君色思い

 

 

 

ねえ、本とは淋しいんだよ。

言わないだけで、淋しいんだよ。

知ってる?

 

 

 

 

「今日泊まっていきなよ」

 

テッドとチェスをしてたら随分夜も更けてしまって。

紅茶に口をつけていたテッドは、

僕のその言葉に驚いたみたいだった。

「ん?んー……いや、帰るわ。ごめんな」

「そう?」

「ああ。また明日な」

手早く駒を纏めて行ってしまった。

 

 

言ってはいけない事なのかもしれないと酷く後悔した。

 

 

思えばテッドは、

誰に対しても一線引いて付き合っているようなところがあって、

親友であり家族である自分にだってわからない事は山のようにある。

それを詮索しないのは、

少しでも彼の事を知りたいという気持ちよりも、

彼を傷つけたくないという気持ちの方が勝っているから。

だから今日のように泊まる事を拒否されても、

今までも、そして今日も理由を聞けなかった。

だからかもしれない。

自分が淋しいと感じるのは。

 

でもそれはわがままというもの。

 

彼の顔に淋しい影が走るのを知っているから。

きっと自分には知りえない大きなものが彼の肩に乗っているのだと何となくわかるから、

だから言わない。

自分のわがままを押し通して側にいてもらうより、

彼が自分を必要としていてくれている時に一緒にいたいから。

 

 

小さく溜息をつくと、

いつも早朝に窓から自分を迎えに来るテッドのために鍵を開けてベットにもぐりこんだ。

 

 

 

 

その日の夜中、

早朝に開けられるはずの窓が開けられた。

従者の不在を確認すると、

屋根を上ってきた少年は部屋に入り、

左手で優しく眠っているユギの前髪を梳いた。

 

 

一緒にいられたらいいのに。

ずっと一緒にいたいのに。

でもきちんと自分の制御の利く日中でなくては側にはいられない。

もし夜中に暴走したら自分は一体どうしたらいい?

 

「………ごめんな、一緒にいられなくて……俺も…淋しい……」

 

そう呟いた少年の右手には、真っ黒に焼きついた重い枷がついていた。

 

 

○あとがき

あれだけ遅くなってこれかよう()書きたい事の4分の1も書けなかった気がする() 

 

 

 

 

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