「逢いたい気持ち」

 

 

 あれから、何ヶ月かが過ぎた。

 逢わなくなって、何ヶ月…。

 あれから、名前も覚えてないような相手と幾つもの夜を過ごした。

 そして、同じ数だけ朝を迎えた。

 

「シード」

 城門の前、我らが知将殿が出迎えてくれる。

「なんだよ。また、御小言デスカ?」

「…彼の方はどうした?」

「あいつとは、別れましたー。なんだよ、文句でもあんのか?」

 あまり触れたくない話題に、軽い口調で答える。

「なぜだ?」

「なぜって…」

「愛していたのではないのか?」

 あーはい、そーです。

 この世で一番愛シテマス。

 あいつ以外に、生を共にする人間なんて考えられないくらい。

「なぜ、別れた?」

 なぜ?

「…んだよ。そんなこと、今更話したって仕方ないだろ?」

「今更? お前、いつ別れたんだ?」

「えー? 数ヶ月前かな」

「数ヶ月前…」

 腕を組んでいたクルガンが、腕を解いてその手を口元へ運ぶ。

「…まさか、あんな理由で別れたのか?」

「あんな理由で悪うございましたね。それだけ、愛してるんだからな」

「結果、相手が泣いていたら意味がないだろう?」

 んな、分かったような口きいてんじゃねぇよ。

「…お前、あいつを苦しませろってんのか?」

 怒りを込めた眼差しを向ける。

「彼の方は、どんなことがあろうとお前といたかったのではないのか?」

 それは一理あるだろうな。

 オレだって、別れるのは嫌だった。

 どんなことがあろうと、あいつと一緒にいたかった。

 だが…。

「…オレは国境を越えられない。あいつが来てくれるのを待つしかない。

 だが、国境越えは危険な行為に変わった。

 あいつを、そんな危険な目に合わせられねぇよ!」

 激情と共に、言い捨てて壁を殴りつける。

 派手な音が鳴り響く。

「…悪かった、シード」

 …知将様が謝るとは思ってもみなかったぞ…。

「部屋で休むといい。執務時間までには、まだ余裕がある」

「…あぁ。そうさせてもらう…」

 少し予想外なことに驚きながらも、そのまま部屋へ向かう。

 別れ際、クルガンに一言だけ言われた。

「夜遊びは自重しとくんだな。彼の方に再会する時、言い訳が立たないぞ」

 ふっ…、再会ねぇ?

「わーったよ。考えといてやる」

 

 * * *

 

 国境越え、そんなものは理由の一つ。

 今やっていることは『戦争』だ。

 戦争だから、恐れることもある。

 下らないと言われた理由。

 だけど…。

 

 逢いたいよ…。

 とても、心が弱くなっている。

 君への想いが募るほど、心は弱くなって…。

 でも、君を愛するという何よりも大切な愛をくれた君が大切で。

 君を守りたくて、その手を離してしまった。

 オレは、逃げているのかな。

 でも、オレが何を言われようと、君が無事であるのなら…。

 愛しているから、こんな選択しか出来なかったオレを許してくれるか?

 君を愛しているから…。

 

 この世の誰よりも、愛しているよ……。

 

(了)

 

 

■後書き■

ごめんね、くーちゃん!

意味不明な上に、長いし!!(汗)

でもでも、とりあえずくーちゃんへの想いを詰め込んで…(殴)

実は、これまた相手側サイドっつーのがあったり…。

今度の更新の時にでもアップしたいと思います。

 

くーちゃん、10万ヒットおめでとうなのですvv

この世の誰よりも、愛しているよくーちゃん。

 

そいや、今回の坊ちゃんは、名前を隠してあります。

捧げモノなので、名前を使わないようにしてみたんですが…。

……坊ちゃんでなくても良さげな文章に(汗)

自分的には、相手は「くーちゃん」なのですが…。

 

 

 

 

宥人しゃん100000hit over記念で頂いてしまいましたvv

ちょうど「逢いたい気持ち」を聞いてた所だったので悲しかったのです。

シードさんの御言葉がすごく切ないのです。

相手の事を想うがゆえに離れるっていうのはやっぱりすごく痛いです。

こんなに大事に想ってるのに…だからなんだって思ってもやっぱり切なくて。

「くーちゃん」ならどうするんだろうって色々考えたりしてました……

はう、素敵な御話をどうもありがとうございましたvv

俺も宥人しゃんの事、他のどんな誰の事よりも愛してますvv(脱走)

 

 

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