自分のペニスを握りしめながら、射精した。さっき一回出したとは思えないほどの量が、ソファーにかかった。
「……あ、……ああぁ」
体内へ注ぎ込まれた熱を感じ、ウァルが呻く。一方、俺の方も身動きがとれないほどの悦楽だ。だらしなく精の放出を続けるしかない。
「う……、ぐぅ……」
俺は情けない声を上げながら、延々と白濁をウァルの中へと撃ち込み続ける。最後の一滴まで絞り出してしまいそうだ。
まるでそのまま飲み込みそうなほどの、腸壁の痙攣。俺はその動きに逆らわず、なすがままに射精する。
(やばい……、死んじゃいそう……)
そのまま、俺達は時間が止まったように硬直する。
舞い散った羽根だけが僅かに揺れ、天窓からの光が、複雑に反射する。
俺は、後ろからウァルの体を包むように抱き締め、髪の毛を撫でる。
ウァルも気持ちよさそうに、喉を鳴らす。
なにも言わず、何もせず。俺達は互いの体温を感じながら、深い想いを確かめ合う。
ウァルのカードから、チャイムが鳴った。
幸福の1ポイントが、天国のサーバーに記録された。
「あの、こんなの困ります……。僕は宏一さんを幸せにするためにここに来たのに……」
「俺は幸せだよ」
「そう言って貰えるのは嬉しいのですが……、これでは天使の立場というものが……」
ウァルは食卓の前で居心地悪そうに座っている。
俺はキッチンで得意の焼きそばを作っている。
「なにを今更……。なんなら何? ウァルはどんな料理が作れるっていうんだい?」
「そ、それは……」
「だ・か・ら、ウァルは座ってればいいんだよ。美味しそうに食べて貰えれば、それで俺は幸せなんだから」
「は、はぁ……」
ウァルはまだ納得がいかないのか、両手の指先を絡めてモジモジしている。
そして、俺はそんなウァルを見ているのが楽しい。
完成した焼きそばを皿に盛り、青のりと紅ショウガをかける。冷蔵庫からウァル用のミルク、俺用の麦茶を取り出し、コップへそそぐ。全てをお盆にのせて、ウァルの待つ食卓へ。
「かんせーい」
机に置けば、湯気に向こうにウァルのはにかみが見える。なんだかんだ言って、腹減りには勝てないのだ。
「……いただきます」
「はい。いただきます、と」
俺達は昼食をとる。残暑きびしい夏の午後、のんびりとテレビをつけながら。
幼い天使を彼女にして、それでも思う。
どうして俺はあの時、ウァルをはね除けることが出来なかったのだろう。
まだ子供、しかも少年に襲いかかってしまうなんて、やっぱり許されるコトじゃない。どうして俺はあの時、自分を押さえることが出来なかったのだろう。
――やっぱ、キスされたからかな。
今、考えてみれば、あの瞬間から全てがおかしくなった気がする。
あの切なげな吐息には、魔法でもかかっていたのだろうか。俺には確認する術もないけれど、そう思わずにはいられない。
あるいは、神様が本当にどこかから見ていて、困ってるウァルと俺に助け船でも出したのか。
……それだったら、感謝するしかないけれど。まったく、天国に足を向けて寝られないな(なんだそりゃ)。
「いや、それでも僕は申し訳ないっておもってるんでふよぉ……」
ウァルは口に焼きそばをほおばりながら何かモゴモゴ言っている。
「確かに、ポイントは貯まるんです。もうとんでもないハイペースで。でもですね……、僕は何もしてないんです。こんなのっていいんでしょうか? 僕、修行しに来たのに……」
「いいんだよ」
俺は速答した。
「いいんだ。俺はこうしてるのが幸せなんだから。ウァルに世話を焼くのが堪らなく嬉しいんだ。……いや、ウァルがイヤなら、……止めるけど」
「い、イヤじゃないですッ!」
今度はウァルが速答した。
「嫌なわけないじゃないですか……。嬉しいです……。僕だって、幸せです……」
「そっか、ならいいんだ……。何も困ることはないよ」
「……はい♪」
ウァルは微笑み、ミルクを一口含んで、焼きそばを流し込んだ。そして懐からカードを取り出して、改めてポイントを確認する。ドンドン増えていく数字に、少し申し訳なさそうにしながら。
その時、ふとある不安が頭をよぎった。
「そう言えば、ウァル。そのポイントがいっぱいになったら、天国に帰っちゃうんだよな」
「はい」
「……このペースで行ったら、どのくらいでいっぱいになるんだ?」
ウァルは少し上を向き、指折りなにやら計算し始めた。
「えっと、順調すぎるくらい順調ですからね……。四の五の……えっと、あと百年くらいでいっぱいになっちゃうと思います」
「……ひゃく、ねん?」
「はい。たぶん仲間内では一番早いですね。僕、主席で卒業になっちゃいますよぉ。……へへー」
百年、ね。
なるほど。とりあえず、まだまだ時間はたっぷりありそうだ。
俺はウァルの笑顔を眺める。俺を愛してると言ってくれるその口、そして、その瞳を。
ああ、神様にいくら感謝してもしたりない、最高の贈り物だ。
なんか、口の端に青のりなんかついてるし。
「ウァル……」
「ふぁ……?」
俺はウァルに唇を寄せ、青のりを舐めとる。合わせてウァルは目を閉じる。
互いの肩に手をのせ、キスをする。
リンゴーン。
ウァルのカードが、まるで祝福の鐘のように鳴り響く。
天窓からは、夏の光がスポットライトのように俺達に降り注ぐ。
そのまま、俺達は体を重ねる。
――神様、今だけはちょっと視線を外しててくださいね。
(了)
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