こっち向いて!貞治★ 〜乾貞治アイドル化計画〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乾先輩がレギュラー落ちしてから。

すっかりあの人はマネージャーモドキになってしまった。

「乾!ちょっときてくれない?」

その名を呼ばれれば、振り返り、呼ばれた人の所へ直ぐにかけていく。

まったくもってマネージャー。

いつだったか。

乾先輩が生徒会の役員会議(乾先輩は生徒会役員の会計だった。)みたいなのでクラブを休んだとき。

乾先輩がいないのをいい事に、2年のなかの・・・・・誰だったかは忘れたけど。

誰かが、悪態をついていたことがあった。

「乾先輩って・・・・・。このごろすっかりマネージャーに成り下がってるよな。

青学3強なんて案外嘘っぱちで、本当は俺たちにも倒せるぐらい弱いんじゃねぇの?」

その時、俺はカっとなってそいつをぶん殴った。

むかついた。

乾先輩の強さも知らないで、そんなこというやつが。

乾先輩は、弱くない。

その証拠に、今回のランキング戦で、あの人は見事にレギュラーに返り咲いたんだ。

さすがに、手塚部長にはかなわなかったけれど、あの人は俺の2・25倍もの練習量をこなしていたことがわかった。

それに、桃城を圧倒的な強さで下したんだ。

本当に、乾先輩はすごいと思う。

・・・・あの人のマネージャーっぷりはあんまり変わらなかったけど。

レギュラー練習をこなしながら、人に呼ばれれば呼んだ人のところへ駆け寄っていき

その人の用事を聞いてやる。

なんとも器用な人だと思う。

 

 

 

まぁ、前フリはそのくらいで。

そのマネージャーモドキで、いつ練習をしていたかさえさだかではなかった乾先輩が

青学レギュラーに戻ってきたから。それに驚き、乾先輩のことを見直すやつが現れてきた。

その結果。

今、青学レギュラー内で物凄いことが起きていた。

其れは・・・・・・・・・。

“乾貞治アイドル化計画”と称された、乾先輩の強奪合戦だった・・・・・・・・。

 

 

 

「イ〜ヌ〜イ〜〜〜!!」

そう叫びながら、乾先輩の上に乗っかかってきたのは、エージ先輩だった。

「ぐ・・・・・。ちょっとエージ・・・・お、重い・・・・・・。」

乾先輩が、降りろ降りろと手で促す。

「イヤだよ〜!此処、乗り心地いいんだも〜ん!」

俺はその様子に少しカッとなったけど、

レギュラー陣全員もエージ先輩の方を睨みつけた。

その視線は・・・・“抜け駆けか?!てめぇ!!”といったような感じだった。

「俺が練習できないだろう?お願いだから降りてくれ。」

そう言うと、エージ先輩も乾先輩に迷惑になるようなことはしたくなかったらしく、素直に背中から降りた。

と。

「エ〜ジvv抜け駆けは許さないよ★」(にぃぃっこり)

不二先輩だった。

その顔は、表情こそ聖母のような微笑だったけれど。

あたりに漂わせてる雰囲気が・・・・。まるで地獄に住まう閻魔大王のようだった。

いつのまにか、エージ先輩と乾先輩の後ろに回りこんでいたらしい。

「お前等・・・・・。何かたくらんでないか?」

乾先輩が・・・・。どこか疑うような眼で二人を見た。

「やだなぁ・・・・乾。そんな訳あるはず、ないじゃないか★」

不二先輩がどこか引きつった微笑みを返した。

それに、乾先輩も微笑を返す。其れもどことなく引きつっていたけれど。

「「ふふふふふふふ・・・・。」」

そうしてお互い笑いあったあと、3人とも練習に戻った。

 

だけど、そこへすかさず。

「乾〜。今度の日曜日あいてる?」

話し掛けてきたのは、河村先輩だった。

「?」

「俺んちの新メニューの試食をしてほしいんだ。」

如何?

