勝と優2


そして、少し離れた公園にまで来ると、
「いや〜、助かったよ。あいつらにからまれてて大変だったんだ。」
「お前、なんで1人であんなところにいたんだよ。もしかして女の姿に慣れちまったか?」
優は昨日の派手な赤のワンピースと違い、白いワンピースを着ていた。
なんだか、清潔感に溢れていて、これはこれで可愛い。
「違うよ。母さんに無理やり連れてこられたんだ。学校に行くのに必要だからって、指定の制服を買ってたんだ。で、俺置いて先帰ったんだよ。」
(女の優の制服姿か、見てみたいな。)
俺は何かいけないことを考えている自分を戒めて、話題を変えた。
「えっと、優。どうするんだこれから。もう帰るのか?」
「う〜ん、そうだな。たまには勝の家でも行ってみるか。母さんが帰って来るまで鍵開いてないし。」
「俺の家!?」
現在、俺は親の仕送りを受けて、念願のアパートでの1人ぐらしを始めている。
当然、アパートの部屋では優と二人きりとなる。
「いや、それはちょっと。」
元男だったとはいえ、今の優は女だ。
あまり女の子と縁がない俺は、この提案に少しためらった。
「ほら、ぐだぐだ言ってないで、早く行く。」
そういって、優は俺にいたずらっぽく微笑んで見せた。
その仕草、笑顔は可愛らしく、俺は結局押し切られてしまった。
俺はもうすっかり優の魅力の虜になってしまったのかもしれない。
(俺、何やってんだろ。)


急に雨が降り出して来た。
今日の天気予報では確か降水確率が10%だったはずなのに。
「やれやれ、天気予報なんてあてにならないな。優、走るぞ。」
俺達は大急ぎでアパートへと走って行った。
雨足はとても強く、俺達がアパートへと駆け込んだ時にはすでに俺と優は全身びしょ濡れとなっていた。
「やれやれ、びしょ濡れになっちまったな。」
「へっきし!」
服に染み込んだ雨が急激に体温を奪ったのか、優は少し寒そうに震えている。
「おい、風邪なんてひ・・・。」
雨で優の服が肌にぴっしりくっ付いており、さらに外側から下着が透けて見えていた。
白いワンピースであるために、色や形までも鮮明に映し出されている。
(黒・・・か。結構派手な下着身に着けているな。)
水に透けてくっきり現れているその肢体に見とれていると、
「うっ、恥ずかしいからあんまり見ないでくれ。」
頬を赤く染めて、優は体を隠すように座り込んでしまった。
自分では男のままのつもりでも、やはりこの姿は恥ずかしいらしい。
「ほら、俺の服貸してやるから着替えてこいよ。」
「うう、有り難う。」
優にタオルと服を渡すと、さっさとトイレに駆け込んでいって行ってしまった。
(もう少し、見ていたかったなぁ。)
そう思いながら、自分の着替えを済ます。
一向に止まない雨。
とりあえず優は服が完全に乾くまで部屋に留まることになった。
時間つぶしにつまらない痴話話を延々としていたが、気がつくと優は色々あって疲れているのか、うたた寝を始めていた。
・・・・、優はすうすうと安らかな寝息を立てて眠っている。
ソファに散るその美しい黒髪、触れるとすぐに壊れてしまいそうな華奢な体、透き通るような白い肌、
そしてあどけなさが残る可愛い寝顔は、元が男であったことを微塵も感じさせないくらい可憐だ。
(かわ・・いいな。)
胸の鼓動が激しくなる。俺は目の前の少女が愛しくて愛しくてたまらなかった。
俺はふっと、優の顔の前に顔を近づけると、そっと口付けをした。
唇を重ね合わせると、今まで体験したことのない幸福感が俺を満たす。


(もっと、もっとしたい・・。)
・・・・・、キスが長くなる。
気がつくと俺は口内に舌を進入させていた。

クチュッ、クチュッ・・・
優の舌を絡めるように舌を動かし、その度に口の中で唾液が混じるような淫らな音が響く。
「んっ・・・。」
さすがに苦しくなってきたのか、優は喉を鳴らして息をしようとしている。
しょうがなく俺は、一旦優の唇を犯すのをやめた。
「んは・・・、はぁはぁ。」
唇を離すとき、優から甘い声が漏れる。
この淫らなキスですっかり興奮しきっていた俺は、その淫猥な声に触発され、思わず胸に手が伸びる。
リリリリリン!
突然、優の携帯がなった。
それに驚いた俺はさっと優から離れた。
「ん、寝てしまったか。ふぁぁ。」
その音で優は起きると、まだ眠り足りないのか、眠い目をこすっている。
「うん、なんだこれ。汚ないなぁ。勝、俺よだれ垂らして寝ててたのか?」
「ああ、うん。」
(言えねぇよなあ。さっきまでお前にキスしてたなんてな。しかも舌まで入れて。)
そう思いながら、俺は何事もなかったかのように振舞った。




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