再会は思い出の学校で





 約束の場所。
 俺たちの学校で、あゆは待っていた。

「祐一君、遅刻だよっ」

 ちょっと拗ねたような表情で。でも嬉しそうな声がかかる。

「悪い……実はな」
「ん?」

 息を整えつつ、ゆっくりとあゆに近づく。
 そして、後ろ手に持っていた、綺麗に包装された包みを差し出しながら、告げた。

「これを、選んでたんだ」
「えっと……?」

 突然差し出されたものの意味がわからないのか、首を傾げる。

「しばらく会えなくなるから、その……なんだ」
「……ひょっとして、ボクにくれるの?」

 あゆは戸惑いながら、上目使いで聞いてきた。

「あ、ああ」
「ホントにホントにボクが貰ってもいいんだよね?」
「要らないのなら、捨てる」

 俺がそう言うと、あゆはぶんぶんと勢いよく首を横に振る。

「全然要らなくないよ。すっごく嬉しいよ」

 その言葉を聞いて、やっと一息つく。でも、まだ緊張は消えない。

「だったら、大人しく受け取れ」
「ね? 開けてもいいの?」

 既に興味は中身に移ったらしく、俺の言葉は耳に入っていなかった。

「お前にあげたんだから、好きにしてくれ」
「うんっ」

 少しの間、丁寧に包装を解く音がだけが流れる。

「あっ……これってカチューシャだよね?」

 中身を覗き見たあゆが声をあげた。

「まあな」

 赤いカチューシャ。あゆにとっても似合うと思って、勇気を出して買った。

「わっ、ありがとう祐一君っ」
「これでも高かったんだからな」
「うんっ、そうだよねっ。あとで返せって言われても返さないからねっ」
「俺だって、返すって言われても受け取らないからな」

 精一杯の強がりだった。これで受け取ってくれなかったら、ショックが大きかっただろうと思う。

「そうだっ! 今度祐一君に会うときは、これつけて行くね」
「ああ、約束だぞ」
「うんっ、約束」

 曇りの無い笑顔に、胸が高鳴る。

「ボクも、見せたいものがあるんだ」

 唐突に、あゆがかしこまったように、俺に向き直った。

「えっ……?」

 戸惑う俺に、あゆがポケットから取り出したのは……。

「その人形……」

 俺があげた、天使の人形。

「……うん。あはっ、やっぱり我慢できなくなっちゃった」

 ということは、未来の誰かじゃなく。今自分のために、叶えたい願い。

「いいさ。元々そのための人形だ」
「うんっ、ありがとう」

 呟くと、俯いてもじもじとしはじめる。余程言いにくいことらしい。
 叶えるのは俺なんだから、あまり変なことじゃなければいいんだけど。

「あ、あのっ」
「お、おう」

 やがてあゆは、決意を込めて顔をあげると、最後のお願いを口にした。

「お願いです。祐一君、ボクにキスして……」

 ……は?

「……そして、抱きしめて。1年間待つだけの、思い出と勇気をボクの体に残してくださいっ」

 えっと、それって、つまり……え?

「あの、言ってる意味がよく分からないんだけど」
「うぐぅ……女の子にこれ以上恥をかかせないで」

 その言葉で、何となく意味が分かった。
 ……けど、だって……なあ?