河村先輩は、乾先輩に笑いかける。

「いいけど。その代わり俺の新ジュースのほうにも付き合ってくれるか?」

乾先輩は、そういって怪しい笑みを浮かべた。

まったく。あの人は・・・・・。

「う・・・うん。いいけど・・・。」

その様子に河村先輩は少し引いたようだったけど。

なんとか了承の返事をもらえてほっとしたようだった。

その様子に、俺は何故だかイライラした。

なんで、俺がイライラしなきゃならねぇんだか・・・。

わからなかったけど。

そこへ・・・・・・。

「河村先輩!!試食なら俺がやるっすよ!!」

「俺も。やってあげてもいいっすけど」

桃城と越前だった。

こちらも・・・・・。抜け駆けはさせねぇ精心らしい。

「え?え?」

「俺がほかの日に試食してやるっすから!!

乾先輩!!今度の日曜日、俺とデート(笑)してくれませんか?!」

「あ!!桃先輩ずるいッスよ!!おれも!俺とも如何ッスか?」

日ごろまだまだだねとかって言ってるあの生意気な一年生が。

乾先輩に取り付いて眼をきらきら輝かせてる。

もちろん、桃城もだけど。

「うーん・・・お前等の場合は、デートとかいうよりも先に勉強を見てやりたいけどな。

図書館にでもデートいくか?・・・・・一日中勉強見てしごいてやるよ?」

この間の中間テスト。やばかったんだろう?

乾先輩は、そう言うとぽきぽきと手の関節を鳴らした。

相変らず、怪しい笑みだった。

「「い・・・・や。其れは・・・・。」」

「図書館に勉強に行くなら、俺たちも連れて行ってくれないか?」

「!!!」

いきなり声をかけられて驚いたんだろう。4人が後ろを振り向くと、そこには

手塚部長と大石先輩がいた。

一番まじめだと思われるこの2人も、この強奪合戦に参加していたんだ。

「乾・・・・・。この間習った所で、わかりにくいところがあったんだが・・・。後で教えてくれないか?」

手塚部長の先制攻撃(?)。

独り占めをするつもりだろうか。

その様子に、後の4人はぎらりと眼を光らせた。

「じゃぁさ、乾。僕と一緒に帰らない?」

手塚先輩の言葉をききつけて、さっき練習に戻ったと思われていた不二先輩とエージ先輩が

こちらの方にきていた。

「ずるいにゃ〜!!俺と!俺と一緒に帰ろ?」

「俺と一緒に帰りにファーストフード店に寄りません?!」

「俺と帰ってくれるなら、ファンタおごるっすよ。」

「其れよりも、俺ん家にこない?何か定食おごるけど。」

「その前に俺だ。わからないところを教えてくれ。」

「いや、ほんとに俺と一緒に図書館に行かないか?」

7人がいっぺんに話し掛けた。

こんなの聖徳太子でもない限り、聞き分けるのは無理だろう。

うるさい事極まりない。

でも・・・・・。なんだかみんなが乾先輩に言い寄ってる姿はむかつく。

「みんな・・・・ちょっとまて!おまえらなぁ・・・・・。」

「うっせぇんだよ!!てめぇら!!」

「「「「「「「!!!!!!!!!!!」」」」」」」

 

乾先輩が全部を言い終わる前に、俺の口がかってに動いていた。

 

「大体。あんたらは乾先輩の邪魔してるってことわかんねぇのかよ。

困ってんだろ?ちょっとは乾先輩の身になって考えてみやがれ!!!」

そこまで言った後で、俺は口を抑えた。

しまった。こんなこというつもりじゃなかったのに。

イライラが募ってく。

顔が赤くなっていくのが、手にとるようにわかった。

「・・・・・怒鳴ったりして・・・・・・スンマセン。」

俯き際でそう言うと、誰かが俺の手を引っ張った。

「?!」

「逃げるぞ!海堂!」

乾先輩だった。

俺の手をつかんで、あの人は走り出した。

後ろの方で

「海堂〜〜〜〜あとでどうなるかわかってんだろうな〜〜〜!!」

というような声がしていたが、やがて聞こえなくなっていった。

 

