Psychedelic
僕にとっての君を、
上手く説明できる言葉がなかなか見つからない。
確かに付き合ってるのにどうしてだろうね?
それはきっと僕と君の関係がそういう感じだからかもしれない。
「葛葉」
「んー?」
「葛葉」
「……」
「くーちゃん」
「あい」
スプーンの先をくわえたまま彼はようやくこちらを向いた。
「………それでアイスクリーム何個目だと思ってるわけ?」
「うーんと……6個?」
「………いい加減やめたら?」
「だっておいしいんだもん」
先程から隣でアイスクリームを食べている彼に溜息をつく。
本当は止めるのは気が引けてしまうのだ。
彼はそれはそれは幸せそうに食べているのだから。
「ほら」
器を取り上げたら。
「…………だめ?」
ほら、悲しげな瞳で見上げて。
「………体調管理も出来ないわけ?」
「だって、ルックが作ってくれたんだよ?」
泣きだしそうな困った顔。
そう、彼のためにアイスクリームを作ってきたのは自分。
彼がアイスクリームがすきだから。
自分が作ったものをおいしいと褒めてくれたから。
幸せそうに食べてくれる彼を見ているのがすきだから。
口に出しては言わないけれど。
「………今これに入ってる分がなくなったら止めときなよね」
結局僕は君に負けてしまうんだ。
「うん」
君は幸せそうに笑うから。
「絶対だからね」
こうやって意地悪な風にしか心配できないけど、
「うん。だいすきだよ、ルック」
故意か無意識か君はこうやって言ってくれるから。
「………知ってる」
それに言葉で返す事はしないけれど。
「うん」
態度にしか出せない不器用な僕を君はちゃんとわかってくれるから。
「ごちそうさまでした」
ちゃんと約束を守った彼はやや淋しそうにスプーンを置いた。
「クリームついてる」
「え?」
おしぼりで慌てて拭こうとした彼を止めて代わりに拭いて。
「ありがとう」
「別に」
「ルックって、お母さんみたいだね?」
無邪気に彼はそう言うから。
すぐに彼を覗き込んでキスを落とした。
「………甘い」
「え?」
彼はきょとんとしていたけれど。
「………本物の保護者はこんな事しないよね」
もう1回キスを落とした。
小さな子みたいに甘えてくれる君を、
放って置けない僕はまるで君の保護者のよう。
勿論放っておくつもりなんて毛頭ないけれど、
あたりまえの事をしているつもりなのに君までそう言うから。
そういう君をすきになった僕とこういう僕をすきになってくれた君だから、
一言でなんて括れないような関係でいても当然かもしれないね。
そんな関係にのめりこんでしまっているのはきっとそれだけ君の事をすきな証拠。