Love and silence

 

 

 

 

最後に君の名を呼んで、君の事だけを考えて、君の事だけを愛して、―――死のう。




視界が反転する。
そのまま、脆くも体は床に崩れ落ちた。
右手は既に炭化し、感覚がない。
頭はぼんやりと、霧がかかったような状態だ。

ああ、と咄嗟に悟った。
自分は死ぬのだという事を。
ここで終わりを迎えるのだという事を。

そして、目の奥に映し出される面影。
黒髪の、綺麗な人。
愛してやまなかった人。
その愛は語る事はなかった。
決して伝える事はなかった。
真実の想い。
臆病故に、諦めた想い。
素直になれば、幸せになれたのかな?
わからない。
わからないけれど、確かな事は、自分の想いはあの頃と少しも変わりはないという事だけ。

ああ、こんなにも。
こんなにも愛しさが込み上げてくる。
最期の瞬間までも、彼の名を口にしようとするだけで。

涙が、頬を伝った。




「…ばいばい、セブルス………」




喉の奥に詰まった血と共に、掠れた声が出た。
ああ、眠い。
どうして、こんなに眠いんだろうね……


………セブルス………

 



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