そうして乾先輩が連れ込んだのは、学校の屋上。

学校の屋上はカギがかかっているのだけれど、この人はどこからどうやって手に入れたのか。

屋上の合鍵を持っていた。

「サンキュ。海堂。」

乾先輩は、そういいながら俺の頭をなでた。

顔を上げると、先輩は笑っていた。

眼鏡にさえぎられてわからないはずの表情が、何故だか手にとるようにわかった。

「助けてくれて。」

「いや・・・・・・・。ただ単に、あの人たちがむかついた・・・・だけっす。」

少しぼそぼそと小さい声で言ってしまったけれど、乾先輩はそんな一言でさえ、きちんと聞いていてくれたようで。

「それって・・・・・。みんなのあの行動に、嫉妬したってこと?」

乾先輩が、俺の顔を覗き込む。

そんな行動に、俺の顔は赤くなった。

確かに、言われてみれば先輩に誰かが付きまとうたびなんだか嫌な感じがして否めなかったような気がする。

「・・・・・・・・。」

「海堂?」

考えてみれば、この人は。

誰かにその名前を呼ばれるたびに、その人の所に駆け寄っていって。

いっつも大勢の人にその名前を呼ばれていて。

誰か1人のものになる・・・・というようなことは絶対にありえないように思う。

だから、あの強奪合戦だって、本当は無意味なんだ。

この人は、誰の物にもならないから。

 

でも、其れは俺のものにもならない、ということで。

 

「先輩・・・・・。どこにも行くんじゃねぇ・・・・・・。」

「え。」

この人は、誰の物にもならない。

だから、いつでもどこかに消えてしまいそうになる。

そんな表現、おかしいんじゃないかと思うけれど。

本当に、いつもどおりにすごしていたら突然消えてしまうんじゃないかと思うから。

「誰か、別の人を見てるんじゃないかって、いつも思っちまうから。」

あんたはいっつも大勢の人に名前を呼ばれてるから・・・・。

俺は、そのその他大勢に入ってるんじゃないかとおもったり・・・・。

顔を見上げると、やっぱり乾先輩は微笑っていて・・・。

 

「大丈夫だよ、海堂。俺はお前の傍にずーっといるし、いつでもお前しか見ていないよ。

・・・・・なんてったって、俺はお前のものなんだからね。」

 

 

如何してあんたはそんなこっ恥ずかしいことを平気でさらりというのか。

「なっ・・・!!」

俺は思わず、腹にパンチを入れてやろうかと思ったけれど。

その手を腹じゃなくて、先輩の胸元にもっていって軽くとんっとたたいてみる。

そんなこっ恥ずかしいセリフなのに。

如何してあんたが言うと、不思議と心が落ち着くんだろう。

その一言が、すごく嬉しかった。

「っふ・・・・え・・・・。」

「か、海堂?!?!」

俺は、そんなつもりじゃなかったのに。

思わずホッとしたら、涙が出てきた。

「う・・・・ぁ・・・・。」

すると、先輩が抱き締めてくれた。

「海堂。大丈夫だから。」

その唇で、俺の眼にたまった涙を優しく拭ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

如何かこっちを向いていて。

怖いんだ。

あんたが誰かのものになっちまいそうで。

 

 

 

 

「愛してるから。」

 

 

 

 

その響きだけで、俺は。

すごく嬉しかった。

 

 

ささやかな喜び。

けれど、どんなに小さな事でも。

つぶれるほど、抱き締めていたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ・・・・・・。海堂、しっかり抜け駆けしてるジャン!」

「ふーん・・・・。面白くないなぁ。」

「こんど、海堂にはグラウンド20周だな。」

「海堂先輩・・・・・ずるいッス。」

「なんだよ!あいつも隅に置けないじゃねぇか!」

「ほんというとさ。あの2人ってもう出来上がってるんじゃない?」

「そうかもな・・・・・・・。」

 

 

 

 

終われ。

 

 

 

 

 

THANKS1500HIT!

 

桐生様!こんなのでよろしかったでしょうか?!

なんかほんとギャグなんだかシリアスなんだかいろいろごっちゃになっててすいません!!

しかも最初のあたりと最期のあたりとで、全然話の内容あってないような・・・・・・・。

というか、題名と内容かみ合ってないというか!!

とにかくすいませんでした!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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