『また明日』
小さい頃俺達は、よく殴り合ってはそれ以上によく遊んでた。友達という概念ではなかったけど、近場の奴らより外見年齢が近かったから、遊びやすかったのかもしれない。別に遊んで楽しいって感じではなかったのにな

沢山遊んで沢山喧嘩して、どんなにこずいてもどんなに泣かせても、結局は自分を通すイヴァンを俺は気に入っていたのかもしれない。今となっては大昔すぎて、そのときの感情なんて忘れちまってるけど。ただひとつ、また遊ぼうとは言わなかった気がする

また来るからなって言ったら、困った顔で「ごめんだよ」って言う、それでも何処か楽しげなあいつに言えなかった事とか、本当はしたかった事とか。もう忘れちまった、多分あっただろうけどな。時代は流れて、自分自身すら流れてもう、色んなものが零れ落ちて砕けてしまって、日記読んでもわかんねえ

そうやっていらないものをガンガン捨てて、今に至るわけだ。イヴァンとの力関係は大分変わって、一緒に遊びましょうって年でも流石になくなって、柄にもなく昔はどうだったとか言うようになって。気付いた事がある。イヴァンは俺と同じように、言いたかった言葉を捨ててきたのか?

「ごめんだよ」って楽しそうに、けれど困った顔で言ったイヴァンはもういない。空が明るくても茜色でも、夜の帳が下りた後だって一緒にいて、やがて柔らかい枕に顔を埋め眠りにつく時あいつは言う。おやすみ、また明日

おやすみ、また明日。そう言うイヴァンはどこか嬉しげで、満足げで。沢山捨てた俺とは違って、あいつはきっと何も捨てなかった。不器用だと思う、もっと楽に生きられるのにと思う。けどな、満足げなイヴァンを見ると、俺も少しだけ気持ちが楽になる。だから、諦めの悪いツレも悪くないもんだぜ?

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