私にとってあなたは特別。

だから心配しないでね。いつでもあなたが私の一番なんだよ?






ONLY YOU








大嫌いな数学の授業。

黒板に書かれていることも教科書に書かれていることもハッキリ言ってちんぷんかんぷん。

この時間はプリントの時間。数学の問題がびっしりと書かれたプリントを配り終えた先生は教室の端に座り先程
行われた小テストの採点に取りかかっている。

配られたプリントを見つめ は大きなため息をついた。「イヤだイヤだ」と思っているからか何時の間にやら
プリントと向かい合い百面相状態になっている。

そんな の様子に隣の席からクスクスと笑い声が届く。

「本当に は数学が苦手なんだな。他の教科はかなりいい成績なのに」

笑いながら話しかけてきたのは がマネージャーを務めているサッカー部のキャプテンの渋沢。

「んー。だってホントに解らないんだもん」

渋沢の笑いに抗議するように は頬ふくらませた。

その行動が更に渋沢の笑いを誘うのだが はその事に気付いてない。

「もう、渋沢君笑わないでよ〜。笑ったバツにこのプリントの解き方教えて?」

笑顔で「決まり」と言いながら机を渋沢の机にくっつける。

他の生徒達もみんなそれぞれ相談しながらプリントに取りかかり始めている。時間中に終える為には皆お互いに協力が
必要といった所なのだ。

「よろしくお願いします。渋沢先生」

にっこり笑った に連れられ渋沢も笑顔を返した。






「………でこうなる訳だ」

「あぁ、なるほど。渋沢君の教え方って解り易いね。さすがキャプテンだわ」

教えるのが上手いという事とキャプテンとがどう繋がるのかいまいち解らないのだが尊敬の眼差しで は渋沢を
見つめた。

にとって有り難いことに渋沢のおかげでプリントの4分の3が既に終わっている。

「そうか?まぁしょっちゅう藤代とかに教えてるからなぁ」

「亮も教えてくれるんだけど何時もなんでか途中から勉強じゃなくなっちゃうのよねぇ」

そう の彼氏である三上も数学が得意。 は試験勉強の度、それ以外の数学の宿題がある時等には三上に勉強を
見て貰ったりしている。

が結局いつも三上がちょっかいを出してきて勉強にならないのだ。

その時の事を思いだしているのか「亮ってホントに私の事好きなのかしら?」なんて言って はため息をひとつついた。

は三上に愛されてると思うぞ?」

そう言って微笑んだ渋沢を見つめ。

「えぇ!でも本当に数学解らないのに結局教えて貰えないんだよ?ホント困っちゃうよ。渋沢君からも亮に注意してよ」

頬を膨らませ父親に抗議する子供のような を見つめクスクス笑っている渋沢の肩を後ろの席の子がトントンと
叩いた。

振り返った渋沢に何か耳打ちし小さく折り畳まれた紙を手渡した。

その紙を開いて見た渋沢は斜め後方を確認し「やっぱり は三上に愛されてるぞ」と言って再びクスクスと
笑っている。

は渋沢と渋沢の指に挟まれている紙を不思議そうな顔で見つめた。






プリントの問題を全て解き終わったと同時に4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

「あーやっと終わった。ありがとう渋沢君」

にっこり笑顔でそう言った と渋沢の前に不機嫌そうな表情の三上がやって来る。

「渋沢。今日コイツと俺、昼飯別で食うから」

「へっ?何で?」

大きな瞳をくりくりとさせ不思議そうに三上を見つめた の手を引き三上は教室を後にした。






「ねぇ亮どうしたの?」

の質問に無言のまま手を引き階段を上っていく。

いつもは中庭でサッカー部のメンバーと一緒に食べているお弁当。

向かっている先は中庭とは全くの逆方向。階段を上へと登り、ついた場所は屋上だった。

「亮、屋上でお弁当食べたかったの?」

首を傾げて聞いた の言葉に三上は大きくため息をついた。

「普通こういう時って『二人で食べたかったの?』が正解だろうが。俺ら付き合ってんだから」

不機嫌そうに言った三上。そんな三上を見つめ一瞬考えると「それもそうだね」と は楽しそうににっこりと笑った。

笑顔の とは対照的に大きな脱力感が三上を襲う。

そんな三上の様子に気付いていないのか「おなかすいたね」なんて言ってお弁当を広げる

を見つめ三上はもう一度ため息をつくと の作ってきたお弁当を食べ始めた。



たわいもない話をしていた二人だったがふとした事から4時間目の話になって。

「ホント渋沢君って教えるの上手なんだよ。解り易くてプリントも完璧に出来ちゃった」

嬉しそうに話す 。そんな を見つめていた三上の顔は見る見る険しくなっていく。

そんな三上の様子に気付いた は首を傾げ。

「亮どうしたの?恐い顔してるよ」

三上の顔をのぞき込むように見ていた を抱きしめその唇を自分のそれで塞ぐ。

突然の事にびっくりして大きな瞳を更に大きく見開く。

突然のキスは初めてじゃないけど…。

でも今日のキスはいつもよりも熱く感じて。

その熱に侵されて眩暈が を襲う。

顔が火照って熱い。



ようやく離された唇。

見つめた三上の顔はいつもの勝ち誇った様なカンジではなくて。

むしろ何処か辛そうで。

「………亮どうしたの?私何か亮のイヤな事しちゃった?」

不安な表情で見つめた 。そんな を見つめ。

「無防備過ぎんだよ、お前は。あんまり他のヤツと仲良くすんな。じゃねぇと俺の心臓がもたねぇ」

意外な三上の言葉。その言葉はいつもの俺様的発言じゃなくて。

しかも顔には「本気で心配」と書かれて有る。

そんな三上の様子が凄く可愛くて、嬉しくて。自然と顔がほころぶ。

「渋沢君の事?亮、ヤキモチ妬いてくれてたの?でも大丈夫だよ。私が好きなのは亮だけだから」

そう言って少し照れている三上ににっこりと微笑えむ。

の言葉でいつもの調子を取り戻してきた三上はクスクス笑っている のおでこをペチッと叩いて。

「ンな事知ってる。………勉強も俺が教えてやるから他のヤツに頼んな。頼るんなら俺に頼れ」

「亮がちゃんと教えてくれるんならね」

「あぁ、ちゃんと教えてやるって」

そう言って三上は の唇に優しく約束の徴を落とした。






昼休みの後。こっそりと渋沢君が渡してくれたあの時の紙。

書かれていたのは───。



は俺のだからな!』



見覚えのある筆跡はもちろん大好きなあなた。












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