あれから、一年が経ちました。
遠く戦う彼は相変わらずなのでしょうか。
はらはらと刻の流れを追う紅葉の雨。
一緒に見る事が叶わなかった秋景色を、
今はとても哀しく想います。
+++ Babe Maybe +++
紅と黄に染まった世界。
その空間の、ほんの微かな風に紛れ込んで
キシッと、古いベンチが悲鳴を上げた。
辺りを見渡せば、仲睦まじい老夫婦に家族連れ。
休日を楽しもうと、人は思いの外いる。
それなのに、まるで溶け込めない自分を一体何と例えよう。
此処だけ刻が止まったのかと錯覚する程に静かで、
ただ切ない虚無感を増すばかりだ。
はらり はらり。
慰める様に頬を触れていった木の葉は、
耐え切れなかった涙を隠してくれたのだろうか。
「……情けねぇ」
零れた言葉が、空へ溶けていく。
あの日のように。
あの日の、あいつのように。
強く優しく、何処までも澄んだ青空へと。
ゆらゆら 秋に揺れて。
それでも痛いんだ。
何故、あいつでなければならない。
倖せはぬくもりに比例するんじゃないのか?
「…なあ、答えろよ」
落ち葉は刹那の穏やかさ。
行方を追ったてのひらを擦り抜けて
嗚呼、けれど答えは残さないまま。
残された右手を下ろして、ふと顔を上げれば
曇りの無い蒼から降る紅は本当に綺麗で…
その分だけ、酷く哀しいものだった。
何か得るため 何かを失うなんて
それが君だったなんて
あの頃の 僕達は知るはずもなくて
「………くそっ」
強く握り締めた拳は、麻痺してしまったかの様に痛みを感じない。
怒り、悔しさ、例え様の無い悲しみ。
ぶつける先を持たない感情に、俺はどうしたいのだろう。
ゆらゆら 秋に濡れて。
心までもの冷たさを。
「………寒…」
刻の流れを伝える様に、辺りには静けさが漂っていた。
深く染まる紅の道。
何だか独り、取り残されたみたいだ。
言葉では伝えきれない
この夢だけは ゆずれないことを
「あきらめはしない」と
搭乗カウンターを隔てて
君と最後に
期限の無い約束交わした
「…………」
最後の記憶は、泣きそうな微笑み。
かなしい声で「大丈夫」だと。
はらはらと心の流れを追う紅葉の雨。
今はそれが涙の様に映って、そっと瞳を伏せた。
ゆらゆら 風に祈る。
君を想う、秋の日に。
End...............
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麻生葛葉ちゃんに捧げます。
二日掛けた割には短く纏まりも無いまま、一馬視点の真将。
赤で書かれた部分がタイトル曲からの抜粋なのですが、
瞬時に判った方…アルバムを御持ちですね?(笑)
選抜で唯一、将の異変に気が付いていた一馬。
(真将設定では)相当悔やんだのでは無いでしょうか。
本当はその辺りも書きたかったのですが、
明らかに力量不足でした…。
ごめんなさい。
2003/10/21
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未夕ちゃんに押し付けた中途半端な開設お祝いのお返しに、
こんなに素敵な真将を頂いてしまいましたvv
もうあんなのはお祝いじゃないね、俺!!駄目だ…!
俺のセンスのない飾り方だと雰囲気そのものが壊れてしまうので、
お持ち帰りさせて頂いたまま飾らせて頂きました。ごめんなさいです(汗)
かじゅまの切ない気持ちが伝わってきて、とても痛いのです……
うう、こんなかっこいいかじゅまを俺も書けるようにならなくては。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたしますvv
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