朝の塑像

冷たい風を吸い込んで肺の中で燃やす
意味なんて生まれない
朽ち果てた道を古い靴で壊し朝にする
息する度に死んでゆく

夜が終わるたびに歌った歌
「ものは壊れる」と彼は口ずさみ
気弱なぼくらはその先を言わなかった

ささくれだった人さし指で
手のひらをこすっても
白い息は白いまま
頬をかすめて朝になる

間に合わなかった知らせを棄てて歳をとる
都会のルールと諦めて
記したものを暖める
風がノイズとなり
棄てたページをめくる

風が風でなくなる頃
メロディーのない歌がばらまかれ
朝が朝でなくなる頃に
また棄てられる


19XX.XX.XX
1994.09.09


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