2.
「羽衣は、とり返さなくていいのか?」
「羽衣?」
余裕のない声を、どう思っただろうか。
一瞬で取り繕った僅かな間に気付いただ ろうか?
「これがないと天に帰れないんだろう?天女様は」
「てめぇ・・・」
意味を正しく察したようで、怒りに沸騰したアルトは、
ズカズカと音を経てて、 少しの距離を詰めてくる。
殴られるかと思い、僅かながら警戒していれば、
アルトの手があがり、ミハエル に向かってくる。
しかし、手は、顔を狙ってくることなく、ミハエルの持っていた布を強く引ったくる。
取られると気負った瞬間、力を入れてしまう。
「くれるんだろ?俺に」
拮抗。
白い薄手の布は、ぴんと張り、細かな皺が、放射状に互いの手を中心に描かれる 。
キッと睨んできたアルトは、そう言うと艶然に笑って見せた。
「・・・っ」
笑みに導かれるように指の力を抜いて、あぁ、と生返事を返す。
魅せられた。
らしくない狼狽えぶりをする自分など気づきもせずに、
アルトは鼻を鳴らし、布 を持って、また屋上の柵まで向かう。
その様子を惚けたまま見送る。
掴んだ理由を反射的だと自分に言い聞かせようとしながらも、
頭の隅で事実を認 めようとさせる。
帰りたがる天女に、羽衣を奪ってしまう浅ましい男を一瞬でも演じてしまったこ と。
金属が擦れる音に反応すれば、アルトが柵から僅かに身を投げ出していた。
「おいっ、アルトっ!!」
まさかと慌てて、走り出した時には、遅く、目の前のサックスブルーの髪は、
横に靡き、白い布は全長を誇るように、ますます茜に色付く空に広がる。
「あっ」
ふわふわと上がる白は、一風で一気に校舎から離れていく。
「死ねっ」
どすの聞いた低い声で一言告げたアルトは、
呆ける自分を置いて屋上から出ていった 。
我を取り戻すのにそれほど時間はかからなかった。
扉の閉まる音がして、はっと する。
思わず、頭を抱えて、その場にしゃがみ込む。
羞恥が全身の力を抜き取っていき、弱る一方だった。
「勘弁してくれよ、姫。・・・貰い物なのに」
わざと一言足したのは、最後の抵抗だ。
本当に物語になってしまうかと焦った数分前の自分に、戸惑いを隠せない。
ただ、からかっていただけなのに、・・・。
「ガキか、俺は」
赤は、顔とともにフロンティア全体を染めあげる。
偽りだらけの世界では、事実に辿り着くのには時間がかかる。
タイムラグはいらない。
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初マクロス文。
とりあえず、ミハがからかって、姫が怒るパターン。
慣れてないので、いろいろおかしいところあるかもしれません。
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