「……お前そんなのしてたっけ?」

部活中。

今日は4月にしては凄く暑くて。部員の殆どが上着を脱ぎTシャツ姿。

マネージャーの もその例にもれずTシャツ姿で。

そのせいで見え隠れしている、 の首に下がっている細い鎖。その鎖をちらっと見てすぐに視線を逸らす。

「ん?あぁ、コレ?うん先週から付けてるの。イイでしょ?」

にっこり微笑んで鎖をTシャツの中から取り出した

その鎖の先には紅い石を付けた指輪が通されていて。

その指輪を見た瞬間、三上の表情がサッと変わった。そんな三上の変化に気付かずに。

「でもよく気がついたわね。亮がこんな事に気付くなんてちょっとビックリ…。実は私の事、かなり気にしてるんでしょ?」

そう言いながらは嬉しそうに微笑み、三上を見つめクスクスと笑っている。

のからかうような視線に合って、三上は一寸ムッとし、何か言い返そうとしたが「三上早く来い!」という渋沢の言葉に遮られてしまった。

「ほら、早く行った方がいいんじゃない?」

「ちっ、解ってるよ」

依然としてくすくすと笑っているを悔しそうに見つめ、三上は呼んだ渋沢の元へと走って行った。





部活が終了し制服に着替えている途中に、その存在を確認しようとは胸元に手をのばした。

が手に当たるのは自分の肌の感触だけで。求めているものの存在が感じられない。

驚き首へと手を当ててみる。しかし、ここでもやっぱり肌の感触のみで。

慌ててのぞき込んだ鏡。そこに映っていたのは何も飾りのない自分の姿。

(…なんでぇ………)

あまりのショックに声も出ない。思考回路も完全にストップしている。

Tシャツ1枚だったからか?先週までは上着を着ていたから大丈夫だったのか?

部活を始める前には確実に有った事は解っている。だとすると部活中に落としてしまっている訳で。

ようやく動き始めた思考で部活中に行った場所を思い出す。そんなに多くは無い。

焦る気持ちを抑えながら大急ぎで制服を着て部室を飛び出した。

と、部室出たところで思いっきり人とぶつかってしまった。

いきなり飛び出してきたを抱き留め、不敵な笑いを浮かべている三上。

「お探しの物はコレですか、チャン?」

その言葉と共に の探していた物を手渡してくれた。

探していた物が自分の元へ戻ってきた事に安心し満面の笑みを浮かべる。そんなを見つめながら。

「………そんなに大事なのかよ、それ…」

ちょっと怒った感じで言った三上。そんな三上を見つめ。

「うん。…あのね…コレ、おまじないなの」

「おまじない?」

訝しげに聞いてきた三上ににっこりと微笑みながら。

「うん、おまじない。女の子の中ではやってるんだけどね。好きな人の誕生石を離さないでずっと持っていたらその人とずっと一緒に居れるって」

照れて少し俯き。

「これね、ガーネットなんだよ。1月の、亮の誕生石の…」

そう言って下から三上をのぞき込むように見つめる。

その頬は、ほんのり朱く染まっていて。そんなの様子が可愛くて、愛おしくて。

三上はの身体をいきなり引き寄せ、その腕の中に閉じこめた。

そして耳元で囁くように。

「んなモンなくたって、が望めばいつまでだって一緒に居てやるぜ?」

いきなり抱きしめられて、耳元で囁かれて。の体温は一気に上昇する。

先程とは比べ物にならないくらい、その頬が上気し朱にそまっている。

「……じゃぁ…一緒に居て?ずっと…一緒に」

頬を染め恐る恐るといった感じでそう言った。そんなをニヤっと見つめ。

「お望みのままに」

そう言って三上はの唇に約束の徴を落とした。





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