「……あゆって、意外と『みみどしま』だったんだな」
「それ、誉め言葉じゃないよ」

 そうかもしれない。

「恥ずかしいから、この人形の力を借りて、やっとお願いしてるんだから……」

 真摯な瞳に吸い込まれるように、あゆの肩に手を置く。
 そして、気が付いた。
 これが、俺の『初恋』なのだと。

「ん……」

 どちらからともなく目を閉じて、互いの唇を重ね合わせた。

「……っはぁ」

 やがて顔を離し、見詰め合う。お互い真っ赤だった。

「いたっ」
「どうしたの、祐一君っ」
「い、いや、なんでもない……」

 俺がまだ皮被りで、ちんちんが皮を破りそうになるくらい大きくなったなんて、言えるわけが無い。

「わっ、そうなんだ」
「ぐあ……」

 焦って口に出してしまった。

「見せて」
「え? お、おいっ」

 言うが早いか、あゆはあっという間に俺のジーパンを、膝までずり下げてしまった。ブリーフごと。

「わあ……痛そう……」

 あゆの中では、恥ずかしさよりも好奇心の方が上回っているらしい。
 俺の方はというと、寒さよりも恥ずかしさの方が上回っていた。

「これは、むいちゃった方がいいよね」

 そう言って俺のに手を伸ばそうとする。

「うわ、ばか、何をするっ」
「いいから、じっとしててね……」

 あゆの指が、皮を根元に向かって引っ張った。

「うっ……たたたっ」
「あ、ごめん、痛かった? んー、じゃあ……」

 あゆは少し考えると、可愛い舌を差し出して、先っぽをぺろりと舐めた。

「うわっ」

 汚いとか思う前に、背中がぞくっとするような感覚が、体を支配する。

「なんか、出るっ!」
「え? わっ」

 言うが早いか、ちんちんから出た白い液が、あゆの顔にかかった。たぶん、精液。

「わ、悪いっ」

 慌てて拭くものを、と思うが、ティッシュやハンカチなんて、持ち物検査があるときと遠足のときくらいしか持ち歩かない。

「大丈夫だよ。でも、ちょっと臭いね」
「ぐぁ……」

 いろんな意味で恥ずかしかった。
 早い男は嫌われるらしいし。

「今なら大丈夫かな?」
「え?」

 あゆは気にした風もなく、今度は咥えるように先っぽに口をつけた。

「うっ……」

 そして、舌で皮を捲るようにしたり、歯で引っ張るようにしながら、徐々に皮を剥いていく。
 というか、そんなテクニックどこで覚えたんだ?

「あははっ、ほら、むけたよっ」

 言われて眺めると、白い皮に覆われていた赤い先端が、剥き出しになっていた。
 所々に、白いカスみたいなものがついている。

「綺麗にした方が、いいよね……」

 あゆは熱に浮かされたような表情で呟くと、その部分に舌を這わせた。すると、さっき射精したときのような感覚が、また走る。
 今度こそ、と思ってしばらく我慢するも、あゆがちゅーと思いっきり吸い上げるような動作をすると、溜まらず、もう一度射精した。

