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深夜に小さく足音がする。

音が響かないようにと裸足で気配を押さえているらしいものの誰が歩いているのかわかって、

本に走られていた目をふと上げた。

予想通りに小さくノックする音が聞こえて来て。
「開いてるよ」
その声に、ゆっくりと開けた扉から覗きこんで来た彼は小さく笑った。
「あれ、わかっちゃった?」
「まあね」
彼の身体を引き寄せる。

外の冷気に冷やされて物凄く冷たくて。
「で?」
「うん、一緒に寝ようと思って」
その言葉に今度はルックが僅かに微笑む。

とにかくベットに上がらせて2人で毛布の中に入った。

 

 

 

 

 

「ねえ、どうして言葉って響くんだと思う?」
幾分か暖まってきた頃にふとユギが呟いた。
「さあね」
「ねえ、どうしてだと思う?」
不思議そうに覗き込んで聞いてくる。
「それが聞きたくて来たわけ?」
「半分はそうかな?」
小さく微笑んで。

そしてまた、どこかいたずらっ子のような瞳で覗き込んで来て。

その瞳が本当は不安と淋しさで揺れているのを知っている。

ユギが解放戦争が済んでから月に一度とある所に挨拶に行く度に、その質問を繰り返すから。

その答えはとっくの昔に出ているというのに、

何度も繰り返しているというのにユギは聞く事を止めない。
―――先に、進めないから。

 

 

「大事なものだからじゃないの?」
そう答えると嬉しそうに微笑んで。

そのまま安心したようにルックにしがみついて寝てしまった。

 

 


彼が残した言葉はとてつもなく響いて。

それが今でもユギを三年前のあの時に繋ぎ止めたままでいる。

それほどまでに彼の言葉は……


優しくユギの髪の毛を梳いてやって。

「すきだよ」

そう、普段は絶対に言わない事を口にしてみるけれど。

決してユギに届く事はない。

どんなに願っても今のユギには届かない。

それほどまでに「彼」が残した言葉は重いから。

「………ユギ」


ただ出来るのは不安定なユギをその場に留まらせてしまう事だけで。

「………『愛してるよ』」


それは鍵となり得るか。

ユギの心を解く錠の鍵は、ルックは持ちあわせてはいないのか。

風に乗った言葉は、優しくかき消されて行った。

 

 

 

 

 

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