「トラン共和国、か」
先日トラン共和国と同盟を結んだ、という話を聞いてルックは呟いた。
「彼」に会えるかもしれない、という淡い期待を抱く自分に気付く。
「会える訳ないのにね」
そう思ったのを後悔しつつ石版の前に座る。
一時間程経っただろうか、
「ルック……だよね?」
懐かしい声がした。
顔を上げると「彼」がいた。
喜びが込み上げてきたが、そんな事は微塵も顔に出さずに「見ればわかるじゃない」と冷たく言ってみせた。
――――そうして、三年振りに「彼」と再会した。
その日の夜「彼」の部屋に行ってみた。
「彼」は三年前そのままの笑顔で迎えてくれた。
「久しぶりだね、ルック。背、少し伸びたんじゃない?」
「さあね」
「相変わらず冷たいな」
「………」
五分程経ってルックは尋ねてみる。
「ねえ」
「ん?」
「年取らないって事辛いんだろ?」
「全然」
「嘘つき」
「うっ…」
「……そうかもね、辛いかもしれない。みんなが年を取っていく中で僕だけは…そのままで……」
そう言うと「彼」は淋しそうに微笑んだ。
その顔がとても切なくて―――
「ルック…?」
「ぼくが……から」
「え?」
もう一度言う代わりにキスをした。
「彼」の目に涙が浮かぶ。
悲しみではなく安堵の涙が。
――――しょうがないね…今夜は泣いててもいいよ…ぼくが抱いていてあげるから――――