「んん!」

 あゆは一瞬驚いたように、びくっと体を震わせるが、射精が終わるまで口を離さなかった。

「んくっ」

 そして、喉を鳴らす。口の中の精液を飲んでしまったようだ。

「……苦い」

 ……さっきから、いいようにされっぱなしのようが気がする。

「今度はあゆの番だな」
「……え?」

 俺はあゆを立ち上がらせて、木に背中をつけさせた。そして徐にスカートを捲り、白いパンツをずらして、片足を持ち上げてそこを通す。

「うぐぅ、恥ずかしいよ……」

 あゆは両手でスカートを抑えて、そこを隠した。

「俺のは散々見ただろ」
「うん……分かったよ……」

 しぶしぶといった感じで、手をスカートから離す。

「自分でスカート持ち上げてろ」
「うぐ……」

 素直に言う通りにする姿が、いじらしかった。
 初めて見るそこは、不思議な感じがした。

「ちょっと湿ってるかな?」
「う……」

 俺の言葉に、あゆは顔を真っ赤にした。
 その部分にある一本の縦筋に、そっと指を這わしてみる。

「んっ……」

 軽く身を捩る。敏感な部分らしい。
 さっきのお返しとばかりに、今度は舌を使う。

「んぁ……」

 反応を見ながら、少しずつ強めに舌を押し付けるようにしていった。

「っはぁ、あ……うんっ!」
「あれ、なんだこれ?」

 やがて、上のほうに、何か豆みたいなものがあるのに気づく。

「え? ひゃぅっ!」

 そこを舐めあげると、あゆは腰をがたがた震わせて、倒れそうになった。
 慌ててそれを支える。

「ボク、もう、我慢できないよ」

 息を途切れさせながら告げる。たぶん、そういうことなんだと思う。

「あゆ……好きだ」
「ボクも、祐一君が好きだよ。だから……」
「ああ」

 雪の上に敷いた俺のジーパンの上に、あゆを横たえる。

「えっと……どこだ?」

 俺の乏しい性知識では、そこはまさに神秘だった。
 あゆはちょっと笑うと、自分でそこを広げて、教えてくれた。

「じゃあ、行くぞ」
「うん……あ……」

 ちょっと腰を進めると、互いにぬるぬるになっていたもの同士が、くっつくように繋がった。
 しかしそれも最初だけで、すぐにきつくなってくる。それでも感情が昂ぶった俺たちは、躊躇わなかった。
 そして。

「あーーーっ!」
「うっ!」

 あゆは、処女膜を破ったときの痛みに声をあげた。悦びの感情も入っていたかも知れない。
 俺のほうは、今までに無いえもいわれぬ感覚に、またまた射精した快感に耐え切れず、声が出た。

「はっ、はっ、はっ」
「はぁ、はぁ、はぁ……」

 繋がったまましばらくは、ふたりとも動けなかった。

「大丈夫か、あゆ?」
「うん……ちょっとじんじんするけど、大丈夫、だよ……」

 言葉通り、あゆの顔にはあまり苦痛は感じられなかった。

「だから、もっと動いても、いいよ……」
「……分かった」

 ゆっくりと腰を引くと、じゅっ、と音がする。
 あゆの膣内は、締め上げるようにきついかったけど、俺の精液と、あゆの血や他の液体で、滑りやすくなっていた。
 ある程度まで抜いたところで、動きを止める。繋がった部分から溢れ出した、それらの液体が、俺を興奮させた。

 押し込む。

「んっ」

 引き抜く。

「あっ……」

 少しずつスピードを速めながら、それを繰り返す。

「あっ、はっ、んっ」

 肌が高潮し、表情にも艶っぽさを帯びてくる。
 より深く快感を得ようと、あゆの腰を掴んで、自分の腰を突き出すと共に叩きつける。
 ぱんぱんという互いの腰を打ち合う音が、静かな森に響いた。

「うわ、腰がとまらないっ」
「あっ、何これ……ボク、ボク……っ」

 不意に、それは訪れた。

「っーーー!」
「っ!」

 あゆが声にならない絶叫をあげると、今までに無い締め付けが俺のものを遅い、たまらず膣内に2度目の射精をした。

「あ……入ってくる……ぅっ!」

 もう何度も出してるはずなのに、俺の射精はまだ収まらない。

「あ……んっ」
「あゆ……」
「うん……ボクもイっちゃった……」

 はにかみながら言うあゆが可愛くて、繋がったままキスをする。

「ん……あっ、祐一君の、また大きく……」
「あゆが可愛いから……いいか?」
「……うん。ボクも、もっと祐一君を感じたいから……あんっ」

 言い終わる前に、動きはじめる。
 俺たちは、時を忘れて求め合った。

「ボク、ずっと待ってるからね……っ」
「ああ、かならず迎えに来る。だから……」
「約束、だよっ!」
「ああ、約束だっ!」



 ………………。

 …………。

 ……。



 1年ぶりの学校。

 やっと、再会できる。

 期待と僅かな不安を抱いて辿り着いたそこでは――。



 少しだけ大人っぽくなったあゆが、

 あの日プレゼントした赤いカチューシャを頭につけ、

 大木にもたれかかり、

 赤ん坊にミルクをあげていた。

「……へ?」

 そして、あゆの一言。

「ほら、パパでちゅよ〜」





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