君 は 少 し も 


      悪 
 な 







第一話




Jun side


 「おっはよー。」
朝早く、バスの中で声をかけてきたのは二宮和也だった。
俺はウォークマンを聴いていたので、彼の声を聞こえないフリをして無視。
しかし、それでも諦めないのが二宮だ。
「おはよう、松本君!まーつーもーとーくん!
終いに二宮は、俺の耳からウォークマンを外した。俺は無愛想に、二宮を睨む。
「そんなに怖い顔すんなよな。ねえ、それ何聴いてんの???
楽しそうにウォークマンのイヤホンを二宮は自分の耳に差し込んだ。
二宮は尻尾を勢い良く振っていた。犬だ。
「おー、これいい曲じゃん!ねえ、これ貸してよ、松本。」
いきなり呼び捨てかよ。俺は呼び捨ては好きじゃない。
寧ろ、「ある人」以外から呼び捨てされるのなんて 身震いするほど嫌いだ。
鞄から何枚かのMDを取り出して、二宮に渡した。
「これ、やるから。」
「え?いいの?自分のないんじゃないの?」
CDコピってるからいいんだよ。つーかもう俺に話し掛けんな。」
「は?」


 バスはいつの間にか、俺が通う高校の最寄の駅まで到着していた。
急いで定期を見せて降りる。その後を二宮がつけてきた。
「何で話し掛けちゃいけないの?」
「お前もイジメられるぞ?」
「だから何だよ。友達になろうつってんのに。
 一人でいじめられるより、二人の方がまだいいだろ。」
二宮の言ってる意味がわからなかった。一人より二人?
それは弱者の考えることだろう。俺は別に弱いからいじめられてるんじゃない。
俺の態度や身なりを気に食わない奴が、俺をボコってるだけ。
「俺に友達はいらないんだよ。いいからさっさとあっち行けよ。」


「じゃあ…何で櫻井先輩とは仲良しなわけ?」



 一瞬で全身に鳥肌が立った。
「櫻井先輩とは仲良くできるのに、俺とは仲良くできないの?何で?」
また思い切り二宮を睨みつける。頭にカチンときたからだ。
「お前には関係ない。もう二度と話掛けんな、絶対だ。」
そのまま眉間に皺を寄せ、学校に向かった。振り返ることはなかった。
二宮はどんな顔をしてるんだろう。泣いてる?怒ってる?
そう考える間もなく、他の生徒に捕まった。


「松本君、お金持ってる?」







― Kazunari side


 「櫻井先輩とは仲良くできるのに、俺とは仲良くできないの?何で?」
本当はこんなこと言うはずじゃなかった。ただ、俺は松本潤と友達になりたかったんだ。
それより俺は松本が好きだった。でも松本は櫻井先輩と付き合ってる事実があって。
だから責めて友達に。本当は櫻井先輩と別れさせたい。


 松本はかなりのイジメられっ子だ。
毎日金を巻き上げられては 殴られ 蹴られ 櫻井に会って帰る。
松本がイジメにあっているというのは有名だった。もちろん、生徒の間だけで。
先生にチクるやつなんていない。自分がやられるから。
だからこそ、櫻井先輩が守ってやるべきなんだ。守らなきゃいけない。
なのに櫻井先輩は見てるだけ。俺にはこんなこと許せない。
松本が俺のものになったら 俺が守ってやる、そう思うのに…。
「お前には関係ない。もう二度と話掛けんな、絶対だ。」
こんなこと言われちゃった。ショックを通り越して絶望的だった。


 後ろから、相葉雅紀が俺の頭を叩いてきた。
「朝から振られちゃったね〜可哀想なニノ。」
「同情なら結構です。」
「はいはい。今夜相手してあげるから。ね。」
「…相葉さん。もう、俺らの関係やめませんか?」
相葉は怒った様子だった。俺と相葉は所謂セフレ、セックスフレンドだ。
こんなことしててはいけない、いまそんな思いがふと過ぎったのだ。だからもう…。
「ニノさ、今更そんなこと言っても遅いと思うけど。
 それにさ…そんな簡単にやめれると思ってるの?」
いつもヘラヘラしている相葉がの笑顔が、今日は何だか冷たい微笑だった。
「やめてもいいけど、俺すぐにニノのが欲しくなっちゃうよ。
 いいの?俺が悲しんでもいいの?
 ニノだって、すぐ松本とそういう関係になれるかわかんないのに。」
相葉の言うことに少し腹が立った。
「俺は松本とセフレになりたいんじゃない。恋人に…なりたいんだ。」
相葉はお腹から笑った。馬鹿にされた。それでも良かった。
「無理だよ。だって松本には…。」


櫻井先輩がいるから。







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